長谷寺 & 岡寺...牡丹と石楠花の旅♪(新任先達さん必読!) | MarlboroTigerの【Reload the 明治維新】

長谷寺 & 岡寺...牡丹と石楠花の旅♪(新任先達さん必読!)

 

昨日は有給休暇を取得し、長谷寺と岡寺、番外の法起院に参拝して参りました。久々に人を引率しての参拝です。いつもと違い、ちゃんとした先達として行動せねばなりませんので、少しばかり緊張。

 

お相手はいつもお世話になっている美容院の先生。前回髪を切って頂いた時、『西国三十三を始めてみたいので、是非連れて行って欲しい。』との依頼を受け、快諾(笑)。自宅近くまで車で迎えに来て頂き、奈良を目指しました。途中事故渋滞に見舞われましたが、それでも余裕をもって現地に到着。

 

来週(GW)ならガチャ混みになっているはずですが、昨日(月曜)は平日と言う事もあり、混雑具合はかなりマシでした。美容師さんは月曜日が定休日ですからね...合わせるには、こちらが休暇を取らねばならんのです。ただ、その甲斐あってか...満開の牡丹を堪能する事が出来ました。天候は...雨続きの中、昨日だけが曇り(笑)。これも観音様のご加護と言うものでしょう。22日って言う数字も...11や33に通ずるものがありますしね...。

 

まあ、今日の主役はお花です(笑)。お勤めも大事ですが、先ずは初めて西国巡礼を始める方に【西国ファン】になって貰わねばなりません。

 

いやはや...しかし綺麗でした...。

 

 

こんな感じ(笑)。

 

牡丹まみれでございます♪一度見てみたかったんですよね。通常の巡礼では、私の場合お勤めメインなのでなるべく人のいないシーズンを狙い参拝します。集中したいですしね。ですが、やはり先達たる者...長谷寺の牡丹だけは見ておかねばなりません。人に語って聞かすのも、我々(先達)の役割ですからね。見たor見ないでは大違い(笑)。美容師の先生に感謝です。

 

先生のご宗派は真言宗。なので長谷寺や岡寺は真言宗豊山派ですので丁度良かった。ですが、それよりも何よりも...西国を始めるなら【始まりの場所】たる長谷寺しか無いやろうと...そう思ってここをチョイスしたのです。

 

 

道中車内で基本的な西国三十三所の歴史、成り立ち、作法をお伝えしたのですが、ちょっと飛ばし過ぎて詰め込み過ぎたかも知れません。西国の基本設定のみならず...纏向遺跡...箸墓古墳...卑弥呼...天照...三輪山...大物主...神武東征...忍坂の戦い...そして初瀬川...。古代史へのアプローチから始めますからね...私の場合(笑)。

 

 

で、長谷寺のロケーションがいかに重要であったかを...邪馬台国の水源として説いて行く訳です。伊勢街道沿いの、長谷寺~室生寺間に【龍神のパワスポ】が点在しているのだと...それを最初に頭に刷り込んでしまう...。これがご本尊の脇侍、雨宝童子、難陀竜王を説明する際に利いて来るのです。先達テクの一つです。

 

地政学的、古代史的アプローチで先ずは目的地たる長谷、飛鳥の重要性を先にイメージして貰う...これ、結構重要なんですよ。邪馬台の首都が蘇我氏の牛耳る飛鳥に都を移し、そこで仏教と出会う...そして蘇我氏が滅ぼされるに至り、盆地南端の袋小路の様な飛鳥から北方の平城京へと移って行く...。その中で長谷寺、岡寺を浮かび上がらせるんですな...。

 

事前段階での基礎情報は、こうやって現地に着くまでに語っておきます。すると見えて来る風景が違って来るのです。

 

....おっと、お花お花(笑)。

 

 

牡丹と言うのはこうして見ると、本当に可愛らしい。桜とはまた一味違う美しさがあります。とにかく花としての大きさが違う。原産地は中国西北部。唐の時代から人々に愛された花だと言われております。ボタン科ボタン属の落葉低小木で、GW前後に本年枝の上端に、大型の花を1個だけ付けます。日本に渡来した段階では単弁花だったと言われておりますが、現代では重弁もあり交配が進んだ結果だと考えられます。観賞用として我が国では元禄時代に大ブレークした被子植物。

 

 

...ってな感じで綺麗な牡丹を眺めながらも、ウンチクは語り続けねばなりません。【登り廊】の入口の前で立ち止まり...柱の【諸天神祇在(しょてんじんぎざい)】、【諸佛経行砌(しょぶつきょうぎょうのところ)】の説明...先達の皆さんは、ちゃんと語ってますか(笑)?ここは【神仏習合】を意識して貰う上で重要なポイントです。現地に着くまでに古代史ネタを語っておくと、ここですんなり【天照大神】を意識して貰える状態になっているのです。

 

 

で...

