極私的映画と音楽のススメ -13ページ目

極私的映画と音楽のススメ

印象に残る映画には印象に残る音楽がある。
思い出の名場面に流れていた音楽、言葉などをご紹介

黄金狂時代 コレクターズ・エディション/チャールズ・チャップリン

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黄金狂時代


ゴールドラッシュの時代、

大金をもとめて欲望の赴くままに

集まってきた人々



そんな彼らを面白おかしく

おちょくって見せたこの映画。



アラスカの雪山で遭難し

山小屋に駆け込んだ彼ら。




なんとそこにひょっこり我らが

チャップリンもいたのです。

(と日本語ナレーションをやっていた小朝風に)



あまりの空腹で、靴を食べてしまうシーンとか

がけっぷちで家が傾くシーンとか


おそらくチャップリンの映画ドキュメントをつくったなら

必ず選ばれるであろう名シーンが

これでもかと繰り出されます。



むき出しの欲望の愚かしさ

それへの戒めをさりげなく

入れ込みながらこの映画は終わります。



短編から長編へと移るきっかけになったこの映画。

冬休みにご覧になってはいかがでしょうか?






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冬に楽しみたい映画たち~X'mas、Snowy Movie~

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高倉健が北国を舞台にした素敵な映画を届けてくれました。

この映画を見たときに本当にそう感じたものです。



どうも僕の中では、高倉健というと、北国(北海道)というイメージが定着してしまっています。

駅ーstation 』では、増毛町(ましけ)、『居酒屋兆治 』では函館、

そして『幸せの黄色いハンカチ 』では夕張・・


彼ほど雪の大地に、はまる俳優はいないのではないでしょうか?


この映画は、雪深い道央の架空の町「幌舞」が舞台です。


この駅前の風景が、僕が少年時代をすごした田舎町ととても似ていたんですよ。

駅前タクシー、駅前のお土産店、駅前の食堂・・・

北国のローカル線の田舎町におそらく共通するであろう要素たち・・

この風景だけで、涙がでるくらいの懐かしさを覚えた方も多いのではないでしょうか?



鉄道は、田舎の人の大切なインフラです。

人々は、それぞれの思いを抱えて、鉄道に乗り込んでいったことでしょう。

車掌は、そんな人々を長い間見つめ続けます。


でも、過疎化の波は確実に田舎町を襲います。

鉄道の廃止、バスへの移行。


80年代半ば以降、日本全国で見られた風景ではないでしょうか。

僕の町もそうでした。


心のゆりかごであった、鉄道がその役目を終えると同時に、

車掌もその生を終えます。


この映画のラストは涙なしにはみれないでしょう。

つらく長く、そして寒く厳しい冬を過ごしてきた北国のものにとってはなおさらだと思います。


高倉健も、小林念侍も、とてもすばらしい演技を披露してくれています。


でもこの映画に大切な要素は、きっと

彼らを包んでいる、北海道という大地なんだと思います。


大自然と、俳優達がうまく融合した

素敵な作品だと思います。



ぜひ、雪の降る町を訪れてみてください。

寒くても、きっと暖かい何かを感じることが出来るはずです・・・




このブログは再録です

初投稿:2005・11・21、再投稿2006・11・27



Life is beautiful!


人生は、それをどのように捉えるかによって
いかようにも形をかえるもの


どんな状況であっても
どんなことがあっても
それをしっかりと受け止めていく


そんな風にありたいものですね。


Life is beautiful.


たくさんの人に見てほしい素敵な映画です。




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すべての不幸は、未来への踏み台にすぎない。
ソロー
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どんなときでも人間のなさねばならないことは、
「たとえ世界の終末が明日であっても、自分が今日リンゴの樹を植える」ことだ。
ゲオルギー
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戦後のイタリアは、ローマの庶民を描いた秀作です。


