新書野郎 -139ページ目

旅順と南京




一ノ瀬 俊也
旅順と南京―日中五十年戦争の起源 (文春新書 605)

文春も30代新鋭の衝撃作とか銘打ってるけど、もう何冊も著書があるし、あの加藤陽子が白旗を上げる様な地位を築いているのがこの著者。埼玉大に准教授で招かれていたとは知らなかったが、政治的な論争は避ける人だから、中島岳志みたいにメディアに露出することもない。その傾向はこの新書にも現れているのだが、旅順虐殺事件を題材に、「南京大虐殺」との類似性を問う核心部分についても、その判断は読者に任せたいとしている。なんでも古書店の目録に載っていた明治の従軍日記を購入したところ、それが日清戦争に従軍した軍夫による日記であり、その「お宝」で一冊仕上げたという次第。正に加藤陽子がとても敵わないとした、市井の人々の日記や手紙を丹念に読み解き、歴史を再構築するこの著者の真骨頂が発揮されたものなのであるが、著者もそうだが、明治二十七年の軍夫がこれだけ詳細な記録と挿絵を書き残していたといたとは驚かされる。当時の軍夫は士族から「無頼の徒」まで多種多様な構成になっていたとのことだが、後の日中戦争の時点においても、中国側の軍夫は大多数が、兵士も多数が文盲であったとみられることを顧みると、日清戦争に日本が勝利したのも必然的なものだったのかもしれない。この日記には中国語会話なども挿入されていて、当時の軍隊教育の水準も覗うことが出来る。とはいえ、この日記の作者が平均的な軍夫であったかどうかは分からぬが、戦場の論理に対する理解度も高かったと見える。その意味では「旅順」と「南京」に共通点が見られるのは当たり前とも言えるのだが、中国側兵士の規律が崩壊し、敵と味方、兵士と市民という峻別がつかなくなり、戦場の体をなさなくなった状態で起こった悲劇ということは前提として考えなくてはならないだろう。武士の情けは、刀を捨て逃亡する相手には必要なしという向きもあったのだろう。とにもかくも、「虐殺する側の論理」を探る上ではヒントになる一書である。
★★

福祉ってなんだ

 


古川 孝順
福祉ってなんだ (岩波ジュニア新書 583)

ジュニアだけど、福祉系学校のテキストで使えそう。
★★

人間を守る読書




四方田 犬彦
人間を守る読書 (文春新書 592)

やっぱ読書の趣味は全然違うな。
★★

沖縄を狙う中国の野心 




日暮 高則
沖縄を狙う中国の野心―日本の海が侵される (祥伝社新書)

著者は時事のチャイナ要員だった人みたいで、北京、香港、ソウル・台北移動特派員を歴任したとのこと。時事はソウルが台北をカバーしてたのか。そのせいか分からんが、領土問題はライフワークの様で、尖閣、ガス田の問題も、竹島、北方四島はもちろん、沖ノ鳥島、南沙などとともに相対化していて読みやすい。馬英九も大嫌いな日本に愛想を振りまかなくてはならなくて大変だが、保釣の闘士である姉に影響を受けたとは知らんかった。米国の台湾留学生が始めた保釣運動が香港、大陸に繋がる話は興味深い。たしかに台湾統一の現実が見えてきたら、沖縄にも「平和」か「軍事」の攻勢を中国が仕掛けてくるのは必至だろう。もはや現時点でも沖縄が中国であるというのは、大陸中国人にとって「常識」となりつつあるが、琉球大の中国人教授などが頑張ってるものの、沖縄県民に対する工作はどうも空回りしている様だ。反日デモを靖国のせいにする作戦は成功したのだけど、ガス田とかは、「日本右翼」のせいにもできんから困っているみたいだな。靖国反対で釣ったおバカさんたちを何とか本題の台湾統一支持に向わせようとして、高金素梅と高橋哲哉で仕掛けたのだが、さすがにアレには無理があった。それにしても、中国軍がフィリピンの米軍撤退後の空白期に一気にフィリピン軍を殲滅して、ミスチーフ礁を奪取した事実はやはり他山の石とせねばならないだろう。あそこで中国がやってることを棚において、沖ノ鳥島は岩だとか言ってくる中国も大したタマだが、中国の政府系投資ファンドが帝石の株式取得に動いているってマジかよ。どうもこういう領土ナショナリズムは苦手なのだが、覇権国家は目的達成の為に手段を選ばないから恐ろしい。紛争地は全部国連に預託するとかしてくれないかなあ。そんなことやってるうちに「国境のない世界」が自然に実現するんじゃないかと思うけど。
★★★

もしもあなたが猫だったら?

アメリカの原点、ボストンをゆく 




井上 篤夫
アメリカの原点、ボストンをゆく 日本の明日をこの地に学ぶ (ソフトバンク新書 55)

この著者はモハメッド・アリとかジョージ・ハリソンなどのインタビューをしたことがある作家とのこと。マリリン・モンローの評伝なども書いている様で、 90年から3年間ボストンを拠点にしていたという。とはいっても、『孫正義正伝(完全版)』とか、『孫正義 世界一をめざせ!』なんていう提灯本みたいのが代表作みたいだから、ソフトバンク新書のお鉢が廻ってきたのかもしれない。で、「日本の明日をこの地に学ぶ」なんて副題もついているのだが、自分の知り合い連中を集めてインタビューしただけ本。登場する人たちは、ボストンではプチ有名人の人もいるみたいだが、所謂一般のアメリカ人(と日本人)。まあお約束だけど、全員がリベラルの民主党支持。韓国系女性がヒラリーに1票入れた以外は、皆オバマ支持。しかし、著者にアフリカ系の知人は少なかったらしく、ユダヤ系、イタリア系、日系のボストン市民がブッシュ政権を非難していたりする。たしかにボストンはリベラルの牙城なのかもしらんが、やっぱ類は友を呼ぶというヤツなんだろうか。で、肝心の「日本の明日」なんだけど、在ボストン日本人の話と、白人のダイスケ話と、麻生花児という芸術家のスタジオに集う人たちのお話などはあるのだが、著者が何処に「真のアメリカ」も「日本の明日」を見たのかはよく分からん。ココロを開いてコミュニケーションしようということなのか。つまんねえな。

思春期ポストモダン

占領と改革




雨宮 昭一
占領と改革 (岩波新書 新赤版 1048 シリーズ日本近現代史 7)

このシリーズにしては、ちょっと毛色が変わっているね。
★★

平成人(フラット・アダルト)




酒井 信
平成人(フラット・アダルト) (文春新書 (611))

何が言いたいんだか。

「痴呆老人」は何を見ているか




大井 玄
「痴呆老人」は何を見ているか (新潮新書 248)

ホントに著者ヤバイんじゃない。
★★