こんばんは。 
また、フランス料理の命であるソースは、クリームやバターなどの動物性脂肪がベースとなるため、
ちなみに和牛について少し書かせて頂くと、
和牛のうち95%が黒毛和種が占めており、「神戸牛」、「松坂牛」、「前沢牛」などがこれにあたり、
高知の褐色和種は、朝鮮牛にシンメンタール種を掛け合わせたところ、

話は戻り、早速熊本褐毛和牛モモ肉が入荷致しました。
そして私へお達しです。
そして、熟成の方法には「ドライエイジング」と「ウェットエイジング」の2種類があります。
まず温度ですが、4度以上になると悪い菌が増殖するので、0~1度ほどを保って設定されます。
次に湿度です。低温低湿度下に肉を一定期間おいて水分を抜きます。
そして時間です。求める肉の状態によって熟成の期間は前後しますが、
追伸:霜降り牛肉万歳の時代は、終わりを告げるかもしれませんね。
今季、長らくお届けして参りましたジビエブログも、
先日の更新をもちまして、一先ず終了とさせて頂きます。
鹿やイノシシに関しましては、害獣駆除名目で狩猟されたものが、
スポットで入荷する可能性がありますので、その時はまた、生々しい画像とともに、ブログにて入荷をお知らせ致します。笑
さて、狩猟期間が終了し、ジビエに続く、素敵な肉料理について模索していたシェフ。
肉と言えば、ヨーロッパ産牛肉の輸入が解禁になったこともあり、
現地で好まれるような、脂肪の少ない赤身の牛肉が、各洋食店に入荷するようになりました。
赤身の牛肉に焦点を絞り、Langue de chatでも仕入れを検討しておりました。
以前のブログで書いたことがあるのですが、
日本人が好む牛肉と、フランス人が好む牛肉は、全く性質が違います。
明治維新で肉食が解禁されて以来、「牛鍋(後に進化してすき焼き)」に最適な、
明治維新で肉食が解禁されて以来、「牛鍋(後に進化してすき焼き)」に最適な、
霜降りの柔らかい牛肉が、肉食文化の発展とともに、日本人の嗜好に馴染む肉として刻まれていったのですが、
フランスでは、少量の牛肉をご飯のおかずとして食す日本人とは異なり、
主食的な位置づけとなるため、脂肪の少ない赤身肉でなければ、それなりの量が食べられません。
また、フランス料理の命であるソースは、クリームやバターなどの動物性脂肪がベースとなるため、
霜降り和牛のような牛肉とは調和し辛いのです。
つまり、ソースとともにある程度のボリュームを食す、フランス料理で使う牛肉は、
脂肪の少ない赤身肉が絶対条件なのです。
良質な赤身の牛は無かろうかと探していたある日、
九州の業者さんより、
「熊本あか牛はいかがですか?」
と、ご連絡が!!
熊本あか牛は、「褐毛和種」と呼ばれる和牛の一品種です。
ちなみに和牛について少し書かせて頂くと、
和牛は、役牛(農耕や運搬の仕事に使う牛)として利用されていた、日本の在来牛を外来品種と交配させて、
肉用牛に改良した日本固有の4種類に分類され、
「黒毛和種」、「褐毛和種」、「日本短角種」、「無角和種」に分かれます。
※その他の品種や和牛と他品種の交雑牛は、「国産牛」の表示で流通しています。
和牛のうち95%が黒毛和種が占めており、「神戸牛」、「松坂牛」、「前沢牛」などがこれにあたり、
良質な霜降りの身を造ります。
こちらが黒毛和種。
そして褐毛和種は、熊本県と高知県でそれぞれ独自に改良され、
両者ともに褐毛和種として認可されています。
熊本の褐毛和種は、朝鮮由来の「肥後赤牛」とスイス原産のシンメンタール種との交配によるもの。
「熊本あか牛」などの通称で呼ばれ、熊本県や北海道でよく飼育されており、発育が良く、放牧に適しているそうです。
こちらが熊本系の褐毛和種。
高知の褐色和種は、朝鮮牛にシンメンタール種を掛け合わせたところ、
大きくなりすぎたため農家から好評を得られず、その後は朝鮮牛の雄を用いて改良が行われました。
そのため、高知の褐毛和種は朝鮮牛の特徴が非常に色濃く、「改良朝鮮種」とも呼ばれていました。
熊本系に比べるとやや小型で耐暑性に優れており、「土佐あか牛」、「土佐褐牛」と呼ばれ、
現在は高知県のみで飼育されています。
黒毛和種に次いでサシが入りやすいのですが、赤身にも旨みがあります。

こちらが高知系の褐毛和種。
ちなみにこちらが日本短角種。
こちらが無角和種です。
話は戻り、早速熊本褐毛和牛モモ肉が入荷致しました。
大きさの参考までに、下のナイフが刃渡り30センチのものです。
サシの入っていない赤々しい赤身と言いますか・・・本当に美しい赤身です。
この美しい赤身の牛肉を手にしたシェフは大興奮!!
