極私的映画と音楽のススメ -11ページ目

極私的映画と音楽のススメ

印象に残る映画には印象に残る音楽がある。
思い出の名場面に流れていた音楽、言葉などをご紹介

息子
¥2,520
Amazon.co.jp


山田洋次監督の作品。


小津安二郎の映画で描かれた世界の現代版といった趣があります。



すでに核家族化は進行し、
田舎ではお父さんが一人暮らし。息子たちは都会に居を構える。
現代日本の情景ですね。(過疎化と都市化)




末の息子が、どうしようもないやつで
心配になったお父さんが田舎から出てきます。

働き出したかと思ったら、とある女性に熱をあげ、
結婚したいと申し出ます。

そんなかんなで、一苦労。





日本の古きよき父親像を投影しているかのよう。

このお父さんの歌う「お富さん」がなんともいえなくて
しみじみ。





ラストで、田舎に帰ったお父さんに近所のおじさんが
「あんた、幸せかい?」とたずねます。
するとすこし間をおいてお父さんが答えます 「ああ。幸せだよ。」

この問いかけのシーンが大好きです。





家族ははなれていても、心がつながっていて、みんなが元気に過ごしている。
それだけでも十分なのかもしれないですね。





自分の父親がいとおしくなる、そんな作品です。
きっと忘れていた大切なものを思い出せますよ。



初掲載:2005/7/29、再掲載:2008/1/12

俺たちは天使じゃない

¥4,179
Amazon.co.jp


信仰ってなんでしょう。

神様を信じるとか、神に祈るというのはどういうことなんでしょう。


何か不安に襲われたとき、自分に自身が持てなくなってしまったとき、

他人の幸せを願うとき、もっというと、誰かの勝利を願うとき・・


そんなことを思ったとき、

もし神様に祈ることで心がやすらいだり、安心感を覚えるのだとしたら・・・

それこそすなわち信仰というものものなのかもしれません。


これによって、自分は一人じゃないんだと認識できるし

大きな支えにもなるんだと思います。



たとえば、子供が無事産まれるように願うとき。

自分の力ではどうしようもない出来事に、

直面したとき、すがるものがなければきっととてつもなく大きな不安にさいなまされて

しまうような気がする。



人は誰しも弱いもの。

それを見栄や、強がりで隠す必要は無い。


すべての世代にとって公平に弱さをさらすことが出来る存在

そして自分の気持ちをしっかり受け止めてくれる存在として

何か偉大なる者として、神というものがあるのかもしれません。



ショーン・ペン演じるブラウン神父は、

人との出会いを重ねるうちに、こんなことに気づいていったんでしょうね。


信仰、祈り・・・その本当の意味を知ることが出来たような気がします。


とても笑えて、そして泣ける。

これは素敵な映画です。



若き日のショーン・ペン、デミ・ムーア、そしてロバート・デニーロ

こんな豪華な顔ぶれが、そんなことを教えてくれました。



ぜひご覧になってくださいね。








初掲載:2006/02/13、再掲載:2008/1/10

(ふと思い出したので再録です)

