2013/02/16/Sat
■NHKは台湾の中国領土扱いを続けている
「日中観光交流」に関するニュースに北海道を訪れる台湾人観光客を話題を組み込んだ二月九日の「NHKニュース7」。明らかに「台湾は中国の一部」という中国のプロパガンダに従っていたのだが、NHK側はそれを断じて認めない。
NHK「ふれあいセンター」に抗議の電話を入れた私に、応対に出た下松瀬担当部長(スーパーバイザー)は「尖閣問題で中国からの観光客が減っているのに対し、やはり尖閣を巡って対立する台湾からの観光客は増えていることを伝えたもの」と詭弁を弄した(実は放送では「尖閣」には触れていない。そう指摘すると下松瀬氏は答えに窮した)。
そしてその上で「NHKは公正、公平、中立、不偏不党の立場で報道している。私は以前、ニュース現場にいたが、中国のプロパガンダには従ったことはない」と断言していた。
ここまで来ると、もはや詭弁と言うより虚言である。
なぜなら、たとえばNHKの報道番組は、台湾を含めた中国地図をたびたび画面に映し、物議を醸し続けていた。
■「台湾入り中国地図」に台湾政府もNHKに抗議
その一例として挙げたいのが、二〇〇四年七月二十五日放送の夜六時のニュースである。中国高速鉄道に関する話題で映した地図で、中国オレンジ色、日本や朝鮮半島を緑色で描くなか、台湾にはオレンジ色を塗り、中国の一部として表示したのだ。
それを目撃した私は、ただちにNHK「視聴者コールセンター」(現ふれあいセンター)に電話をし、「台湾は中国領土ではない。誤報だ」と指摘した。
ところがこれに対し同センターからは、ニュース担当者からの説明として「台湾はまだ独立国としては認められておらず、オレンジ色にした」「独立国ではないから中華人民共和国の領土。(日本のように)緑色に入らなかった」と告げられた。
こうした誤報正当化の回答を受け、私は在日台湾人勢力と共にNHKへの抗議をネット上で呼び掛けた。翌日には台湾の最大手紙自由時報が、上の私とNHKとのやり取りを報道した。
そして台湾政府も同日、公式ルートでNHKに抗議を申し入れている。
■自由時報がTV番組欄からNHKを削除
さらに三十日、自由時報は果敢な抗議行動に出た。
テレビ番組欄のNHK亜洲台(NHKワールドTV)の項目を白紙にし、そこに「NHKは台湾を中国の一部と主張した。この主張は事実と異なる。本日より番組表ではしばらく掲載を停止する」と表記したのだ。
この自由時報による「NHKボイコット事件」は日本ではほとんど知られていない。だが台湾では当時大きな共感を呼んだ。同紙の読者欄にもこの勇断への称賛の声がたびたび載っている。
一方中国も事件に注目し、中共中央宣伝部の強い影響下にある香港文匯報が番組欄の写真入りで報じた。論評抜きの速報だったが、「自由時報は偏緑(※台湾独立派)と言われている」と書き添えるなど、明らかに批判的。言いかえれば、NHKを擁護した。
NHK台北支局にも台湾人からの抗議が殺到した。〇九年の「JAPANデビュー」問題で同紙局が台湾人の抗議運動を受ける六年前のことである。
中国や韓国などが産経新聞を「右翼」と罵倒するのを除けば、アジアの国からここまで怨まれた日本のメディアもそうはないだろう。
■抗議の視聴者と国会に対する答弁は違う
一方、国内でも全国の大勢の人々が電話やメールを通じ、NHKへの抗議に立ち上がった。
放送直後は台湾を中国の一部と断言したNHKだが、そうした形勢に危機感を抱いたか、翌二十六日になると姿勢をやや変えた。
その日私は、報道局国際部の中国問題担当デスクである橋本明徳氏から、次のような説明を受けたのだ。
「あの地図は中華人民共和国などではない。『一つの中国』の地図だった」「かつて台湾も中国は自分のと言っていた。NHKでは昔から双方に配慮し、あのような地図を使っている。あれがどちらの国の地図であるかは、中国人同士で判断すべきこと。NHKは判断しない」
