丸紅で一緒にラグビーをしていた1978年の入社組と翌1979年の入社組が集まり、納涼会を催した。海外勤務の長かった者も多く、中には30年振りの再会という仲間もいたが、感心したのは大きく体型を崩した者がいなかったことだ。仕事を辞めた者もいるが、適度に緊張感を保ち、節制しているということだろう。

もう一つ感心したのは、みんなお酒が入って良い気分になったろうに、誰も話の腰を折ったりせず、最後まで良い聞き手だったことだ。これは意外に難しいことで、社内の会議や取引先との会合、OB会では話の腰を折る人をときどき見かける。昨夜、そういうことがなかったのは、みんな優秀な商社マンだったからか、はたまた、最初から人の話など聞いていなかったかな?(笑)

(丸紅退職時に皆からプレゼントされたミニボール)

逆に少し物足りなかったのは、昔話が多かったことだ。久し振りの再会もあったし、共通の話題から入ると昔話になるのも致し方ないが、いろんな場所で異なる経験を積んできた連中なのだから、これから世の中はどうなるのか、そんな中でどう生き抜くのか、いや実はこんなことを始めた、というようなこれからの話も聞いてみたかった。これは次回の楽しみに取っておこう。

球友の良いところは、一緒に痛い目に遭ったり、悔しい思いをしてきた分、格好を付けなくて良いことだろう。入浴に例えると最初からフル●ン(笑) お前ら、もうちょっと品良くしたら?
オペラ歌手の田村麻子さんが「Crossover Night」と題し、ジャズやミュージカル、映画音楽から十数曲を歌われた。


一緒に行こうと誘った同級生のA山さんは、最初の“Amazing Grace“ で「鳥肌が立ったよ」と大感激、私は“You raise me up“ で「あぁ、来て良かった」と大きなため息。以下、田村麻子さんの魅力に二人が迫る(笑)

ボル 「車に例えると排気量5000ccの強力なエンジンで、きちんと勉強もしたはるから、高速道路でも山道でも一般道路でも優雅に走れるってことかな?」
A山「何ちゅう例えなんやと思うけど、当たってるよね。ただ、やっぱり高速回転(高音)のときに力を感じるよ。あれは真似できん。」

短い休憩の後はサプライズと称し、ピアノの弾き語りでミュージカル「キャッツ」の“Memory“、そして映画「ニュー・シネマ・パラダイス」の主題歌を歌われたが、どちらも心に染み入るような、素晴らしい歌声だった。又、ピアノ伴奏の神埼えりさんと即興演奏を披露されたが、お客様からその場でもらったテーマから歌詞やメロディを作って行くのだから、クリエイティブな能力、相方の意図を感じ取れる感性、そして度胸がないとできない演奏だと思った。

そんなサプライズで明るく和やかな空気になったが、最後は “Time to say Goodbye“ とアンコール曲のカッチーニの “Ave Maria“ で優雅に締められた。田村麻子さんの歌声は柔らかで伸びやかだが、ちゃんと芯があって力強い。私は素人だが、そこが素晴らしいと思う。

【アカデミカコール】

大正9年創立の東京大学音楽部は現在、管弦楽団、男声合唱団コールアカデミー、女声合唱団コーロ・レティティアの3団体で構成されているが、アカデミカコールは男声合唱団コールアカデミーOBによる男声合唱団で、東京六大学OB合唱連盟演奏会や北大・東北大・九州大OBとのジョイントコンサートを中心に活動している。(パンフレットの紹介文から)

 

 

私のような私立大の出身者からすると、国立大ご出身者は頭が良く、きちんと勉強された方々というイメージで、中でも東京大学のご出身と聞くと、どうしてもお堅いイメージを抱いてしまう。その東京大学音楽部OBの皆様が「Missa pro Pace」、日本語に訳すと「平和のためのミサ曲」を歌われると聞いたら、これは重厚かつ荘厳な響きの男声合唱だと思うではないか。

 

ところが、パンフレットを開いてみたら、パーカッションやサクソフォンの奏者が出演されることになっているし、ずっとミサ曲を作りたいと思っておられた作曲者の三澤洋史さんは曲の解説のところに「日本武道館で行われたサンタナのライブに出掛け、その演奏を聴いて、ミサ曲はラテン音楽テイストにしようと決めた」みたいなことを書いておられるではないか。これは一体どんなミサ曲なんだろう、と俄然興味が湧いた。

 

さて、第一曲の「Kyrie eleison」(主よ、憐れみたまえ)は、憐れみたまえと言うよりは「自由に踊らせたまえ」に近い賑やかなメロディで、三澤さんが書いておられた通り「キューバ音楽っぽいモチーフ」が鳴り響き、度肝を抜かれた。第二曲の「Gloria」は主の栄光を讃える歌だと思うが、こちらも讃えるというより「一緒に喜ぼうぜ」に近い躍動感があったし、第三曲の「Credo」(信仰告白)も告白というより「叫び」に近く、キリストが十字架を背負う場面は実に痛々しかったし、逆に、キリスト復活の場面では正にお祭り騒ぎのような喜びが感じられ、そのギャップが印象に残った。


第四曲の「Sanctus」(聖なるかな)と「Benedictus」(ほむべきかな)、第五曲の「Pater Noster」(主の祈り)はとてもきれいな曲で、神様への信頼や祈りに相応しい、安らかな気持ちになる曲だったように思う。第六曲の「Agnus Dei」(神の子羊)と「Dona nobis pacem」(我らに平和を与えたまえ)も美しい曲だったが、何か静かな勇気が湧いてくるような曲で、多分、三澤さんが書いておられた「ミサの終わりに司祭から会衆に与えられる、さぁ、聖堂から出て行き世界に平和を広めなさいという祝福」が込められていたのだろう。


長くなったが、予想外の展開に新鮮な驚きと感動を得たコンサートだった。東大OBの皆さま、豊かな表現力に感心しました。お堅いだけではないんですね。失礼しました(笑)