新書野郎 -138ページ目

「中国問題」の内幕 




清水 美和
「中国問題」の内幕 (ちくま新書 706)

最初に恐ろしい話をして、読者を引き入れるのだが、こういう「掴み」はお手の物なのだろう。時期的に「毒ギョーザ」の前に書かれているのだが、中国が、如何にも「地雷」が埋まっている世界であることを知らしめるには、この様なパンチは有効である。「毒ギョーザ」もそうした「地雷」の一つであった訳だが、「反地雷キャンペーン」がそれを製造した国の責任を追及せずに、「内戦」など、それを輸入した側の事情が問題の本質であると認識している限り、こうした悲劇は繰り返されるのではないかとも思う。毒ギョーザに関しては、例え中国製からベトナム製にシフトしても、国内自給率を上げても、問題が解決される訳ではない。国際問題化したからといって、それを製造した側の責任を有耶無耶にしてしまってよいのだろうか。「地雷」があれば、もちろん「砲撃弾」も「核ミサイル」もある。中国が日本に対して何を戦っているのか見極めきれない日本人は、その矛先が「歴史認識」だという宣伝戦に引っかかる愚を犯してきた。新聞社はその宣伝に加担してきた経緯があるから、ズバリは書けなかったのだろうが、その矛先が「台湾」にあることを著者は、ハッキリと指摘している。その点はかなり誠実であると思う。「中国が何をしたら、日本は台湾独立反対を言ってくれますか」という「中国筋」の言葉が紹介されているが、実のところ「台湾カード」は首相の靖国参拝はもちろん、場合によっては、尖閣も、常任理事国入りも取引が可能であろう。それで「台湾統一」の悲願が達成されるなら、「反日リスク」など「愛国主義」で吸収してしまえるだろう。もちろん、それは一時的なことで、その先は、かつての大日本帝国よろしく、内憂外患に陥り破滅の道を辿るかもしれない。北京オリンピックが、「統一」のチャンスなのか「独立」のチャンスなのかは、双方のリスクがあまりにも大きいので、結局、オリンピック終了後まで「休戦」となる可能性が高い。上海万博まで、その「猶予期間」が続くと言う説もあるが、オリンピックで「愛国」が一気に盛り上がれば、どちらかが仕掛ける可能性もある。その場合、日本は否応なく巻き込まれるはずだが、毒ギョーザに翻弄される日本に、そうした覚悟は出来ているのだろうか。その意味でも、オリンピック後の「北京」がどう動くか、この本に書かれていることを頭に入れておく必要はあるのではなかろうか。
★★★★

太ったインディアンの警告 




エリコロウ
太ったインディアンの警告 (生活人新書)

「太ったインディアン」は何かを捩ったタイトルの様に思ったのだが、「痩せたソクラテス」じゃなくて、何だったか思い出せん。で、そんなことはどうでもよいのだが、これはタイトル通り、アメリカ・インディアンが白人食文化を受け入れたがゆえ、太って、病気になり、死んでいくというシャレにならないお話。著者はインディアンものを何冊か出している人らしいが、日本人。ダンナは白人っぽい。ジャンクフードの害については、もうタバコと同じくらい類書が出ているから、今さら啓蒙でもないんだろうが、在米の白人家庭に嫁いで、アメリカン・インディアンの研究をしているという、正に「最前線」にいる人から言われると、たしかに説得力がある。親族も俎上に載せているのだが、相手が日本語を読めないことをいいことに、もう言い放題。デブとか、チビ、ハゲといった身体的特徴をあげつらう表現は、向こうでは日本より許容度が高いのだろうが、日本だったら絶縁ものかもしれん。しかし、政府の食糧援助を背景としたインディアンの食生活の変化は、戦後日本のソレと重なる。ララ物資は日本に「粉もん」文化も根付かせたのだが、米飯が高カロリーで、身体によくないという認識もあったとは知らなかった。「節約遺伝子」は仮説に過ぎないらしいが、白人にとって米は遺伝子が受け付けない食物なのかもしれない。最近の「牛乳論争」もそうした文脈で争われている様だが、粉ミルクで育った世代が後世の遺伝子も変化させるには、何世代必要なんだろうか。肉食自体が、まだ100年くらいだが、「中国製」を常食する様になったのは、ここ10年くらいか。私の「節約遺伝子」もやはりパニクってしまったのだろうか。
★★

