電子マネー革命
伊藤亜紀
講談社現代新書
ISBN978-4-06-288078-7

電子マネー革命─キャッシュレス社会の現実と希望 (講談社現代新書)/伊藤 亜紀

¥798
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<目次>
第一章 「おカネ革命」進行中
第二章 「資金決済法」があなたのおカネを守る
第三章 電子マネーに似ているけれど -ポイントは「オマケ」か
第四章 「おカネ革命」が新たな市場をつくる
第五章 「おカネ革命」は世界へ


本書は、身近な存在となった電子マネーの現状と、電子マネーがもたらす未来を述べています。

また、疑似通貨である「ポイント」についても電子マネーの一種として合わせて述べています。


電子マネーはEdy、WAON、Suica、ICOCA、おサイフケータイなど多様な形態で生活に入ってきています。

自分も使っていますが、読者のみなさんもお使いなのではないでしょうか。


本書では、電子マネーの登場を「第五次おカネ革命」としています。

革命たる由縁は、過去のおカネと決定的に違う点があるためです。


それは、物理的なモノを持たない、電子データであることです。

つまり、キャッシュレスであることです。


また、過去のおカネは国家や自治体など、公的機関が発行していましたが、電子マネーは民間企業が発行している点です。

発行とはいうものの、日本では通貨は政府が、紙幣は日本銀行が発行しており、電子マネーは物理的なおカネを数字に置き換えて電子データ化しているだけです。


しかし、その電子データが失われた時や、電子マネー発行会社が倒産した場合はどうなるのでしょうか?

それは法律で保護されるように制定されています。

それが「資金決済法」です。

本書ではその仕組みが述べられています。


本書では、電子マネーの説明と同時に、予想される未来について述べている点が特徴です。

筆者の予想では、電子マネーが国際化し、電子マネーでの決済が通貨の壁を乗り越え、統一的に簡便に決済できるように進化するとしています。

人や物が国家間を容易に行き来するグローバル化が進行する中で、各国の通貨の換算レートを元にした決済がネックになる場面が多々あります。

最近では、円高が日本経済に与える影響の大きさは実感しているとおりです。

通貨レートが単なる経済上のルールで変わるならば納得度が高いですが、政治問題も絡むとややこしくなります。

電子マネーが国際間の決済に新たなルールを作る、というのはあながち空想ではないと思います。

今後発展が確実な電子マネーの世界を知っておくために、本書を読んでおくと良いと思います。