できれば本に埋もれて眠りたい -13ページ目

今そこで生まれている職人達/日本の職人技



日本の職人技
永峰英太郎

日本の職人技 松井のバット、藍ちゃんのゴルフクラブをつくる男たち (アスキー新書 040) (アスキー新書 40)/永峰 英太郎
¥820
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松井やイチローのバット、中村俊輔のシューズ、福原愛のラケット、イチロー、松井のグラブ、砲丸職人、野口みずき、Qちゃんのシューズ、モーグルの上村愛子、赤星・井川や古田のミット、甲子園のグランドキーパー、宮里藍のゴフルフクラブを作る職人達の取材記事です。

たとえばイチローのバットは、色、音、重さなどを吟味すると1000本に10本ほどしか木の候補がでてこないそうです。
色なんかはまさに個人の好みで、まさに究極のオーダーメードといった感じでした。

面白かったのは砲丸。砲丸は鋳物で、新しい銑鉄、スクラップ材料、一般鋼材を混ぜ合わしたもので作るそうです。
なので比重の違うものが混ざり合うため、重心が真中にくる製品が簡単にできない。そこからが職人技になるそうです。

シューズ、スキー板、ゴルフクラブなどは常に新材料が出てきているので、それぞれの職人さんもチャレンジ精神があり、旧来の職人、というイメージではありません。

いずれも1000年も歴史のある技術ではないので、今の新しい技術をどんどん吸収していかなければいけないようで、みなさんとても謙虚な感じが今までの職人のイメージとは違っていました。

新書を読むのは久しぶりですが、まぁそういう方針のものなのでしょうが、もう少しつっこみが欲しいのは正直なところです。あっという間に読めました。

贅沢?/世界で一番贅沢な旅

世界で一番贅沢な旅
戸井十月



おおむねバイクツーリングの話です。高級ホテルや美食とかは期待しないでください。
フィジーで自分の島を買い、北米大陸一周旅行、フィリピン・タイ、ブラジル・ペルー・チリ・ボリビア、スペイン、南アフリカ、キューバ、モンゴル、オーストラリア一周旅行、メキシコ(バハ1000)と世界中を駆け回ります。

旅、という割にしっかりと各国の背景が書き込まれ、ルポっぽくなっているのですがそこが意外と陳腐でデータに頼ったダメな旅行記の見本みたいなのですが、やっぱり各地での取材した内容はなかなか面白いですね。

移民以後に南米に渡った日本人を「新越境者」と名づけ、サッカー留学から湿原のカメラマン、ブラジル・パナラ州の環境庁長官、幼稚園経営まで色々な人を取材をしています。共通している点は、みんな日本になじめず南米にきて、後悔していないところ。くったくがなくていいですね。
個人的には日本人の勤勉さと責任感があれば南米では結構やっていけるのではないかなと思いました。気苦労も多そうだけど。
それから南米ではチリが比較的真面目な国民性だったとは知りませんでした。

しかし戸井十月氏。
ウィキHP をみましたが、イマイチなにをやっている人か分かりません。
取材もビデオでやっていたりと、映像作家でもあるのでしょうか。
旅行記専門にしては、ちょっと不安になってしまう本でした。

最後はこのように〆ていました。

『”原野”に分け入って生の自分を取り戻すこと-それが私にとっての”世界で一番贅沢な旅”である。』

大層なタイトルなのではずれかなぁ、と思いつつでも気になるので読んでみたら、やっぱりはずれだったかなぁとおもいつつも面白いところもありました。なんだか日常でもこんなことあるよなぁとも思ったり。

そろそろ次の旅へ/いちばん危険なトイレといちばんの星空

いちばん危険なトイレといちばんの星空
石田ゆうすけ

いちばん危険なトイレといちばんの星空―世界9万5000km自転車ひとり旅〈2〉 (世界9万5000km自転車ひとり旅 (2))/石田 ゆうすけ
¥1,575
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世界9万5千キロ 自転車一人旅「行かずに死ねるか」の第二弾です。

