The soliloquy of the surfer -5ページ目

普通のネーミング

俺は普通の男だ。

波乗りに行く朝は早く目覚めるが、仕事の日はなかなか起きられない。

特にこの寒い時期は苦手だ。

まぁ、普通だ。


そんな寝起きの悪い俺が、最近少し早起きしている。

健康に気をつかい、朝食を摂るためだ。

しかし、寝起きが悪いから重い朝食は食べられない。

フルーツなら寝ぼけていても食べられると分かった俺は、今5日連続で苺を食している。


その前に試したのはココアだった。

みのもんたの影響ではない。

懐かしさから買ってみたココアが単純に美味しかったから。


今もフルーツを用意する時間がない朝はココアにしている。

時間がないというのは、早起きできなかったということでテンションが低いが、藤原紀香を想像しながらコクミルコクミルと作ると元気が出る。

バカバカしさから楽しい気分になるからだ。


他言したわけではないが、知人から一足早いバレンタインデーと苺を頂いた。

たった2粒だけのプレゼントだったが、面白かったから写真を撮っておいた。


The soliloquy of the surfer

もうひとつは『あまおう』だったが、この『初恋の香り』という白い苺には驚いた。

こんな色の悪い苺、最近では安売りスーパーのパックの底でも見当たらない。

通常は可愛らしさが売りの苺も、色が変わるだけでグロテスクになるものだ。


こうした変わり種は非常に面白いが、ひとつ文句を言いたくなった。

それは、ネーミングだ。

苦労して品種改良し商品化した人にとって、素敵な名前をつけたくなる気持ちは理解できる。

確かに香りは良かったが、『初恋の香り』は残念ながら似合っていない。

せっかく特異な外見をもった苺に、セオリー通りのネーミングはミスマッチというものだ。


余計な御世話だが、俺なら話題性を高め商品力を増すネーミングをする。

まず思いついたのが『ブツブツちゃん』

白いおかげで普通よりブツブツが目立つ特徴を、そのまま名付ける。

若い世代に「キモ可愛い」と、写メが飛び交うかもしれない。

消費者が「食べた」という事実を話題にしやすく、勝手に有名商品になってくれるだろう。


見た目のグロテスクを売りにした方が、話題性につながる構造は容易に想像がつく。

そこで俺が考える1番相応しいネーミングが『おやじの鼻』

これはもう口に入れる食物としての既成概念を超越し、想像するだけで何か吐出しそうになるくらいインパクト十分だ。

yahooニュースで取り上げられることは間違いないだろう。


プレゼントをくれた女性は、高級チョコレート等は食べ飽きているだろうから、変わった物の方が喜ぶと思ったらしい。

なかなか聡明だ。


あと1週間でバレンタインデー。

義理であと数個は頂けるだろうが、本気の新規はご無沙汰だ。

チョコレートだろうがクッキーだろうが物は何でも良いが、気持ちをドキドキ感とともに頂きたいものだ。

何故なら、俺は女性にモテたいからだ。

普通の企画

俺は普通の男だ。

少し前まで久しぶりに頂いたラブレターに浮ついていたが、冷静に判断し落ち着いた。

数日前からメールの返信をストップしたら、先方から届かなくなった。

相手が顧客である以上、これで良かったのだろう。

俺は普通のサラリーマンだ。


そんな普通の俺が、モヤモヤを晴らすため海に行った。

波乗りを楽しめば、大抵のことは忘れられる。

こんな趣味がなければ、風俗に無駄遣いしたり、適当に女性を誘って友人を無くしていたかもしれない。

本当にサーフィンを続けていて良かった。


南西強風の予報だったから心配していたが、4時に起床し外を見ると風は落ち着いていた。

こうなると俺の行動は早い。

歯磨きしながらポリタンクにお湯を入れ、板とウエットを車に入れ、すぐに出発。

着替えるのを忘れていたが、デートではないからパジャマ代わりのプーマのジャージでも問題ない。


南房総のポイントに着くと、予想以上の強風で波が割れづらそうだった。

ショアブレイクに落胆しながら見ていたが、しばらくするとそれなりのセットが来る。


The soliloquy of the surfer

海は無人。

すぐに友人に連絡し、慌てて着替えて・・・

の前にトイレだ。(2009/4/24ブログ参照)


