ドラマ「僕の姉ちゃん」その3 | 日々是本日

日々是本日

bookudakoji の本ブログ

テレビ東京 ドラマ「僕の姉ちゃん」

毎週水曜 深夜1時&Amazon Prime Videoにて独占配信中

次回(第3話)は8月10日(水)深夜!

 

 

 

 公式サイトのイントロダクションのみ再掲するので、その他の情報および第1話・第2話の感想等については昨日の記事一昨日の記事を参照されたい。

 

▼ドラマ「僕の姉ちゃん」公式サイト:イントロダクション

※主演の黒木華と杉野遥亮、原作者のコメントあり

ユーモラスで辛辣な姉・白井ちはる(黒木華)と、姉に翻弄されるが素直に話を聞いてくれる弟・白井順平(杉野遥亮)は、両親不在のつかの間、二人暮らしをしている。
仕事を終え帰宅した部屋で、お酒を飲み、それぞれ好きなものを食べながら、恋・仕事・趣味・人生にまつわる会話を繰り広げる。姉弟だからこそのぶっちゃけトークで炸裂する“姉ちゃんの本音“は、一見ひねくれていて意地悪なように聞こえるが、実はしごく真っ当で、順平は妙に納得してしまう。

 

 

---以下、ネタばれあり注意---

 

 

 今日こそは第3話の感想である。(笑)

 

▼第3話 出世する人、しない人

 どんなドラマかはわかってきた。

 タイトルからすると今回は仕事がらみの話だろうか。

 弟・順平(杉野遥亮)が突然の雨に降られてずぶ濡れで家につくと、姉・ちはる(黒木華)は先に帰宅していた。

 順平が風呂から上がると、ちはるはソファに寝そべって本を読んでいた。

 「最後のダイエット」という本である。

 順平はビールを飲みながら、

「出世する人ってどういう人なんだろう?」

とちはるに訊いた。

 それは、今日会社で社内評価の話をしていたからだった。

 ちはるは、

「雨に濡れないような人じゃない?」

と答えた。

 上手いなぁ。

 そしていつもの如く若干の説明を加えてから、

「まぁ、地味に用意周到ってことだわな。」

とまとめた。

 素直に納得する弟に、感じるところがあったのだろう。

 納得しつつも自分には難しいかもしれないという自信のなさ、あるいは諦めのようなものだろうか。

 ちはるは突然に、こう言った。

「あんたは既に出世しておる。出世とは世に出るということで、生まれてきただけでもう出世なわけよ。我々はもう社長みたいなもんだわ。」

 この後で、ちはる役の黒木華さんは「ふっはっはっ」と結構、豪快に笑った。

 豪快に笑っても可愛いなぁ。

 そして前回の話の中で、順平の「人生で一番大事なものは?」という質問に「生きてること」と答えたやり取りが思い出された。

 順平は「生まれてきただけで出世って言われちゃぁなぁ」と感じたんじゃないかなぁと思っていると、「こういう人が出世しそう……」という心のつぶやきがナレーションされた。

 まぁ、出世のことばかり気にしてい人は、かえって出世しないものだというのは、それなりにもっともである。

 個人的には、最後の「我々はもう社長みたいなもんだわ。」というところの方にピンとくるものがあった。

 この場合の社長はどこの社長か?

 自分という会社の社長である。

 我々は誰でも自分会社の社長になれるが、それは生易しくはない。

 小さな会社の社長になるよりも普通に難しいのではないだろうか。

 だから、最後の「みたいなもんだわ」という表現はかなり練られたものかもしれない。

 出まれてきただけで自分会社の社長になれるわけではないからである。

 さて、次の日の夜である。

 風呂から上がった順平は、ソファーで本を読んでいるちはるに風呂が空いたよと声をかけた。

 そして、自分もソファーの前のテーブルに座って本を読み始めた。

 風呂にいかないちはるに順平は何の本を読んでいるのか訊いた。

 ちはるは、

「収納法の本」

と答えた。

 ちはるが読んでいた本は薄い大型本で表紙に大きく「収納上手」と書いてあった。

 順平には見えていたから、何の本か敢えて訊いたのは、

「その手の本、前にも読んでなかった?」

と言うための口火だろう。

「でも全然片付けてないじゃん。」

と言う順平にちはるは、

「あんた、全然わかってないねぇ。」

と返してきた。

「片づけるために読んでないし。」
と言うちはるに順平は、
「何のために読むのか一応きいていい?」
と言わずにはいられなかった様子だ。
「こういう本て、この通りやれば誰にでもできるって書いてあって、実際やればできるわけよ。」
「じゃ、やればいいんじゃない?」という順平に、首を横にふりながら“姉ちゃんの本音“が炸裂する。

 

「この通りにやれば自分にも確実にできるって思える何かがあるって安心じゃない?」

 

「そういうことを実感するために読むわけよ。」


「言わば癒し本だわな。」

 

と答えた。

 

 だわな~、だわな~、だわな~

 

 そうか、「収納上手」は癒し本か!

