新書野郎 -195ページ目

アメリカの鏡・日本 



ヘレン ミアーズ, Helen Mears, 伊藤 延司
抄訳版 アメリカの鏡・日本

原書は1948年というから、こりゃまた古い本なんだけど、マッカーサー直直に日本での翻訳出版を禁じられたという曰く付きのものの新書化。その後、著者は日本専門家としてのキャリアも失い、この本とともに忘れられた存在になってしまったという。なるほどマッカーサーどころか、当時の戦勝気分が抜けていない全アメリカ人の怒りをかう内容である。さすがに訳者の様に読んで涙を流すなんてことは、私の世代になると難しいのだけど、パール判事を拝めているタイプの人たちにとっては福音書にもなろう。東京裁判の不当性を日本の責任以前に、裁く側の資質を問題にしている点は当時のアメリカ人としては希有な人物であったことは間違いない。やはり気になるのが、「何が彼女をそうさせたか」というところ。戦争中は大学で日本社会について講義していたというから、著者がこの本で忌避する「好戦的な日本人像」形成に加担していた可能性もある。少なくとも「日本専門家」としてGHQの諮問委員会のメンバーに選ばれて来日している訳だから、この本に書かれている様な「過激な」主張はそれまでしていなかったと考えるのが自然だ。想像力を働かせると、敗戦国日本に支配者として君臨する連合国軍の姿に失望したという見方ができるのだが、ここまで日本の肩をもつというのは、何かジェンダーなものと関係あるのではないかという印象をもった。もちろん単純な恨み節と解釈するのは不当なことなのだけど、反米反日の反作用として現在の北朝鮮を支持する言説と同質の匂いを感じたこともたしかだ。この訳者の涙の意味は日本の「良心派」に感激する中韓の想いに近いものがあるだろう。そう、おまえらには俺たちを批判する資格など無いのだ。
★★

世界情勢を読む



中津 孝司
世界情勢を読む
入門書にしては随分ハッキリしたお方の様で。

アメリカの中のイスラーム 



大類 久恵
アメリカの中のイスラーム

最近は雨後のタケノコというか、バカの壁後のタケノコといった感じで、新しい新書が創刊されているのだが、この寺子屋新書というのは子どもの未来社という版元らしい。そのネーミングは悪くないのだが、一発打を狙うなら新潮や光文社みたいな軽チャー路線で行くしかないだろう。いずれにしても、大手系でないところは、大規模以外の書店で見かけるのは稀なのだから、私みたいな新書も図書館派のドケチ人間は増々読む機会はない。ということで、これが寺子屋デビューになるのだが、テーマ的にはかなりいい感じ。ただ、内容は予想通りというか、可もなく不可もなくといったところ。著者はアメリカ史プロパーということで、研究テーマであるマルコムX、ネイション・オブ・イスラムについての記述に頁数がさかれ、新移民や白人改宗者については少ない。前者の多くがIT技術者をはじめとするホワイトカラーで所得水準高く、後者がヒッピームーブメントに端を発すスーフィズム系教団の信徒か、結婚によって改宗した者というのはデータ的には正しいのかもしれないが、NYのタクシードライバーやアルカイダの改宗アメリカ人戦士みたいな、眼に見える存在にも言及して欲しかった。もっともアメリカの中のイスラームという文脈であれば、その大多数がNOIを嚆矢とする黒人系イスラーム運動にあることは間違いないところだ。エライジャ・ムハンマドからマルコムX、そしてルイス・ファラカンに至る運動の流れは、さすがに分かりやすくまとめてある。私もてっきりルイス・ファラカンがNOIを継いでいるのかと思っていたが、現在のNOIは分派で、元祖の方はエライジャの息子であるウォレスが継いでいるのだという。そこには黒人選民思想と世界宗教としてのイスラームの教義的対立があった訳だが、マルコムXの遺族も絡んだ暗殺騒ぎがあったかと思えば、和解があったりと、アフリカ系アメリカ人社会の利点と弱点を表している様で興味深い。元々アフリカから連れてこられた奴隷の20%から30%はムスリムであったという説もあるくらいなので、これには先祖回帰という見方もできるのだが、現在、アメリカが戦っている戦争については、アメリカ国民であるということがます優先されているらしい。それは第二次世界大戦で一部が日本軍を支持してしまったという失敗の反省があるのかどうか定かではないが、たしかに冷戦期も政治にコミットすることは少なかった。イラクやアフガンはともかく、現在アメリカが宣伝に力を入れているダルフールの黒人対アラブ人のイスラーム教徒同士の戦争を彼等はどう位置づけているんだろうか。
★★

下流社会



三浦 展
下流社会 新たな階層集団の出現
一応読んでみたけど、この人は職業病じゃないの?

旅のハプニングから思考力をつける!



樋口 裕一
旅のハプニングから思考力をつける!
フツーの旅行記だろこれは。

病気知らずのビタミン学



生田 哲
病気知らずのビタミン学―がんから美容まで
知ってて損はない程度なのかな。

「私」はいつ生まれるか



板倉 昭二
「私」はいつ生まれるか
無理して易しく書こうとしていることは伝わるけど、あんまり興味が持てなかった。

環境共同体としての日中韓



東アジア環境情報発伝所, 寺西 俊一
環境共同体としての日中韓
「日中韓」とか「共同体」とかいうと、どうしてもあの「東アジア共同体」推奨の胡散臭い連中の顔を思い浮かべてしまうのだが、これは割とまともな本だった。「環境」というテーマもそっちの「市民団体」が隠れ蓑にしていたりするんだけど、この「東アジア環境情報発伝所」というのはちゃんとしたNGOで中国と韓国の環境NGO提携しているらしい。「発伝所」という名称はちょっと気になるけど、結構多方面から、環境問題を集めてきているので、現状を知るにはいいかも知れない。中国についても運動家がタイホされたとか書いているので、これはホントの「市民派」の話である。ただ、政府側も高度成長のツケとして、「環境」は抜き差しならない問題になってきているので、本気で日本に助けを求めてきているフシもあり、国民のODA不満を打ち消したいたい日本政府と利害の一致が見られたするので、これはこれで警戒すべきだろう。なんとかあちらの「市民派」を援助してもらいたいものだが、中国さまさまの日本の「市民派」と違って、中国の「市民派」は日本政府の援助なんか受けたら、反体制の上に漢奸呼ばわりされてしまうから危険だよね。
★★

社会人から大学教授になる方法



鷲田 小彌太
社会人から大学教授になる方法
どうでもいいけど大学教授は社会人じゃないのか。

不惑の楽々英語術



浦出 善文
不惑の楽々英語術
あんまり役に立ちそうな本ではないけど、人は良さそうだね。