危険な場所
危険なホテル
危険なトイレ
大峡谷
巨大滝
遺跡
星空
メシがうまい国
メシがまずい国
うまいビール
まずいビール
美人が多い国
美しい町
好きな場所
スゴイところ

などなど30編。

9万5千キロの旅をジャンル別に分けてみました、というもの。
第一弾とくらべて文章はうまくなっているものの、こういうものの常としてやはり最初の「行かずに死ねるか」のほうが、おいしいとこ取りで流れもあり面白かったかも。
でも元旅も長大で、作者自体もおもしろいので十分楽しめます。

感心したのは作者が旅を最大限楽しむため、「第一印象を大切に」「事前情報は少なく」などをしっかりやっているところ。

グランドキャニオンには、わざわざ時間をつぶして夕方に入っているし(なのにイマイチだったらしい)、インドははまっている人が多いのであえてインド関連情報は見ずに入って(やっぱりすごかったらしい)、今も見ていないそうです。

それから美しい町を選ぶときに「ミーハーでイヤだけど」といいつつ「よいものはよい」というのでフィレンツェ選ぶなど、主義主張より自分の感覚を優先できるのはえらいなぁ、と思いました。

旅行記は所詮人物記。
作者が面白くなければいけません。
この作者の自然体、結構いいです。

色々行ってみたくなりますが、美人が多いっていうエストニアでぼうっと街角で座ってみたいなぁ、と思いました。

いつのまにか思い出に/青の群像 サッカー日本代表・クロニクル1992-2007

青の群像 サッカー日本代表・クロニクル1992-2007
戸塚啓

青の群像―サッカー日本代表クロニクル1992~2007/戸塚 啓
¥1,470
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サッカー日本代表をオフト監督時代からオシム監督までを、一気に語ったもの。
そうか、1993年のドーハの悲劇からもう、15年も経ったのかと時の流れの早さを実感しました。

15年も経っているのに、ドーハの悲劇のショートコーナーで同点になった後、さすがにあのゴン・中山もボールを持ってセンターサークルに走ることができなかたことや、ジョホールバルでは中田・旅人・英からの難しい後ろからのセンタリングをヘッドであわせた城の生涯最高の同点シュートなどを鮮明に思い出しました。

本の内容自体は、改めて取り直した選手のコメントが多く多少知らない情報も入っていますが、なんせ15年を1冊にまとめるので、全体的にはざっとおさらいのような感じです。オフト時代は情報源も少なかったので貴重な証言が多いかもしれません。

ま、新たな情報を求めるというよりも、総集編という感じで流れや昔を懐かしむような本ですね。
気軽に期待せずに読み始めたのですが、思ったよりも楽しめました。

しかしあらためて、オフト、ファルカン、加茂、トルシエ、ジーコ、オシムとそうそうたる面子の日本代表。
やりたいこともしっかりとしている濃い面々に今回の岡田新監督就任。
オシム前監督の新しい日本サッカーには期待と心配があったのですが、岡田監督になり「新しいサッカー」がどうなるか、オシムのつくった土台に上手く乗せられるのか、心配は増すばかり。やっぱり目が離せません。

しかし最近はスポーツニュースで「岡田監督」というとサッカーか阪神か迷ってしまいますね。

遥か先の一手の争い/黄金旅風

黄金旅風
飯嶋和一


黄金旅風 (小学館文庫 い 25-5)/飯嶋 和一
¥790
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関が原も終わり、世が落ち着き始めた1628年の長崎/出島から物語が始まります。

沖縄、台湾、フィリピン、タイなどのへの航海を行いながら、中国・オランダ・イギリス・ポルトガル・スペインとの貿易を行っている長崎の出島。そこで長崎代官をやっている平蔵は、気を抜けば商売ではだまされ武力でも押し切られかねない諸外国と対等以上に渡り合い「カタピン(貿易司令官)平蔵」と一目おかれています。

平蔵の子、平左衛門は放蕩息子として長崎では知られていて、幼少のころは親の言うことは聞かず、青年となってから南蛮貿易に身を投じていました。そしてある日平左衛門が馬から落馬して死んでしまいます。原因は・・・。

