始まりの場所 長谷寺への想い(3)【西国三十三所巡礼 草創1300年記念大法要の思い出】 | MarlboroTigerの【Reload the 明治維新】

始まりの場所 長谷寺への想い(3)【西国三十三所巡礼 草創1300年記念大法要の思い出】

 

今から三年前の2018年4月15日、西国三十三所第八番札所長谷寺で巡礼草創1300年記念大法要が執り行われました。三十三所の札所の住職が一堂に会し、1300年間続いた観音巡礼に感謝の祈りを捧げたのです。私も先達として参列させて頂き、共に観音経を唱えさせて頂きました。

 

この日は雨でした。混雑を予想し、車では無く電車で現地に向かいました。長谷寺駅からお寺までは二十分近く歩かねばなりません。谷を降りて、また上がる...。この日はちょっと早目に到着したかったので、タクシーを利用しようかなと思ったのですが...お坊さんの御一行も電車から降りてこられた。

 

(いや...やっぱり、お坊さんが優先やな...笑。)

 

雨で法衣が濡れては、えらい事です。各地から集った高僧の晴れの舞台ですからね(笑)。濡れるのは私の仕事だろうと、思い直して歩いて行きました。

 

何故早く現地に着きたかったかと言うと、コイツが欲しかったからです(笑)。

 

 

草創1300年記念特別散華(笑)。製造数量33,000枚...各札所で1,000枚限定で配布されておりました。どうせ貰うなら...やはり長谷寺で...それもこの大法要の際に頂戴したかった。

 

問題は、どれだけの人がくるのか見当もつかなかった事。そしてどれだけの人がコイツをゲットしようとして居るのか...読めんのです。全く。

 

雨だし、参拝客の出足も悪いだろうと...タカをくくっておったのですが...やはりエグかった(笑)。

 

 

下廊にまで続くかと思える程の、人、人、人!!何時もの参拝では、登廊が渋滞を来すなどと言うことは無いのですが...この日はもう...凄かった!観音様の功徳を、これだけの人が求めているのかと...心が洗われる気分でしたね。散華は納経所での配布でしたから、御朱印待ちの列に並び、ひたすら待ちます。

 

(流石に、1,000人は居らんやろ...。)

 

こうなると、屋根があると言うのはありがたかったですね...。とにかく、雨に濡れる事が無い!!これも観音様の功徳だろうと...この時ばかりは激しくそう思いましたね(笑)。これで屋根が無かったら...皆ズブ濡れです。観音様に感謝。そして登廊を作った中井大和守に感謝ですね。

 

 

長谷寺には様々な伝説が伝えられておりますが、有名なのは【わらしべ長者】の物語。みなさんもご存知でしょ?拾ったワラを物々交換で交換している内に、最後は大金持ちになってしまう昔話。今昔物語に登場する観音霊場長谷寺を代表する霊験譚です。長谷寺観音に祈り続けた貧乏な男が門前でワラを拾い...【ワラ→みかん→反物→馬→豪邸】と倍々ゲームでリッチになる(笑)。まさに、御本尊十一面観音の現世利益を象徴する様なストーリーです。

 

(どっかにワラ...落ちとらんかな?)

 

地面を見渡したりしました(笑)。

 

早く登り切りたいのは皆同じ。待つしかありません。ですが、石段で並んでいる最中も、長谷寺は飽きさせません。

 

長谷寺には面白い小さな祠があります。登廊を登り切る直前...最後のハードな石段の右手にそれは見えて来ます。小さなお堂が三つ並んでいるのが分かります。

 

 

この日は雨で、ちょっと見栄えが悪い(笑)。晴れていれば、こんな感じです。

 

 

一番左に立っている祠が、馬頭夫人(めずぶにん)宮と言います。唐の僖宗(きそう)皇帝のお妃だった方を神として祀っています。夫人は顔が面長で、その事を大層悩んでおられました。ある時知り合いの仙人に相談してみた所、『日本の大和にある長谷寺の観音様は大変ご利益がある。この観音に祈ってみられては如何か?』とアドバイスを受けました。夫人はそれから七日間祈り続け、七日目の夜に夢を見たのです。一人の僧侶が現れ、夫人の顔に水をかけました。すると...

 

起きたら、絶世の美人に生まれ変わっていたと言うのですよ。

 

 

喜んだ馬頭夫人は、お礼として数多の宝物を長谷寺に送り、その中に今日長谷寺の名物となっている牡丹の苗木が含まれていたと言うお話しです。

 

 

そう言う物語を知っていれば、咲き乱れる牡丹もより一層ロマンチックに見えて来ますね。GWの牡丹祭りは大混雑ですが、行かれてみては如何でしょう?先達として知り合いや親戚を引率する時は、馬頭夫人宮は外せない案内ポイントです。この伝説をチョロチョロっと話し...『はい!女子はみんな良く拝んでおく様に!綺麗になりたい人はしっかり拝みましょう!』...ってな感じ。年頃の娘さんは言うに及ばず、ちびっ子やお婆ちゃん方もしっかり拝んでますね。女性の美に対する執着に年齢は関係ないと言う事なのでしょう。微笑ましくなります。ここでキミマロの様な気の利いたギャグをかませられるかどうか...先達さんの腕の見せ所でしょう。

 

ようやく登り切ると...

