記念日(その9)
「貧血なのにまだ血を抜くんですか?」
尖端恐怖症で注射の嫌いなワタシは目をむいて抗議したが、天使はワタシの抗議に微笑みで返し、注射器を手に取った。
30分後、尿をとり、MRIで脳の輪切りとレントゲンであらゆる臓器をあますところなく丸裸にされ、すべてを写真に撮られたワタシは、医者の前におずおずと恥ずかしげに進みでた。
医者は開口一番。
「まったくどこも問題ありません。…でも…」
「でも?」
「胃の中が完全に空っぽです。何か食べた方がよろしいのでは?」
「ハァ」
問診はものの10分もしないで終わり、医者はワタシの健康に太鼓判を押した。(続く)
尖端恐怖症で注射の嫌いなワタシは目をむいて抗議したが、天使はワタシの抗議に微笑みで返し、注射器を手に取った。
30分後、尿をとり、MRIで脳の輪切りとレントゲンであらゆる臓器をあますところなく丸裸にされ、すべてを写真に撮られたワタシは、医者の前におずおずと恥ずかしげに進みでた。
医者は開口一番。
「まったくどこも問題ありません。…でも…」
「でも?」
「胃の中が完全に空っぽです。何か食べた方がよろしいのでは?」
「ハァ」
問診はものの10分もしないで終わり、医者はワタシの健康に太鼓判を押した。(続く)
記念日(その8)
「それは、(苦笑)、ダメだねぇ。…病院はどこがいい?近いところでいいかな?」
(ナヌ?サイレン鳴らして信号無視しまくってるのにどこいくか決まってないの?)
「…ハイ、出来れば駅に近い病院の方が…」
ドライバーが無線を使い始める。
「えー、23歳男性。空腹による貧血。受け入れ大丈夫ですかぁ」
『…$\#…です』
「ハイ、了解」
救急車は次の信号で(当然シグナルは無視)方向を変えて右折した。
病院は都内の23区の西北にあった。
救急車が到着すると白衣の天使に出迎えられる。
すぐに診察室かと思いきや、尿検査に血液検査にMRI等を受けるように言われる。(続く)
(ナヌ?サイレン鳴らして信号無視しまくってるのにどこいくか決まってないの?)
「…ハイ、出来れば駅に近い病院の方が…」
ドライバーが無線を使い始める。
「えー、23歳男性。空腹による貧血。受け入れ大丈夫ですかぁ」
『…$\#…です』
「ハイ、了解」
救急車は次の信号で(当然シグナルは無視)方向を変えて右折した。
病院は都内の23区の西北にあった。
救急車が到着すると白衣の天使に出迎えられる。
すぐに診察室かと思いきや、尿検査に血液検査にMRI等を受けるように言われる。(続く)
記念日(その7)
どうやら会社に連絡してくれたらしい。
慰謝料は大丈夫なのか。
ワタシは少し安堵した。
間もなく救急車が到着し、ワタシは衆人監視の中、救急車に乗り込むと横向きにチョコンと腰掛けた。
救急車はサイレンを高らかに鳴らしながら出発する。
救急隊員はワタシに質問を始めた。
「いくつですか」
「…に、23です」
「それで、電車で倒れちゃったみたいだけど、貧血?」
「正月あまりものを食べてなくて、今日は駅まで走ったんです。電車に乗ったら暫くして気が遠くなって…」
「食べてないって、どう過ごしてたの?」
「4日からポテトチップスをちょっと食べただけです」(続く)
慰謝料は大丈夫なのか。
ワタシは少し安堵した。
間もなく救急車が到着し、ワタシは衆人監視の中、救急車に乗り込むと横向きにチョコンと腰掛けた。
救急車はサイレンを高らかに鳴らしながら出発する。
救急隊員はワタシに質問を始めた。
「いくつですか」
「…に、23です」
「それで、電車で倒れちゃったみたいだけど、貧血?」
「正月あまりものを食べてなくて、今日は駅まで走ったんです。電車に乗ったら暫くして気が遠くなって…」
「食べてないって、どう過ごしてたの?」
「4日からポテトチップスをちょっと食べただけです」(続く)
記念日(その6)
…名刺を一枚。
停まるべきではない駅に急行電車を無理矢理停めてしまったので、身元を押さえて後から高額な慰謝料を請求されるのか…。
嗚呼。
心の中で嘆息しながら、内ポケットから名刺入れを出し、手を切りそうなくらいに新しい名刺を一枚渡す。
すると駅員は名刺を持ったままワタシに背を向け、どこかに電話をかけはじめた。