 

 

...牡丹の鑑賞を楽しみながら、この伝説を語る(笑)。

 

馬頭夫人(めずぶにん)。馬面で悩んでいた唐の皇帝のお妃が、仙人のアドバイスで日本の長谷寺の存在を知る。そして七日間東に向かって祈り続け、美人に生まれ変わる逸話(笑)。その返礼品の中に牡丹の苗木が含まれており、この絶景のオリジンとなった...。階段を登りながらその話を披露します。

 

そして...

 

 

...登り切る直前に馬頭夫人宮(めずぶにんぐう)を拝ませる。引率する相手が女性だったら、気の利いた洒落なんかも聞かせながら...『さあ、美人になりたい子は...一所懸命拝みや!』と一番左のお社を指差す(笑)。ちっちゃい子からお婆ちゃんに至るまで、女子達は結構可愛く拝んでくれます。引率時、点数稼ぎの出来るポイントです。

 

また、登って行く間に...

 

 

江戸時代のスーパーゼネコン...中井大和守(なかいやまとのかみ)のエンタメ性についても言及しておくべきですね。【登廊】に隠された数字の意味...。108間、長谷型灯篭の数が33、石段の数は399で【死を超えない】を意味している事...そして、90度ターンを二回も繰り返す【焦らしの導線】は、ご本尊と遭遇する際の劇的効果を狙った物である事...ここらを織り交ぜて風景を見せるのもテクの一つです。マジックNo.をこれでもかと埋め込んだ【登廊】の魅力を、存分に語って欲しい。途中、天狗杉の前で【天狗のいたずら】を語ってみるのもワンポイントアクセントになります。

 

 

登り切ると、直上に鐘楼があり...【尾上の鐘】が打ち鳴らされる(笑)...。正午にここに辿り着くなら、先達としてはプロですな...。修行僧による【ほら貝タイム】が毎日ありますから、初めて参拝する方にとっては特別な体験として記憶されます。

 

 

400段と聞いて、最初は構えてしまう参拝者を...いかにして楽しませるか。ここが先達の腕の見せ所です。知的好奇心を刺激すれば、しんどさは半減されます。

 

『あっと言う間だったでしょ(笑)?これが長谷寺マジックなんですよ。』

 

『いやホント...全然苦しくなかったわ。不思議...。』

 

...こうなれば、ミッション・コンプリート(笑)。でも実際は下登り廊の段差が5cm余りしか無く、前半は楽に登れてしまうからなんですけどね。

 

 

本堂に入る前に、国宝指定された本堂につても語っておきましょう。台風で裏の木が倒壊。その時被災した箇所を修理する際、この建造物の価値が改めて見直された事...江戸時代の匠の技の凄まじさが認められ国宝になったんだと...熱く説明。で、巨大観音様の下へと導いて行く...。

 

 

衝撃の対面(笑)。

 

実際、感動されておられましたよ。当然ですよね。日本最大の木造仏ですから。ご本尊説明のポイントは...7回全焼し、7回とも顔だけは焼け残り...それが歴代のご本尊の胎内に格納されて代替わりして来た事。その話を聞かせて差し上げましょう。現在のご本尊は戦国時代に作られた8代目で、全国に設計図である【大画軸】を携行し、出開帳で資金を集めました。壮大な勧進行脚だった事でしょう。そんなウンチクも語っておくと、よりリアル。若き日の武田信玄が親父を追い出そうと足掻いていた頃に作られました。

 

さあ、勤行開始(笑)!

