好き勝手に物語を書くぞ~♪ -7ページ目

風の輪舞曲(ロンド)~闇を奏でる者~ No.12

~始まりの時~ No.12



休んでいる兵士達の所へと戻って来た達3人は、地面に腰を下ろして他の部隊の者達が到着するのを待った。



暫くして続々と兵士達が集まり、待ち始めてから20分程たった後にようやく全部隊が揃った。



するとクレイブは、ジルから聞いた話や自分の目で実際に見た足跡の事等を皆に伝えると、2人の捜索の終了を告げて城へ戻るように言った。



勿論全員が納得している訳ではないが、上官の言う事は絶対なので、兵士達はクレイブを先頭に全員城へと戻り始めた。



やはり皆疲れているせいか足取りが重く、城に着いた頃には日が沈んで、辺りは既に暗くなっていた…。



城に到着するとクレイブは待機所の前に馬を繋ぎ、全員に向かって、



「皆、今日はご苦労だった。
ひとまず部屋でゆっくり休んでくれ。
これからの事は明日国王に話をしてから皆に伝える事とする。
それから今夜の城門警備だが、通常は2人でやってもらっているけれど、明日担当する者達と一緒に、2時間おきに休みを交代しながら4人でやってくれ。
疲れている処、本当に申し訳ないが宜しくたのむ。
ただし、今夜は城の外ではなく内側で警備をする様に。
何か妙な音等がしても絶対に城門を開くな。
それだけは絶対に守ってくれ。」



と言うと、担当の者達はうなずいた。
それを見たクレイブが、



「よし、それでは全員解散!!」



と言うと、兵士達はそれぞれ自分の部屋へと戻って行き、警備担当の者達は城門に向かって行った。



翌朝クレイブは目を覚ますと、まず始めに城門へと向かい、



「お疲れ…それで昨晩はどんな様子だ?
何か妙な事は無かったか?」



と、城門の警備をしていた4人に聞いた。
すると『いえ、特に何も…。』と4人は顔を見合わせながら答えた。
そう聞いたクレイブは、少し安心した感じで、




「そうか…疲れている処、本当にご苦労だったな。
もう少ししたら交代の者が来るはずだ。
お前達4人は今日と明日は休みにしておいた。
ゆっくり休んで疲れを取ってくれ。」



と言った後、昨日の事を報告する為に国王の所へと急いだ。

風の輪舞曲(ロンド)~闇を奏でる者~ No.11

~始まりの時~ No.11



ジル達の所へ一番早く辿り着いたのはデュラン率いる部隊だった。



「はぁ…はぁ…それで、いったい何があったんだ?」



到着して早々、デュランはジルに問い掛けた。



「ちょっと待て、お前もだが他の者も疲れているじゃないか…とりあえず隊長が来るまで休んでいろよ。」



ジルは到着した兵士達を見ながら言った。
すると、デュランは素直にジルの言葉に従い、地面に胡座をかいて座った。



デュラン達はかなり急いで走ってきたらしく、皆息を切らしていて、中には地面に倒れ込んでいる者もいた。
重たい鎧や武器を身に付けているから当然だろう…。



ジルはデュランの部隊になった兵士達を見て少し気の毒に思った。



それから数分後、クレイブがジル達の所へとやって来たが少し驚いていた。



何故なら、クレイブは馬を走らせ急いで来たと言うのに、自分より先にデュランの部隊が到着していたからである。



ひとまずクレイブは馬から降りると、疲れて座ったりしている者達に向かって、



「お前達大丈夫か?」



と、声を掛けた。
すると『はい、大丈夫です。』と部下達が答えたものの、とてもそうは見えなかったので、



「あまり無理はするな。
他の者達が来るまで休んでおけ。」



と言った後、ジルの方へ歩いて行った。
すると、ジルの近くに座っていたデュランも話を聞くために立ち上がった。
それを見たクレイブが、



「あまり仲間に無茶をさせるなよ。」



と、右手で肩を2回程軽く叩きながらデュランに言った後、



「それで、何があったのか詳しい事を聞かせてくれるか。」



と、ジルに向かって問い掛けた。



「分かりました…それでは私に着いてきて下さい。
お見せしたい物があります。」



そう言ってジルが歩き出すと、クレイブとデュランは後に続いて歩き出した。
そして少し歩いた後、



「これです。」



と言ってジルが立ち止まった先には、2人も今まで見た事も無い位の大きな足跡が地面に付いていた。



「何だこれは!?」



さすがのデュランも驚き声をあげた。
しかし、クレイブも驚いてはいるものの、しゃがみ込んでじっくりと足跡を観察していた。
そして全体を一通り見終わると、



「…踏み潰されている草に、少しだが血が付いているな。」



クレイブはゆっくりと立ち上がり、ジルを見て冷静に言った。



「はい…それに、ここから500メートル程離れた場所に大量の血の跡が残っています。」


ジルはその方向を指差しながらクレイブに答えた後に続けて、



「それから、これを見て下さい。」



と言って、先程拾ってズボンのポケットに締まっていた金属片を取り出してクレイブに渡した。



「これは?」



受け取った金属片を見ながらクレイブがジルに聞くと、



「ここに落ちていた物です。
おそらくですが、その破片は私達が身に付けている鎧と同じ素材の物だと思われます。
…それで、確実ではありませんが、2人の内のどちらかが身に付けていた鎧の一部ではないかと…。」