嫡男として長崎代官を継ぐ平左衛門。出島の利権をねらい、長崎に圧政を行い自ら貿易を独占しさらに海外進出までめざすあらたな長崎奉行。そこに群がりさらに横紙破りの蓄財を目指す諸大名。中央集権が本格化し南蛮貿易の統制を目指す徳川家。日本からの暴利を狙う諸外国。その混戦状態の中で長崎の民を守るため、平左衛門は時代の趨勢を見抜きながら、次の時代を決める一手を探っていきます。

飯嶋和一らしい、小さな読みどころのあるストーリーを交えながら、大きな流れを作っていく手法はさすがですね。
ディテールのエピソードもこだわり、南蛮貿易の航海法や蝋型鋳物の作り方、隠れキリシタンの実情など、この細かな話からどんなストーリーが展開できるのだろうと不安になりながら読み進むとちゃんと大きな流れにたどり着くのです。

黄金旅風」で一番面白かったのは、平左衛門の深慮遠謀。今後の出島の行方は将軍家光の意向次第と見定め自ら策をじっと待つ様子は、近頃の近視眼的な日常を描いた小説とは視線がずいぶんと違います。

他の作品も読みたくなってきました。


エッセイが面白い人は色々いるのだろう/『室内』40年

『室内』40年
山本夏彦

『室内』の52年―山本夏彦が残したもの (INAX BOOKLET)/INAXギャラリー企画委員会
¥1,575
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(『室内』40年、はなかったけれども、52年はありました)


この本を読むまで山本夏彦 氏のことはなにも知らなかったのですが、『室内 』『木工界』という雑誌を作りながらエッセイを書いていた人で、昭和34年『木工界』に『日常茶飯事』と題したコラム昭和54年週刊新潮に「夏彦の写真コラム」などで有名になった方らしい。昭和59年菊池寛賞 受賞、平成2年『無想庵物語』で読売文学賞 受賞しているそうで、単なる実用雑誌を作った実業家、というわけではないようです。

その主催した雑誌『室内』という、ようは大工・工務店向けの実用誌の40年についてについて語ると言う本ですが、なんせその本をしらないので隔靴掻痒感はいなめないのですが「評判はいいけれど」「デザイナーに物言いつける」「建築界に一言する」など、なかなか面白そうな話もありそうな雑誌でした。
一貫して、取材する自分の会社の若い人を「ものをしらなすぎる」と批判しながらそれは「学校の教育が悪い」といって本人のせいにしないのが、優しさというかシャイな感じを受けました。

この雑誌も非常に気になるのですが、すでに廃刊。
いい職人のエッセイが色々ありそうで、しかも高尚ではないあたり、批判精神が満ち溢れていそうな感じが面白そうだったのですが、残念です。
この本自体は回想なので、モトネタを知らない分あまり面白くはなかったのですが、前から読もうと思っていた「私の岩波物語」を書いて「年を歴た鰐の話」を訳した人とは、知りませんでした。
こちらも機会があればよんでみましょう。

私の岩波物語 (文春文庫)/山本 夏彦
¥620
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年を歴た鰐の話/レオポール・ショヴォ
¥2,100
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開高健と旅をする/旅人

旅人 開高健/高橋 昇
¥2,100
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開高健の死後、開高健についての本が何冊か出ています。
谷沢永一「回想 開高健」やムック本「ザ・開高健」や一緒に旅した料理人谷口博之の「開高健先生と、オーパ!旅の特別料理」。

