好き勝手に物語を書くぞ~♪ -6ページ目

風の輪舞曲(ロンド)~闇を奏でる者~ No.15

~始まりの時~ No.15



隊長達はどんな理由で王の間に集められたかは知っているが、直接クレイブから話しを聞いていると、『めんどくさい事』と言っていたザイアスでさえも、状況を重く感じていた。



一通りクレイブが話し終わると、それぞれが腕を組んだり、目を閉じたりして、少し考え込んでいて、部屋が静かになった。



王の間に沈黙した時間が流れる…。



そんな隊長達の様子を見ていたルドルフ王が口を開いて、



「…聞いてもらった通り、状況は非常に悪く、今まで一度も起こった事の無い事態だ。
それで、その魔物を退治しなくてはならないのだが、おそらく実際に魔物を見た事がある者など、この中には居ないだろう…。」



と言ってからガレオンに向かって、



「それでガレオンよ、貴方は私達よりも随分昔からこの国に居る人物だ。
よかったら、何か魔物にかんしての意見を聞かせてくれないか。」



と、多大な知識を持っているガレオンに情報を求めた。



「そう言われてもじゃな…いくらワシが長生きしとると言っても、実際に見た事は無いし、今の話しを聞いただけでは、言い伝わっておる、どの魔物かワシにも検討は付けにくいのじゃが…。」



そう言ってガレオンは腕を組んで考え込むと、頭に詰め込んでいる知識を探りだし、



「……もしかすると、古くからこの辺に居るかもしれないと言われている『リザードマン』と呼ばれる魔物かもしれんな…。」



と、1つ思い出した様子でルドルフ王に告げた。



「リザードマン?」



魔物の名前を聞いた全員が口を揃えて言った。



「そうじゃ、姿は…まぁ、一言で言えば『トカゲ』じゃな。
しかし、その大きさは人よりも遥かに大きく、鋭い爪をもっており、太くて長い尻尾が生えているとされておる。」



そうガレオンは魔物の説明をしてから、



「確か大きな湖の所に洞窟があってな、そこに住み着いている…と、言われておったはずじゃ。」


と、リザードマンの住みかとされている場所を口に出すと、



「けどよ、言われてるだけだろう?そこに行ってみて、そのリザードマンとやらが居なかったら無駄足じゃないか?」



と、ザイアスが右手で頭を掻きながら『行く必要ないだろう。』と言った感じで発言した。



「でも、やみくもに探すよりかは目的地があった方が良いと思いますけど。」



と、ローウェインがザイアスを見ながら、今の言葉に対して即答した。



「そうだな…ひとまず、その洞窟に行ってみるしかないだろうな。」



ガレオン達の会話のやり取りを聞いていたルドルフ王がそう言うと、



「…王が決めるんなら仕方ないな。」



と言ってザイアスも、とりあえず納得し、目標にする地点が決まった。



「よし…それでは、これから魔物討伐に向かう兵士達を選ぼうと思うのだが、それぞれの部隊の中で推薦出来そうな者はいるか?」



ルドルフ王が全員を見渡しながら、どれくらいの人数がいるか、確認をとる為に言うと、



「先に言っとくが、ワシの部下は無理じゃぞ。
研究者じゃからな、戦闘にはむかん。
行っても他の者の足を引っ張るだけじゃろうしな。」



と、ガレオンが首を横に振りながら、そう答えた後に、



「私は3人程、推薦できる者がいます。」

「俺は5人かな。」

「私は2人です。」

「私も同じく2人。」

「…1人…。」

「私の部下は訓練兵なので、皆若い者達ばかりですが、推薦出来そうな者が3人程います。」



と、ローウェイン、ザイアス、クレイブ、イザベラ、ギミック、グレンの順で推薦出来る者の数を告げていった。



「ほぅ、結構いるな…しかし、全員を行かせると言う訳にはいかない。
昨日の事もあるし、これ以上、大人数で動いていると、更に国の民を不安にさせてしまうだろう。
困難な事だとは思うが、魔物討伐は少人数で行ってもらう。
これはその為の会議なのだ。」



ルドルフ王がそう言ってから、1時間20~30分程話し合いが行われ、ようやく魔物討伐のメンバーが決まった。



「では、今決まった者達にこの事を伝えて、各自30分後ぐらいに中庭へ集まる様に指示してくれ。」



ルドルフ王がそう言うと、その場に居る全員がうなずいた。
それを見ると、



「それでは、これで会議を終了する。」



と、ルドルフ王が言ってから各部隊長は席を立つと、王の間を出ていき、それぞれが討伐に選ばれた部下の所へと向かった。

風の輪舞曲(ロンド)~闇を奏でる者~ No.14

~始まりの時~ No.14



「あぁ~あ、何だかめんどくさい事になったな。」



そう言って、1人の男が首の骨を『パキパキッ』と鳴らしながら王の間に入って来ると、



「何を言ってるんですか、これは国の一大事なんですよ。」



と言いながら、呆れている様子で男の後ろからもう1人、やせ形の男が一緒に入って来た。



まず初めにやって来たのは、騎馬隊と歩兵部隊を指揮している両部隊の隊長『ザイアス』と、魔法部隊隊長の『ローウェイン』である。



ザイアスは結構歳をとっているらしく、髪は短髪の白髪で口の周りにも白い髭を生やしている。
それから身長も体も大きく、左目の所に剣で付けられたと思われる傷が特徴的である。



