永久保存版TomixとKATO線路システム比較 その1 | 美里山倶楽部

美里山倶楽部

Nゲージのレイアウト作成記事が中心。
大型のレイアウト美郷山鉄道の進捗、レイアウト制作に役立ちそうな話題、車両の小加工、などなどを模型歴半世紀以上、オートバイ歴45年のライダーが書いていきます。
信州・上伊那の話題も提供中。

 今まで時々Nゲージの線路関係について書いてきましたが、だいぶバラけていたのを一度まとめてみようと思い、大げさなタイトルをつけてみました。

 ブログで一度は書いたことがある内容も多いので総集編みたいですがこれから鉄道模型をやられる方むけにかみ砕いた内容です。

 比較対象は

・KATOユニトラック(右側)

・Tomixファイントラック(左側)

 美里山倶楽部はKATO大好き人間ですが、今回はニュートラルな見方でいきたいと思います。

 

 出来るだけ数値化して、実際測定したり、走らせたり、両社カタログの値など客観的データで比較していきます。

 

 その後で美里山倶楽部なりの考察を加えていきますので、その部分には論議もあるでしょうし、個人の見識にも限界がありますので、「ここは違うんじゃない?」ということがありましたら、良識ある範囲でコメントください。

 

 いくつかの項目に分けて書いていきますが前半戦は、線路規格と線路道床。

 後半戦を線路接続性とポイント性能に分けて書いていこうと思います。

 最後にそれぞれのパートで分かってきた問題点を解消というか対処する方法を書いていく三本立てにしていきます。

 週末毎1本書いていくくらいのペースでしょう。

 

・線路規格

 線路間隔、標準線路長さなどについて

 

・線路道床

 道床の幅、高さなどについて

 

・線路接続性

 道床の違いによる差、ジョイントの耐久性などについて

 

・ポイント性能

 ポイントの種類や切り替えの耐久性などについて

 

1.線路規格

 これについては実際の線路がどうなっているかを知る必要があります。

 まず知りたいのは複線の場合、その上りと下りの線路の間隔が実物はどのくらいなのか?

 鉄道工学の本によるとこのようになってました。

・ドイツ 4000mm

・フランス 3555mm

・東海道新幹線 4200mm 

 フランス狭い! 

 

 国鉄では(古くてすみません)軌道の中心間隔 3800mm以上

 3線以上軌道がある場合は内の一つを4500mm以上

を基本としています。

 現在のJRではこの辺りは分かりませんが、国鉄時代のレイアウトを作る上ではしっかりとしたよりどころの規格です。 

 

 ただし、やむを得ない場合が括弧書きであるし、○○mm以上なのですから、割といい加減ではあります。

 

 軌道中心間隔が3.8m、4.2mに決まっている!

 

 ・・・のではないけどこの数値に固執して模型雑誌も書かれているようですのできちんとした規格を学生時代に単位を取った「鉄道工学」から引用させてもらいました。

 

 一応これをNゲージ換算しておきましょう。

・3800÷150=25.3mm

・4200÷150=28mm(新幹線:4200÷160=26.3mm)

・4500÷150=30mm

 

 一方鉄道模型を実物換算してみます。

・KATOユニトラックの場合

 複線間隔は33mmとなっていますので単純に150倍して実寸換算すると、

 33×150=4950mm

 (新幹線:33×160=5280mm) 

 

・Tomixファイントラックの場合

 複線間隔は37mmとなっています。

 同じように150倍して実寸換算すると、

 37×150=5550mm

 (新幹線:37×160=5920mm) 

 

 どちらも複線間隔は実際の最低限の規格よりかなり広いことが分かりますが、○○mm以上が規格なので外れてはいません。

 

 全ての複線間隔が3800mmや4200mmではありませんから、KATOでもTomixを使っていても規格内だと言うことは可能です。

 実際に、中央東線は茅野-岡谷間を除くほとんどが複線ですが、山間を走るために上りと下りが10m以上離れている区間も珍しくありません。

 

 またカーブになれば当然のことながら内輪差と外輪差が生じます。

 このように新幹線どうしがすれ違っている場合ではE5系の車両中央部と200系新幹線の車端部では10mmくらいに近づいています。

 この例ではTomixの37mm間隔を使っていますが、それでもこのくらい近くなるということです。

  

 次にもう少しKATOユニトラックとTomixファイントラックを個別に見ていきましょう。

 