そして私へお達しです。
「次回ブログのテーマはこれでよろしく!!」
というわけで、私もシェフの料理本を借りて牛肉や、後述するエイジングについてお勉強致しました。
小さなビストロでは牛肉や熟成の勉強をするのもソムリエールの務めです・・・。笑
肉ブームの昨今、肉を美味しく、しかも健康的にたべるための「熟成」という技術が注目されています。
ヘルシーでたんぱく質が豊富な赤身肉に向く技術であり、硬いイメージの赤身の肉が、「柔らかくてさっぱりして食べやすい」と、熟成によってイメージが変わります。
熟成はたんぱく質が分解するものなので、たんぱく質の多い赤身に働きます。
ちなみに脂肪に関しては甘みや香りが抑えられ、さっぱりとした食味となります。
肉に関する熟成は、はっきりとした定義はないものの、時間の経過とともに食べ頃に変質していくことを指します。
そして熟成には3つの利点があります。
①肉が柔らかくなる。
死後硬直が解け、さらに時間の経過とともに肉の細胞が変化して柔らかくなり、
更に時間を置くと、肉を構成している筋組織が分解して、更に柔らかくなっていきます。
②旨みが増す。
肉のたんぱく質が時間経過とともに旨みの元であるアミノ酸に分解して、味が良くなるのです。
③独特の熟成香が生まれる。
熟成によって生じる香りが肉の中に入り込み、
焼くという加熱調理によって生じる、香ばしい香りとともに楽しむことができます。
そして、熟成の方法には「ドライエイジング」と「ウェットエイジング」の2種類があります。
まず最近よく耳にするドライエイジングですが、
適切な温度、湿度、時間という環境要素を整えた状態で、真空パックに入れず、
肉から発せられる菌類の働きを利用して、肉を熟成させる方法です。
まず温度ですが、4度以上になると悪い菌が増殖するので、0~1度ほどを保って設定されます。
0~1度という温度帯は食中毒菌は増えにくいのですが、
熟成に必要な低温発酵菌である酵母は増える温度帯なのです。
さらに扉の開閉で温度が上がらないよう、常に細心の注意を払い、温度を管理します。
次に湿度です。低温低湿度下に肉を一定期間おいて水分を抜きます。
そうすると旨みを凝縮させる意味があります。
しかし完全に水分を抜くとビーフジャーキーのようになってしまいますので、
適切な湿度を保ち、必要以上に水分を抜かないような環境をつくることが重要です。
適切な湿度を保ち、必要以上に水分を抜かないような環境をつくることが重要です。
そして時間です。求める肉の状態によって熟成の期間は前後しますが、
死後硬直が解けるまで1週間、柔らかさを感じるまでに2週間ほどかかるというのが一般的です。
ですから最低でも2週間から20日間はおかないと、熟成の意味が無くなるようです。
このように温度・湿度を一定に管理し、適切な熟成期間を守り、更には肉種ごとに異なる菌が混ざらないよう、熟成庫に多種の肉を入れないようにしたり、なるべく大きな塊で骨付きの状態で熟成させるなどと多岐に渡る注意点があります。
お客様から見えるように、立派な熟成庫をホールに設置したレストランもありますが、
Langue de chatにはそのように整った熟成設備があるわけが無く・・・、選択した手法はウェットエイジングです。
ウェットエイジングは真空パックに入れた状態で冷蔵庫で2週間ほど熟成させる手法です。
時間の経過とともにたんぱく質が分解され、アミノ酸に変質するのはドライエイジングと同様ですが、
パック内に空気が介在しないため、ウェットエイジングでは熟成がゆるやかに進行します。
さらにドライエイジングでは肉の表皮にカビが生じ、
そのカビが持っているプロテアーゼというたんぱく質分解酵素が肉内に浸透していくのですが、
真空下ではこのプロテアーゼが働かないため、ドライエイジングほどのたんぱくしつのアミノ酸分解は望めないようです。
とはいえ肉自体は時間経過とともに柔らかくなります。
上手くウェットエイジングが進んでいることを祈りつつ、約2週間後にリリース予定です。
熟成の成果は、画像とともにブログにてご紹介予定ですので、お楽しみに!!
追伸:霜降り牛肉万歳の時代は、終わりを告げるかもしれませんね。
ソムリエールY・Y