「もしもし、西武新宿線のX駅ですが、そちらの社員のboke×2さんが先程電車の中で倒れられました。貧血だと思います。今は駅員室に寝かせています。今から病院に行って、今日はお休みされると思いますのでご連絡まで。…、ハイ、…ハイ。」(続く)
停まるべきではない駅に急行電車を無理矢理停めてしまったので、身元を押さえて後から高額な慰謝料を請求されるのか…。
嗚呼。
心の中で嘆息しながら、内ポケットから名刺入れを出し、手を切りそうなくらいに新しい名刺を一枚渡す。
すると駅員は名刺を持ったままワタシに背を向け、どこかに電話をかけはじめた。
「もしもし、西武新宿線のX駅ですが、そちらの社員のboke×2さんが先程電車の中で倒れられました。貧血だと思います。今は駅員室に寝かせています。今から病院に行って、今日はお休みされると思いますのでご連絡まで。…、ハイ、…ハイ。」(続く)
記念日(その5)
次の瞬間、ワタシを助け起こし、その後ワタシの座った座席の前に立っていた紳士が、ワタシの背後の窓に手をかけ、押し下げてから空いた窓に手を差し出 して大声をあげた。
「ここです!この車両です」
1分後、ワタシは囚われた宇宙人のように駅員二人に両脇から抱えられ、ホームにおろされていた。
電車は無情にもワタシと駅員二人をホームに残して去った。
ホームには担架が用意されていたが、ワタシは駅員に肩を借りながら自分の足で駅員室まで歩いた。
駅員はワタシをソファーに横たえてからゆっくり喋り始めた。
「救急車を呼んだから病院へ行こうね。それと名刺、一枚貰えるかな。」(続く)
「ここです!この車両です」
1分後、ワタシは囚われた宇宙人のように駅員二人に両脇から抱えられ、ホームにおろされていた。
電車は無情にもワタシと駅員二人をホームに残して去った。
ホームには担架が用意されていたが、ワタシは駅員に肩を借りながら自分の足で駅員室まで歩いた。
駅員はワタシをソファーに横たえてからゆっくり喋り始めた。
「救急車を呼んだから病院へ行こうね。それと名刺、一枚貰えるかな。」(続く)
記念日(その4)
「大丈夫じゃないわよ。あなた顔色が真っ白よ。ここに座りなさい。」
そのご婦人の席に座らせられたワタシは、ラッキーと思いつつ、しかし気を失いそうになりながら、目をつぶり、頭の痛みに耐えていた。
しばらくすると車中にアナウンスが流れた。
『急病人がでましたので、次の駅に緊急停止します。ドアが開きますのでご注意ください。』
朦朧とする頭でワタシは思った。
「正月早々、ワタシ以外にも人騒がせなヤツがいるんだなぁ」
本来は急行電車は止まらない次の駅のホームに電車が滑り込み、停車した。
ホームで駅員が「急病人はどこですか」と叫びながら走ってくるようだ。(続く)
そのご婦人の席に座らせられたワタシは、ラッキーと思いつつ、しかし気を失いそうになりながら、目をつぶり、頭の痛みに耐えていた。
しばらくすると車中にアナウンスが流れた。
『急病人がでましたので、次の駅に緊急停止します。ドアが開きますのでご注意ください。』
朦朧とする頭でワタシは思った。
「正月早々、ワタシ以外にも人騒がせなヤツがいるんだなぁ」
本来は急行電車は止まらない次の駅のホームに電車が滑り込み、停車した。
ホームで駅員が「急病人はどこですか」と叫びながら走ってくるようだ。(続く)
記念日(その3)
ドアに寄りかかり、肩で息をしていたワタシは、次の瞬間、大いに驚くことになる。
気がつくと、ワタシは年配のサラリーマンに抱きかかえられて「大丈夫か!」とホホを叩かれていたのだ。
映画『世界の中心で愛をさけぶ』において、主人公が、倒れたヒロインを抱いて絶叫する有名なシーンを十数年前にワタシは現実に体験していたのだ。
唯一異なるのは、ワタシはヒロインのように助け起こされる側だったことである。
目の前のサラリーマンに「大丈夫です」と答えたもののしばらく何が起きたかわからなかったワタシに、ドアの直ぐ横の座席に腰掛けていたご婦人が即座に立ち上がり声をかけた。(続く)
気がつくと、ワタシは年配のサラリーマンに抱きかかえられて「大丈夫か!」とホホを叩かれていたのだ。
映画『世界の中心で愛をさけぶ』において、主人公が、倒れたヒロインを抱いて絶叫する有名なシーンを十数年前にワタシは現実に体験していたのだ。