 

 

巡礼初体験の方でしたので、先ずは数珠の持ち方からお教えせねばなりません。なので、事前に真言宗の数珠の操法について勉強しておきました。流派は分からないと言う事でしたので、代表的な高野山真言宗の持ち方を伝授(笑)。私の宗派である天台宗とは数珠の形状が全く違いますからね...そこは慎重にお伝えしました。真言宗には【〇〇派】と言う流派が非常に多く、流派によって細かい作法が異なっております。ですので、詳細は菩提寺に確認して欲しいとお願いし、とりあえず即席伝授。物珍しさも手伝って、私もスリスリさせて頂きました。我が天台宗の数珠はソロバンの玉の様な平玉が連なっており、一見して楽器の様な形状。しかし真言宗の場合丸玉の数珠なのですが、房が両サイドに二本づつ垂れ下がっております。数珠をすり合わせる場合には、この四本の房を手のひらの内側に移動させますので、合計8本となって手の内で音を出すのです。

 

(おおっ!ええ音鳴るやないかっ!!!)

 

新鮮な驚きでしたね。初めてスリスリさせて貰いました(笑)。なぜ丸玉なのに、あんな景気良く音が鳴るのか...長年の謎だったのですよ。ようやく分かりました。そりゃ...8本あれば、ジャラジャラ鳴りますわな。勉強になりました。

 

 

本格的な勤行も初めて体験される方でしたので、ゆっくりとお唱えします。今回はお遍路式では無く、観音霊場用の経本を使用しました。真言宗の方でしたが西国の霊場は真言宗のお寺さんだけではありませんからね。こちらの方が良い。法華経メインの本格的な読経となります。開経偈、懺悔文に続き、般若心経、観音経、延命十句観音経、ご本尊真言、御詠歌(は私だけ)~回向文へと続くベーシックな読経をフルでお付き合い頂きました。

 

 

勤行終了!!

 

最初が肝心ですしね(笑)。直立不動で合掌...約20分間。ほんと...良く頑張ってくれました。良い参拝でした。

 

堂内での脱帽、お唱えするポジション、線香、ロウソク、納札...お伝えする事も多いですが、何とかマスター頂きました。で、参拝が終わってから専用御朱印帳に初めての御朱印!いや、嬉しいもんですよね...私も初めて頂いた時の喜びを思い出します。対する私の御朱印は...

 

 

これ(笑)。もうフレッシュさは欠片もありませんな。初心を思い出させて頂きました。

 

 

花に囲まれた観音様の御前で...

 

 

美しく修行を終える...。

 

 

実にワンダホー♪

 

でも...

 

この時期の長谷寺の魅力はこれだけではありません。

 

やはりこれですよ、これ!

 

 

【春の特別開帳】!

 

足下で直にご本尊に触れられる!!これも特別な体験ですからね...。戦国時代からの人々の祈りが染みついたおみ足!パワーが違うのです!!江戸時代には全国から村を代表して巡礼者が押し寄せましたからね。先達さん達もその時代その時代で、素晴らしいトークでお客さんを盛り上げた筈です。

 

私たちのDNAの供給源を考えた場合...逆・末広がりでもって、父・母...祖父・祖母..曾祖父・曾祖母と...ねずみ算式に数が増えて行きます。【2⇒4⇒8⇒16⇒32⇒64】と...遡れば名前も知らない男女のご先祖が存在していた事に気付かされる事でしょう。江戸時代なら、我々の遺伝子の供給源は100人を超えるでしょうね。彼らの中には、必ず巡礼に参加した人間が居る筈です。もの凄い数の人々が、当時はこの冒険ツアーを楽しみましたから...。そのDNAが、喜びの声を上げる...。

 

まあ...

 

そんな小話も織り交ぜながら、歴史ロマンに浸って頂くのも一興。

 

 

ご先祖も見たであろう絶景を、花を愛でながら再確認する...。先祖供養の一環かも知れませんよ。

 

 

我が体内の遺伝子も、嬉しくてたまらん様です(笑)。ほんと...可愛らしい...。

 

 

他にも見所は沢山あります。五重塔は戦後初となる塔再建計画の一つでしたし(昭和29年)、戦争に傷ついた当時の人々の祈りが込められてるのだと考えれば...【昭和の名塔】も一段と輝いて見える...。

 

 

そしてゆっくりと大講堂に向かいます。下から見上げる外舞台...牡丹をバックに撮影タイム入れて一休みってのもいいですね。ここまで来れば、案内している皆さんも長谷寺の魅力に取りつかれているはず(笑)。

 

総仕上げは...

