できれば本に埋もれて眠りたい -26ページ目

地球の歩き方 メキシコ を少し読む

地球の歩き方編集室
ガイドブック B19 メキシコ


たまには本の変わった読み方をしてみようと思って、全然行く予定はありませんが
地球の歩き方 メキシコ
を手にとりました。
ちょっとメキシコに興味があったので(藤原新也の、たしか「西蔵放浪」で西蔵とともにメキシコの高地が空の青のきれいな所として挙がっていた)。

思っていた以上に遺跡が多く(マヤ、アステカ、植民地文化など)、食べ物も地元もの(トルティーヤやらなんやら)が美味しそうでした。

しかし一番驚いたのがチワワ太平洋鉄道の「銅峡谷に暮らすタラウマラ人」のところで

「農業や民芸品で生計を立てているが、彼らの中には洞窟を住居として生活している人も少なくない。タラウマラ人は走る民族とも呼ばれ、道具を使わずに野生動物を走って追いかけて、獲物を仕留めることもある」

とあるのですが、そんな民族いままで聞いたことがありません。

動物より足が速いってこと?

まずい。

ちょっと行ってみたくなってきた。

空のきれいな場所は分かりませんでした。

追記
そういえば、2005年の7月にメキシコの本を読んでいました。
メキシコ灼熱  
http://ameblo.jp/bookbath/entry-10003005276.html

「あらゆる場所に花束が・・・・・・」が分からない

中原 昌也
あらゆる場所に花束が…

あらゆる場所に花束が・・・・・・」を読みましたが、さっぱりよさが分かりませんでした。

三島賞受賞というのに。

おおざっぱな理解としては、厚生施設の収容者、妻、労働者などに様々な形で暴力をふるう小林と、その周辺の狂気の群像劇、といったところなのでしょうが、それぞれの話のつながりもあるのかないのかも、それぞれのエピソードの集約として何を語りたいのかも、結局分かりませんでした。

この手のストーリーを追わない、イメージ的な作品はやっぱり弱いですね、私は。

作者はミュージシャンとのことですが、印象的な場面をつなげていくというやり方は、作詞と同じやりかたでしょうか。

最近は大分作者の意図を汲んで本が読めるようになってきたかと思っていたのですが、残念です。

もしどなたかこの作品のよさをご存知でしたらお教えてください。

個人的には時間を浪費したような気分です。

プラントハンター

荻巣 樹徳
幻の植物を追って
幼少の頃から植物に心奪われた筆者が、園芸に精をだしていくうちに、ベルギーのカラムタウト樹木園、オランダのボスコープ国立試験場、イギリスの王立キューガーデン、ウィズレーガーデン、さらには中国の四川大学など学ぶようになり、珍しい植物の宝庫である中国南西部をフィールドとするようになったナチュラリスト、荻巣 樹徳さんの本です。

なんと言ってもハイライトは、中国のクリスマスローズ「ヘレボルス/チベタヌス」の再発見です。
1869年、パンダを紹介して有名になったフランス人宣教師のダヴィッド神父は、そのパンダを探すため中国奥地を歩いている時に「雪の中から白い花を咲かせる」植物に出会ったのでした。それが「ヘレボルス/チベタヌス」。
その報告後、文献上知られるだけで西洋人は誰も本物を見たことがない状況が続き、中国奥地に外国人が入れるようになってすぐ、荻巣 樹徳さんが現地に入り、やっとのことで「ヘレボルス・チベタヌス」を再発見するのです。

1991年のイギリスの園芸誌「ガーデン」にその報告が載ったそうです。
ちょっと引用します。
「昨年11月、ロンドンのヴィンセント・スクエアで行われた王立園芸教会の最終講義で、スクリーンいっぱいにこの日のよびものヘレボルス・チベタヌスのスライドが投影されたとき、アァ・・・とあえぐ声にドスン、ドスンと人の倒れる音が続いて、聴衆の数人が気を失った。・・・」

