永久保存版TomixとKATO線路システム比較 その2 | 美里山倶楽部

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 永久保存版TomixとKATO線路システム比較の第二弾。

「 永久保存版TomixとKATO線路システム比較 その1」の冒頭で週イチペースでと書いていたのに一ヶ月近く空いてしまいました。

 「その1」では以下の二項目について書きました

・線路規格

 線路間隔、標準線路長さなどについて

 

・線路道床

 道床の幅、高さなどについて

 

 

 今回も比較対象は

・KATOユニトラック(右側)

・Tomixファイントラック(左側)

 今回は以下の二項目になります。

 実は最近の7,8月に書いたブログの再録的な記事になりますが、新事実やちょっと堅かった文面を分かりやすく書き直した部分も多いので初心者にもとっつきやすくなっていると思います。

 

・線路接続性

 道床の違いによる差、ジョイントの耐久性などについて

 

・ポイント性能

 ポイントの種類や切り替えの耐久性、走行時の脱線などについて

 

3.線路接続性

 線路どうしの接続はジョインナーを介して行います。

 通常は金属製のジョインナーを使ってできるだけ電気抵抗を少なくして線路の接続と電気的な接続を行います。

 逆に「ギャップを切る」という表現を使いますが、線路は繋げたいけど電気を通したくない場合はギャップジョインナー(Tomix)、絶縁ジョイント(KATO)を使います。

 

 ここではもちろん金属製のジョインナーを使った話です。

 試験方法は簡単で試験前と試験後にレール抵抗値を計り、極端に大きな抵抗が出たら、何らかの不導通が生じ電圧降下が起きるということです。

 

●試験方法と結果

 以下の方法で1,2は300回、3は100回繰り返して繋げたり外したりしてみましたが、大きな抵抗値の変化は認められませんでした。

 

1.まっすぐ入れてまっすぐ外す

 接続方法として推奨されるやり方ですが、KATOはかっちりハマっているので外しにくいのが難点。

 

2.まっすぐ入れて斜めに外す

 KATO、Tomixとも力の無い女性や、子供がやっている外し方。

 ジョイントに横方法の力が加わりテコの原理で外しやすい。

 抵抗値は「1」より不利な感じがしましたが、意外なことにこちらも変化はありませんでした。

 

3.まっすぐ入れて上下に外す

 上に傾けて外したり・・・。反対に下向けて外したり・・・。

  

 これはやっちゃいけない外し方ですが、ついモジュールではベニヤ板を傾けてやりがちですが、KATOでも変化量は0.3Ωくらいなのでこれだけで電圧降下が起きるとは思えません。

 

 この試験を100回で止めたのは、前の試験も合わせて指先が赤くなり痛くなって血豆が出来たから・・・。

 まさに身体を張った試験でした。

 

4.「へ」の字に差し込んでみる

 ここで差がでました。

 

・KATOユニトラック

 KATOユニトラックは「へ」の字の状態で差し込むとき下の補強プラスチックは嵌まるけどジョインナーが上手く嵌まらないことがありました。

 

 するとこうなって手前のジョインナーが潰された状態になり「ジョイント外れ」が発生しました。

 列車が左から右に走るときはもしかしたら上手く走り抜けるかもしれませんが、右から左の場合は間違いなくレールにぶち当たります。

 KATOユニトラックのジョインナーが嵌まらないやり方が再現できました。

 組立式の場合は起こる可能性があり、実際に運転会でモジュールレイアウトを組み立てた場合に何回か経験しています。

 

・Tomixファイントラック

 Tomixファイントラックは「へ」の字状態にするとレール下のプラジョイント部分が上手く道床に嵌まらないので接続が出来なくなってしまいます。

 

 従ってTomixファイントラックでは「ジョイント外れ」が極めて発生しにくい構造になっていると考えられます。

 

 美里山倶楽部でのモジュールレイアウトの組立時にも一度も接続不良は発生していません。

 

 それでは「ジョイント外れ」が発生するとどんな不具合が起きやすくなるのかKATOユニトラックで検証してみます。 

 KATOユニトラックの「ジョイント外れ」は一度やらかすとクセになりやすく、何度が繰り返す内にジョイントが潰され開いていきます。

 

