北海道を守った占守島(しゅむしゅとう)の戦い | あだちたろうのパラノイアな本棚

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マンガ『ゴールデンカムイ』を読んでいたらですね、最終話あとのエピローグで、「占守島の戦い」というのが出てきたのです。

 

 

マンガではこのお話がまさかのフィクションとしていい感じに謎解きになっていて、 

「あぁそうだったのか・・・これはホンモノの愛だな、愛」 

て感じでジンワリ感動なのですけど、そもそも占守島の戦いってなんだろうなーと気になって、調べてみたのです。細かいところが気になると調べずにはいられないんだな。

 

この本は新書なので研究に基づく論文なのですが、筆者の上原卓さんが”真っ当な自国史の授業化を目的とする”「自由主義史観研究会」に所属しておるため、たまに「ん?」と感じる論調が出たりします。鵜呑みにするのは気をつけなければならないです。(例えば、大東亜戦争の意義とかチョイと右翼的な)

 

本文の戦記については、大変興味深かったです!本当に危機一髪でした、日本が、というか特に北海道がやばいぞガーン

 

船船船

 

占守島は千島列島の一番端っこにあり、ロシア領カムチャッカ半島の目の前にあるちっちゃな島です。

千島列島と樺太には昔から日本人とロシア人が混在して住んでいました。幕末の安政元年に結ばれた日露和親条約で択捉・国後・歯舞・色丹が日本の領土となり、その先はロシア領となります。

 

以後、明治時代に入ってからの外交交渉により明治8年に千島・樺太交換条約が結ばれ、占守島までの千島列島が日本領となり、代わりに樺太がロシア領となりました。

 

そのあと日露戦争後の明治37年、ポーツマス条約により南樺太を日本が獲得した、という歴史になります。

 

なので昭和の戦時中には千島列島は日本が防衛しなければならない自領だったわけです。この辺りは豊富な海産物の漁場となっており、島々にはカンヅメ工場があって女性を含む民間人が2万人くらい働いていたとのこと。この人たちを守らなければならないんですね。

 

この方面を指揮する司令部が札幌にあり、司令官が樋口季一郎中将です(マンガの人)。守備についたのが第91師団、堤中将麾下の将兵たちでした。

 

もともと対日参戦をするつもりであったソ連のスターリンは日本がポツダム宣言受諾後も引き続き日本を攻撃。その理由を

「天皇が行なった降伏の発表は単なる宣言に過ぎない。日本軍による軍事行動停止命令は出されていない」

との言い分で、アメリカのトルーマン大統領に以下地域をソ連が占領することを認めるよう要求・・・

 

北海道が危ない!!

 

 

・・・というわけで、ソ連の侵略を水際で防衛したのが占守島の戦いだったのでした。

 

最後に停戦交渉の使者としてソ連軍陣地に命がけで辿り着いた長島大尉の話が出てきます。

この人もそうだし、占守島でソ連兵と戦った戦車第11連隊とかは対アメリカ戦のために満州から移動させられてきた関東軍だったのね。

戦いの壮絶な模様が細かく記述されているので読んだのですが、やっぱり関東軍てすんごい強かったんだなと。

もちろん筆者さんの思い入れとか書き振りはありますが、わたしが読んだ感想としてはものすごい勇猛果敢で、恐ろしいくらいなんです。あと統率が取れてますし正確で速い戦闘技術を持ってるのですね。

 

占守島の兵士たちは終戦を知らされ、戦闘行為を停止せよとの命令で武器弾薬を埋めたり、戦車から砲や無線機を外してしまっています。その晩兵士たちは久しぶりに酒を酌み交わし語り合った後、安らかに眠りにつきました。

 

8月18日未明、ソ連軍が艦船からの砲撃を加えながら占守島の竹田浜にに侵攻。

竹田浜を守備していた村上少佐は、堤師団長から停戦交渉の軍使が来たら軽挙妄動せず知らせるよう言われていたのですが、

「こんな真夜中に砲撃しながら上陸してくる軍隊が停戦交渉のための軍隊であるはずがない」

と、咄嗟の判断で直ちに部下に反撃命令を発します。

 

ココですな。

ココが運命を分けた感じです。

 

なので一番の功績は村上少佐にあるのじゃないかな?

樋口季一郎中将は、「一切の戦闘行為の停止、ただしやむを得ない自衛行動は妨げず」という命令を下していたけれども。

日本軍は廃棄してしまった戦車とか武器弾薬を急いで掘り出し整備をしてたちまち戦闘を開始したわけです。

 

長島大尉が停戦交渉の軍使となるくだりはまるで小説のようです。信頼する部下やロシア語の通訳とともに銃撃に晒されながら進むも、一人倒れ、二人倒れ・・・

 

停戦文書を出してもソ連将校が信用しなかったので、

「君たちが信用しないなら私はHARAKIRIする」

と言ったらウーンと唸って言うこと聞いたのが面白かった。

ハラキリってそんな世界的に有名だったのか。そして、そんなに恐ろしいものなのか。

 

停戦文書がソ連にわたり、武装解除の命令を各陣地にしている途中で、突如アメリカの空軍機が飛来します。

ああほんとだ・・・本当にあったのかこのエピソード。

 

やっと全ての戦闘が終わって解放されるかと思いきや、第91師団の将兵たちは捕虜になってシベリアに連行され強制労働をさせられるんですね・・・本当に酷いなコレ!!!ムカムカ

 

という、なんとも激しくも悲しい歴史を学ぶことになりました。

 

でも、一番知りたかった”アメリカの空軍機がなぜ飛来したか”はわからなかったな・・・これはまた別方面で調べないとダメかもしれません。機密情報で、一生真相は出てこないかもしれないが。

 

 

〜おまけ〜

 

なんだか揃えたくなってきてキューピー追加GET。

 

尾形のポンチョ(マント?)かわいい。

キューピー増えてきたので、専用の「推し棚」欲しいな。