The soliloquy of the surfer -9ページ目

普通のサーフトリップ

俺は普通の男だ。

人より特別に優れたところもないし著しく劣っているところもない、至って普通の三十路だ。

そんな俺が、静岡に波乗り旅行に行ってきた。


出発の朝、後輩2人が迎えに来てくれた。

道具を積み込み、いざ出発!

まだ暗いレインボーブリッジを渡り、六本木・渋谷を抜け、東名で静岡に向かう。

まぁ、普通の順路だ。


海老名で朝食を摂ると、仲間から次々に電話がかかってくる。

今回の参加者は、波乗り仲間のうち12名。

これから始まる旅への期待に満ちた笑顔で、思い思いに挨拶を交わした。


東名の見どころは、誰が何と言っても富士山だ。

御殿場辺りで眺めた富士山は、朝日を受けてオレンジ色に輝き、その壮大な力強さと美しさで俺達を圧倒した。


富士川SAのスタバは、日本一景色が良いスタバと言っていいかもしれない。

俺達は、まだ寒いテラスで温かいカフェラテとともに富士を堪能した。

波乗りが目的の旅行だったが、すっかり観光客気分になり、しばらくその場から離れられなくなっていた。


The soliloquy of the surfer

だが、いつまでも富士に心を奪われているわけにはいかない。

俺達は、目的地である牧之原市静波に向けて車を飛ばした。



着いた静波海岸は、前日のパーフェクトとうって変わってコシの小波だった。

気温が高くなり、それ以上にテンションも高くなっていた俺達には特に関係ない。

さっそく着替えて、ローカルの邪魔にならないように人がいないピークを目指した。


The soliloquy of the surfer


たまに来るセットにピークから乗ると、少し走ってリップ出来る。

ロングライドは望むべくもないが、それで十分だった。

波よりも、仲間で貸切でいられることの方が重要だったからだ。

美しい青い海と、ジャーフルでは暑い水温も、俺達にとっては最高のスパイスだった。


ここでビックリしたことがある。

パドルしていると、手足にプチプチと何かが当ってくる。

気になってすくって見ると、パチンコ玉大の透明なゼリー。

中心に薄茶色の何かがある。

縮尺はおかしいが、明らかにクラゲの子供のようだ。

恐る恐る触ったが、特に痛くはなかった。

平気だと分かれば問題ない。

何万・何億の大量発生か分からないが気にしても仕方ないので、風で波が変になるまで満喫した。


静波の波がダメなら御前崎が良いというのは、何度も来ている経験で知っていた。

昼食を摂りつつポイント移動だ。

途中の道の駅で地元の海産物を堪能し御前崎に出ると、更に悲惨な海が待っていた。

ウネリは静波より大きいが砂がついてないようで、ビーチでドカンとブレイクしていた。

リーフにしては珍しいと思ったが、風も合ってなかったしハイタイドなのかもしれない。


御前崎メイン周辺に落胆した俺は、その先の本格的なリーフのポイントに向かった。

かろうじて走れそうだ。

ローカルが4人程入っていたから、遠慮して3人で入った。

だが、ブレイクが難しく、なかなか乗れない。

たまに分かりやすいセットが来るが、ローカルがパドルすればビジターは遠慮するのが普通だ。

セットに乗ると2発位当てられる波だが、おこぼれを待っているのでは厳しい。

昨年も風が合わないなか入ったが、それより過酷な状況だった。

しばらくして、いよいよ割れなくなってきたのでロックダンスしながら上がった。


ホテルにチェックインし大浴場で疲れを癒せば、宴会まで秒読みだ。

近くの予約していた居酒屋に行くと、地魚で歓迎してくれた。

空腹も手伝って美味しく完食し、テンションも手伝って焼酎3本を飲み干した。

帰りにワインを買って、ホテルで2次会だ。


飲みながら次々と意識を失っていく仲間たち。

さすがに早朝から始まった波乗り旅行は、かなり体力を削っていたようだ。

俺も残り少ない兵に残って飲んでいたが、いつの間にか気づくと寝ていた。


朝はゆっくり7時に目が覚めた。

というより、起こされた。

急いで支度をしてチェックアウト。

この日は、名古屋に住む友人と合流すべく浜松に向かった。