ここで描かれる庶民の姿はあまりにも痛々しい。


そこには希望もなく、ただただ毎日を生き延びるために

毎日があるような


そんな日々の繰り返し・・



かつてそこに確かに存在していた

日常がこの映画ではたんたんと綴られていきます。



あまりにも

つらいラストを目の当たりにすると

何度も見返すことは出来ないのだけれど・・



ここには確かにあの時代の空気がある

ここには歯をくいしばって生きてきた祖先の姿がある




混沌とした時代

生きるという本質的な欲求を満たすことにしか

希望をみたすことのできなかった時代



そんな時代を忘れないために


とても存在価値の高い映画なのではないでしょうか




でもちょっとかわいそうだな・・・




詩の力は偉大である。



暴力に対抗するには、ガンジーが唱えたような非暴力もいいけど、

そうそうできるもんじゃない。

だってくやしいもの。


そんなときにどうしたらよいか。

この映画はやさしく語りかけてくれるようだ。


それは、自分の心情を詩に託して、皆に訴えかけることだ。


チリの偉大な詩人パブロ・ネルーダの詩は、

時には静かに静謐さをたたえつつも、時には熱く皆の心を打った。

その詩には、たしかな力があった。


マッシモ・トロイージのラストの詩の朗読。

ネルーダのエンディングロールで流れる詩。


最大の武器は詩、言論なんだろうな。


たまには自分の気持ちを詩に表してみるのもいいかもしれません。

言葉の偉大さがわかる名作です。






今度はイタリア映画特集です。

新旧取りまとめてご紹介します。

(初投稿:2005/7/11、再投稿:2006/8/21)


50年代のシチリアでのお話。
映画の新人オーディション発掘に訪れた詐欺師と
彼を慕う女性。


この映画はこの二人の微妙な距離感で進んでいくのですが、
なるほどなあと思うのは、
これがシチリアの日常なんだという点。

日常の風景がこれほどまでに
伝わってくる映画って余りないような気がします。


マレーナといい、この映画といい女性が
あまりにも虐げられている現実に
驚いてしまう。


50年代。
そんな時代だったのかもしれないけれど
そんな時代をフィルムの中に表現してくれたことで
今を生きる僕たちも
その時代性を感じ取ることが出来る。


映画っていいものですね。

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このブログを読んでくださっている方はご存知かも知れませんが、

僕は「青」という色が大好きです。



群青色に近い感じで、もっというと、98年ワールドカップのイタリア代表のユニフォームの

色合いがまさにそう。


なんで青がすきなのかは、『グランブルー』の紹介で書いたので省きますが

http://ameblo.jp/bluenote7777/entry-10003230936.html


この映画も同じく海が舞台。


しかも海の上を、漂う船が舞台です。


たしか映画のコピーは、(ちょっとうる覚えですが・・)



「産まれてから一度も大地に降り立つことの無かった青年。」



この文章だけでも、この映画をとても見たくなりますよね。



哺乳類は、太古の昔、海から陸に上がったといわれています。

この主人公は、きっと陸よりも海の上のほうが生きやすかったんだろうと思う。



好きな作家鷺沢萠の「海の鳥、空の魚」を思い出してしまいました。

http://homepage1.nifty.com/meimei/

(この人は普通のことを普通に書ける人でした。

この本からはたくさんのパワーをもらっています。)


その中にこんな文章があります。

一部引用すると・・

「どんな人にも、光を放つ一瞬がある。その一瞬のためだけに

その後の長い時間をただただ過ごしてくこともできるような・・

何かの手違いで生きにくい場所に放たれた、海の鳥や空の魚たちにも

そういえる瞬間があったに違いない。

そこにあるべくしてある連中に比べれば何倍もやりにくかっただろうけど・・」



この映画を見るとき

この小説を読むとき


不思議とお互いの存在を思い出してしまうんですよね。



さて、この映画の一番の名場面は

嵐で荒れ狂う船内で、ピアノごとゆれるように異動しながら演奏するシーン。

あのシーンは幻想的で素敵なシーンでした。



余談ですが、

イタリア語がでてくる場面が一部ありますが、

なんかほっとしましたよね。


ああ、イタリア語だあ!って。(笑)


無意識のうちに期待していたようです・・




今度はイタリア映画特集です。

新旧取りまとめてご紹介します。

(初投稿:2005/9/10、再投稿:2006/8/10)

マレーナ/モニカ・ベルッチ
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戦争。
戦争でいちばん被害を受けるもの。
それが本当はなんなのか。

