新書野郎 -16ページ目

漢文と東アジア

漢文と東アジア――訓読の文化圏 (岩波新書)漢文と東アジア――訓読の文化圏 (岩波新書)
金 文京

岩波書店 2010-08-21
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結局、一番言いたかったのは訓読みは韓国起源だということみたいだけど、現代中国語と現代韓国語で当時の漢文を解読してしまって良いのだろうか。実際に半島経由より、直接大陸から伝わったものが多いかとも思うのだが、日本語自体が朝鮮語起源とかされてしまっては、反論は不可か。韓国に漢文の文書があまり残っていないのは変体漢文の書き直しが行われたからというのは、どうなんだろう。それも小中華の事大主義なんだろうけど、従って韓国では古文は皆、ハングルなのだそうだが、それは明らかに古文とは違うのではないか。原文が残っていればその整合性もとれるのだろうけど、その時点で都合の良い歴史のつまみ食いがあったとしても、それは分からんのか。日本は敗戦で大分皇国史観の枷が外れたけど、韓国は逆に光複で一気に神話の史実化が進んでしまったということか。著者の様に漢文を読む力があれば、歴史をある程度相対化できるのだろうが、韓国の歴史家って漢文は必須ではないのかな。
★★

晩節を汚さない生き方

晩節を汚さない生き方 (PHP新書 671)晩節を汚さない生き方 (PHP新書 671)
鷲田 小彌太

PHP研究所 2010-05-15
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晩節まで汚れた人生だったらどうする。
★★

文学フシギ帖

文学フシギ帖――日本の文学百年を読む (岩波新書)文学フシギ帖――日本の文学百年を読む (岩波新書)
池内 紀

岩波書店 2010-07-22
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北海道新聞連載か。しかし、中公、岩波の2大教養系新書から続けてエッセイを出すとは大物。
★★

バルセロナ

バルセロナ―地中海都市の歴史と文化 (中公新書)バルセロナ―地中海都市の歴史と文化 (中公新書)
岡部 明子

中央公論新社 2010-08
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昔、講談社新書で「バルセロナ」が出た時は美術畑の人が著者だったが、こちらの中公新書は建築畑の人が著者。とは言っても、ガウディではなく磯崎新の仕事をしていた人らしい。そこのところを誤解されるのが嫌なのか、ガウディに関しての記述は多くない。代わりにピカソやカザルスといったところに紙幅を割いているのだが、バルサに関しても多く書かれている。女性の建築学者だというと何となくサッカーは無視かなとも思ったのだが、デ・ブール兄弟入団時の写真とか結構マニアックだった。もっともバルサを抜きにして、カタルーニャの歴史は語れない訳だが、世界一のクラブになっても、フランコ時代の唯一の希望だった頃の有り難味は大分薄れてしまったとも言える。今はフランコ時代に教育を受けた世代が中心だから、カスティリャーノの方が得意という人が多いそうだが、その反動なのか公立での初等教育はカタラン一辺倒が徹底している様で、スペイン各地出身者や今や相当数いる外国人移民には不評だとも聞く。考えてみれば、スペインがユーゴスラビア化する可能性はあった訳で、現在でもその気になれば、分離独立の道を歩むことができよう。EU統合がそうした動きのストッパーになると思いきや、EUお膝元のベルギーでも分離の動きが出ているし、英国やイタリアも国を割って出る可能性がある。中国主導の東アジア共同体構想は台湾との国境を有名無実化する魂胆がある様だが、逆に統合による自律性の涵養という側面もあるとすれば、東アジア共同体内でのチベット、ウィグル分離独立なんて可能性も出てくるかもね。
★★

降ろされた日の丸

降ろされた日の丸―国民学校一年生の朝鮮日記 (新潮新書)降ろされた日の丸―国民学校一年生の朝鮮日記 (新潮新書)
吉原 勇

新潮社 2010-07
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著者は毎日記者の出らしいが、これは所謂メタフィクションってヤツだろう。当時7歳の少年が慰安婦と邂逅して、詰め寄ったり、朝鮮人の少年と独立について議論したり、米兵に朝鮮人についてどう思うか尋ねたり、慰安婦を差し出すことについて大人と議論したりなんてことがあるのだろうか。たとえ、あったとしても、今から65年も前の幼年期の話をこう詳細に覚えているものなのか。日の丸が降ろされるのは象徴的な話だが、従軍慰安婦、日本軍の日本人を置き去りにした満洲撤退、玉音放送、米兵の強姦、引き揚げ、原爆後の広島、教科書の墨塗りまで、まるで映画のストーリーの如く、少年は戦後の悲劇を体現していく。壁新聞で掲示されたという大統領李承晩、総理大臣金九、陸軍大臣金日成、外務大臣呂運亨と名前は知らなかったのは当然にしても、これらの内容を7歳の少年は読めたのだろうか。子どもたちの間でパンパン遊びが流行って、ポン引きする子どももいた時代だから性的に早熟であってもおかしくはないのだが、日本人会の代表として「公認強姦所」となる満枝姉さん、情報を売って金を稼ぎ、オトナの前で素っ裸になってカネを貰おうとする少女ヨウコとか、黒人兵に強姦されるヨッチャンといった話は出来すぎじゃないかな。後に伝聞された話を自分の擬似体験にしたのではなかろうか。ヨウコに関してはちょっと前に韓国人がアメリカで焚書にした「ヨーコの物語」にひっかけた感じ。時代が時代だけに平穏無事な生活があったはずもないのだが、映画化すると、「ヨーコの物語」以上に圧力がかかりそう。朝鮮人の復讐と黒人兵のくだりはNGになるかな。あと、ヨウコの全裸開脚シーンもアグネスがカットするか。
★★