・KATOユニトラック

 最初に述べたように基本の複線間隔は33mmですが詳しくはあとで書きます。 

 

 曲線線路

 R216 R249 R282 R315 R348 R381

 主にレイアウトで使う曲線は以上の通りでR○○○の丸部分が半径ですのでR282なら半径282mm、直径564mmとなります。

 R216から33mm間隔で揃っています。

 JRや私鉄の長さ18~20m級の車両を走らせるなら、R282 R315あたりで複線を作るか、もう一回り大きくしてR315 R348なら新幹線も余裕で回れます。

 

 KATOユニトラックは他にも複線線路やカント付きレールを出していますが書き出すと膨大になるのでここでは割愛します。

 

 直線線路 

 基本長は緑124mm、赤186mmの2種類となります。

 元々は124mmが基本でしたが、分岐により緩い6番ポイントを追加した関係で186mmが加わり基本長は2種類になりました。

 

複線間隔

 カーブなどが33mm間隔(黒)なので後は中に島式ホームを挟む66mm間隔(赤)に加え、先の6番ポイントやクロッシングの関係で49.5mm(緑)という線路間隔があります。

 

・Tomixファイントラック

 基本の複線間隔は37mm、ホームを挟む場合は55.5mmです。

 曲線線路

 C243 C280 C317 C354 C391

 レイアウトで使う曲線は以上の通りでC○○○の丸部分が半径です。C280なら半径280mm、直径560mmとなります。

 C243から37mm間隔で揃っています。

 長さ18~20m級の車両を走らせるなら、C280 C317あたり。

 もう一回り大きくなるとC317 C354で新幹線も回れます。

 

 Tomixファイントラックの方は他にも複線レールやスラブレール、ワイドPCレール、カント付きレールなど多様な軌道を発売していますが、基本設計は同じなのでここでは割愛します。

 

 直線線路

 基本長は140mm(黒)だけです。またこの長さが在来線の20m車両とほぼ同じ長さなので線路長と車両の編成長さが分かりやすいメリットがあります。

 

複線間隔

 基本間隔が37mm(赤)で島式ホームを入れる場合は55.5mm(黄色)になりましてこちらもシンプルです。

 

 

・KATOユニトラック

・Tomixファイントラックを比較する

 どちらが扱いやすいのか?

 

 両メーカーが参考に出しているレイアウトプラン通りに作るなら特に考える必要が無いのでどちらでもかまわないと思います。

 

 少し凝ったオリジナルのレイアウトプランとなるとKATOユニトラックは設計がやりにくいと感じました。

 直線の基本長が124mm 186mmの2種類があること

 線路間隔が33mmと49.5mmが絡むこと

 車両収容数が瞬時に分かりにくいこと

美里山倶楽部が感じるのは大きくはこの3点で、「私の頭脳であれば問題とはならない」方ならばKATOユニトラックでもOKなのでしょうが、美里山倶楽部の平凡な頭ではとにかく計算が面倒くさい。 

 

 今作っている組立式のモジュールレイアウト「河原町鉄道」では、駅ホームを上記画像のように考えましたが、実際に線路間隔が33mm,49.5mm,66mmの3種類を考えなければならない上に直線の124mmと186mm、実際にはこれに248mmの直線が絡むために暗算だけで大体いけるTomixファイントラックとは違って電卓を叩きまくって設計しなければなりませんでした。

 

 それでも線路長が微妙に合わないところが出てきて62mmと64mmの線路を駆使して線路長を調整したり、最後には線路を切って端数処理することになりました。

 

 KATOのカタログを開くといろいろな線路パターンが詳しく書かれていますが、それがないとベテランでも線路配置に苦労すると思いますが克服できた方には、KATOユニトラックは組立式レイアウトに向くのでモジュールレイアウトには最強だと思います。

 

2.線路道床

 道床もまず実際の国鉄(JR)の規格から見ていくのが良いと思います。

 まずレールの高さです。

・40Nレール 140mm

・50Nレール 153mm

 

 こうしてみると150mmとすれば1/150でレール高さは1mmです。

 

 続いて枕木の厚さは並みまくらぎの場合14cmということが分かりまして、これは後で説明する全体の厚さに効いてきます。

 

 そして道床を含む幅や厚さ。

 この文字は見にくいのであとでKATOユニトラックとTomixファイントラックの線路を150倍した数値と比べてみます。

 

・KATOユニトラック

 今度は実際にKATOユニトラックの道床の大きさを測定してみます。

 横幅は広めの24.93mm。

 

