鷺只雄◇芥川龍之介と中島敦◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

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2人の作家の、鮮やかな軌跡!

 

 

 

 

◇芥川龍之介と中島敦◇

鷺只雄

 

 

「戯作三昧」「南京の基督」などの芥川竜之介の作品を読み解くとともに、漱石、鴎外ら芥川をめぐる人々について考察。また、共に早世の中島敦にも焦点をあて、その生の軌跡やトーマス・マンとの比較、芥川の影響等を考察する。

 

 

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「文豪ストレイドッグス」3巻編。芥川によって拉致された敦くんは鏡花ちゃんを救う為、ボートで助けに来た国木田さんを振り切ります。間一髪のところで間に合った敦くんは芥川に啖呵を切ります。

 

 

 

 

はい、バトル開始の火蓋は切って落とされ、此処に後世まで語り継がれる好敵手関係が築かれました。……っていうかマジで芥川、死んじゃったの!? えっ、蘇りフラグも無し? 結局樋口姐さんは唯一の「文豪の名を冠しながらも異能を持たない」人だったのかなぁ……そしてたっちー、頑張れ。全ては君にかかってる。

 

 

ーーーと動揺する一方で最初に語られる主要キャラクターの死が芥川で有ることは史実を照らし合わせてみても決して的外れじゃない、と何処か冷静な自分も居るので芥川の死に関しても制覇計画の中で語らせて頂きます。

 

 

此処では史実では関わりの無かった「芥川龍之介と中島敦」に関してどうやって「文豪ストレイドッグス」に反映させたのかを本書で考えてみようと思います。

 

 

本書は3部構成で1、2部が芥川龍之介についての考察、3部が中島敦についての考察です。ぶっちゃけ3部だけ読めたら良かったのですが、1部、2部を読んでやはりあの芥川は紛れも無く「芥川龍之介」から出来たキャラなのだ、と思いました。夏目漱石の弟子ポジション、というか関わりは「文スト」では皆無ですが、夏目漱石を太宰さんに置き換えると芥川の姿は、夏目漱石に認められた勢いで新進作家になった芥川龍之介とぴったり重なります。

 

 

また芥川が属する組織のボスが森鴎外てあることもぴったり納得。それは「空前の大家」「恐怖に近い敬意を感じてゐる」という言葉からも分かります。……しかしそれにしても新思潮メンバーは「文スト」では出てくるんだろうか……

 

 

次に中島敦の3部。

『古譚』でデビュー、芥川の再来と好評。

はい、もうこの一文で敦くんと芥川の関わりは必然でした!また2人を並べることは「両者の同質性よりも異質性を、類縁性よりも異同性の方を結果的に際立たせる」と有り、もう堪らない!! いや〜……「文スト」では考察沼に落ちれるわ……

 

 

他にも、

 

 

敦くんとテロリスト梶井レモン←。2人は病弱、夭折、寡作という共通点からよくアンソロジーではいっしょにされますが、梶井基次郎は自身の感覚、心情、認識から私小説的に話を書いてるが中島敦は異なる、また中島敦は歴史や古典を多く参考しましたが、梶井基次郎には皆無、など異なる点も多いです。

 

 

 

 

敦くんと森先生。中島敦は東大大学院で森鷗外を学んでいました。敵でありながら人に教え、その教えを肝に銘じるこの姿は史実と重なるところが有ります。

 

 

こうしてみると「文豪ストレイドッグス」は色々な考察や史実を基に、全く別のキャラクターや関係性を作り上げています。話の運び方はあまり好きでは無いけどキャラの造形には本当に敬意を表します。

 

 

「芥川龍之介と中島敦」でした(・∀・)/

さぁ、アシモフ未読作品をどかどかっと読むぜ! (*^o^*)/