この本は、「オーパ」シリーズのカメラマン高橋昇の書いた本です。

個人的には自分にとって開高健は「旅もする文学者」なのですが、カメラマンにとっては、文学者、なんてものはまったく関係ないんですんね。

高橋昇にとって、とても尊敬している一緒に旅する物知りでかっこいいおっさん、という感じがでした。

そうか、こんな人にまで気を使っていたんだな、というのが回想シーンなどからでもわかって、なんだか少し悲しかったです。

未公開写真も色々あり、眺めるだけでも楽しいものです。
ここら変はさすがカメラマン。

ま、ファンの方は未公開写真なども、ぱらぱら見るだけでも楽しい門です。

情を汲み理を通し事なる、とは限らない/内閣官房長官

内閣官房長官
後藤田正晴

情と理 -カミソリ参謀回顧録- 下 (講談社+α文庫)/後藤田 正晴
¥880
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情と理 -カミソリ参謀回顧録- 上 (講談社+α文庫)/後藤田 正晴
¥880
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↑読んだ本がなかったので、違う著作になっています。



佐々氏の本を何冊か読んで気になった後藤田正晴
では、というこで読んでみました。

後藤田氏は中曽根内閣のときに内閣官房長官をやっていました。
で、内閣官房長官とはなにかということを、世の人があまり知らないようなので、本書を書いたとのことです。

職務的権限などは置いておくとして、よく言われるのが総理大臣の女房役。
ようは、総理のやりたいことの根回しなどの処理を行うようですね。

非常に政治意識の高い人なので、当時行った行政改革、教育改革、防衛費GNP1%問題、衆議院定数是正、税制改革などの必然性がよく分かりました。
その言い分が正しいか否かは別にして、そのころのマスコミの話とずいぶん違うな、というのが印象でした(年がばれますね)。

その要不要の話はよく分かったんですが、そういった問題は論理はあっても、実際になると色々問題があって実践されない。そしてその問題というのは大体人についていて、その人が納得するかどうか、ということが問題になっているんですね(自民党が長く政権を持っていたことも、その傾向を強めたのだと思うのですが)。
まさに政治というか、日常や社会と変わらないことが重要な政治の場でも行われていると思うと、そうか世の中、人の納得かぁ、とつくづく思ってしまいます。
そういった問題を、理を通し情でも相手の気持ちに沿いながら、結論まで持っていく、もしくはもっていけない、という話はなかなか面白かったです。

ニューリーダーと呼ばれた
安倍晋太郎
竹下登 宮澤喜一 が防衛費GNP1%問題で、それぞれ自分の意向を絶対に明かさないながらもそれぞれの思惑があり、3人を集めて協議を行う場でもお互いを牽制し語らず、事前に当たりをつけていた後藤田が、最後の最後、それを斟酌しながら一方的にその割合を決めた、というくだりは、いかにも政治らしい話でした。

しかし、佐々氏の本には「後藤田さん」という言葉はよく出てくるのですが(上司のことを書いた本だったということもありますが)この本には一切(多分)佐々氏の名前はでてこず、やっぱりその上司の「中曽根さん」という言葉がよく出てきます。ま、これもそういう本だからしょうがないですが、書くときはやっぱり上のことを書くことが多くなってしまうのだな、と思いました。

底のない人/『身体を通して時代を読む』甲野善紀×内田樹

『身体を通して時代を読む』
甲野善紀×内田樹

身体を通して時代を読む (木星叢書)/甲野 善紀
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年末ブルータスの本特集を買って、今年読む本を物色していたところ「内田樹 」という人を見つけました。
神戸女学院教授で合気道の師範、という経歴で多数の著作を出しているとのこと。
興味があったので前々からファンであった甲野善紀 との対談式エッセイを読んでみることにしました。

二人とも武術家、そして武術家とは、どんな状況にも対応できること、ということで話題は武術論・教育論・社会論などと多岐にわたっています。

興味深かったのは、「学びとは別人になること」という章。

・・・「学ぶ」というのを「教育商品を買うこと」だと思い込んでいる人にはもう打つ手がないんです。
泳ぎ方を知らない人に泳ぎを教えるというのは、何かを付加することではないですよね。地上を歩くこと、あるいは地上で呼吸することとまったく違うシステムの使い方を習得しないと泳ぐことはできない。それは生きる仕方そのものを根本的に変えるということです。

