The soliloquy of the surfer -12ページ目

普通の早起き

俺は普通の男だ。

夜は普通に寝て、普通に朝起きる。

たいがい寝るのは1~2時で、朝は7時に起きて8時半に家を出る。

まぁ、普通だ。



起きて出社まで1時間半もあるが、顔を洗って髭を剃り、コーヒーを飲んでスーツに着替えるのは30分で終わる。
その前の1時間は、目が覚めるまでに要する時間だ。
朝のTVニュースを半分しかない意識で眺めるしかできないので、朝刊をじっくり読むのは帰宅後だ。
俺は普通より寝起きが悪い。


そんな俺も、木曜の朝だけはお目覚めバッチリだ。
昨日も2時半前に自然に目が覚めた。
ちなみに寝たのは0時。
俺にとってサーフィンは、かなりの影響力を持っているという証明のひとつだ。


ポリタンクにお湯を入れ、顔を洗って歯を磨き、スーツではなくラフな服に着替えるまで約20分。
友人が迎えに来るまで残り10分を、ウエットの準備とボードのワックスアップに使った。

予定通りの午前3時、静まり返った住宅街をハイテンションで出発だ。


かなり早い出発だが、目的の海に着いた時には既に明るかった。
寒々しい雨と虚しい小波…
ふと砂浜を見ると、落胆する俺達より更に落ち込んでいるオジサンがいた。
愛車のクラウンが砂に埋まり、家族が蟻地獄にハマった昆虫のお父さんのような目になっていた。

 

ここの砂浜は、スタックしやすいことで有名だ。

2駆で突入するなんて、見解が甘すぎる。

俺達は見ないふりをして、少し遠くでウエットに着替えた。


雨が降っている砂浜は汚れるから手伝いたくないし、早く海に入ってサーフィンしたい。
出来るならば自力で蟻地獄から脱出してもらいたい。
だが、残念ながら俺は悪人になりきれない偽善者だ。
砂を掘り、みんなで車を押して、格闘すること20分。
オジサンの相棒クラウンは、蟻地獄に飲まれることなく脱出できた。
深々と頭を下げるオジサンに手を振り、十分に準備体操を終えた俺達は海にダッシュした。


俺達が善行しても、普段がどうでも、自然は偉大だから影響を受けない。
予想通りパワーない小波で、少し走って1発当てる程度の波だった。
ただ、ここのロケーションは最高で、晴れていればカリフォルニアのようだ。
残念ながらアメリカはグアムとサイパンしか行ったことがないから、俺の想像のカリフォルニアはこんな程度だ。
実際はもっと素晴らしい所だろうが、知らないということもポジティブに考えれば良いことだ。

 
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後から来た友人4名と約3時間、それなりに遊び、雨が上がっていたのでビールで乾杯した。
いつも友人が作ってきてくれるスイーツをつまみに、他愛もない話で盛り上がる。
今日は特に、海の中よりビーチの方が楽しい一日だった。


解散後、コンビニでワンピース54巻を買って帰った。
さっそく助手席で読みだしたが数頁で落ちて、気づくと自宅の前だった。
俺の寝つきは、のびた級だ。

 

名残惜しく分かれた時は、まだ13時だった。

楽しみにしていたワンピースを読みながら、カフェラテとポテチでノンビリ。

これも早起きしたおかげ、早起きは三文の得とは良く言ったものだ。


俺は特別マンガ好きということではない。
ワンピースは面白いと思うが、主人公のルフィーやストーリーに特別な愛着も理解もない。
なれるなら不動産王や石油王にはなってみたいが、海賊王にはなりたくない。
ただ、ワンピースだけは最初から読んでいるので途中で止めるわけにはいかない。
何故なら、俺は凝り性だからだ。





そのうちルーキーズにも凝ってしまうかもしれない…

普通のショートトリップ

俺は普通の男だ。

そんな普通の俺が、普通のショートトリップをした。

と言っても、毎週のように日帰りで行っている千葉に1泊しただけ。

特別ではなく、至って普通だ。

  