唯一異なるのは、ワタシはヒロインのように助け起こされる側だったことである。
目の前のサラリーマンに「大丈夫です」と答えたもののしばらく何が起きたかわからなかったワタシに、ドアの直ぐ横の座席に腰掛けていたご婦人が即座に立ち上がり声をかけた。(続く)
記念日(その2)
そして、4日の朝に仕事から解放されたワタシは、友人と7日深夜まで毎晩遊び回った。
結果として、普通の人々の初出社の前日深夜には、ワタシはグデングデンに酔っ払って大騒ぎしていたのだ。
初出社の日になり、ワタシは会社へ行くために駅への道を急ぐ羽目になった。
見事、寝坊したのだ。
駅は逃げることはないのに、駅まで全力疾走したワタシはまだ若かった。
新人で初々しいワタシは会社に遅刻してはいけないと駅まで息もつかずに走ったのである。
結果、なんとか間に合って急行に駆け込み乗車したが、ワタシは数駅の間、ドアに寄りかかり息もたえだえにあえいでいた。(続く)
結果として、普通の人々の初出社の前日深夜には、ワタシはグデングデンに酔っ払って大騒ぎしていたのだ。
初出社の日になり、ワタシは会社へ行くために駅への道を急ぐ羽目になった。
見事、寝坊したのだ。
駅は逃げることはないのに、駅まで全力疾走したワタシはまだ若かった。
新人で初々しいワタシは会社に遅刻してはいけないと駅まで息もつかずに走ったのである。
結果、なんとか間に合って急行に駆け込み乗車したが、ワタシは数駅の間、ドアに寄りかかり息もたえだえにあえいでいた。(続く)
記念日
女性は概ね記念日が好きだという。
今日はワタシの記念日である。
何かと言うと、初めて救急車に乗った『救急車乗車記念日』である。
その後は幾度となく乗らざるを得ない状況になり、慣れたというか新鮮さは失われた。
しかし、初めて乗った救急車の経験は、人生においての10大事件ともいうべき衝撃的な出来事が発端だった。
十数年前のその日、ワタシは駅までの道を急いでいた。
通常、というか一般的にはその日は仕事始めだった。
しかし、まだ社会人一年生だったワタシは、'年末年始担当'を拝名し、皆より一足早く3日の夜から夜勤をしていた。(続く)
今日はワタシの記念日である。
何かと言うと、初めて救急車に乗った『救急車乗車記念日』である。
その後は幾度となく乗らざるを得ない状況になり、慣れたというか新鮮さは失われた。
しかし、初めて乗った救急車の経験は、人生においての10大事件ともいうべき衝撃的な出来事が発端だった。
十数年前のその日、ワタシは駅までの道を急いでいた。
通常、というか一般的にはその日は仕事始めだった。
しかし、まだ社会人一年生だったワタシは、'年末年始担当'を拝名し、皆より一足早く3日の夜から夜勤をしていた。(続く)
『理由』(1995年・米)
『理由』DVD
監督:アーネ・グリムシャー
CAST:ショーン・コネリー
:ローレンス・フィッシュバーン
:エド・ハリス
サイコ・スリラーだが、配役をみて衝動買い。
結果は'まぁまぁ'。
黒人が白人の少女のレイプ殺人容疑で逮捕されるが、取り調べの刑事がまた黒人で、容疑者を暴行して自白させる。
結果、死刑を求刑されるが、母親が無実を訴え、コネリー扮する元弁護士の大学教授を訪ねて助けを求める。
推理しようにも劇中のコネリー同様に話の流れで明らかになる事実ばかりで、伏線はない。
そのまま観ていたら、真犯人がわかって最後は直接対決で終わってしまった。
特にヒネリもないサスペンス。(個人評価45点)
監督:アーネ・グリムシャー
CAST:ショーン・コネリー
:ローレンス・フィッシュバーン
:エド・ハリス
サイコ・スリラーだが、配役をみて衝動買い。
結果は'まぁまぁ'。
黒人が白人の少女のレイプ殺人容疑で逮捕されるが、取り調べの刑事がまた黒人で、容疑者を暴行して自白させる。
結果、死刑を求刑されるが、母親が無実を訴え、コネリー扮する元弁護士の大学教授を訪ねて助けを求める。
推理しようにも劇中のコネリー同様に話の流れで明らかになる事実ばかりで、伏線はない。
そのまま観ていたら、真犯人がわかって最後は直接対決で終わってしまった。
特にヒネリもないサスペンス。(個人評価45点)