狸です。

賃金や出勤簿のデータを見ていると、全く休みもとらずに働き続けている従業員さんが目に付くことがある。

ハタから見ると、「よく働く従業員さん」である。

しかし、この様な従業員さんは、本当によく働く従業員さんの場合と不正を隠している従業員さんの場合に大別される。

よく働く従業員さんなのか不正をしているために不正が発覚しないように他の従業員さんより早く出勤し他の従業員さんよりも遅くまで働いているのかという見極めは非常に難しい。

見極めを間違って、よく働く従業員さんを不正をしていると判断してしまうと取り返しがつかなくなる。逆に不正をしている従業員さんを見過ごしているとこちらも取り返しがつかなくなる。

見極めのポイントは、正直なところ「ヤマカン」である。

というのも、不正を働く従業員さんでも最初から不正を働く従業員さんは殆どいない。会社のために一生懸命働く従業員さんがいつの間にか不正を働く従業員さん転化するのである。

毎日夜遅くまで、他の従業員さんが帰った後も一生懸命働いているときに、机の上に現金が置いてあれば、最初はその気がなくても、だんだんと手が伸びてしまうものである。会社には誰もみている者はいない。自分一人がしんどい思いをして仕事をしている。そこに目の前に現金があるのだ。悪いとわかっていても「すぐに返せば大丈夫」とか「チョット借りるだけ」という気持で、手がでてしまうようだ。一旦手がでてしまうと後はおきまりのコースになる「次のボーナスで返そう」とか「何とか分割で返そう」と思いつつ泥沼にはまってしまう。そして、不正がばれないように、仕事を休むことができなくなり、他の従業員さんより早く出勤し誰よりも遅くまで頑張る従業員さんになるわけである。

この様に、もともと一生懸命働く従業員さんの方が「不正」という落とし穴に落ちやすいのだ。

ところで、誰もいない会社の机の上に「現金」ナンかおいていないと思うでしょう。しかし、日本は判子主義ですから、現金が無くても、鍵のかかっていない引き出しの中に、上司の判子があれば、不正ができてしまうわけです。つまり、誰もいない会社で判子が自由に押せる状況があれば、不正の温床となるわけです。

しかし、いくら不正の温床があったといえども、悪いのは不正を働いた従業員さんです。社会保険労務士として難しい判断をしなくてはならない瞬間です。



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