初日は朝4時に出発し、大網白里の人が来ないビーチに行った。

近くのサーフポイントは多少混雑していたが、ここは本当に人が少ない。

波はいつもイマイチだから当然かもしれないが、良い波で混雑している海より、イマイチでも遊べる波があれば人がいない方が良い。

後から来た後輩と約3時間、たまに来るそれなりの波を貸切で堪能した。


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宿泊先は御宿だ。

千葉北にも南に行くにも便利な立地と、キレイなビーチフロントのホテルという条件で決めた

『sayanterrace』

チェックインには早かったので、御宿の隣町にある『RAGTIME』という部原ポイントがオーシャンビューのレストランで昼食にした。

マルゲリータピザとペペロンチーノを食べながら生ビールを流し込む。

素晴らしい天気で、青く綺麗な海と心地良い潮風が最高に贅沢だ。


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部原のサイズはsetハラ程度。

20人近く入っていた。

パワーが無さそうな波でサーファーは苦労して乗っていたし、波の数と人数が合ってなかったので入らなかった。



御宿に戻るとセットでスネ。更に頼りない。

ただ、無人で形よく割れていたので、時間つぶしに遊ぶことにした。
海水浴感覚で波と戯れていると、数名のおじさんがニコニコしながらパドルアウトしてきた。

見るとロングより大きな板に、オールを持っている。

最近流行りつつあるらしいパドルボードだ。

俺に「初めてだから笑わないでね。」と言いながら楽しそうにコケている様は、思わず笑ってしまう。

交代に笑顔で波に乗り、楽しい時間を過ごした。




ホテルにチェックインし、ウエットを洗いながらシャワーを浴びた。

部屋からは御宿の青い海しか見えない。

窓を開け、心地良い潮風を部屋に取り込みながら昼寝をした。


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清々しく目を覚ますと、食事の時間だ。

ゆったり過ごしたかったから、夜はホテルのレストランでフレンチを頼んでおいた。

味は普通だ。

窓から火が灯るウッドデッキが見え、その先は暗い夜の海。

波の音が聞こえるレストランの雰囲気は良いが、特にメインの肉料理が残念な味で残してしまった。


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シーズンにはまだ早い御宿の夜は、かなり静かだ。

食後の腹ごなしにホテルの前やビーチを散歩した。

夏は若者で賑わうであろう夜のビーチも、この時期なら良い雰囲気だ。

少し肌寒くなったので部屋に戻り、眼下に広がる漆黒の海をつまみにシャンパンを開けた。



翌日は5時に目が覚めた。

軽い二日酔いだったが、サイズアップした海を見てすぐにウエットに着替えた。

目が覚めてから10分後にラインナップにいれるのは、ビーチサイドホテルの特権だ。


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少し難しいカタサイズの波を堪能すると、空腹になり力が入らなくなってきた。
上がってシャワーを浴び、ガッツリ朝食だ。
このホテルの朝食はバイキング形式だが、一風変わっている。
フォカッチャやピタに様々な具を好きなだけ詰めてサンドウィッチにしてバスケットに入れ、好きな場所で食すことができる。
究極に空腹だった俺は、ミルクとオレンジジュースを飲み、4つのサンドウィッチとヨーグルトとフルーツを食べ、クロワッサンとコーヒーを部屋に持って帰り食した。
普通の3倍は食べたから、最後には少し気持ち悪くなった。