それを庶民の視線から描いた秀作だと思います。


ドイツでも、日本でも、
戦争によって、働き手であった夫を失った女性の方々の
苦労たるや想像にするにしのびません。


時代の陰には、
きっとこういう事実がある。


普段大きな視点で歴史を習うと、ぜったいこれは見えてこない。
その事実に気づかせてくれると同時に、
もっとミクロな視点も重要だと示唆しているかのようです。



マレーナがたどる運命は、
個人的には、かわいそうでかわいそうで、
映画ではなく、dvdを買って見たんですが、一度しか通して見れないでいます。

きっと、こういう苦労をされた方が世界中にいるんだと想像できるから・・


でも、だからこそ、ラストのシーンにだれもが
安堵するんでしょうね。

見ていない方もいるかとは思いますので詳しくは書きませんが、
マレーナにとって大きな救いが最後に訪れます。



自然と涙がでました。
それまでの苦労と、これからの幸せ。
アカルイミライを絶対的に信じてしまいたくなる。



マレーナはつらさが表情にはっきりと出ない分だけ
心の中に、それを溜め込んでいたような気がします。
それが一気にラストで解消されたんだと思います。



映画としてすごいなあと思うのは、
このマレーナを見る少年を登場させているところ。

マレーナの苦難と、その後の幸福をつぶさに見守ることで
少年も、大人の階段を一歩上がっていく。


少年の精神的成長
マレーナの数奇な運命


これが見事にリンクしていました。



戦争による被害。
その実際を垣間見ることができる作品です。



今年は戦後60年。
冬休みにごらんになってはいかがでしょうか。

そして、来年の平和を願うのもよいかもしれませんね。





今度はイタリア映画特集です。

新旧取りまとめてご紹介します。

(初投稿:2005/12/16、再投稿:2006/8/9)






「ぽっぽや」ではなく、イタリアの古い名作。


イタリア映画には、時折、むちゃくちゃ愛くるしい子供が登場するけど

この映画にも、ニューシネマパラダイスに負けるとも劣らない素敵な子役が登場します。

上の画像の少年がそう。



この少年がまあ、いい演技をするんですよ。

うれしいときは、本当にうれしそうだし、

悲しいときなんて、つられて泣いてしまいそうになるくらい。


イタリアって名子役が多いんですよね。

さて、この映画は第二次世界大戦後のイタリアが舞台です。

この子の父親は鉄道運転手。

少年は父親の走らせる機関車を誇らしげに見守っている。


ある日、父親の運転する機関車に若者が飛び込んでしまう。

父親は、いたく責任を感じて、放浪の旅に出てしまう・・・


そして、少年の父親を探す毎日が始まる・・・



この映画のラストシーンは、映画史に残る名場面です。


父親が隣の部屋でギターを弾いている。

ギターを弾く手がアップで写される。


やがて父親の手は音を奏でるのをやめ、静かにギターの上に手が置かれる。


眠ったんだと思って、隣の部屋を見ながら微笑むお母さん。


お父さんが戻ってきて幸せそうな少年。


幸せに包まれている家庭を見渡してこの映画は終わります。



きっと、ここで終わらせてよかったんだろうな。

あとは見る人が、自分なりにその後を想像すればいいのだし。



今でも、このシーンの手がゆっくりと下りていくところが

ギターのメロディーとともにスローモーションで頭に焼き付いている。


この、ギターの音色がいつまでも心に残る名作です。




今度はイタリア映画特集です。

新旧取りまとめてご紹介します。

(初投稿:2005/8/30、再投稿:2006/8/5)


古いイタリア映画の傑作。


フェデリコ・フェリーニ監督の作品で、主演は奥さんのジュリエッタ・マッシーナ。



好きだからこそ、好意をよせているからこそ、冷たく当たってしまうことってよくありませんか?


その結果、上手くいくはずだった流れが、寸断されてしまったり、取り返しのつかないことに

なってしまったり。


後から悔やんでもどうしようもない。


きっと、こんな経験の連続で人は成長していくのではないでしょうか?


主人公の男は、おそらく一生この傷を背負っていくに違いありません。


それだけぬきだしてみると、救いようがない気がします。


でも、きっとこの経験は、この男がワンステップ人生の階段を上るために

必要な経験だったんだ・・と、そう思えるなら・・・

この男自身もそう思うことが出来たなら・・・


きっとこの傷は、とても大切な貴重な傷になるんじゃないだろうか。

もちろん、痛みは残るにしても・・



僕は、こんな風にポジティブに、捉えています。

自分のこれまでを振り返ってみてもそうですから・・・・・



音楽もすばらしいので、ぜひ見てみてください。

フェデリコ・フェリーニの最高傑作です。



イタリア映画特集です。

(初投稿:2005/8/29、再投稿:2006/8/3)