サブウェイ(仏語オリジナルヴァージョン)
¥12,000
Amazon.co.jp

80年代のフランスを舞台にした、映画。

あのリュック・ベッソンの初期の名作


いやー

ジャン・レノも若い。

ジャン・ユーグ・アングラードも若い。


クリストフ・ランパードのニヒルな笑いや、イザベル・アジャーニの自然な演技もGOOD。


こんな有名俳優たちが一同に介して、楽しんじゃいました!って感じですな。


80年代のファッションを見るのもたのしいし、

カーラジオから流れる音楽を聴くだけでもたのしい。


ラストは、ドタバタで「ちゃんちゃん♪」って感じでおわるんだけど、

この映画にはこういう終わり方しかないよなあと妙に納得。


ラストシーンの地下街の演奏シーン。

ドラムは、ジャン・レノ。

ここで歌われる「PEOPLE KILL PEOPLE」というロックチューンと

「IT'S ONLY A MYSTERY」というメロウなチューン。

レコードでこの二曲を聴くたびに感じられる、80年代の音楽や、80年代という時代が持っていた、

明るくも、妙にはかなげな空気が僕は好きだ。


この空気は、きっと、遠い日の思い出を思い出すときに感じる、

気恥ずかしさや、感傷にとても似ているのだ。


何かと暗い話題の多い昨今。

こんな時代に、こんな映画があったと知るだけでも収穫だと思う。



再掲載です

初投稿:2005/7/5、再掲載:2006/12/23、再々掲載:2008/01/09

フランスの短編アニメーション映画。

2004年末に新宿高島屋タイムズスクエアで上映されました。



たった8分の映画。

そんな短い時間なのに、なんでこんなにいろんなことを感じさせるんだろう。



子供は、いつも夢中で遊んでいる。

少年のころ経験した、出来事の多くは、一瞬で新たな記憶に塗り替えられる。

そんな風に堆積していった記憶を、なにげない瞬間に、はっと思い出したかのような

味わいがこの映画にはある。



いつまでも、思い続けることで、信じ続けることで・・

そんなときにすてきな出来事が起こりうるのかもしれない



僕の好きな作家の「思ったり、見たり、感じたりしたものの勝ちだ」とか

僕の好きな俳優の「人がが心に強く願うことは誰も止められない」といった

言葉が、ずしりと、リアリティをもって身に迫ってくる。


この映画をさらに印象づけているのが、アコーディオンやピアノで

演奏される「ドナウ川のさざなみ」。

この曲がこんなにいい曲とはしらなかった。

この音楽と、映像で挿入される自転車の車輪の回るさまが、

いつまでも父を待ち続ける少女の気持ちや、人生の年輪とリンクして、

さらなる感動を与えることに成功している。



信じ続けること、あきらめないこと・・・実はこれが一番難しいことなのかもしれない。

それを可能にするのが「LOVE」、何かを、誰かを大切にしたいと思う気持ちなのだろう。



東芝EMI
岸辺のふたり





再録です。(初投稿2005/07/04)