いやぁ、すさまじいですね。
花の写真で気絶できる盛り上がりが羨ましいです。
一体どんな感じがするのかと考えると夏目漱石の「明暗」の続きが見つかったとか、個人的には開高健の「花終わる闇」の続きがみつかったとか・・・。
でも気絶はしませんね。

すべて植物の話になっていますが、日欧の園芸文化論や、日本の珍しい撫子や朝顔から日本はかつて園芸に秀でていた話など、なかなか飽きさせません。

また、かつて観賞用のための世界中の人跡未踏の地まで植物を求める「プラントハンター」がいて、今も荻巣 樹徳さんみたいな人が活躍しているなんて、結構「冒険」ってかんじでドキドキさせられます。

むろん、この本は「冒険」が目的ではなく、「こんなに愛すべき植物がいます」というのが基本テーマですが。

園芸に少しでも興味のある人が読めば垂涎の作品かと思うのですが、今まで育ててきたほとんどの植物を枯らして園芸に二の足を踏んでいる私でも十分楽しめる異世界でした。
紹介されている植物はすべてカラー写真が掲載されているのもよかったです。

で、「ヘレボルス・チベタヌス」の写真を見た感想は・・・、まぁ見てのお楽しみ、ということでいかがでしょうか。

誰が野球を変えるのか

マイケル・ルイス, 中山 宥
マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男

高校野球が盛り上がるに連れて、話題になるのが、その年のドラフトです。

高校野球で活躍した選手がどの球団に行くか。
いくら契約金をもらうのか。

そして、どれだけすごい選手になるのか。

そう、いつも不思議に思っていたのですが、契約金にあんなに大金を払って、その後なぜかプロの洗濯機にもみくちゃにされて、消えてなくなってしまう、そんな選手がいることに。

というよりも、ほとんどどんな馬かもわからない1歳馬のレースに高額をかけるような、今の体制が疑問でした。
一体スカウトは、本当のところ、なにを見ているのでしょうか。


それに野球にまつわる数字や戦略と実際の勝利との関係。

バンドやエンドランはどれだけ有効?
盗塁は?


そういった野球で長年培われてきた数字や戦略に、過去の膨大なデータから新たにメソッドをたて、実際に応用したのがこの本の主人公、オークランドアスレチックスのGM、ビリー・ビーンです。

さてそのメソッドとは。
要約すると、野球で一番大切な数字はなにかにつきます。
それはアウトカウントです。
アウトカウントが増えない限り、点は取れつづけるからです。
そのため、アウトカウントが増える確率があがる、バンド、エンドラン、盗塁は、チームの方針としてご法度。
そして、点をとるために一番大事な数字は、打率でも打点でもなくて、出塁率と長打率、それも3:1の割合で。

こうしたデータの利用はドラフトから始まります。
まず、基本的に高校生はデータが少ないから、取らない。
大学でもバッターは出塁率を重視する。
今までのような「いい身体をしていて、これから伸びそうだから」というような不確定要素は一切考慮しない。

こういったやり方は、まずスカウトからの反対にあい、次にスタッフ、そして選手や監督にも反対にあいます。

スカウトがいいます。
「なんであんなデブを取る?」
「選球眼がよくて、4球が多く出塁率が高いからだ」
「でもいままでみたことのないケツをしているぞ」
しかし、ビリーは絶対に引かず、結局のところ、ビリーの正しさが試合で証明され、金満ヤンキースの年間予算の1/3で、プレーオフに連続して進出することが出来たのです。

シンプルな、今まで誰も聴いたことがないようなメソッドで、安く選手を仕入れて、勝っていく。
この小気味いい快進撃の裏には、長年省みられなかった本当のベースボールのデータ分析や、ビリーの特異なキャラクター、そしていままで注目を集めなかったちょっと変わった選手達の頑張り、やはりそういったドラマもあります。

黒と茶の幻想 」で論理論理といっていましたが、こういう論理の物語も、たまらなく面白いです。

あー、日本でも導入されないですかね、このメソッド。
楽天なんかはオススメだと思うのですが。

すでに野村が持ってたりして。

ニシン来たかとかもめに問えば

新しい世界地図製作委員会
新しい世界地図―世界ニホン語的珍地名


ウワサに聞いていた

・エロマンガ島(バヌアツ)