 すると線路間の抵抗値がグンと上がり電圧降下が起こることが分かりました。

 組立式のレイアウトで時たま起こる列車がスピードダウンするのはこれに近い現象と推定できます。

 

 もちろんこれを持ってKATOが劣るわけではありませんが、組立式でなくても毎回線路を組立て外して仕舞う古い言い方で「お座敷レイアウト」では発生確率が高くなりますので、確実にジョイントを繋げるクセをつけましょう。

 

 

4.ポイント性能

●KATO4番ポイントとTomix標準ポイントとの比較

 KATOユニトラックには4番ポイントと6番ポイントがあります。初心者が買い求めやすいセット品は基本単線のMシリーズと複線のVシリーズがありまして、Mシリーズは6番ポイントがメインになっていますので6番ポイントで比較する方が良かったかもしれません。

 しかしポイントの列車通過性能は4番の方が厳しいだろうということ、複線時の渡り線では4番がメインになるだろうということでKATOユニトラックは4番ポイントを代表にしました。

 

最初に比較したのは「通電性能」と「切り替え性能」

 KATOもTomixも選択式ですので、ポイントを切り替える度に一方の線路を通電したり切ったりさせてます。

 

「通電性能」

 簡単に言えばポイントを切り替えた回数に応じてどれだけ電気抵抗が増えるかを調べれば優劣が分かるはずです。

 

「切り替え性能」

 切り替えが出来なくなる(2回までの切り替え直しは可※)までの切り替え回数を調べることでポイントの限界点がわかります。 

 ※厳しければ1回でもミスれば終わりであるが、通常運転時、美里山倶楽部は3回くらいまではやり直しを許容しているので切り替え直しを許容しましたが、許容無しの結果も載せてます。

 

 動作モードは同じなので、この二つの性能試験は同時に評価できますが比較試験なので、いくつか設定を決めておかなければなりませんので見てください。

 

・試験環境

 

 美里山倶楽部の住まいの中でも劣悪な倉庫二階で行いまして今年のメチャクチャ暑い7月のある午後は 摂氏38.1℃、湿度31%でした(かなり悪い環境です)。

 

・試験方法 

 Tomixの標準ポイントとKATO4番ポイント両者在庫の新品での比較。 

 各ポイントはメーカー純正のパワーパックから出ているポイント用の接続端子から出ている電圧で純正のポイントコントローラーを用いて切り替える。

KATO HYPER DX

Tomix TCSワイヤレスパワーパックN-WL10-CL

    (リモコンでなく通常のスイッチボックスを使う)

 

 5秒/回のペースでポイントを切り替えました。

 最初に通電側の抵抗値を記録、5秒/回のペースで切り替えることにしたので1分で6往復、2,3,4,5,10,20,30,40,50,60分、最大360往復まで各時間ごとに再度抵抗値を記録して大幅に抵抗値が上がるか、切り替えが出来なくなった時点で終了としました。

 

 テスターは信頼のおける「SANWA PC773」を使いまして、試しにKATOの線路で抵抗値を測定したら0.12Ωでした。

 

 参考までにいくつかの金属の電気抵抗を見てみると、この表から現在使われている洋白レールはそれほど電気を流すのには優れた素材でないことが分かりますので、レールの抵抗値も妥当な値でしょう。

 洋白のメリットは色味の良さと錆びにくさ。

 

・試験結果

・KATOユニトラック

  いきなり4番ポイント抵抗の初期値がO.L.(抵抗無限大)という初期不良で致命的な欠陥を抱えていましたが、これで試験終了というわけにもいかないのでもう一つの4番ポイントで行ったことを始めに書いておきます。

 初期値はやや高いですがその後安定して下がり、240往復ころから2Ω程度まで徐々に上がっていきました。

 

 切り替え性能は全く問題なくバチッ、バチッっと小気味よく切り替わります。

 

 上の表がKATOユニトラックとTomixファイントラックの結果をまとめたもので赤い数字は抵抗が2.5Ω以上となったところ。

 ただし2.5Ωに上がった抵抗値でも、後で走行試験結果を書きましたが、通過時の体感的な速度低下は認められていません。

 