チェックアウトが12時とゆっくりなのも、このホテルをチョイスした理由の一つだ。

食欲が満たされた俺は、相方にマッサージをしてもらい少し早い昼寝をしてノンビリ過ごした。


前日の好天が嘘のような荒れ模様。

雨では外で遊べないので、館山まで海岸線をドライブすることにした。

部原はジャンクコンディションで、サーファーもほとんどいなかった。

少し期待していたマリブは10人ほどラインナップしていたが、波がなかなか来ない。

一方松部は風を受けたジャンクで、プロやトップローカルでも考えてしまう状況だった。

鵜原は7~8人入っていたがインサイドダンパーで、誰も横に走っていなかった。

少し期待していた岩場からの極上レギュラーはなかった。

守屋も同様のショアブレイクで、これまた期待の小湊はジャンク。

マルキはダブル位の波がアウトで割れ、ハードコアなサーファーが数名パドルしていた。

若い頃は大きな波が大好きだったが、今は面倒なパドルが嫌でチャレンジしない。

体力とサーフィンへの情熱が衰えているのだろう。

和田から千倉まではクローズで、誰もいなかった。

ウネリも凄いが、強風が一番ネックだ。


荒々しい海を眺めながら、途中でいつもより格段に空いている千倉の潮風王国という道の駅で休憩し、一番期待していた平砂浦に着いた。

波と風が穏やかで、間隔は長いもののかなり良い波が来る。

しかも、8人程のラインナップでまともに波に乗れているのは1人のロングだけだ。

雨も上がっていたので、すぐに入ることにした。


なかなか大きな波が来ないが、ハラ位のセットはレギュラーにもグーフィーにも走れる三角波。

最低でもリップやスラッシュが3発入れられる。

この旅の最後にして最高に形の良い波をget。
約2時間、ほぼset乗り放題で満喫し、空腹になったので終了にした。


時計は15時を回っていたが、朝食を食べ過ぎた俺は昼食を取っていなかった。

前日メインディッシュの肉を食い損ねた体は、牛肉を欲していた。

館山市街地の北条海岸近くのレストランで、約2人前を平らげてしまった。

久しぶりに食べた米も最高に美味しく感じた。


館山から東京までは、館山道が完成したおかげでアッと言う間だ。

短くも楽しくリラックスできた休日は終わりだ。

夜の帳とともに悲しい気分になるが、また休日はやってくる。

頑張って仕事すれば、また楽しい旅もできる。

この雨もいつか止む。

また最高の時間に立ち会えるはずだ。


ただ、アクティブに波乗りできる時間は、もうそんなに多くない。

年老いれば、早起きしてガッツリ波乗りしたり、美味しい物をたくさん食べたり、恋愛したりできなくなるだろう。

少し悲しくなってきたが、人生に悔いを残さないため残り少ない若い時期を楽しく過ごそう。

もっと仕事して、もっと遊ぼう。

何故なら、俺は三十路だからだ。

普通の最高

俺は普通の男だ。

と、いつもこの調子で書いているが、正直飽きてきた。

俺は普通より若干飽きっぽい。


そんな飽きっぽい俺だが、サーフィンだけは飽きずに行っている。
21日も朝から友人と茨城に向かった。


最近はサーフィン人口が増えて、10年前ならガラガラだった鹿島も混雑している。

昔は鹿島のメインポイントで良い波を貸切!なんてことも多々あった。

俺が行くのは平日だから混雑といっても土日ほどではないが、残念ながら今はメジャーポイントで貸切なんて事はない。


俺は混雑が大嫌いだから、空いているポイントに向かった。
もちろん波情報にもガイドブックにも載っていない所だが、長年サーフィンしている人なら知っている穴場的ポイントだ。
この日はスモールコンディションでコシ~ハラの情報だったが、着いたポイントはムネ位の大きさがあった。
良い波だ!

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もちろん海の中は誰もいない。

今日1日が素晴らしい日になることが約束されたようだ。

俺達はちょっとしたトリップに来た気分で約4時間満喫した。


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腹ペコになったので、俺達9名は予め買っておいたビールで乾杯した。
夏のように暑くなった砂の上、クーラーで冷やしておいたビールとメンバーの女性が作ってきてくれたつまみで宴会だ。


俺の体は、乾ききった砂のように美味いビールを吸収していった。
波が良いと話も弾む。
あの波の時のあのリップが最高だった!とか良いライディングを称えあえば、ビールは1本じゃ足りない。
この宴会中、みんなの口から最高という言葉が何度出たか数えられないくらい幸せな時だった。
 

酔いを覚ますためもう1R入ったが、フラフラで波乗りどころではなかった。
ただ、夏の雰囲気と仲間しかいない海の開放感に浸っているだけで心地よかった。
圧倒的に力強さを増した太陽を仰ぎ見て、サーフィンに出会えて、この仲間に出会えて、この瞬間に自分がいたことに感謝していた。

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1日は短い。

いくら楽しい時も永遠には続かないし、むしろ一瞬と言っていいだろう。

後ろ髪を引かれながら帰路についた。


この全てが素晴らしかった1日が終わり、今はいつもの日常が続いている。
だが、以前より少しだけ頑張れるようになった気がする。
何故なら、俺のストレスが全く無くなったからだ。