そこで私が「あの地図がどちらのものとは判断しないが、中華民国の地図である可能性もあると言う見解か」と確認すると、「そうだ」と答えた。「それは公式見解か」と聞いたら、「そうだ。我々現場はそのように考えている」と言うのだが、誰がそんなことを信用できよう。
そもそも日本は中華民国を承認していないし、NHKもそれを認めるわけがない。事実橋本氏はこの時、「もっとも国会答弁などでは別の言い方をするかもしれないが」とも付け加えている。
世間知らずの人だと思った。これでは「国会では本当の話をするが、抗議の視聴者には嘘をつく」と告白したに等しかった。
■誤報隠しで詭弁と虚言を乱発した報道局
私が中国は武力で台湾を侵略しようとしている。NHKはそのような国の宣伝を手伝ってはいけない。台湾人は悔しい思いをしている」とも訴え、「誤報は訂正するべき。二度とあのような地図は出すな」と求めると、橋本氏は「それについては必ず検討する」と約束した。
私はその言葉に誠意を感じた。
ところがこの日、橋本デスクは抗議の電話を入れた別の台湾研究フォーラムの会員に対しては、「あれは中華人民共和国の台湾領有の主張を尊重した地図だった」と断言しているのである。
また、その日は私自身も視聴者センターから、「台湾が中華人民共和国に帰属する」との報道部の見解を聞かされている。「日本政府は日中国交正常化交渉の中で、台湾は中華人民共和国の領土だというようなことを言っている」との理由からだそうだが、政府にそのような事実はない。
以上を見ればわかるように、NHKは自ら仕出かした明らかな誤報を覆い隠すため、さまざまな詭弁、虚言を弄し、抗議を封じようとしたのである。
だがもはやそうした稚拙な対応は抗議の人々には通用しなかった。NHKへの不信感は募るばかりの我々は、さらにNHKに対し抗議デモを発動し、受信料不払いを訴えるなどした。
■これが「中国の威を借る」NHKの開き直り
そして二十三日になり、私は橋本デスクから「私たちは別に台湾が中華人民共和国の一部とは考えていない」との「NHKの公式見解」(内部で検討し決めたもの)を聞かされた。「今回の報道で台湾人に不愉快な思いをさせてしまったが、わざとやったことではなかった」との釈明もあった。
これで抗議運動も熄んだ。自由時報も、その後番組欄でのNHKの項目を復活させた模様。
だがNHK報道局は反省などにしていなかった。台湾の中国領土扱いはその後も継続され、抗議を受けるたびに詭弁、虚言で逃げ続けている。
今回も日本に親しみを抱いて北海道観光に来た台湾人女性二人はNHKのインタビューに応じたばかりに、「ニュース7」によって中国人観光客に仕立て上げられ、そのまま全国のお茶の間に放送されてしまった。これで中国政府を満足させることはできても、尊厳を傷つけられた女性たちの人権はどうなるのか。「台湾は中国の一部」との誤った印象を与えられた視聴者もまた被害者だ。それであるに関わらず、NHK自身はこうした報道のやり方を「公正、公平、中立、不偏不党」と強弁するのだ。
こうした開き直りは、「虎(中国)の威」を借る勢力によく見られるものである。
一方、台湾の方々の思い。
鄭春河さんね。
台湾歩兵第一第二連隊戦友会は最後の最後まで日本の正義を信じて笑って死にましたわ。
もうほとんど生きてませんけど、10年も前に台北で最後の師団単位の集まりがあって、従軍看護婦だった人も来て、みんなで恩師のたばこ吸って笑ってお別れしましたのよ。
鄭さんは代理神主の資格があってね、台南の鄭成功神社で正式の神主の恰好で神式の儀式最期にやりましたよ。
みんな普通のまともな日本人でした。
台湾はね、待ってるんですよ。
連合艦隊は必ず来る、日本は必ず立ち直って台湾を助けに来る、信じてるんです。
日本を信じて戦った台湾臣民を、祖国日本が見殺しにするはずがないでしょうが。
違うとでもおっしゃるんですか。
あんたらそれでも人間のつもりですか。