ブーツが嫌いな俺は素足で入ったが、2時間位から全ての足の指が無くなったような錯覚に陥った。

普通の痺れだ。

次第に痺れが痛みに変わったので、3時間で終了。

セットはダンパー気味だったが、なかなか遊べる良い波だった。


The soliloquy of the surfer


海から上がり、仲間の女性が作ってきてくれた暖かいパンプキンスープやチリビーンズキーマカレーを食べながら友人達と談笑した。

心地よい時間だ。

その会話で、仲間達でイベントをやろうということになった。

当然、俺も乗った。

俺は、普通のお祭り男だ。


結論から言うと、俺の企画が採用になった。

いつも飲んでばかりなので少し変わったことをしたい。と言った俺のサーファーらしい企画だ。

それは、仲間達でオリジナルのサーフィン大会を開催するというもの。

面白いイベントをやると声をかければ、少なくとも30人位の波乗り仲間が集まるから大会には十分だ。


ただ、普通にサーフィンの腕前を競っても全くファンではない。

実力を良く知る仲間同士で戦うのは、特に面白くないし角が立ちかねない。

そこで、俺が着目したのが『エアショー』

サーフィンをやっている人ならご存知だろうが、エアリアルの技を競う大会だ。


断っておくが、俺はエアーができない。

過去に数回成功したことがあるが、90%飛べないし、9%着地できない。

成功率は1%だ。

そんな俺がエアショーなんて口から出ること自体おこがましいが、俺の考えるエアショーは少し違う。

人だけ飛ぶエアーだ。

これならアップスさえできれば誰でも飛ぶことができる。

サーフィンの実力差はあまり関係ないから、初心者でも上級者と戦える。

むしろ、初心者の方が飛ぶことが多いだろう。


このエアショーの採点項目は、高さ・美しさ・面白さの3つだ。

面白さというところがポイントで、ラウンドが進むにつれて技のバリエーションや難易度が増し、ギャラリーは笑いっぱなしになるだろう。

マンオンマンのトーナメントで戦い、優勝者にはトロフィーを授与しシャンパンシャワーもする。

遊びも仕事も、真剣に真面目にやってこそ面白い。


これを話している時は、みんな大笑いしていた。

ノーリーシュで出るとか、3回転に挑戦するという者もいた。

かなり盛り上がるのは間違いないから、新たなサーフィンカテゴリーに発展する可能性もある。

自分で言うのもなんだが、なかなかの秀逸な企画だ。


ただ、問題がないわけではない。

普段の海では間違いなく人の目が気になり練習しにくいからだ。

仲間で貸切の時しかチャンスがないだろう。

何故なら、他人には派手なワイプアウトにしか見えないからだ。





暖かくなった頃に開催するので、大会報告をお楽しみに

普通の禁断デート

俺は普通の男だ。

人に勝る部分はないが、人に著しく劣る部分もない。

普通というのは、そういうことだろう。


前回、仕事で取引した女性から手紙をもらい、メールのやりとりをしていると書いた。

その後、少し進展があったので書いてみる。

普通の続きだ。


メールというのは相手が見えない。

微妙なニュアンスや心情は文章から推測することになるが、これは人によって伝わり方に差がある。

基本的にポジティブ思考の俺は、良いことを書かれると好意を持ってくれていると感じてしまう。

それが続くと、友人以上の感情を持たれていると感じる。

これは普通の勘違いだ。


少し前、この女性から風邪で熱があるとメールが来た。

俺は飲み会の最中だったが、ビタミンや水分を摂取することと睡眠をとることと書き、労いの言葉を送った。

風邪で安静にしているからヒマのようで、頻繁に返信が来る。

結局、先方の催促で、俺がビタミン剤やポカリスエット等を買って行くことになってしまった。


飲み会が終わりコンビニで買物し、女性の家に着いたのは深夜1時を過ぎていた。

俺の自宅から近いから、特に負担には感じなかった。

部屋に上がり、買ってきた物をキッチンに置いた。

女性はそばに立っていたが、確かに熱があるようで辛そうだった。

高熱だとアピールするので、流れで額に手をあてる。

俺の冷えた手に、女性は「気持ちいい」と言い、なかなか額から手が離せなくなった。


気持ちいいという言葉は、高熱で辛い思いをしている女性からすると単純で素直な気持ちだろうが、さっきまで元気に飲んでいた俺には甘いささやきに聞こえる。

手から伝わる体温を感じながら、自然に高まっていく自分の心に戸惑っていた。


ただ、少し酔いが覚めた俺には、普通の良心があった。

病気で苦しんでいる相手に欲情するのは普通ではない。

俺は額から手を離し、早く寝るよう促して帰宅した。


帰宅してメールを何度かやりとりし、悶々とする気持ちを抑えてベッドに入った。

俺の寝つきの良さは、こうした場合に活躍する。

