そこで、「ハンマーしか持っていなければ、全てが釘に見える」とは誰の言葉だろうと調べたら、アメリカの心理学者、マズローの言葉だと分かった。マズローは「欲求5段階説」を唱えたことで有名らしい。

欲求5段階説とは、人間には5段階の欲求があるという考え方で、先ずは生きるために最低限必要な生理的欲求、これが満たされると、安心して暮らせる環境を求める安全欲求が出てくるとされる。これも満たされると、今度は自分を受け入れてくれる家庭や組織を求める社会的欲求、そして更には、所属する家庭や組織、社会の中で高く評価されたい、自分の能力を認められたいという承認欲求が出てくるらしい。

私は平和な日本で生まれ育ったから、生理的欲求や安全欲求を強く意識したことはないが、社会的欲求や承認欲求は良く分かる。そういう欲求があったし、それが努力のエネルギー源にもなったと思う。幸いにも、これらの欲求は満たされたように思うが、問題は5番目に出てくる自己実現欲求だ。

ここで明確に「こうありたい」「こうなりたい」「こうしたい」と言える人はどれくらいいるのだろう。4番目の承認欲求が満たされていると居心地が良いし、能力のある人ほどそれを頼る人たちに囲まれ、ついついその場から離れられなくなってしまうこともありそうだ。

(続く)