ジルがそう言うと、クレイブは両腕を胸の前で組み、少し地面の方を見て考え込んだ後、



「これ以上、2人を捜索するのは危険だな。
思っていたよりも深刻な状況の様だ…。
ひとまず城へと戻り、この事を国王に報告した後、選りすぐりの者達を編成してから調査する必要があるな。」



と、顔を上げて2人の方を向いてそう言った。
すると黙って聞いていたデュランが、



「隊長、何故です?このまま捜索を続けるべきじゃないんですか?それが2人の物と決まった訳じゃないでしょう!?」



と、声を荒げて言った。
そんなデュランに対して、



「確かにお前の言う通り、草に付いている血や、この破片が2人の物とは限らない。
だがな…問題なのは、この足跡だ。
これは、『魔物』の足跡かもしれない。
だとしたら、このまま捜索を続けていくと多くの仲間が犠牲になるおそれがある。
最悪…全滅する事も考えられる。
捜索対象になっている2人には申し訳ないが…隊長として、それだけは絶対に避けなければならない…。」



と、クレイブは静かに言った。



『魔物』の存在自体は『言い伝え』や、『人間と仲良く共存している魔物の種族がいる』と言う話を誰でも聞いた事があるので、小さい子供から年老いた老人まで知っているが、実際にその姿を見た者は、この国にはいない…。
するとデュランは渋々だが、



「…了解しました。」



と、納得した様子で答えるとクレイブが、



「ひとまず彼奴らの所へ戻って、他の部隊の者達が到着するのを待つとしようか。」



と、デュランの肩に手を置いて言った後、休んでいる兵士達の所へと戻って行き、2人も少し遅れて戻っていった。



その途中でジルはデュランに近付き、



「隊長だって辛いんだ…お前もそれは分かっているだろう?」



と、小声で話し掛けると、



「あぁ、そんな事は分かってるさ…。」



と、前を歩いているクレイブを見ながらデュランも小声でジルに答えた。

風の輪舞曲(ロンド)~闇を奏でる者~ No.10

~始まりの時~ No.10



兵士達が2人の捜索に出てから1時間程経過した頃だろうか…ジルが指揮する隊の1人が草むらの中で何かを見つけた様である。



「お~い!!皆ちょっとこっちに来てくれ!!」



そう言って皆を呼んだ兵士の所にジル達が行くと、そこには、おびただしい血の後が地面に付いていた。



「…こ、これは!?」



そう言ってジルは驚きその場に立ち尽くした。
勿論、他の兵士達も同じである。



「何なんだこれは…まさか…2人の…って事はない…よな?」



1人の兵士がそう言いながら他の兵士達の顔を見ると、ジル達も『まさかな…。』といった感じで顔を見合わせた。



「…とにかく、この辺を重点的に捜してみよう。
何か見つかるかもしれない…。」



ジルがそう言うと、その場に集まった全員が頷き、捜索を再開した。
そして暫くすると、またジル達を呼ぶ声がしたので、その場所へと兵士達が集まった。



血の跡が残っていた場所から500メートル程離れた所である。



草が踏み潰された所があり、それはどうやら獣の足跡の様だが、普通の獣の物よりも遥かに大きい。
そして、その場所にも血の跡が付いていて、側に金属の破片の様な物が落ちていた。



「これは…?」



ジルはそう呟きながらしゃがみ込み、地面に落ちている金属片を手に取るとゆっくり立ち上がった。



よく見てみるとその破片は、ジル達が身に付けている鎧と同一の素材の物の様だ。



「…もしかしたら、これは2人の内のどちらかが身に付けていた物なのかもしれないな…。」



ジルが深刻そうな顔をしながらそう言うと、他の兵士達の顔が青ざめていった。
そしてジルは一呼吸して、



「この事を隊長と他の隊に知らせるんだ。」



と、静かな口調で言った。
しかし、他の兵士達は信じられない感じで呆然と立ち尽くしている。



「何をしている!!早く報告をするんだ!!」



ジルが大声を出して言うと、兵士達は我にかえり魔法を使う者がクレイブ達に報告をする為に魔法を唱え始めた。



『…隊長、ならびに他の隊の者達へ…こちらはジルが指揮する隊の者であります。
2人の物と思われる痕跡を発見したのでありますが、事態は最悪の状況にある様です。
至急こちらに集合願います。
場所は城北部にある草むらの中です。
上空に魔法で光の玉を作っておきますので、それを目印にこちらまで来て下さい。
以上、報告を終わります。』



そう言って報告し終わると、隊の1人が魔法で光の玉を作り出した後、ジル達はひとまずその場に座り込み、皆が到着するのを待った。



一方、城で待機していたクレイブは、魔法での報告を聞いた後、『ハルバート』と呼ばれる槍と斧が一体化した武器を手に取ると、待機所の前に繋いであった馬に股がり、即座にジル達の所へと向かって行った。