ロスト・イン・トランスレーション
¥2,952
Amazon.co.jp




最後にこの子が求めていたものを
全部あげたんですね

うーん、大人だ


彼もまた、求めていたものを
この子からもらってたんですね。



なんとなく見ましたが
これすごくいい


タイトルは男女の仲、友人関係、親子関係
いろいろなことに通じますね。



ラストで彼らが何をささやいているのか・・
それは秘密


それを紹介するサイトもありますが、
一人一人が想像すれば良いんだと思います。


なんだか暖かくなる映画です。

好きな映画ベスト10に入りますこれ。

未来世紀ブラジル
¥2,249

なんとまあデカダンな雰囲気

モンティパイソンのテリーギリアム監督作品ゆえ
モンティパイソンの諸々のコントで見られるような
ウィットに富んだブラックユーモアが随所に散りばめられております

この雰囲気。
なじめる人となじめない人に極端に別れるような気がしますね
好きな人には強烈にアピールするんだろうなあこれ。


色彩も強烈。


この映画で描かれるのは徹底的に管理された社会。
80年代中盤というと管理社会からの脱却という映画が多かったような気がします。



これを見ていて何かに似てるなあと思ったんですが
そう「デリカテッセン」でした。


あの映画もブラックユーモアに溢れた作品でしたね



80年代アンダーグラウンドって
跋扈し始めた管理社会への反発から
本当にアンダーグラウンドに入っていってしまってたような気がしますね



そのアンダーグラウンドは
近未来だったり、地下世界だったり
今ある世界のすぐ裏側に存在する世界なのが印象的ですね。



そうえいばそのものずばり「アンダーグラウンド」という
映画もありましたね「黒猫・白猫」の監督でしたねこれ。


マイ・ガール
¥3,591

なんだか赤毛のアンを思い出してしまった。


子供の空想力はとてつもない広さをもっていて

なんでもない小道や湖なんかにありったけの

想像力を駆使して名前をつけちゃったりします。



この子達は、その空想力を詩という形で

表現していきます。



いつの日か、そんな日々を潜り抜けて

もう少し大きな世界へとすすんでいくことになるわけですが

彼らは彼らなりの忘れられない経験を経ることで

夢見がちな時代をのり超えていくことになります。



マイライフアズアドッグもそうでしたが

忘れられない経験を通して、ちょっとずつ成長していくもの

なんでしょうね、人間って。



ラストはちょっと切ないですが

前向きに生きていこうとする彼女の決意で

安心して見終えることが出来る映画でした。


テンプテーションズのマイガールという歌が

またこの映画にはまってるんですよねえ・・・



始めてみたときから15年くらいたちました。

また見てみたいなあと思う映画です。


http://www.youtube.com/watch?v=ltRwmgYEUr8









ギルバート・グレイプ/ジョニー・デップ
¥9,400
Amazon.co.jp




ジョニー・デップ主演、

ジュリエット・ルイス、レオナルド・ディカプリオ出演作


ラッセ・ハルストレム の作品はいつも素朴だ。

荒唐無稽な話なんてないし、大々的な主題歌とかもない。

ただただ、日常をありのまま切り取っているかのようだ。


この映画もまさにそう。

どこにでもありそうなアメリカの田舎を舞台にしている。


もやもやした気持ちを抱えたままのジョニー・デップと、

知恵遅れでいっつも給水塔にのぼってしまう弟 ディカプリオ。


この映画で光っているのが、颯爽とした感じのジュリエット・ルイス。

彼女の明るさが巻き起こすさわやかな風が、この映画をいっそう忘れがたいものにしている。


・給水塔にのぼってしまった弟を降ろすために、弟の好きな歌を歌うジョニーデップ。

・思わず弟を殴ってしまって、自己嫌悪で涙ぐんでしまうジョニーデップ。


ジョニーデップにとっても出世作となったのかな。


でも一番すごいのは、ディカプリオの演技力。

いや、本当にすごいですよ。

タイタニックとか出たので馬鹿にしている方もいるかもしれませんが

演技力はあります。


だって、知恵遅れの子供を本当に上手く演じているんだもの。

泣いてしまうシーンなんて、もう、すごかったもの。


最後には母の亡骸とともに家に火をつけます。

最後シーンの炎・・

これは、いままでの人生に別れを告げて新しいステージへと

ページをめくるための、きっかけとなっているんだろうな。


だって炎をみつめるジョニーデップの目には、未来しか見えないんだもの。


さわやかな風が吹き抜けていったかのような名作です。



このブログは再録版です
初掲載:2005/8/11

人気blogランキングへ

=============================

出演: ジョニー・デップ , ジュリエット・ルイス 、レオナルド・ディカプリオ

監督: ラッセ・ハルストレム

=============================

マイライフ・アズ・ア・ドッグ/アントン・グランセリウス
¥4,293
Amazon.co.jp

ラッセ・ハルストレムの映画は見終わった後

とっても暖かい気持ちになりますね。



主人公は、とある一時期の経験を通して

ちょっぴり成長していきます


この映画の主人公イングマールは

わんぱくな子供。


父は出稼ぎ、母は病気がち、兄との中も微妙・・

とまあうんざりするような毎日


唯一の慰めは愛犬シッカンと過ごす日々


お母さんの病気が悪化して、親類の住む町に預けられるイングマール。

愛犬シッカンとも別れなくてはならなくなる。


その町で出会った人々。

小さい町の中で誰がどうしたこうしたということが話題の中心

そんなことで日々喜び、怒り、悲しみ、楽しんで毎日を過ごしている


その親類の住む静かな町と、そこに暮らす風変わりな人々との交流が

彼をゆっくりと癒していく。


そして常に「人間の勝手な考えで宇宙船に載せられたライカ犬に比べれば自分はましだ」と

考えていた彼自身が少しずつ変わっていく。


自分で考え、自分で行動し、自分で決着をつけられるようになっていく。


そうそれは、少年から大人への変化の第一段階だったんでしょうね。



思えば両親共働きのため夏休みには

田舎の祖父母宅で過ごしていたんですけど

そこでの近所の人とのふれあい、自然とのふれあいが

今ある自分のなにものかを形作っているような気がします。



そんな少年の内面の成長を

とっても優しく描き出した作品です。


ラッセ・ハルストレムの初期の名作です。

ぜひご覧になってください。




=============
出演: アントン・グランセリウス

監督: ラッセ・ハルストレム

=============



人気blogランキングへ
シービスケット
¥3,420

夢に向かって歩みだす瞬間

こういう瞬間は誰にでもあると思います。

不安もあるけれどそれよりも、やってやるぞ!なんていう

気持ちがとても強くて



もう自分の目の前にはアカルイミライしか見えなくて


こんな瞬間だけは近視眼的思考でもいいのだと思います



とはいえ順風満帆に行かないのが人生の常
思いもよらぬ、事件がその先には待っているものです。



まさに、星野道夫さんの言うところの

Life is what happen to you , while you are making other plans.

ですね。



こういった事件を乗り越えていけるか否か

それが夢を実現できるか否かの試金石なんだと思います


そこで逃げてはいけない

歯をくしばってでも立ち向かわねば


逃げてしまったらその先にたたずんでいる

幸運すら逃がしてしまう



この映画の主人公も、

大一番のレースを前にして大怪我を追ってしまいます


シービスケットにしても終盤で大きなライバルとの

対決を余儀なくされます


彼らにとっては非常に辛い場面

負ければ全てを失います


彼らのプレッシャーとそれに打ち勝とうとする意志が

映画から伝わってくるからこそ

ラストのレースのシーンにあれほどまでに

感動できたのだと思う。


まさに、銀幕以外何も目に入らない瞬間でした。


そしてその先には・・



登場人物の歩みを自分の歩みに置き換えて


これはそんな風に楽しむ映画なのかもしれません。



============================================
出演: トビー・マグワイア, ジェフ・ブリッジス, クリス・クーパー, エリザベス・バンクス, ウィリアム・H・メイシー
監督: ゲイリー・ロス
2004年
============================================

ポニーキャニオン
シービスケット プレミアム・エディション