DALI のコンパクトスピーカー
「KUPID」 は
テレビ横にも置きたくなる!エンタメサウンドも相性抜群
2025/12/17
折原一也
DALIのコンパクトスピーカー「KUPID」はテレビ横にも置きたくなる!エンタメサウンドも相性抜群 (1/2) - PHILE WEB
DALI 「KUPID」 57,200円(ペア/税込)
デンマークのHi-Fiオーディオブランドの名門であるDALIから登場した「KUPID(クーピッド)」は、その名の通り、音楽ファンとオーディオを結びつける “キューピッド役 ”を担うプレミアムコンパクトスピーカーだ。
同社のフラグシップモデル「KORE」の設計思想を受け継ぎつつ、ペア5万円台クラスという手が届きやすい価格帯に収めた、“もっとも小さなKORE” というコンセプトのモデル。純粋に音楽リスニング用のスピーカーとしての実力はもちろんだが、筆者は「テレビの横に置くHi-Fi」という観点にも注目している。
キャラメル・ホワイトやゴールデン・イエローは、明るい部屋にさりげなくインパクトを与える
ブラック・アッシュやチリー・ブルー、ダーク・ウォルナットはシックなデザインルームに寄り添ってくれる
近年はVODサービスでの映像視聴が中心となり、Dolby Atmosなど立体音響フォーマットが採用されている作品も身近になってきたが、いまだにテレビ内蔵スピーカーで試聴しているケースも多い。
サウンドバーという選択肢があるが、音質を求めるなら「テレビボードに載るサイズの本格スピーカー+HDMI搭載プリメインアンプ」といったHi-Fiシステムも案に入り、そのシステムにKUPIDは打ってつけだ。
そこで本稿では、KUPIDのサウンドは映像コンテンツをどのように鳴らしてくれるのか、KUPIDの新たな魅力を掘り下げていく。
本物のHi-Fiスピーカーによるテレビサウンドが完成するサイズ感とデザイン性を備える
KUPIDは、強力なネオジウムマグネット・ドライバーを採用した、超軽量の26mm ソフトドーム・トゥイーターを搭載しており、粘性500cpという非常に柔軟性の高い粘性を導入した磁性流体によって、KOREの磁性流体を用いらないサウンド傾向を汲んでいる。
ネオジウムマグネット・ドライバーを採用した26mm ソフトドーム・トゥイーター
ウーファーには、KUPID専用に設計されたスフェリカル型(球型)の115mm ウッドファイバーコーン・ウーファーを投入。ボイスコイルボビンとコーンの接合部をアルミ製のカプラーを組み込んだことで、トランジェントの強化を成し得ていることもポイントだ。
和紙のような感触になっており、小口径のウーファーの特性に合わせた作りこみが施された115mm ウッドファイバーコーン・ウーファー
KUPIDは、そのサイズ感とデザイン性も見逃せない。150W×245H×198Dmmのコンパクトな筐体と、ブラック・アッシュ/ダーク・ウォルナット/キャラメル・ホワイト/ゴールデン・イエロー/チリー・ブルーの5色展開という高いインテリア性を備えている。
コンパクトだからこそテレビ横にも置きやすく、またARC対応のHDMIを搭載するプリメインアンプと組み合わせても、テレビ周りに組み合わせやすいサイズ感なので、手軽に本物のHi-Fiスピーカーによるテレビサウンドが完成する。
外側と内側の両方にフレア構造を採用したバスレフポート
シングルワイヤリングのスピーカーターミナルを投入
では、早速テレビの横に置いて、KUPIDによるテレビシアターサウンドを検証していこう。テレビとKUPIDの間には、ARC対応のHDMIを搭載したマランツのプリメインアンプである「NR1200」を組み合わせた。ダブル・ディファレンシャル構成のD/A変換回路によって音質を高めただけでなく、ネットワーク機能のHEOSに対応するなど、音質だけでなく高機能も特徴のモデルをリファレンスとして使用した。
ARC対応のHDMIを搭載したマランツのプリメインアンプ「NR1200」(116,600円・税込)を使用
NR1200の背面端子部。HDMI入力を5基、ARC対応のHDMI出力を1基装備している
ドラマ作品ではセリフの定位と再現性が高く、情報量の多いシーンも余裕で鳴らす
『ウェンズデー シーズン2』(Netflix)を再生してみよう。第1話のイントロから再生を開始すると、まず感じるのは、テレビ画面とのマッチングの良さだ。KUPIDをテレビ左右に配置したシンプルなシステムだが、セリフが画面中央に適度な奥行き方向の距離感を伴って定位し、再現性が非常に高い。単に中央から聞こえるのではなく、声の高さまでほぼ画面上の口元と一致して感じられるほどだ。
音元出版の視聴室で、パナソニックの4K液晶テレビ「TV-65W95B」と組み合わせて、KUPIDの映像コンテンツのサウンド再現力をチェック
冒頭、サスペンスフルな静寂をたたえるシーンでは、かすかな環境音や残響が画面の奥へと自然に広がり、空間の気配が伝わってくる。一転してコメディタッチの空港セキュリティゲートのシーンになると、アナウンスや人々の足音が左右に広がりつつ、セリフはしっかりとセンターに定位。音場も広く、情報量の多いシーンも余裕で全ての音を再現する。
