こんにちは。


早いもので本日4月1日で、Bistrot Langue de chatは4周年を迎えました。


2010年の4月1日にオープンしてから本日まで、


一体どのくらいのお客様にご利用頂いたのだろうと思い、データを見直してみたところ、




49825人のお客様にご利用頂いておりました!!




約5万人・・・。感謝の一言に尽きる次第であります。




この一年間を振り返ると同時に、シェフからLangue de chatのコンセプトを一部変更するとの発表もあり、


スーシェフKさんと私は黙って聴いておりました。


コンセプトの変更につきましては、別機会に記したいと思います。


また来年の5周年の際、一年間を振り返って確実に進化を実感できるような営業を重ねて行けるよう邁進致します。


今後ともご愛顧を賜りますよう、お願い申し上げます。




そして、毎年恒例の周年イベントと致しまして、4月1日火曜日~6日日曜日の間、


グラススパークリングワイン(白orロゼ)、スパークリングワインカクテル各種を、300円にてご提供させて頂きます!!


※但しフロボトルでのご注文は対象外ですので、グラスでご注文下さいませ。




4年間の感謝の気持ちを噛みしめると共に、皆様のご来店を楽しみにお待ちしております。




引き続き、このトリオで頑張ります!


ソムリエールY・Y

こんばんは。お陰様で3月は忙しくさせて頂いております。


営業が忙しい上に、季節の変わり目真っ只中・・・。


メニュー変えラッシュで、Langue de chatは毎日てんてこまいです(((( ;°Д°))))


花粉症に隠れて風邪も流行っているようですが、皆様お元気でお過ごしでしょうか。




毎度のことですが、更新が追い付かず、まとめて沢山のご紹介になります。


まずはデザートから!!




業者さんから、今年もルバーブの入荷が開始しましたとのお知らせを受け、


早速今年もあのデザートを準備し始めたスーシェフKさん。




ちなみに下記のリンクより、昨年初めてこのデザートを仕込んだ際の奮闘ぶりをご覧頂けます。


丁度1年前のブログです。


もし宜しければご覧くださいませ。




試作編
←ここをクリック




試食編
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昨年あれだけ奮闘して作り上げたレシピですが、スーシェフKさんの頭の中にはしっかりと染みついており、


今年はスムーズに仕込みが進んでいきます。




まず、ルバーブをコンポートにします。


Langue de chatブログのヘビーウォッチャーの方は、もうお気付きかもしれませんね。


そうです。苺とルバーブのタルトです。




※ちなみにルバーブとは。


フランス産の野菜であり、写真のように、赤いフキのような姿をしております。


和名を大黄と呼び、八幡浜で言う「スカンポ」のようなものだそうです。(byシェフ。)


爽やかな酸味を持つ野菜ですが、フランスではコンフィチュール(ジャム)にしたり、お菓子にする場合が多いです。






苺とルバーブを、バランス良くタルト生地の上に並べるスーシェフKさん。


シェフに撮影のアングルを指示され、ちょっと動きがぎこちない・・・笑。






完璧な焼きあがりです。








同日にクラフティも焼きあがりました。


今まで苺のクラフティでしたが、苺とルバーブのタルトがメニュー入りするので、洋梨のクラフティです。


こちらも仕込み慣れたデザートだけあり、スムーズです。






ちなみに盛り付け図はこのような感じです。





















あれ?一番下に見慣れぬデザートが。


こちらは新作のヌガーグラッセです。


イタリアンメレンゲ(蜜入りのメレンゲ)にアーモンド・クルミ・レーズンを加え、冷やし固めたフランス菓子です。


イタリアで言うカッサータに近いのですが、チーズは使用しません。




カシスのアイスクリームとブルーベリーの赤ワインコンポートを添えて。


口溶けの良い、爽やかなデザートです。


ちなみに写真は夜のデザート用の盛り付けで、2枚付けですが、


ランチでお出しする際は1枚付けとなります。






ちなみに写真はありませんが、復活デザートで、「ランゴ・オ・ショコラ」と「ガトー・ド・フロマージュ・オ・キャラメル」も登場しており、デザートメニューが一新致しました!




Langue de chatでの幸せな食事の時間を締めくくる、スーシェフKさんのデザートたち。


是非お召し上がり下さいませ!