なるほど。安易に「学ぶ」ということを考えていました。

武術家らしい面白い話は「センサーモード」について。

対戦したときに、相手の出方に敏感に反応できるように体の状況を保っている状態を「センサーモード」と呼んでいました。
でも武術的にはこの状況はすでに相手に支配されているので、よくない、ということでした。
はあ、なるほど、「センサーモード」状態は、すばやく反応できるのでいいのかな、とも思いましたがそんなこともないんですね。他のことににも利用できそうです。


詳細部分で面白かったところは色々ありましたが、内田樹氏、ちょっと口がうますぎ、という感じですね。
丸め込むのが上手い。そこが少し合いませんが、著作はきになるものがいくつかあったので、気が向いたら呼んでみようと思います。






BRUTUS (ブルータス) 2008年 1/15号 [雑誌]
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村上春樹にご用心/内田 樹
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疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫 う 17-2)/内田 樹
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私の身体は頭がいい (文春文庫 う 19-2)/内田 樹
¥600
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態度が悪くてすみません―内なる「他者」との出会い (角川oneテーマ21)/内田 樹
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現代思想のパフォーマンス (光文社新書)/難波江 和英
¥1,050
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いやあ、著作多いですね。
なにからよめばいいのやら。

求道・球道/打撃の神髄 榎本喜八伝

打撃の神髄 榎本喜八伝
松井浩


打撃の神髄―榎本喜八伝/松井 浩
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榎本喜八 という野球選手をしっていますか。
1936年生まれで毎日オリオンズで主に活躍したバッターです。
はじめて「安打製造機」とよばれ、シーズン42勝もあげた「神様仏様稲尾様」で有名なピッチャーの稲尾和久榎本喜八のみにフォークを投げたとか、V9を達成した川上哲治 に「長嶋 を超える唯一の天才」と呼ばれ、野村克也王貞治 より恐れたといいます。
記録でも、日本の最年少1000本安打2000本安打の記録、首位打者2回、最多安打4回とすばらしいもの。

しかし私が一番心引かれたのは合気道を元にした打撃理論とその求道的な態度です。

高校卒業後の私的入団テストで、すでにいじるところがないとされたバッティングフォームと選球眼を認められ、毎日オリオンズに入団(ちなみに出塁率が重視されるマネーボールでは、選球眼こそ鍛えられない本当の才能とされています)。

しかしプロの壁は厚く、職業としたことで精神的緊張も増し、思ったようなバッティングができません。
そこで何年か経ち、合気道の名人藤平光一 から全身のリラックス方法から、丹田を意識して指の先まで神経を通わすことなどを学び、毎日それを実践していくうちに、余計な緊張が解け、一気にその才能が花開き始めたのです。

そして絶頂期の榎本喜八は、ピッチャーの指からボールが離れた瞬間から分かり、余裕を持ってボールを打つことができたという「神の領域」に入り、相手を待つという「間」が必要なくなったといいます。

しかし、19試合、1ヶ月弱後、足を捻挫し、神の領域ははなれ、以後2度とその領域には踏み込めなかったようです。

その後一時は成績が持ち直したもの、苦労は報われない。球状から家までずっと泣きながら帰ったこともあるようです。
そして「合気道」という理解されにくいバッティング理論やその奇行により、球団からも見切りをつけられ退団。その後は野球との関連を一切断ったそうです。

理想のバッティングを追いかけることに費やした野球人生。

「神の領域」まで入れる実力があればなんでもできてしまうと素人は思ってしまうのですが、ぜんぜんそんなことはないんですね。必殺技なんてものは、そうそうないんだと理解しました。

この本書いている松井浩というひと、なかなかしっかり書いています。
丹田、いわれも分からないということ合気道を習ったり、解剖学を学んだりと熱心で、奇人としてしられる榎本喜八を6年にもわたって取材したり、当時の野球人も丁寧に取材したりと、なかなか丁寧です。
ただ、もうすこし総合的評価、対象から離れた評価ができればもっと面白かったかもしれません。


基本的には野球には興味はあまりないのですが、こんな人がいると興味を持ってしまいます。
前田智徳 なんかが今の野球選手のなかでは似ているそうです。
うーん、興味を持ってしまいます。