布団をかけた10秒後には夢の中だ。

しかし、どこからが夢なのか分かりにくい夜だった。


翌日もメールが来てやりとりが始まった。

相手は風邪で寝ているから、ネタも時間も豊富にある。

そして数日後、引越したばかりの女性の部屋の細々した作業を手伝うことになった。


何故そんな面倒な約束をしたか疑問に思う人もいるだろうが、手から伝わった女性の体温が俺の海馬に残っているからだ。

38℃位あったから、特に印象深かった。

こうなると、健康な雄である俺は餌を目の前にした犬だ。

性的な衝動が人一倍激しいわけではないし、そもそも相手は業務上知り合った女性で手を出すわけにはいかない。

ただ、犬になってしまうのは、DNAに刻まれた性だ。

俺は人に言う時、それをフェミニストと言い換えている。


そして先日、仕事を終えた俺はジャージに着替え、女性の部屋にいた。

冷蔵庫のアースを取り付けたり、約束の仕事を済ませた後は、これも約束していた食事。

食事といっても、マクドナルドの限定バーガーを食べることだった。

ジャージ姿の俺はテイクアウトして女性の部屋で食べると思っていたが、この女性は店舗に行くと思っていたようだ。


マクドナルドは明るく清潔な環境で、邪な気持ちがある俺には不適切だ。

しかも、ジャージ姿を人に見られたくない。

当然テイクアウトし、部屋でビールとともに食す提案をしたが、女性は柔らかく断ってきた。

確かに時期尚早かもしれない。

これを固辞するのは口説くことになりかねないので、俺は女性の意見に従い健康的な店内で不健康な夕食を摂った。


俺は以前、交際している異性の存在をメールで告げた。

これは事実だが、万一の時の保険でもある。

俺は意外とずるい男だ。

この女性からすると、自身の部屋に彼女がいる男を招き入れ、2人でくつろぐのは良くないことだ。

普通の常識だ。

それに引き換え、俺の考えは普通の浮気だ。


食事後、海まで散歩することになった。

ここは海浜公園に面しているから、比較的自然な展開だ。

人気のない夜の公園を、世間話しながら海まで歩いた。


夜の海はロマンティックだ。

波はさざめき、星が瞬き、飛行機が列をなして空港に向かう。

周囲には誰もいない。

何の障害もない男女なら、それなりの行為に及ぶ環境が整っていた。

俺は抱きしめるタイミングを計っていた。


以前ブログに書いたが、俺は言葉で口説くのが極端に下手だ。

大脳辺縁系から発する衝動を大脳新皮質でギリギリ抑えていた俺だが、その口説き下手のおかげもあって未遂に終わった。

そして、何事もなく帰宅することにした。

もうひとつ、というより1番大きな理由は、アルコールを摂取していなかったことにあるのは間違いない。

あと、ロマンティックなシュチュエーションに相応しくないジャージにベンチコートスタイルだったこともある。

これがトレンチコートなら何が起こるか分からない。


車で自宅に送った。

シートベルトを外し、すぐに帰るかと思ったが、女性はドアノブに手が伸びないまま座っている。

この別れ際の雰囲気は、男がアクションを起こさなければならないタイミングだ。

健康な男の俺からすると、女性が何か待っているとしか思えない。

女性に恥をかかせるのが嫌いなフェミニストの俺は、とっさに抱きしめてしまった。


抱きしめてすぐに、海での葛藤が無駄になったことに気付いた。

そして、これ以上の行為は危険だということも。

パブロフの犬のように環境に反応してしまった俺だが、思考回路までは犬になっていなかった。

俺は「あ~スッキリした!」と陽気なピエロのように言って離れ、別れを告げた。


女性は、俺の身辺が整理されない限り、男女の関係になるのは良くないと言った。

普通の良識だ。

こうした理性の強い女性には、責任をとる確固たる気持ちが確立されない限り手を出してはならない。

ただ、俺の立場からすると、体の相性も分からず本当に愛せるか保証がない女性のために身辺整理するようなリスクはとれない。

嘘をつき表面的な利益を搾取することは簡単だが、俺は悪人になりきれない偽善者だ。

ポリシーを曲げて人を騙すほど、飢えたクズ人間には成り下がりたくない。


今も友人の立場を保とうとするような敬語のメールが届いている。

打算的に返信を止めようか考えたが、特に抱擁に関して問題になっていないし、律義な俺としては頂いたものを返さないのは気持ち悪い。

来月の海デートの約束もそのままで、結局は今尚葛藤が続いている。

しかし、方向性は定まってきた。

今までの2方向の分岐点とは違い、明らかに進むべき道が見えてきた。

友人として健全に安全に進む道だ。

これからも敬語のメールを返信することにする。


そもそも、大脳辺縁系の影響が強く感情で動くタイプの俺と、大脳新皮質が発達し常識を重んじるタイプの女性と、相性が良いはずがない。

何故なら、俺は少し浮気者だからだ。