
松山剛「君死にたもう流星群 5」
つくね乱蔵「つくね乱蔵 実話怪談 傑作選 厭ノ蔵」

嫌を重ねて厭の境地に彷徨いこむ作風の著者、傑作選(書き下ろしもあり)。
因果応報がはっきりしていてすかっとするかと思いきや、人の怨念や愚かしさが事態を悲劇に向かわせてゆく。
印象的な話を下記に。
減量中止/健康よりも命にはかえられない悲しみ。
この子をよろしく/しみじみええ話や…しかし、直後の一編と好対照に過ぎる…構成の妙か。別々の本に掲載されていたのが、傑作選で連続することにより読後感のアップダウンを激しくさせる。
甘納豆/タイトルに、生きていく者のしたたかさを感じる。
紙般若/紙般若・後日談/やはり面の話は怖い。
あの子のランドセル/迫力の怪異描写。
鬼頭の母/鬼よりも恐ろしいものがあるとは。
伊計翼「怪談社書記録 闇語り」

なんとも軽妙なタッチで綴られる怪談には、可笑しみあり涙あり、感動あり戦慄ありで飽きることがない。〜ないで統一されたタイトルがズラッと並ぶ目次は壮観だ。
一話一話は短いようで、畳み掛けてくる連作もあるから変化球が楽しめる。
私のお気に入りを下記に。
聴こえない/どういう因果なのか…、不可思議。
寿命がない/明るい空気が急転。
心配いらない/こんな霊なら来てほしい…!
除霊してない/ほんのりユーモラス。
珍しくない/あちらの世界も、そんなに悪くはないのかもしれない。
安心できない/ええ話や…。
どれかわからない/オチにゾッ…。
終わらない/リフレインににじむやるせなさ。
間にあわない/こんなに素敵な出来事なら、是非起こっていただきたい。
語らない/歴史の悲しみ…。
言葉じゃない/いったいそれらは、何者なのだろうか?
2020年5月の読書まとめ
岩井志麻子/徳光正行「凶鳴怪談」
ふたり怪談(とシリーズ銘記はされてないけど)久々に登場!
前半は同著者である岩井志麻子「現代百物語」(角川文庫)の趣でサイコから心霊まで、バラエティに富んだ味わいが楽しめる。
お気に入りは下記に。
夢の話/心が体に与える影響?!なんとも不気味だ。
事故物件/こんな事故物件なら素敵…かも??
目から鱗ではなく/これも不気味…。
チヒロさん/現代の魔女かな…??
後半の徳光パートは不可思議ながらも、著者の人柄なのかどこかあたたかみを感じさせる怪談が続く。語り手の体験がいくら悲惨であろうとも、突き放した視点で淡々と恐ろしい内容を綴る岩井パートと好対照ではないか(←個人の感想です)。
印象的な話を下記に。
記憶/幼い頃の記憶はファンタジー。もし、逃げ切れなかったらどうなっていたのだろうか。
風子さんの家/逆キルケーのようで切なく物悲しい。
代々/彼氏、強し!