病気になりやすい「性格」

病気になりやすい「性格」 5万人調査からの報告 (朝日新書)病気になりやすい「性格」 5万人調査からの報告 (朝日新書)
辻 一郎

朝日新聞出版 2010-06-11
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どれも根拠は薄そうな。
★★

ぼくらが夢見た未来都市

ぼくらが夢見た未来都市 (PHP新書 676)ぼくらが夢見た未来都市 (PHP新書 676)
五十嵐 太郎 磯 達雄

PHP研究所 2010-06-16
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もう非現実な未来などどこにもない。
★★

モーツァルトの台本作者

モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテの生涯 (平凡社新書)モーツァルトの台本作者 ロレンツォ・ダ・ポンテの生涯 (平凡社新書)
田之倉 稔

平凡社 2010-08-12
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このダ・ポンテという人は良く知らなかったのだが、たしかにその名前がモートァルトとの関連で出てきてもアメリカ人としてニューヨークでその生涯を終えたということは聞いた事が無かった。ましてやユダヤ人であったことも知る人ぞ知るなのだろうが、イタリアからウィーン、ロンドン、そしてアメリカへと活動の場を転じてきたその道程は今の芸術家の先駆けとも言えるものなのだろうが、当時の話だから芸術の発表の場を求めてというより、興行の都合によるプロデューサーの移動といった事情によるものの様だ。オペラの世界ではそれなりに名の通った人なのだろうが、作品とは離れてこの時代の「国境」という視点でその生涯を眺めるのは興味深い。マナウスの金ぴかオペラハウスが話題になるのはこの後だが、ニューヨークのアメリカ初のオペラハウスをこの人が建てた時もアマゾンのオペラハウスと同じ様な目で見られていたそうな。バブルの頃に国立のオペラハウスを持つのが世界の一流都市の条件とか言って、建設を押し進めた国もあるが、それこそが後進国の証ではある。
★★

戦争の時代の子どもたち

戦争の時代の子どもたち――瀬田国民学校五年智組の学級日誌より (岩波ジュニア新書)戦争の時代の子どもたち――瀬田国民学校五年智組の学級日誌より (岩波ジュニア新書)
吉村 文成

岩波書店 2010-07-22
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しかし、毎年毎年、あきずにやるな。

ラテンに学ぶ幸せな生き方

ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)
八木 啓代

講談社 2010-07-21
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失業してネットカフェ難民になった人間を日本人の代表、中流階級以上で教育を受けている人間を外国の代表とすれば、それは世界中どの国でも、日本より幸せなのだろうが、そんな単純なレトリックで納得してしまう者こそラテン系なのではなかろうか。日本のネカフェ難民も中流家庭出身の教育を受けた層である割合が高いと思うが、それでも日雇い派遣などで月に1000ドル以上の収入があり、ネット、シャワー、飲み物完備の個室に住んでいると言えば、ラテンの国とっては十分なブルジョア階級ともいえる。著者は知らない訳はないかと思うが、メキシコでもサンパウロでも出稼ぎ者の為の木賃宿があり、失業したからといって知人の家に居候のプータローをしていられるのは恵まれた階級である。女性にとってはラテンは居心地が良いかもしれんが、東洋人の男にとってはラテン系は人の悪口を言わないとか、人前で侮辱したりしないとか言われるとお笑いとしか思えない。全く見ず知らずの人間に道を歩いているだけで面罵され、ガキからは石を投げられるのもラテンの国である。ポジティブな面とネガティブな面がハッキリしているからストレスが溜まらないのかもしれんが、ラテンのマチズモとは無縁の階級としか付き合わない日本人女性なら、「地上の楽園」となるのかもしれん。親子や夫婦の関係に至上の価値を置くカトリック世界では、幸福のかたちというものが決まっているから、人間にとって何が幸福なのかという哲学的疑問が介在する余地が無い。それは三丁目のナントカ時代の日本もそうだったろうし、御国の為に己を捧げた時代でも精神的な面で他に選択肢が無い以上、人々は意外と幸福を味わっていたのではなかろうか。まあそれはそれとして、キューバ人が揚げ物と砂糖ばかり食っているけど長生きなのは、先進的な医療制度があるからというのは間違いではないが、最近は良く分からんけど、配給制度下の一般キューバ人の食事がどんなものであったかを著者は知っているのだろうか。