・Tomixファイントラック

 初期値から抵抗値は低かったです。

 30往復から一カ所抵抗値があばれだし最後まで同じ状態が続きました(上表の赤い数値部分)。

 

 切り替え性能はKATOほどの小気味よさはないが、パシャ、パシャとソフトに切り替わり360往復まで2回切り替えミスがありましたが、「3回までの切り替えは可」ルールにより一応合格としました。

 厳密に言えば一発で切り替わらないことが発生している訳ですのでこの点ではKATOユニトラックには劣っています。

 

・比較考察

 品質保証的な視点から、初期不良は、クレーム対象となるので二本目が安定していてもKATO優位とはなりません。

 購入してレイアウトに組み込んでから通電不良が分かったなんてことになったら目も当てられません。

 また、いつ通電不良になるか分からないからです。

 

 KATOユニトラックの選択式は、外側レールが根元から分岐先端まで一体で構造がシンプルなので抵抗値については有利でしょう。

 後半徐々に抵抗値が上がることから、故障モードとしては経時的劣化(少しずつ悪くなること)が進むことなので正常にごくゆっくり劣化していくと考えられます。

 

 Tomixファイントラックは、いずれのレールも途中で下の基板を経由して戻ってくる完全選択式のため通電方法はKATOよりも複雑で不利に働きます。

 今回は定位側の外側レールが30往復から抵抗値が安定しなくなり、単純な経時劣化とはなりませんでした。

 ただ、どんどん抵抗値が増えていくことではなく、後で追試した際この状態ではスピード変化が認められないのである程度までは使うことに支障はないでしょうが、KATOユニトラックよりは不安定です。

 

次の比較は走行性能

 どのような車両が脱線しやすいかは大体分かっているので車種を絞って行うことにしました。

 

 試験は、同方向のポイントを2台繋いだ片渡り線として、超スロー、低速、中速の3種類を3回往復させて、全ての車輪が脱線しないかを目視で確認しました。

 

・D51+客車2両

 これ先台車、従台車、ボギー車いずれも脱線しやすい経験がある組み合わせです。 

 

・EF58+客車2両

 F級電気機関車の先台車、三軸の中心寄りの車輪が脱線しやすい組み合わせです。

 

・DD51+客車2両

 中間台車の脱線はよく経験があります。 

 

 この試験はポイントの反位両方向を使いS字カーブ的な要素もあるのでポイントとしては過酷なつなぎ合わせです。

 

 また、先台車、中間台車など脱線しやすい機種を使用して往復させてみました。

 

・試験結果

 KATO、Tomixいずれのポイントも一度も脱線することなくスムーズに通過でき優劣はありませんでした。

 

 そこでおまけ課題でBig Boyをこの2種類のポイントで渡らせることにして動画撮影もしてみました。

 

 動画で確認ください。

 

 

 

 結局Big boyもなんなく通過できたのでポイントの走行性能での優劣はないと判断しました。

 

 最後にTomixのポイントは直線側の抵抗値が安定しないので、その状態で速度が変化するかを確認しました。

 C59+客車2両で直線を超スロー運転を繰り返しポイントを切り替えて通してみたが、はっきりと分かる速度低下は見られませんでした。

 

 最近の車両のモータ性能の向上と、PWM制御のコントローラのメリットなのか分かりませんが、少々の抵抗値の変化では速度に大きな変化が起きにくいのかもしれません。

 ただ、車輪やレールが汚れるレベルは抵抗値が50Ω以上になりそこまで行くとPWM制御のコントローラでも明らかに速度変化が分かりますね。

 ですのでジョイント接続試験でKATOユニトラックの抵抗45Ωに増加した場合には速度は目に見えて変化します。

 

 以上で一旦線路の比較試験を終えましょう。

 KATO好きな美里山倶楽部ですが、各項目を公正な目で書いたつもりです。

 永久保存版TomixとKATO線路システム比較 その1も合わせて読むとその美里山倶楽部が、何故線路システムをTomixファイントラックにしたかが分かると思いますが、選ぶ方個人個人で考え方やシステム(DCCとか)が違うのでこのブログが参考になれば幸いです。

 

第三回は最終回として

今まで明らかになった

課題に対して

使いこなしの解決編を

書いてみたいと思います

 

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