・スケベニンゲン(オランダ)

をはじめて地図上で見ることが出来ました。
巻末には写真もあります。
いやぁ、よさそうなところですよ。

それから

・ヤーレン(ノルウェー)

・ソラン(インド)

・ハイ(ラオス)

・ハイ(アメリカ)

とやるあたりも、最高にバカらしくていいですね。

挿絵も不気味で考えられていて、地図帳で面白い地名を探す、というワンアイディアを全力で編集した感じに好感が持てます。

一度手にとって見てはいかがでしょうか。


さて、と思ってちょっと調べたら、スケベニンゲン というイタリア料理店が東京銀座にありました。

うーん、なんといっていいのやら。

ミステリの謎が解けた

恩田 陸
黒と茶の幻想
恩田陸の評価が高い作品です。

大学時代の友人4人が一緒に旅行に行くことになり、その間それぞれの「美しい謎」を持ち寄り、解いていくという趣向のミステリーです。
謎に主眼があるというよりは、それぞれの人物造型とその人物造型から派生する「謎」が面白く、また、章ごとにそれぞれの登場人物が語る形式も功を奏して、早く次の章が読みたい、とつい思ってしまいます。

登場人物は以下の通り。

利枝子は冷静で現実的なしっかりもの。すごく美人という訳ではないですが、クラスにいれば誰もが憧れるタイプ。謎解きにも冷静な推理が光ります。

彰彦は、資産家の家の出で、美男子で明晰な頭脳を持ち、自分に自信を持っているものの,基本的には善人なのですが、多少人間不信の気があり、ついついなんでも論理的に話してしまいます。

蒔生は、優秀ですが基本的に余計なことは喋らず、押し付けがましくはありませんが反面、何を考えているか分かりません。利枝子と学生時代付き合っていましたが、別れています。

節子は、誰とでも気持ち良く話せ、裏表がない天然系。論理的というよりは情緒的だけれども、実は人物把握の直感に優れていて、グループの楔的存在。

そんな四人が、なぜ女性上司は靴べらを持ち歩くか、という身近な謎から始まり、今まで生きてきた中で置き去りにしたり、忘れていたり、手を付けずにいた「謎」を解いていく内に、人の奥にわだかまる謎に触れていく旅となるのでした。

知的で美しい人物描写と、平板な始まりから徐々に広がってく物語の展開は、さすが恩田陸です。結構長い本ですが途中飽きることなく楽しめました。


さて、個人的感想です。恩田陸を読んで3冊め(光の帝国夜のピクニック )になりますが、すべての登場人物に知的な印象を受けました。
なんとなく地方の優等生のような人物を基本とした展開で、そこが魅力ともいえますし、平板といえば平板です。
しかしこれは、村上春樹のノンフィクション「アンダーグラウンド」が「まるでみんな村上春樹の小説にでてくる登場人物に思える」とその書き分けの狭さに批難が集まりましたが、逆にそれが魅力ともいえ、作家の作る世界感という意味では、アリ、ということで、ようはあうかあわないか、といったところでしょうか。

それから都会的、ということ。
今回は特にそうなのですが、旅行に行く先がY島のJ杉、ということで屋久島縄文杉のことかと思うのですが、屋久島がほとんど異界として扱われて、都会こそが人が住み生活するところというのが当たり前に扱われています。
アウトドア好きの私としてはその辺りに微妙な違和感を感じました。

しかしそうはいっても、今回読んだ「黒と茶の幻想」は、その優等生的人物描写がよく書けていて、「頭のいい人はこんなこと考えているんだ」などと思ってしまいました。


もう少し個人的感想は続きます。

実は大きな声ではいえないのですが今の今まで ミステリーのオモシロさの根本がなにか、ということがよく分かっていませんでした。
で、この本を読んでいくうちにそれに気が付いたのです。