 

 

もちろん【大観音大画軸】!これが本尊建立時の設計図であり、未来に残したバックアップでもありました。その事実を語り...イメージを膨らませます。

 

『皆の衆!かの大和の長谷寺のご本尊を復活させる時が来たのじゃ!この等身大の巨大掛軸を見よ!我らはこの戦乱の世に、この観世音菩薩を再び長谷の地に建立させる!心ある者は、寄進せよ!この功徳...末代までの栄誉とならん!』

 

...などと一発かまして、寄付を募る(笑)。十数人懸かりで全国にこれを持ち運んだ...当時のお寺さんの努力に頭が下がる思いがします。

 

美容師の先生も大満足(笑)。

 

やはり、西国を始めるのなら...長谷寺しかありませんな。

 

...

 

...

 

...

 

門前で昼食を平らげた後は、番外・法起院さんに立ち寄り軽く勤行。御朱印を頂戴しました。そして、一路飛鳥を目指します。

 

今回は西国巡礼ですから、他の施設に立ち寄る事はありませんが、車窓に遺跡が飛び込んでくれば長谷同様に古代史について語ります。

 

 

奈良盆地のドン付き...そして蘇我氏が圧倒的な力を誇った都...飛鳥京をイメージして貰います。地図と、岡寺のロケーションを頭に入れて頂き...草壁皇子、岡の宮、飛鳥寺、馬子、蝦夷、入鹿、甘樫丘、大化の改新...その辺りの時代の流れに身を委ねて頂く。そして飛鳥京の東の岡に建てられた岡寺の重要性をご理解頂く...。重要な事です。

 

もちろん...

 

 

...義淵僧正による悪龍退治...龍を封印した正式名称【龍蓋寺(りゅうがいじ)】の由来についてもあらかじめ説明しておきます。

 

で、岡寺に無事到着!!

 

...

 

...

 

...

 

岡寺も、今の季節が最高なのです!

 

なぜならば...

 

 

こいつ(石楠花)が満開だから(笑)♪

 

虫で無くても、近寄っちゃいますよね?どうですこのシャクナゲ...エグいでしょ?ゴージャスとしか言い様がない...。

 

花を見ながらも...ご本尊について、しっかり説明しましょう。日本最大の塑像(土で出来た像)である事...日本三大仏の一つである事...弘法大師が日本・中国・インドの土を練り込んだ伝説がある事...。密教伝来後は六臂(腕六本)となる如意輪さんですが、こちらはそれ以前の珍しい形状。日本最古の如意輪さんと言われております。

 

勤行は長谷寺と同様。法華経メインで実施しました。

 

そして...

 

長谷寺に続き、この季節には...

 

 

ご本尊の膝元からの、至近距離拝観が開催中!たまるかっ!!!

 

これも喜んで貰えましたね。近くから見れば大迫力ですから...。

 

その後は...

 

 

石楠花の道をまったり散策。

 

花々も微笑んでくれとります。

 

時には都市伝説的なネタも話してみたりします。

 

 

岡寺は石舞台古墳の鬼門(北東)の位置にありますので、もしかしたら岡宮を義淵僧正が貰い受けたのは蘇我氏の呪いを封じる意味があったのかも...などと言ってみたりする(笑)。義淵僧正自身は蘇我氏滅亡後に成人し、滅亡から50年ほど後に僧正となる人物。あり得ない話でも無いのです。草壁皇子の住居跡だった岡宮を岡寺に改装したのは蘇我氏の悪霊を封印する為...これが転じて悪龍を封印する【龍蓋寺】となったのでは...なんてヨタ話を都市伝説風に語ってみると面白い...。信じるか信じないかは、貴方次第...。結構受けました(笑)。

 

...

 

...

 

...

 

そんなこんな(笑)。

 

今日は先達として他者を引率する際のマルボロ流ツアコン術とそのポイントについて書いてみました。

 

GW参拝の参考にして下され♪

 

南無観世音菩薩🙏❗️

 

...

 

...

 

...

 

ついでに長谷寺の過去記事をご紹介しておきましょう。

 

GWに参拝される方は、予習用にお好きな記事をご一読下さいな♪

   ↓