穏やかな風のおかげで、浜松の海は面ツルだ。

サイズもセットは胸くらいある。

久しぶりの友人とハグをして、さっそく無人のピークに向かった。

再会の感動で残念ながら海の写真は撮ってない。

が、この旅で1番の良い波だった。

ボトムが深いようで、たまに来るセットしか割れないが、乗れば確実にリップ出来る。

気温も水温も問題ない。

海はブルーで、面はツルツル。

俺達以外は誰もいない。

この旅ラストにして最高の笑顔で波に乗った。


波が悪くなり、みんなで潮見の道の駅で食事を摂った。

特に期待していなかったが、シラス丼はなかなかの味だった。


The soliloquy of the surfer

美しい海をバックに記念撮影し、名古屋の友人ともお別れだ。

またしばらく会えなくなる。

毎週のように一緒に波乗りしていた友人との別れは、やはり切ない。

ただ、俺達は愉快なサーファーだ。

仲間同士で笑う事はあっても、泣く事はない。

常に楽しむスタンスが重要だ。

冗談を言い合い、いつか約束できない再開を誓った。


陽が沈み首都高が近づくと、無償にセンチメンタルになる。

良い旅の終わりは、いつもこんな気持ちだ。

1泊の短い旅ということは最初から理解しているが、例え1週間いても同じ気持ちになるだろう。

逆に、都内に入るとホッとする旅もある。

日数の問題ではないし、行き先の問題でもない。

何故なら、旅は面子が一番重要だからだ。

普通のトリップ前日

俺は普通の男だ。

最近サボり気味だが、趣味はサーフィンだ。

一応…


そして明日から静岡県牧之原市静波にサーフトリップに行く。

仕事の都合で1泊しかできないが、明日の早朝から明後日の夕方まで、たっぷり波乗りするつもりだ。

昨年も行ったが、生憎の天気だった。

明日は天気も良いし、ちょうど波もあるようで本当に楽しみになってきた。


なぜ目的地が静波かというと、東急ハーヴェストクラブの会員だからだ。

これはホテルを区分所有するシステムで、会員になるには当然まとまった入会金が必要となるし、管理費や固定資産税も要する。

メリットは、約20ヵ所あるホテルが1泊4,000円弱で泊まれること。

別荘は掃除が面倒だし、そこにしか泊まれないが、年に数回しか旅行にいけないビジネスマンにとって東急ハーヴェストの方が利便性が高い。

俺は千葉の勝浦の会員でメインに利用しているが、いつも千葉だからたまには違う所に泊まりたくなるのは普通だ。

そして東急ハーヴェストクラブ静波は、静波海岸から徒歩1分。

波があるかは天まかせだが、波乗りには抜群のロケーションだ。

風が合わなければ、車で30分程の御前崎まで行けばなんとかなる。


The soliloquy of the surfer

メンバーは、いつも波乗りに行く仲間のうち予定が合う12名。

なかなかの団体旅行だ。

各々現地に向い、連絡を取り合って海に入り、夕方ホテルに入って落ち着いて、夜は新鮮な地魚で宴会。

携帯電話のおかげで、目的地さえ分かれば適当でOKだ。


The soliloquy of the surfer

遊べる程度の波がある予報だから写真を撮る余裕が俺にあるか分からないが、なるべく努力する。

美しい波と素晴らしい景色を楽しみにしていただきたい。

ただ、期待に応えられるかは疑問だ。

何故なら、俺のデジカメは普通のLUMIXだからだ。

普通の連チャン

俺は普通の男だ。

仕事が忙しかったり、台風直撃だったり、面倒くさかったり、なんとなく波乗りから離れていたが、やはり趣味は波乗りだ。

他にも色々やる事はあるが、俺から趣味をなくすと普通以下の男になってしまう。

普通は好きだが、普通以下は嫌だ。

というわけで、今月初のサーフィンに行ってきた。


水曜は、以前から知り合いだった可愛い女の子と2人で行ってきた。

海デートだ。

数年前から波乗り仲間の一人だったが、1度流れで飲みに行き今回海デートすることになった。

以前から海ではカッコイイとか言われていたし、飲みに行った帰りに勢いでチューしたから、健康な男である俺はテンションが上がっていたし、それなりの事も想定して財布に数万円用意して行った。


