バイオリンの発表会が一週間後に迫った。


バイオリンを44年振りに再開してから9回目の発表会になる。良く続けていると自分を褒めたいところだが、先ずは、優しく指導くださってきた先生と、我慢強く騒音に耐えてきてくれた家族に感謝すべきだろう。ありがとうございました。

今回はこれを弾いてみたい、と映画「Once upon a time in America」の「Deborah's theme」を希望してしまった。映画音楽の巨匠、エニオ・モリコーネの作曲で、聴く度に胸が締め付けられる大好きな曲だが、今は上手く弾けないことに胸が締め付けられる思いだ(苦笑) 

又、私の演奏には12名もの伴奏者が付いてくださることが分かり、さらにプレッシャーで胸が締め付けられる思いだが、先生から本番では「深呼吸するように弾いてください」、「大人の貫禄を見せてください」と言われた。ついつい心の余裕を失うから、その注意を楽譜に貼り付けた(笑)


考えてみると、私は66才にもなって大人の貫禄というものがない。発表会には間に合いそうにないが、これからの課題にしようと思う。
ノーベル物理学賞の受賞が決まった真鍋さんの記事を読んだ。長年に亘る研究を支えたのは「好奇心」だとおっしゃる。義務感や使命感とおっしゃらなかったところに興味を持ったが、確かに義務感や使命感には何か強い意思が必要で、しかし、好奇心だと自然に力が湧いてくるような気がした。


ここからは私の話だが、個人事業主になって約2ヶ月経過した。お取引先との契約の中に「報告義務」というのがあり、書面でとは書かれていなかったが、備忘録のつもりで日誌をつけ始めた。これに他の会社や知り合いから受ける相談事まで書き始めたら、まるで日記のような体裁になった。たまに読み返すとこれが面白くて、書き記す文字数や詳しさは私の好奇心と正比例することが分かった。

真鍋さんのように、今からノーベル賞をもらうのは無理だが、好奇心を大切にし、90才でも現役で何かを追い求めているという生き方を目指してみようと思う。
丸紅で一緒にラグビーをしていた同期入社のMが亡くなった。彼とはなぜかウマが合った。あれは夏合宿に向かう道中のことか、はたまたラグビー部で海水浴に行ったときのことか、私はMの愛車、カローラレビンの助手席に乗り、Mの運転で高速道路を目的地に向かって走っていた。当時はエアコン付の車は未だ珍しく、我々は窓全開で「暑いなぁ」とボヤきながら走っていた。

(goo.netさんから借りました)

その時、先輩の運転するセダンが隣の追い越し車線に来て並んだ。見れば、窓が閉まっているのに、乗っている4人は快適そうだ。どうやらエアコン付の車のようだ。助手席の先輩が何か話し掛けて来たようだが、窓が閉まっているから聞こえない。しかし、我々には「エアコンが付いていないと暑いだろう。気の毒に。」と言って走り去ったように思えた。

Mは「閉めるぞ!」と言うなり窓を閉め、私にも窓を閉めろと言ってベンチレーターをフル回転にしたが、こんなもので涼しくなる訳がない。車内は瞬く間にサウナ状態になって我々は汗だくになったが、Mは「先輩を追うぞ」とスピードを上げて追い付くと並走し、私に「笑って手を振れ」と命じた。言われた通り、窓の内側から手を振って笑いかけたが、汗が額から流れ落ちてくる。「アカン、もう限界や、追い越せ!」とMに頼んだ。

先輩の車から離れたところで窓を開け、しばらく風に吹かれて汗が引くのを待った。
「お前、アホちゃう?」
「止めないお前もバカだよね」
「お前に彼女がいない理由が分かったよ」
「そう言うお前もいないじゃん」
「せやな、ハハハ・・・」
「だろ? ハハハ・・・」

Mが亡くなったと聞き、最初に頭に浮かんだのがこの思い出だから、Mがそれを知ったら、「あのさ、俺の華麗なステップとかトライとか、そういうのを思い出せよ」と怒るだろう。でも、仕方ない。M、ごめんね。僕はこの経験を生かし、僕が亡くなった時にはもうちょっと良いことを思い出してもらえるよう、これから注意するよ。

合掌