ローウェインの方は、紫色の髪を背中まで伸ばしており、身長はザイアスの肩ぐらいまでしかない。
それに、他の魔法を使う者達と同様に青いマントを羽織っているが、部隊長の証として後ろには大きな紋章が縫い付けられている。



そんな2人が会話をしながら進んでいると、



「…ザイアスは相変わらずの様じゃな。」



と、小柄な老人がポツリと呟き、杖をつきながらゆっくり歩いて王の間に入って来た。



その老人は『魔導研究室』の室長で『ガレオン』と言い、白髪の長い髪と髭を生やしていて、顔に眼鏡を掛けている。
それに、白いローブを羽織っているが、身長が低い為いつもローブの下の方を引きずって歩いている。



このガレオンは、先々代の国王の時代から仕えていて、この国の中で一番の最年長者であり、既に100歳を越えているのだが、実際の年齢は誰も知らない…。



それから数分後、今度は美しい女性がやって来た。



彼女はこの国唯一の女性騎士で、名前を『イザベラ』と言い、腰まで伸ばしている金色の髪を後ろで束ねており、とてもスタイルが良く、彼女に言い寄って来た男は数えきれない。



そんなイザベラは弓部隊の隊長であり、国一の弓の名手で、どんな小さな的でも百発百中で射ぬいてしまう程の実力の持ち主である。



そして次にやって来たのは、兵士達を育成して訓練する部隊の隊長『グレン』だった。



彼は以前、戦いの最前線で活躍をしていたが、とある戦いの最中に左腕を失なって戦場から退く事となり、今後、自分の様な者を出さない為にも、自ら兵士を育成する方に志願したのである。



今では失なった左腕に『義手』を付け、日々若い兵士を厳しく指導している。



それから少し遅れて、偵察部隊の隊長『ギミック』が入って来た。



彼の偵察技術は凄く、どんな悪条件でも必ず成果をあげている。
その偵察の中で彼が一番得意とするのが『変装』で、老若男女どの姿にもなれる程の腕前だ。



そんなギミックなのだが、普段から指令の無い時は常に仮面を顔に着けているので、本当の彼の素顔を見た者は誰もいない…とても謎の多い男なのだ。
しかし、確かな実力があるので皆、部隊長として認めている。



そしてギミックが来た時点で部隊長のうち、クレイブは既に王の間に居たので、これで各部隊長7人全員が揃った事になる。



次々と用意されている席にそれぞれが座ると、



「全員揃ったな…では、これより魔物討伐の会議をおこなう。」



と、ルドルフ王が7人を見渡しながら言った後、



「まず初めに…クレイブ、すまないが私に報告した様に、皆にも詳しく話してくれ。」



と言うと、クレイブは頷いて、ルドルフ王とラハルに話した様に、自分が実際に見た事や部下のジルから聞いた事を他の隊長達に話し出した。

風の輪舞曲(ロンド)~闇を奏でる者~ No.13

~始まりの時~ No.13



クレイブが『王の間』へやって来ると、早朝にもかかわらず、ルドルフ王と大臣のラハルが既に来ていた。



昨日城へ帰って来た後伝えていたのである…。
そしてクレイブは2人の前まで行き、



「陛下、それにラハル殿…朝早くから申し訳ありません。」



と、片膝を床に付けると頭を下げて言った。



「別に構わん、夜遅くだったが連絡を受けていたからな…。
それで早速だが、昨日何があったのか詳しく報告をしてくれるか。」



そうルドルフ王が言うと、クレイブは顔を上げて話し始めた。



2人は冷静に報告を聞いていたが、『魔物』と言う言葉が出てきた時にはさすがに驚いて、ルドルフ王は座っていた王座から立ち上がった。
そしてクレイブが全て話し終わると、



「それは本当なのか!?」



と、ルドルフ王が問い掛けたのでクレイブは静かにうなずいた。
するとルドルフ王は愕然として、王座に腰を下ろし、うつむいてから左手で頭を抱えた。
それを見たラハルが、



「陛下、大丈夫ですか!?」



と言って近寄ると、



「あぁ、大丈夫だ…。」



と、ルドルフ王はうつむいたまま言うと『ふぅ…。』と、一息ついてから頭を上げて前を向いた。



ルドルフが王の座に就いてから一度も起きた事の無い大事件なので、精神的にとてもショックだったのだろう…。
それからクレイブを見て、



「では、行方不明になった2人と言うのは…。」



と、ルドルフ王自身、予想はついているものの、事実を知る為に聞くと、



「残念ですが…おそらく魔物によって既に命を落としているかと…。」



と、クレイブは悔しそうに手を強く握りしめて答えてから続けて、



「それで、手練れの者達の部隊を編成して、魔物を討伐する事が必要だと思います。
そして、この国内や他の国等でも同じ様な事が起こっていないか調査をするべきかと思います。」



と、ルドルフ王に対して提案した。
それを聞いていたラハルが、



「陛下、私もクレイブの意見に賛成です。
このままでは、いつ国の民に被害がおよぶか分かりません。
どうか、ご決断を。」



と、ルドルフ王の方を向いて言った。



「そうだな…確かにその通りだ。
この国の民は私にとって、かけがえの無い宝だ…その宝に被害がおよぶ様な事があってはならない…。」



ルドルフ王はラハルの問い掛けに即答で答え、



「ラハルよ、直ちに各部隊長を全員呼んでくれ。
魔物討伐の会議を開く。」



と、王座から立ち上がって言うと『畏まりました。』と、ラハルは一礼しながら言った後、王の間を出ていった。



それから数十分後、それぞれの各部隊長が王の間へと集まりだした。