特筆すべきは、スコアと環境音の共存だ。不気味さとコミカルさが同居する音楽は、チェレスタの金属的な響きの粒立ちから、オーケストラが描く重厚なスケール感まで、スピーカーサイズを超えた余裕の再現。
小型キャビネットとは思えないほど沈み込む重低音も驚きのポイント。ステレオ再生とは思えない臨場感とスケールを生み出せるのは、KUPIDだからこそ成し得る空間再現力の証明と言える
KUPIDを65型テレビの横に設置したイメージ。非常にコンパクトであることがわかる(写真のテレビラックはGlissando tuned by ADK「GL-2625」)
43型テレビの横に設置したイメージ。KUPIDはパーソナルな空間でも導入しやすい(写真のテレビはパナソニック「TV-43W90B」
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音楽要素の多い映像作品は本物のHi-Fiスピーカーをテレビ横に置く魅力を最大限に実感できる
続いては、『グラスハート』(Netflix)より、クライマックスにあるバンド演奏が必聴な第3話を再生。いわゆる音楽モノの作品を視聴すると、KUPIDの音楽再生能力の高さが明確に表れる。
海上ライブシーンの冒頭、ピアノのイントロが鳴った瞬間、その響きの質感に驚く。ドラマのピアノでも質感が現れるのは、音楽モノの作品としては鳥肌モノ。ボーカルは、センター位置から適度な距離感を保ちながら浮かび上がる。
男性ボーカルの声の芯がしっかり出るし、息遣いのニュアンスもしっかり再現するのに、耳に刺さらないバランスが巧みだ。ドラムのスネアは弾けるようなアタックを伴って鳴り、シンバルの余韻も粒立ちよく空間に散っていく。
ゴールデン・イエローモデル
キャラメル・ホワイトモデル
ギターとベースの分離も良好で、クライマックスで音数が増えても、各パートとも聴き分けられるほど。ベースラインは輪郭が明瞭で、引き締まったサウンドも好印象だ。KUPIDの低域は、サウンドバーのような量感タイプではなく、Hi-Fiオーディオらしいスピードと低音の解像感を堪能できる。
ライブ終了後の花火のシーンでは、打ち上げ音と爆ぜる音の距離感の違いが明瞭に出る。遠くの残響と近くの破裂音を描き分けることで、高さまでを含めた立体感が伝わってくるのだ。
大画面テレビの映像とKUPIDのサウンドの組み合わせは、音楽ドラマの魅力を引き上げてくれるため、これこそが本物のHi-Fiスピーカーをテレビ横に置く魅力であると実感させてくれる。
アクション映画はサラウンドを彷彿する包囲感と臨場感、重低音の再現も迫力十分
最後に、激しい銃撃戦と爆発が連続するアクション映画『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(Netflix)で、KUPIDのダイナミックレンジとスケール感を検証。
冒頭、リビアの基地を急襲するシークエンスでは、戦闘が始まる前の静寂な場面からKUPIDの実力が見えてくる。戦闘が始まる前の静寂なシーンから、風音や環境音の情報量が非常に多く、ステレオ再生でありながらサラウンドに近い包囲感と臨場感が得られることに驚かされた
チリー・ブルーモデル
ヘリコプターが接近してくると、ローター音が画面の外側まで広がり、一気に臨場感が高まる。ミサイル着弾の爆発音や、戦場と化した基地で飛び交う銃声は、コンパクトスピーカーからは想像できない、驚くほど切れ味がある。制動の効いた、締まりを重視して低域再現ながらも、重低音の再現は臨場感豊かで迫力も十分だ。
KUPIDの映画サウンドまでしっかりカバーする、エンタメ的なサウンドにもしっかりと応えてくれる実力派モデルであることを、強く印象付けてくれた。
ブラック・アッシュモデル
ダーク・ウォルナットモデル
“新時代の北欧プレミアムコンパクト” が最高のエンタメ体験をもたらしてくれる
KUPIDをテレビサイドに導入することは、単なる「テレビの音質向上」のレベルにはとどまらない。日常的に視聴するドラマや映画、音楽ライブといった映像コンテンツを、明確にHi-Fiオーディオの領域まで引き上げてくれる存在だと強く感じた。
そして、KUPIDはやはりそのデザイン性ゆえに、「家に置きたくなる」魅力がある。コンパクトな筐体、5色のカラーバリエーション、そして外装の仕上げにより、テレビボードの上にあってもオーディオ機器然とした威圧感がない。むしろ「Hi-Fiサウンドを楽しめる北欧インテリア」のような佇まいで、リビングの雰囲気を上質に演出してくれる。
テレビの音をさりげないスタイルで本格的にグレードアップしたい、そんなユーザーはぜひともKUPIDを検討してみてほしい。“新時代の北欧プレミアムコンパクト” が、最高のエンタメ体験をもたらしてくれる。
[SPEC]
●形式:2ウェイ・バスレフ型 ●スピーカーユニット:26mm ソフトドーム・トゥイーター×1、115mm ペーパー&ウッドファイバーコーン・ドライバー×1 ●再生周波数帯域:63Hz – 25kHz ●感度:83dB ●インピーダンス:4Ω ●クロスオーバー周波数:2.1kHz ●外形寸法:150W×245H×198Dmm ●質量:2.96kg ●カラーバリエーション:ブラック・アッシュ/ダーク・ウォルナット/キャラメル・ホワイト/ゴールデン・イエロー/チリー・ブルー
(提供:株式会社ディーアンドエムホールディングス