本の中では「なぜ同宿の老女3人組は黙って食事をするか」から「学校の校庭につくえが9の字に並べられた理由」まで、「謎」についてあれこれ推理をしています。

その様子があまりにも嬉々としていたので、はた、と分かったのでした。

ミステリーというのは、その論理性を楽しむものなのだな、と。

たしかに、論理的に謎解きを行うのは読んでいても気持ちのいいものです。

いやぁ、いままでミステリを読むとき謎解きをすっとばして読んでいたのですが、それじゃ、オモシロさを分かるわけがないですよね。

個人的なミステリーの謎が1つ解けてよかったです。

さて、次はなにを読もうかな。


TSUNA11 さんのオススメで読むことができました。
TSUNA11 さん、ありがとうございます。

村上 春樹
アンダーグラウンド

うーん、なんだかハマリそう 絲山 秋子

絲山 秋子
スモールトーク

車雑誌のNAVI連載の短編「スモールトーク」を読みました。

どうせ余技だろうと思い期待していなかったのですが、結構面白かったです。

車好きの女性が主人公で、まるで分かっていない元彼が車で主人公を釣る、というのが大筋です。

しかしこの主人公の造形の、乱暴な口調や、自分の思っていることを否定しないでいつのまにか生活しづらくなっていく様子が、なんだか生き生きと描けていました。

実はこういう雑誌連載という形の小説のせいで、「小説」ではなく肩の力を抜いたため、地がでたのではないかと考えてしまいます。

今までの小説は、なんだかできるだけコントロールしようとしている分、妙に静かな気配があったように思えるのですが、こんな風に少々暴力的に人物を描けるなら、まだまだ次の作品が楽しめそうな気がします。

うーん、色々読んでしまいそう。

エッセイ(かつての会社員時代の車話)や車紹介(タスカンやらアストンマーチンやら知らない車ばかり)も掲載してあり、絲山 秋子に興味ある人ならオススメの小品です。

ホンダの車が欲しくなりました

本田宗一郎の自伝を2冊。

中部 博
定本 本田宗一郎伝―飽くなき挑戦 大いなる勇気
軍司 貞則
本田宗一郎の真実―不況知らずのホンダを創った男



HONDAの創始者でありながら最後まで技術者だった本田宗一郎の自伝です。

本田宗一郎はある時代の人にとっては、丁稚から社長への立身出世を実現し新しい風を感じさせ、若者のあこがれ・時代の寵児となりました。
その分揶揄されていたこと多かったようですが、「定本」では事実ベースで本田宗一郎の魅力を伝え、「真実」の方ではHONDAのナンバー2、藤沢武夫との協調と対立を軸に書かれています。


まず抜群の技術センス。
そこから生み出される、ほかと同じモノを作らないという自負心。
客のことを考えて商機を見逃さない発想力。
そして技術で未来を拓いていくという情熱。

いやぁ、本田宗一郎の魅力を十分に堪能できました。
こんな「技術で勝負するんだ」という本田宗一郎に、ファンがいることもう頷けます。
「技術」という言葉にすこしでも反応してしまう人には、じつに魅力的な人物です。

しかしこれだけの実力をもちながら、会社を大きくしていく上では、トータルな才能が求められます。
それが藤沢武夫です。
この人に会社経営の経理や人事、営業などを任せることで、浜松の本田から世界のホンダになることができました。

本田は、最初の独立から成功を始めます。
浜松に自動車修理工場を作りますが、時代はまだ昭和3年。
自動車自体が少ない中、故障した自動車を見て、壊れた部分をすぐに発見し、すぐ直す。
部品がなければすぐ作る。そして決められた期日に車をピカピカにきれいにして渡す。
「お客さんは車が故障して、いらいらして心まで故障している。だから『はい、直りました』といって渡すだけではなくて修理の内容を十分説明して納得してもらう。また、きれいに磨き上げてきちんと期日に渡す。そこまでしないと修理と言えない」とのことですが、もうすでに、商売成功の気配が満ちていますね。
このエピソードだけで十分のような気もしますが、やはり世界的企業になるにはまだまだ多くのチャレンジが必要なようです。