漱石夫妻 愛のかたち




松岡陽子マックレイン
漱石夫妻 愛のかたち (朝日新書 70) (朝日新書 70)

漱石の孫か。

普通だな。
★★

女になりたがる男たち 




エリック・ゼムール, 夏目 幸子
女になりたがる男たち (新潮新書 247)

「フランスで大論争になった問題の書」だそうだ。原題は”LE PREMIER SEXE”とうことで、ボーボワールを揶揄しているのだが、この邦題はどうなのか。むしろ話題の「ジェンダー・フリー」に近い様な気がするのだが、どうだろう。しかし、「女に生まれるのではなく、女になるのだ」が衝撃を与えた時代ならいざ知らず、フランスは未だにこんなことで、「大論争」しているのかというのが、正直な感想。近未来に一番早く到達してしまったのが日本という見方が欧州ではあるそうだが、この本を読むと、フランスはようやく「ポスト・フェミニズム」の時代を迎えたところといった感じもする。フランスはドイツや北欧に比べて、その方面では遅れているらしいのだが、著者によると、それはフランスが遅れているのではなく、あまりにも早過ぎたということなのらしい。そうした意味では日本と似た状況にあるのかもしれない。この前読んだフランス本でも、フランスの女性出生率がアップしたことと、女性の就業環境が整ったことを関連付けることに疑問を呈していたが、どうも、これはあちらのフェミ系の人たちが言い出したことらしい。著者は明確に、それは移民女性の出産率が高いからとしているのだが、訳者は、どちらも客観的なデータはなしとしている。この辺は政治的な問題なのかもしれない。男性は本質的に「征服者」である外国人が嫌いで、女性は「遺伝子の土壌を豊かにする」外国人が好きであるというのは、普遍的な定理なのだろう。その点は同意するのだが、男はともかく、女に関してはそう単純なものではないのかもしれない。

ニッポンの大学




小林 哲夫
ニッポンの大学 (講談社現代新書 1920)

ヌードの1位は慶應、ミスコン1位がワセ女って。
★★

10年後のあなた




日本の論点編集部
10年後のあなた (文春新書 584)

お先真っ暗かよ。

誰のための「教育再生」か




藤田 英典
誰のための「教育再生」か (岩波新書 新赤版 1103)

ただのプロテスト本。

郵便局を訪ねて1万局




佐滝 剛弘
郵便局を訪ねて1万局―東へ西へ「郵ちゃん」が行く (光文社新書 306)

世の中には色んな好事家がいるもんだ。
★★

現代中国文化考 





現代中国文化考

部数がどれだけ出てるのか知らんが、「隣人新書」もよく続くなあ。この著者は国際交流基金の人らしいのだが、杭州の大学で「日本文化」の講師などもしたみたいで、これは、その時に書いたという江沢民の「先進文化」論の考察と滞在記。まあこの版元から出るくらいだから当然なんだけど、江沢民大先生のお言葉をご紹介いたしますみたいなもの。杭州あたりでは、まだ江沢民の影響力が残っているのかもしらんが、かりにも元日本大使館員が、こんなおべっか使わなきゃならんのも情けない。来年還暦を迎える著者の初めての単著だそうだが、今さら「中国青年報」でもやらないような「中華文化愛国主義」のプロパガンダに加担しなくてもねえ。もっとも、日本人がそれをするから意味あるのか、ちゃんと中国語訳も付いている。仕事柄、相互主義で日本文化を中国でも広めてくださいってことなのかもしれないが、どうも、こういう国が絡む「文化」には違和感を覚える。ということで、滞在記の方も、当たり障りの無いもので、中国に批判的なのは「風呂がない」という箇所くらい。中国人が日本語の「風呂」を「シャワー」と捉えるのは普通なのだが、そんなくだらないことで、日本文化がどうのこうのとか立腹するなら、もっと違うところで怒ってくれとも思う。それで、滞在記の方の中国語訳が見送られた訳ではないだろうが、そんなこと書いたら、この版元からの「還暦デビュー」は適わなかったか。

「粉もん」庶民の食文化




熊谷 真菜
「粉もん」庶民の食文化 [朝日新書065] (朝日新書 65) (朝日新書 65)

「コナモン」なんて初めて聞いた。