 厚さは7.20mm。

 

 ちなみにレール面の高さは2.30mmでしたのでまとめるとこの図のようになります。

 

 そしてKATOのユニトラックに車両と線路脇にカップルを置いて歩いている様子を撮ってみました。

 道床高さはウェストくらいまであり、レールは胸くらい、車両の床面は身長を大きく超えています。

 

・Tomixファイントラック

 Tomixファイントラックの線路の断面。

 

 Tomixファイントラックの横幅は狭いのは分かっていましたが18.47mm。

 

 厚さは6.20mmとなりました。

 ちなみにレール面の高さはKATOユニトラックと同じ2.30mmでした。

 

 Tomixファイントラックはこういったサイズということが分かりました。

 

 Tomixのファイントラックの方は、枕木面は股下くらいになり、レールトップは腰の位置に下がり車両の床面は頭スレスレですがKATOユニトラックより下がってきた感じが分かりました。

 

 二社を測定し終えたところで表にまとめてみましょう。

先に挙げた本の土木定規から読み取った数字の2線級線路とKATOユニトラックとTomixファイントラックの線路を150倍した数値と比べてみました。

 線路幅(道床の幅)は実際の線路に比べてKATOユニトラックでもまだ狭いことが分かりました。

 この他に実際の線路との比較のために「道床肩幅」を計っていて、これは枕木から道床の肩が落ちるまでの長さで、Tomixファイントラックは枕木が終わる部分から肩が落ちるので0mmとなります。

 レールの高さは明らかに高くて実際の線路の2倍以上になっていました。

 一方、道床の高さについても随分違いました。

 実際の線路の「道床厚+枕木」が450mmに比べて、

「Tomix」596mm⇒差146mm

「KATO」735mm⇒差285mm

となって、実際より146~285mm高い訳です。 

 

 実際に身近な飯田線で撮影してみました。

 ちょっとはみ出して枕木に足を置いて見るとレール150mmの高さがこんなもんだと分かります。

  

 アングルを低めにしてレールと道床の厚みの関係を撮ってみると、道床全体の厚さはそこそこですが、レールもこのアングルだと存在を主張しないみたいです。

 

 

 別の場所で道床が真横から見られるところへ行って見ました。

 

 比較に足を入れてみると大体ヒザの高さまであることが分かりました。 

 

 改めてKATOユニトラック道床の高さをみると違和感ある感じ。

 

 Tomixのファイントラックでも高いですが、枕木面は股下くらいになり、レールトップは腰の位置に下がってきて圧迫感が違ってきます。

 

 KATOユニトラックの道床が厚くなったのはポイントの電導コイル組み込む際にどうしても薄く出来なかったんではないかと勝手に考えているんですが、DCCを組み込むにはこの厚さがとても有効だとということを実際にDCC化した方々は言っていますので鉄道模型として不利な面ばかりではなさそうです。

 

 ただローカル線などをメインに考えている方には線路処理が難しくなっていることは間違いありません。

 

 Tomixファイントラックはなにしろ道床肩幅がないので、そこが不自然に見えます。

 

 飯田線を真横では無くて距離を見通すようにしたらこうなりまして・・・。

 Tomixファイントラックも全く同じには撮れませんでしたが、長く見る感じにするとレールの厚さ問題は軽減しますが、今度は道床幅の貧弱さが目に付きます。

 

 もう少し実感的にしようとバラストを蒔くつもりならTomixファイントラックは断然有利になります。

 道床肩幅がない分、バラストの厚さを調整しやすいためで、実感的なバラスト散布が出来ます。

 一方のKATOユニトラックは、もともとバラストを蒔かなくても見られる道床なので緩い傾斜になった分、道床肩幅に上手くバラストが載らずに流れ落ちてしまうので散布時非常に気を使います。

 

 ここまでで前半戦を終えましょう。

 

永久保存版TomixとKATO線路システム比較 その2

 

永久保存版TomixとKATO線路システム比較 その3 解決編

こちらも人気記事です

併せてお読みください

 

ついでにこちらの

アイコンのクリックご協力を

お願いします

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道模型 レイアウト製作へ
にほんブログ村

 

おそらく今まで見てきた

KATOとTomixの線路を

比較したブログとは

随分違う印象でしょう

数値と現物を合わせてみると

先入観が排除されるので

客観的な比較が出来ます
PVアクセスランキング にほんブログ村