藤沢武夫との出会いは戦後すぐです。
東京進出を考えていた本田と新しい商売を探していた藤沢の思惑が一致し、人を介して出会い、お互いに新しい会社について語り合い、タッグを組むことになります。
そして本田という、技術に情熱をもったエンジンと、藤沢という、会社経営をまかされ、エンジンのパワーを地面に伝える駆動系を併せ持った「ホンダ車」が時代を疾走していく姿は痛快でもあります。

戦後、ホンダの成長の発端となったバタバタ。
空前絶後の大ヒットとなるスーパーカブ。
バイクレース最高峰といわれたマン島レースでの優勝。
4輪への本格参加とホンダらしい高性能なN360の成功。
F1へのチャレンジ。
アメリカの環境基準に当時唯一対応できるエンジン製作の成功。

話題には事欠かない会社・人物です。

「定本」をまず読んで、興味があれば「真実」なんかも読むと別の視点から見ることができます。

久々の自伝ですが、非常に面白かったです。
しかし書評は苦労しました。できはイマイチです。
語ることが多すぎてまとめきれませんでした。
すいません。

でも自伝をもう少し読みたいと思います。
次は何読もうかな。
井深とか松下とか・・・

修理できます 書籍・眼鏡・神社・仏像・カメラ・競輪用フレーム・ZIPPO・パイプオルガン・・・

足立 紀尚
修理―仏像からパイプオルガンまで
MONOマガジン連載を単行本にしたもの。

書籍・眼鏡・神社・仏像・カメラ・競輪用フレーム・ZIPPO・パイプオルガン・・・

とにかくこんな大量消費時代でも、何でも修理することができることが分かりました。

しかも修理ということもあり、そこで働いている人も、メジャーではないそれぞれの人生が感じられました。
その矜持ある働きぶりは、なんだかお金じゃないな、って感じです。
どの人も、「名の知れぬ名人」という感じで雰囲気あります。

大体今時、修理するよりも新しいものを買ったほうが効率がよいほうが多いのですが、修理を頼む方も頼まれる方も、それを分かってあえて「これがいいから」と修理する、ってところがいいですね。

なかなか面白かったのですが、惜しむらくはページが少ないせいか、ライターの力量が足りないのか、「矜持」の部分をもう少し読みたかったです。

でも、3刷りぐらいまでいっているみたいなので、結構売れているようです。
連絡先が書いてあるのもいいですね。

拓殖大の授業が聞きたいノンフィクションライター野村進

野村 進
脳の欲望 死なない身体―医学は神を超えるか
ノンフィクション作品としてしっかりと楽しめる作品を作りながら、自分の疑問をしっかりと持ちつづける、信頼のおけるノンフィクションライターの野村進(拓殖大学勤務)の文庫です。

救急医療、性転換手術、拒食症・過食症、美容整形など、脳と身体にまつわる現場から現代を見ようという作品。

脳が望む身体・社会という切り口で、面白いアイディアなのですが、それよりも圧倒的なのはそれぞれの現場の、現実がゆがむほどの特殊性です。

一晩に何人もの患者が運ばれ、ある人は助からず、ある人は意識不明、ある人は数日後退院。
人の死を間近に幾度も接した緊急医療の取材後の、乗った電車での違和感。

性同一障害者の取材での、性転換手術後
「男の時は性欲は瞬間的・部分的なものでしたが、女のときは持続的・全体的でした」
「やっと自分あった服が着ることが出来たような感じ」
とのリアリティのある発言。

先進国の若い女性のみに現れ、死にも至る拒食症・過食症。
しかし、まるで正反対の治療が両方効果をあげ、病気への根本的な理解への距離感。

妙なアイデンティティの弱さを感じる美容整形を受ける人々。

正直こういった現実に筆者がすべて回答を出しているとは思えませんが、それでもこういった現場の状況を伝えてくれるだけでも興味深いものがあります。

また、いちいち細かい注など、気が利いて誠実な感じで、読んでいてもいい感じです。

文庫で2001年出版なので最新情報ではないですが、何か機会があればいかがでしょうか。