 

ゆるキャラブームが始まる前の...伝説のキャラがお待ち頂いておりました...。

 

 

セントくんであります!!ヒコニャン登場以来、どこかに忘れされれた名物キャラ。ゆるキャラグランプリも遂に終わり...再び時代は彼に戻って来るのでしょう。確かに...こうして見ると、可愛さに関しては微妙。子供達には受けておりましたが...。

 

 

笈摺を着用した、ベテランの先達さんも多くいらっしゃいました。皆さん、本当に長谷寺を愛していらっしゃる。法要は荘厳な物でした。三十三所のご住職が登廊をゆっくりと上がって来る。そして響き渡る観音経!!参拝者も加わり...豊山長谷寺に1300年の祈りが結集した様に思われました。

 

わらしべ長者や馬頭夫人の物語だけではありませんよ。長谷寺には鎌倉期以降、生き別れた人の再会、恋愛成就、病気平癒など様々な奇跡の物語が伝えられております。まさに観音パワーの最強スポットと言えるかも知れない。

 

 

やはりこの巨大な観音様は、何か特別な力を持っている...。そう思わせてくれるのですよ。

 

現代の御本尊は八代目で、室町時代の作。ですが、胎内にはそれ以前に燃え残った御本尊の頭部が収められています。歴代の巨像は、どうやって再建されて来たのか...

 

この年、その設計図たる巨大な掛け軸が公開されました。大観音大画軸です。

 

 

すごいでしょ(笑)?着色されたのは江戸時代になってからですが、室町時代に描かれました。現本尊を再建させる為、この原寸大の掛け軸を各地に運び込み、出開帳をやったのだそうです。全長16m半。重量は100kgを超えます。少なくとも十人以上はいないと輸送は出来なかった筈です。

 

各地でこれを見せたんでしょうね。

 

『先の火災にて焼失せし御本尊を、この様に復活させたいのだ!皆の衆。寄進せよ!そのご利益は計り知れぬ!観音霊場の聖地を復興させるのは、今目の前に居る皆の衆じゃ!!』

 

などと言って、寄進を求めたのでしょうね。そして人々もここぞとばかりに寄進する(笑)。未来、再び本尊が焼失することがあっても、これがあれば大丈夫。本尊のバックアップでもある訳です。これを見ながら、現本尊は作られて行きました。非常に貴重な仏画を拝見し、清々しい気持ちになりました。

 

大画軸の開帳を記念して、限定朱印も授与されました。

 

 

こちらは納経帳では無く、御影帳にストックしております。合わせて記念の数珠ブレスも購入したのですが、それはまた別カテゴリーでご紹介致しましょう。

 

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西国三十三所の納経帳、御影帳のお薦めはこれかな。

 

 

どちらもネットでも購入できます。もっと豪勢な物や、百観音仕様の物もありますが、入門編にはもってこいのコンパクトサイズ。札所会推薦の納経帳は、御詠歌が右ページに印刷済みで収納が楽。更には、40ページ以上の空白ページも備えた優れ物!!お礼参りが終わった後は、お気に入りの寺院の御朱印をガンガン押して頂けます(笑)。私のも、結構凄いですよ(笑)。三十三所&四十数ヶ寺の豪華絢爛スーパーパワーでございます♪

 

再度、長谷寺の御朱印を...

 

 

やはり、重ね印となる先達専用納経帳と異なり...本来の御朱印の美しさがはっきりと分かり...いいものです。

 

御影帳の方も豪華。

 

 

先の散華もここに収納しているのですが、西国の御影の魅力はフルカラーで統一されている点。私は旧バージョンであるモノクロの御影とペアで揃えております。残念ながらモノクロタイプは終了となりましたので、現在残っている在庫が無くなり次第終了となります。もうほとんど残ってないかな?右ページには、先達と回った時のみ授与される御詠歌護符を入れております。

 

納経所で御朱印を頂戴し、ゆっくり境内を歩いてみるのも一興ですね。


私が気に入っているのは、この五重塔。昭和二十九年に建てられた新しい塔です。【昭和の名塔】と呼ばれております。

 

 

しかし、終戦から僅か9年...日本が最も貧しかった時期に、よくこれだけの物を建てたものです。当時の人々の熱い思いが伝わって来る様です。古い建物だけが良いと言う訳ではありません。長谷寺は奈良時代から続く古刹ですが、様々な時代の人々によって現在の景観が出来上がっているのです。

 

御本尊は室町時代...本堂そして登廊などの諸堂は中井大和守が手を加えた江戸時代...山門は明治時代...そして五重塔は昭和...。時代を超えて、人々が懸命にこの寺院を支えて来たからこそこの景観が保たれているのです。先人達の苦労に感謝ですね。

 

参拝を終えると、いつも山門前正面のお蕎麦屋さんでざる蕎麦を食べます。ここの蕎麦はとてもコシが強く、噛みごたえがあり美味しいのです。

 

そして食後のデザートはやっぱりこれ(笑)!

 

 

長谷寺名物、草餅。焼き立ての草餅をハフハフ言いながら食べるのが最高のご褒美♪美味しいんですよね、これ。

 

そんなこんな...。

 

今回は三回に分けて真言宗豊山派大本山・長谷寺の魅力をお伝えしました。行った事の無い方は、是非一度行ってみて下さい。1300年間続く観音信仰の重みを体感して頂けます。

 

さて...次はどこの霊場を書きましょうかね(笑)。