続いてサングリアの仕込み模様です。




春なので、白ワインでサングリアを仕込みました。


今回からちょっとレシピを変えて、リカール(アニス風味のお酒)を入れてみました。








こちらがリカールです。


パスティスの1種で、独特のアニス香は好みが分かれるところなのですが、


少量をスパイスの感覚でサングリアに使用すると、複雑味が増し、私的には大成功。




使用するワインやその他酒、香辛料、果物の種類や糖度によって仕上がりが全く違うのですが、

スパイスとしてスターアニスを加えるレシピも存在するので、アニス風味のリカールも合うだろうということで、少量加えてみました。


ちなみに私は白ワイン2本に対し、その他のお酒はウォッカ25cc、リカール25ccです。




ちなみにアニスの風味はフヌイユ(ういきょう・フェンネル)に近いので、


フヌイユ風味の前菜なんかにも合うのかな~と、想像しています。




暖かい季節の食前酒には最高だと思います。いかがでしょうか。






アンディーブとロックフォール、クルミのサラダ




前菜では、やっぱり美味しい定番のサラダ、復活しております。


いかがでしょうか。








そして、先日のブログでご紹介致しました、熊本県産褐毛和牛が、


3週間のウェットエイジング期間を経て、メニュー入りしております。




熊本県産褐毛和牛モモ肉のビフテック ソースリヨネーズ


クレソンのサラダと新じゃがのグラタンドフィノワ添え




写真でも存分に伝わると思います、この美しい赤身・・・。




一番の特徴は、やはり3週間のウェットエイジングを経て得た、その独特の食感です。


キメ細かく身の詰まった赤身は、熟成によりもっちりとした食感へ変化しております。


霜降り牛の、肉汁溢れるとろけるような柔らかさとは異なり、身の美味しさを口の中で長く咀嚼し、堪能することができます。


ソースリヨネーズはリヨン地方の名産である玉ねぎを使った、コクのあるソースです。


別添えのグラタンドフィノワも新じゃがを使用し、美味しく仕上がっております。


早くもお客様からご好評を頂いておりますので、第2弾の仕入れも検討中です。


是非是非お召し上がりくださいませ。






そして、こちらも肉料理の新作です。










フランス産ピジョン(小鳩)のロティ ソースマデラ




こちらのピジョンは家禽のものです。


家禽のものですので、ジビエの力強い風味が苦手な方でも大丈夫です。


丸ごと一羽ロティし、胸肉、ササミ、モモ肉を一緒に盛り付け、


マデラソースでのご提供です。


この時は別添えでグラタンドフィノワも。


一羽単位でのご注文になりますので、ちょっとボリュームは多めですが2~3名様でシェアして頂き、


各部位の美味しさを一度にお楽しみ頂ければと思います。












でもってまたまた肉料理の新作です。


駆除名目で狩猟されたイノシシのバラ肉を使い、煮込み料理を仕込みました。


今回仕込んだのは、奥道後産イノシシバラ肉のカルボナードです。


カルボナードとは、フランス最北部~ベルギー一部にかけての「フランドル地方」の郷土料理で、ビールと玉ねぎで肉を煮込むという料理です。


ちなみに南フランスでカルボナードというと牛肉の赤ワイン煮込みを指すようです。



かの有名なジョルジュ・オーギュスト・エスコフィエの著書、ル・ギット・キュリネールのレシピを始め、


牛肉を使うことが多いようですが、今回はイノシシバラ肉でお作りしました。










余分な油を処理し、タコ糸で巻き上げ、塩コショウを施し、フライパンで焼き色を付けます。






焼き上がりはこのような状態です。







黒ビールに白ビールを少し、玉ねぎを時間をかけてゆっくりフライパンで焼き色を付けずに水分を飛ばしたもの、


ディジョンマスタード、ビネガー、カソナード(砂糖)を合わせたもので、4時間半煮込みます。








いざ、試食です。(上記写真は試食用ですので、実際の盛り付けとは異なります。メニュー入りして間もないので、写真を撮れたらまたアップします!)




ナイフを入れると、ほろりと肉が崩れる柔らかさです。


ビールのアルコール度数は、肉を柔らかくしてくれるのに丁度良い度合いなのだそうです。


黒ビールのコクとほろ苦さ、玉ねぎの甘みがイノシシバラ肉の美味しさを引き立て、


イノシシの脂のとろけ具合も抜群ですが、しつこくないのはやはりイノシシだからこそです。


ビール煮込みですので、もちろんビールに合います。


ワインよりもビールが欲しくなるこれからの季節にぴったりの一皿です。


いかがでしょうか。










そして次の話題です。


Langue de chatの元スタッフTさんからのご紹介で、伊予市産のタモギタケが入荷致しました!






タモギタケは、日本では主に北海道に自生する、ヒラタケ科のキノコです。


非常に美味しいキノコなのですが、繊細で崩れやすいため流通が難しく、


愛媛ではあまりお目にかかれません。




今回入手したタモギタケは、伊予市の井上様の作るタモギタケです。


栽培を始めてから、外部への販売は初めてなのだそうです。


井上様がタモギタケの栽培を始めた経緯は、グループホームを運営されるなかで、安心して同グループホームの食事メニューとして出すことのできる、栄養価の高いキノコを自家栽培し、さらに外部に販売することによって利益確保にも繋げようという取り組みなのだそうです。


専用のウレタンドームを設置し、整った環境下で栽培を行っておられます。


美しい黄色、生き生きと健康的な外観で本当に美味しそうです。


特筆すべきは香りです。写真のように段ボールに入った状態でも、辺りに漂うタモギタケの香り・・・!