 あ~、本のブログっぽい話になってきた~(笑)

 そしてちはるは昨日読んでいた「最後のダイエット」も、もちろん、

「癒し本だわな」

と言うのだった。

 

 だわな~、だわな~、だわな~

 

 そしてそして今度はちはるが順平に、あんたの読んでる本もそうでしょと言うのだった。

 ここで画面には順平の読んでいる本の表紙が映る。

 

「しごとのきほん くらしのきほん 100」

 

 順平はこの手の本が好きだなぁ。(笑)

 

 そして、これでは終わらないところがこのドラマのいいところである。

 翌日、順平は会社で上司にミスを指摘される。

 ちはるは会社の帰りにカフェを併設している本屋による。

 お茶を飲みながら写真がメインの料理レシピ本を読んでいる。

 開いているページはだし巻き卵である。

 そして画面は、自宅のテーブルでちはるがビールを飲んでいる場面に切り替わる。

 つまみは、だし巻き卵とオムレツの中間のような出来具合の卵焼きであった。

 そう、現実は癒し本が必要なほどに上手くはいかないのである。

 

 しかし、これでもまだ終わらないところがこのドラマのいいところである。

 テーブルでちはるがビールを飲んでいるところに順平が帰ってくる。

 この時点でまだ、だし巻き卵の失敗とすら言えないような卵焼きに箸はつけられていない。

 帰ってきた順平にちはるは、

「不幸オーラ出まくっているけど。」

と声をかける。

 そして、卵焼きを食べ始める。

 順平は、

「俺、自分のいい所なんてなんもない気がする。」

と言う。

 しばしのやりとりの後でちはるは、順平が昨日の夜に長電話していた昔からの友達のタケシの話をする。

「タケシがすぐ調子に乗って油断しちゃうアンタを、なんだかんだいい奴だと思って友達でいる訳じゃん。」

「アンタのいい所は別にあんたが知らなくてもいいんでないかい。」

 

 前回と同様に、

 

 こういう救われ方もあるねぇ。

 

と思ってしまうのだった。

 

 そしてまた、前回に引き続いて更に長々と書いてしまったなぁと思うのであった。(笑)

 

 こういう会話劇って、観ながらいろいろ思うからついつい書き過ぎてしまうんだよねぇ。

 

 まぁ、ここまで書いてしまったので、前述の会話の場面でのちはるの心境はどうだったと思ったかも書いて終わろうと思う。

 

 順平が帰ってくる前、自宅のテーブルでビールを飲んでいたちはるは、だし巻き卵の失敗とすら言えないような卵焼きを目の前にして、箸をつけるのをためらっていたのだと思う。

 これはまぁ、料理をすると時々あることだ。

 その後、不幸オーラが出まくっている弟を見てからこの卵焼きを食べ始める。

 これは偶然だろうか?

 お互いに上手くいかないことがあった一日だったけど、不幸オーラが出まくっている弟を見てちはるは、目の前にある出来損ないの卵焼きを受け入れ易くなったのではないだろうか。

 そして弟の昔からの友人であるタケシの話をする時に、弟のことを「すぐ調子に乗って油断しちゃうアンタ」と評する。

 これは、弟のことを客観的に評してはいるようではあるものの、

 「カフェで料理の本を見た勢いで油断してだし巻き卵を作ってみちゃったワタシ」が重なっていたのではないだろうか。

 だからこの後に「アンタのいい所は別にあんたが知らなくてもいいんでないかい。」と言うちはるは、心の中では「料理は下手でもワタシにはワタシの知らない良い所が沢山ある。」と自分に言っていたのではないかと思う。

 だから、順平を救うことによってちはる自身も救われていたのだ。

 

 こうして救う者も救われるんだねぇ。

 

 

▼次回(第3話)は8月10日(水)深夜放送!

 

 

▼Amazon Prime(全話独占配信)

 

 

▼益田ミリの原作マンガ「僕の姉ちゃん」マガジンハウス2011

僕の姉ちゃん