暗闇坂の人喰いの木 御手洗潔シリーズ６
島田荘司 著
講談社文庫
島田荘司さんの本格推理小説 御手洗潔シリーズ、第６作です。
01. 占星術殺人事件
02. 斜め屋敷の犯罪
03. 御手洗潔の挨拶
04. 異邦の騎士
05. 御手洗潔のダンス
06. 暗闇坂の人喰いの木
帯、裏表紙に書かれた説明
巨木が人を喰う？奇想の本格大長編
近寄る人間たちを次々と呑み込み、狂気に駆り立てる暗闇坂の大楠の謎とは？
ああ、おもしろい。講談社文庫 最新刊
名探偵・御手洗潔が怪事件の謎に挑戦
さらし首の名所暗闇坂にそそり立つ樹齢二千年の大楠。この巨木が次々に人間を呑み込んだ？近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とはなにか？信じられぬ怪事件の数々に名探偵・御手洗潔が挑戦する。だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨をきわめた。本格の旗手が全力投球する傑作。
レビュー
日本だけでなく 海外（スコットランド）も舞台となるスケールの大きな作品です。６７１ページの長編です．．．文庫でも重い。
年代＋場所 の章に分かれています。４３年前から物語の現在（１９８４年）にかけて。最初は断片的に 複数の物語が進み．．．徐々に統合されていく感じ。
▶ １９４５年・スコットランド
森の中に窓の無い建物を作り、壁に殺した少女を埋めた男。数年後、警官が行方不明の少女を捜し、建物に辿り着くが壁を壊しても何も見つからなかった。
謎①少女の遺体はどこにいったか？
▶ １９８４年・馬車道
石岡が読者の女性・森真理子と会う。横浜市西区戸部にある「暗闇坂」。元フィアンセ・藤波卓。
▶ １９４１年・くらやみ坂
暗闇坂の近くで少女が行方不明になり、大楠の枝に引っかかった遺体が見つかる。
謎②少女はどのように誰に殺されたのか？
▶ １９８４年・屋根の上の死者
暗闇坂およびその近辺の建物などの歴史紹介。
暗闇坂ちかくの玩具屋・徳山が、台風の翌日に 西洋館の屋根の上の死者・藤波卓を発見する。
謎③藤波卓はどのように誰に殺されたのか？なぜ屋根の上にいたか？
藤波卓の母・八千代が 台風の夜に 頭蓋骨陥没骨折の傷を負っていた。
謎④藤波八千代はどのように誰に暴行されたのか？
▶ １９４５年・くらやみ坂
おかっぱ頭の少女が大楠にのぼり、幹に「喰べられる」のを 少年２人が目撃。
謎⑤少女はどうなったか？
▶ １９８４年・飛び去ったにわとり
御手洗と石岡が、事件関係者に聞き込み。謎②少女の詳細がわかる。
▶ １９５８年・くらやみ坂
成長した少年２人が、大楠にのぼり 当時、謎⑤少女に 何がおきたのかをさぐる。
▶ １９８４年・人を喰う楠
御手洗と石岡が、事件関係者に聞き込み。
▶ １９８４年・暗号
御手洗と石岡が、事件関係者に聞き込み。日本、西洋の処刑に関する薀蓄。
謎⑥オルゴールのメロディーは誰に対する何の暗号か？
▶ １９８４年・木に喰べられていた者たち
嵐の日、御手洗がピッケルで大楠の根を砕く。大きな空洞があり、中には4人の子供の人骨があった。
謎 ジェイムズ・ペインは誰になぜ暗号で伝えようとしたか？
刑事と共に捜査開始。
▶ １９８４年・書斎
ペインの書斎を捜査。
▶ １９８４年・舞い戻ったにわとり
松崎レオナ登場。行方不明のニワトリが見つかる。亡くなった卓の遺書が見つかる。
▶ １９８４年・ジェイムズ・ペイン
ペインの調査で御手洗と石岡とレオナがスコットランドに行くことに。徐々に謎が解明され始める。
▶ １９８４年・壁の中のクララ
謎①少女のことを書いたペインの手記。
▶ １９８４年・英国紀行
海外旅行が初めての石岡、スコットランドは初めてのレオナ、ロンドンに住んでいたことがある御手洗。
ロンドンからスコットランドへ鉄道で移動。
▶ １９８４年・巨人の家
レオナがレンタカーを運転してネス湖に向かう。巨人の家を３人＋警官で探索。
何となく、「オチ」が分かってしまう図面．．．。
▶ １９８４年・木に喰べられる男
３人がスコットランドに行っている間に、レオナの兄と母が殺されていた。
謎⑦レオナの兄、母は誰がどのように殺したか？
「巨人の家」は途中まで謎解きがおこなわれて、次の章に．．．。
▶ １９８４年・火事
火事で母家が焼ける。御手洗は「すべて終わった」という。
▶ １９８４年・御手洗の行動
残り１００頁弱で、やっと謎解き．．．かと思えば、御手洗は謎を明かさず。
１９８６年になって、やっと謎解き、次の章で。
▶ １９８６年・怪奇美術館
ちと グロい。。。
▶ １９８６年・巨人の犯罪
色々と謎解き。
▶ １９８６年・暗闇坂
３人でディナー。
▶ エピローグ・手記
最後は、レオナの母・八千代の手記。
長ぁ～いお話しですが、面白かったです。長いミステリーが読める方、御手洗潔ファンの方、島田荘司さんのファンの方にはお勧めの作品です。
『風水吉凶方位』