伊予市産タモギタケのブレゼ カリカリに焼いた生ハム添え


力強いタモギタケの香りと味を生かすよう、


シンプルな調理法でご用意しました。


ヴェルモット酒でブレゼ(蒸し焼き)し、キノコの旨みを引き出します。


シャキシャキとした歯触りも心地よく、いくらで食べられそうです。


カリカリに焼いた生ハムで塩気と食感のアクセントを加えながら頂くと、白ワインの最高のお伴です。





シェフ曰く「冷製でも美味しいし、貝類と合わせるのも良いかもね~。」とのことですので、


今後様々な調理法で登場するであろうタモギタケです。


是非一度お召し上がり下さいませ。




毎度ですが、沢山書きすぎて長くなってしまいました。


もう少しマメに、少しずつアップできると良いのですが・・・。


以後努力致します。






それでは皆様良い週末を!




ソムリエールY・Y

こんばんは。 
今季、長らくお届けして参りましたジビエブログも、
先日の更新をもちまして、一先ず終了とさせて頂きます。

鹿やイノシシに関しましては、害獣駆除名目で狩猟されたものが、
スポットで入荷する可能性がありますので、その時はまた、生々しい画像とともに、ブログにて入荷をお知らせ致します。笑


さて、狩猟期間が終了し、ジビエに続く、素敵な肉料理について模索していたシェフ。

肉と言えば、ヨーロッパ産牛肉の輸入が解禁になったこともあり、
現地で好まれるような、脂肪の少ない赤身の牛肉が、各洋食店に入荷するようになりました。
赤身の牛肉に焦点を絞り、Langue de chatでも仕入れを検討しておりました。


以前のブログで書いたことがあるのですが、
日本人が好む牛肉と、フランス人が好む牛肉は、全く性質が違います。
明治維新で肉食が解禁されて以来、「牛鍋(後に進化してすき焼き)」に最適な、
霜降りの柔らかい牛肉が、肉食文化の発展とともに、日本人の嗜好に馴染む肉として刻まれていったのですが、
フランスでは、少量の牛肉をご飯のおかずとして食す日本人とは異なり、
主食的な位置づけとなるため、脂肪の少ない赤身肉でなければ、それなりの量が食べられません。

また、フランス料理の命であるソースは、クリームやバターなどの動物性脂肪がベースとなるため、
霜降り和牛のような牛肉とは調和し辛いのです。

つまり、ソースとともにある程度のボリュームを食す、フランス料理で使う牛肉は、
脂肪の少ない赤身肉が絶対条件なのです。



良質な赤身の牛は無かろうかと探していたある日、
九州の業者さんより、
「熊本あか牛はいかがですか?」
と、ご連絡が!!

熊本あか牛は、「褐毛和種」と呼ばれる和牛の一品種です。


ちなみに和牛について少し書かせて頂くと、
和牛は、役牛(農耕や運搬の仕事に使う牛)として利用されていた、日本の在来牛を外来品種と交配させて、
肉用牛に改良した日本固有の4種類に分類され、
「黒毛和種」、「褐毛和種」、「日本短角種」、「無角和種」に分かれます。

※その他の品種や和牛と他品種の交雑牛は、「国産牛」の表示で流通しています。

和牛のうち95%が黒毛和種が占めており、「神戸牛」、「松坂牛」、「前沢牛」などがこれにあたり、
良質な霜降りの身を造ります。

こちらが黒毛和種。


そして褐毛和種は、熊本県と高知県でそれぞれ独自に改良され、
両者ともに褐毛和種として認可されています。
熊本の褐毛和種は、朝鮮由来の「肥後赤牛」とスイス原産のシンメンタール種との交配によるもの。
「熊本あか牛」などの通称で呼ばれ、熊本県や北海道でよく飼育されており、発育が良く、放牧に適しているそうです。

こちらが熊本系の褐毛和種。



高知の褐色和種は、朝鮮牛にシンメンタール種を掛け合わせたところ、
大きくなりすぎたため農家から好評を得られず、その後は朝鮮牛の雄を用いて改良が行われました。
そのため、高知の褐毛和種は朝鮮牛の特徴が非常に色濃く、「改良朝鮮種」とも呼ばれていました。
熊本系に比べるとやや小型で耐暑性に優れており、「土佐あか牛」、「土佐褐牛」と呼ばれ、
現在は高知県のみで飼育されています。
黒毛和種に次いでサシが入りやすいのですが、赤身にも旨みがあります。


こちらが高知系の褐毛和種。


ちなみにこちらが日本短角種。


こちらが無角和種です。


話は戻り、早速熊本褐毛和牛モモ肉が入荷致しました。


大きさの参考までに、下のナイフが刃渡り30センチのものです。

サシの入っていない赤々しい赤身と言いますか・・・本当に美しい赤身です。

この美しい赤身の牛肉を手にしたシェフは大興奮!!