自宅から女の子の家まで海とは反対方向で1時間近くかかるが、可愛いから迎えに行った。

普通の友達なら「こっちまで来て」となるが、可愛い女の子は得だ。

いやらしい考えで女性に反感を買いそうだが、これは普通のセオリーだ。


目的は波乗りだから、一路千葉に向かった。

波は予想より小さく、風も合わずに良くないコンディションだった。

女の子もサーファーだから、自然に勝てないことは理解している。

それなりのポイントを見つけ、さっそく一緒に入ることにした。


イマイチな波でも、この日の俺は実力以上の力を発揮できた。

カッコイイ所を見せたいと思うのは、健康な男なら当然だ。

本能は恐ろしいものだと実感した。

次第に混んできて、それなりに満喫した頃、女の子は上がると言いだした。

当然、俺も賛成だ。

海デートの目的は波乗りだが、俺の本能は体力の温存を計っている。


イマイチの波だったし昼前だったから、食事に行くことにした。

チョイスしたのは、崖の上にある景色の良いメシ屋だ。

以前から行きたいと思っていたが、普段は男ばかりなので気取った所には行かない。

この日は良いチャンスだった。

フグが食えるようになったようで、刺身やから揚げを頼み堪能した。

トラフグではなかったが、それなりに美味しかった。

景色も最高で、ここまでの雰囲気は抜群だ。


近くにある展望台に行き水平線を見た。

俺には全く似合わないが、かなりロマンチックな流れだ。

ただ、この女の子はかなりの自然派で、純粋に景色に感動しているようで、一緒に見る相手は関係ないようにも感じた。

シュチュエーションはロマンチックだが、2人の関係は登山部の部員同士のようだった。


その後、未開の地を探検することにした。

ナビを頼りに漁港らしい所に行くと、海に突き出た岩山があり、真中に穴が開いていた。

自然派の女の子は穴探検に興味深々だ。

俺は違う穴が気になっていたが、ガツガツする歳ではない。

俺は近くにいた漁師に入っても良いか確認し、2人探検隊は危険な岩山チャレンジに出た。


簡単に登れる山だったが、大きな岩の中に入ると神秘的で不思議な気持ちになった。

穴から見える海は少し怖い雰囲気で、俺はあることを思い出した。

『つり橋で告白すると上手くいく!』

女性は軽い恐怖心を感じると、口説かれやすくなるらしい。

少し強引だったが、俺は女の子を抱きしめた。

が…

結構な勢いで拒否られた。


少し下心を出しすぎたかもしれない。

ロマンティックな雰囲気になると笑ってしまう俺は、いつも唐突だから失敗が多い。

今回もそうだった。

だからと言って、もう1度チャレンジすることもできない。

フェミニストな俺は、簡単にあきらめた。


気まずい雰囲気にはならなかったが、こうなると自分から口説くのは無理だ。

昔から唐突に抱きしめるのが定番で、まともに言葉で口説いたことがないから、どうすればいいか分からない。

だからロマンティックな状況を求める女性は苦手だ。


その後も波が良くなりそうになかったから、美しい景色を探して探検した。


The soliloquy of the surfer


もう俺は帰りたい気持ちになっていた。

が、ここで帰ると言えば拒否したせいだと獣のように思われる。

かといって、意味のない散歩は嫌いだ。
残る選択肢は、波乗りしかなかった。

誰も入っていない小波に日没まで果敢にリップをしかける様は、さながら煩悩を振り払う修行僧だった。

この間、女の子は車で寝ていた。

仕事が夜勤明けで2時間しか寝てないようだったから、そっとしておいた。


帰路の車内は雰囲気の良い音楽が流れ会話は普通に盛り上がったが、俺の情熱が再燃することはなかった。

美味いラーメン屋でてっとり早く夕飯にし、家から反対方向に1時間弱の送迎をした。


あっさり送った後、自宅までの孤独なドライブは敗北感が漂っていた。

天気は雷雨。

この日のために買ったジャーナルスタンダードのきれい目カーディガンが、俺を温かく優しく包んでくれていた。


女の子は俺のことを散々褒めてくれるが、それは男女の関係ではなく友人あるいは師匠としてリスペクトしているんだと結論づけた。

健康な俺は勘違いしていたが、人によって求めるものが違うのは普通の常識だ。

今後は2度とこの女の子に変な事はしないし、良い友人として付き合っていけるだろう。

ただ、普通の女友達なら今後は1時間もかけて迎えに行かない。



翌日も修行僧のように波に乗った。

いつもの波乗り仲間と、純粋に波乗りだけを楽しんだ。

俺を慰めるように、前日とは正反対の良い波だった。


The soliloquy of the surfer



やはり俺は波乗りが趣味だ。

そして波乗りが大好きだ。

当然、千葉も大好きだ。

何故なら、嫌なことがあっても良い波に乗れば完全に忘れられるからだ。