そして私へお達しです。


「次回ブログのテーマはこれでよろしく!!」

というわけで、私もシェフの料理本を借りて牛肉や、後述するエイジングについてお勉強致しました。


小さなビストロでは牛肉や熟成の勉強をするのもソムリエールの務めです・・・。笑

肉ブームの昨今、肉を美味しく、しかも健康的にたべるための「熟成」という技術が注目されています。

ヘルシーでたんぱく質が豊富な赤身肉に向く技術であり、硬いイメージの赤身の肉が、「柔らかくてさっぱりして食べやすい」と、熟成によってイメージが変わります。
熟成はたんぱく質が分解するものなので、たんぱく質の多い赤身に働きます。
ちなみに脂肪に関しては甘みや香りが抑えられ、さっぱりとした食味となります。

肉に関する熟成は、はっきりとした定義はないものの、時間の経過とともに食べ頃に変質していくことを指します。


そして熟成には3つの利点があります。

①肉が柔らかくなる。
死後硬直が解け、さらに時間の経過とともに肉の細胞が変化して柔らかくなり、
更に時間を置くと、肉を構成している筋組織が分解して、更に柔らかくなっていきます。

②旨みが増す。
肉のたんぱく質が時間経過とともに旨みの元であるアミノ酸に分解して、味が良くなるのです。

③独特の熟成香が生まれる。
熟成によって生じる香りが肉の中に入り込み、
焼くという加熱調理によって生じる、香ばしい香りとともに楽しむことができます。


そして、熟成の方法には「ドライエイジング」と「ウェットエイジング」の2種類があります。

まず最近よく耳にするドライエイジングですが、
適切な温度、湿度、時間という環境要素を整えた状態で、真空パックに入れず、
肉から発せられる菌類の働きを利用して、肉を熟成させる方法です。


まず温度ですが、4度以上になると悪い菌が増殖するので、0~1度ほどを保って設定されます。
0~1度という温度帯は食中毒菌は増えにくいのですが、
熟成に必要な低温発酵菌である酵母は増える温度帯なのです。

さらに扉の開閉で温度が上がらないよう、常に細心の注意を払い、温度を管理します。


次に湿度です。低温低湿度下に肉を一定期間おいて水分を抜きます。
そうすると旨みを凝縮させる意味があります。
しかし完全に水分を抜くとビーフジャーキーのようになってしまいますので、
適切な湿度を保ち、必要以上に水分を抜かないような環境をつくることが重要です。


そして時間です。求める肉の状態によって熟成の期間は前後しますが、
死後硬直が解けるまで1週間、柔らかさを感じるまでに2週間ほどかかるというのが一般的です。
ですから最低でも2週間から20日間はおかないと、熟成の意味が無くなるようです。

このように温度・湿度を一定に管理し、適切な熟成期間を守り、更には肉種ごとに異なる菌が混ざらないよう、熟成庫に多種の肉を入れないようにしたり、なるべく大きな塊で骨付きの状態で熟成させるなどと多岐に渡る注意点があります。

お客様から見えるように、立派な熟成庫をホールに設置したレストランもありますが、
Langue de chatにはそのように整った熟成設備があるわけが無く・・・、
選択した手法はウェットエイジングです。

ウェットエイジングは真空パックに入れた状態で冷蔵庫で2週間ほど熟成させる手法です。
時間の経過とともにたんぱく質が分解され、アミノ酸に変質するのはドライエイジングと同様ですが、
パック内に空気が介在しないため、ウェットエイジングでは熟成がゆるやかに進行します。

さらにドライエイジングでは肉の表皮にカビが生じ、
そのカビが持っているプロテアーゼというたんぱく質分解酵素が肉内に浸透していくのですが、
真空下ではこのプロテアーゼが働かないため、ドライエイジングほどのたんぱくしつのアミノ酸分解は望めないようです。
とはいえ肉自体は時間経過とともに柔らかくなります。

上手くウェットエイジングが進んでいることを祈りつつ、約2週間後にリリース予定です。
熟成の成果は、画像とともにブログにてご紹介予定ですので、お楽しみに!!


追伸:霜降り牛肉万歳の時代は、終わりを告げるかもしれませんね。



ソムリエールY・Y