本日は祭日ver.
<落后的国家>
20年前、自分の分野での中国の状況を知り、日本が既に遅れを取り始めていることを感じた。これは主観、体感の世界。
10年前、自分の分野に限らず、色々な分野で遅れをとっていることに気づき(科学雑誌、NatureとかScienceを読めば明らか! これは客観、数字でナンボの世界)周囲に「日本は中国に遅れている」と述べたが、反応は冷ややかだった。
そして今、それはついに色々な面で明らかなものとなった。
確かに中国は大きい、何処を基準にするかで視点、判定は変わる。しかしこれだけは言える。
中国のトップ0.1%の人間は日本の1%より優秀。そしてその0.1%の人数が日本の1%より沢山いる。しかも彼ら0.1%が現代中国を引っ張っている。
これはAK氏にコメントした内容の背景説明。
<奴国:歴史資料館へ行く1>
日曜、午後から奴国の歴史資料館と隣接する熊野神社に行く。
予めナビに入力して行ったが、その必要もないくらいに簡単に現地到着。ここは丘陵地の北西に突き出た端で如何にも古墳の適地。現場主義の賜物。
国土地理院の3D地図の中央のポインター位置が歴史資料館。高さを10倍に拡大して表示。
勿論、古代も同じような地形かは不明だが。それほど違いはないだろう。地理院のデーターベースによれば、周囲からの高度差は15mほどある。資料館玄関、向かって左に車が10台以上止められる無料駐車場があるのでそこに車を停める。これも予めGoogle mapと案内で確認済み。
上の公園の図で右側(北側)に後から紹介する熊野神社に続く道があるが少し丘を下る感じになる。
また、コミュニティーバスの駐車場もある。
横に盤石池がある。最初空池かと思ったらちゃんと水がある。下の写真の右中央。
まず資料館に入り奴国関連資料室だけ訪問。それ以外に民俗資料もあるが、今回はパス。Wifiも写真撮影も可能。素晴らしい!
まず巨大な金属製の武器が並ぶ、手前の大きいものは長さが1mほどあるが、これは実用ではなく祭儀用だろう。奥に実用的で小ぶりな30cmほどの武器(但し、レプリカ)が並ぶ。
長さで2倍から2.5倍ほどもある儀式用と思われるものは重量が10倍程度になるわけだから、流石に戦場では使えないだろう。
ここには鉄器の原料となる鉄片が展示してある。弥生時代だとまだ国内での鉄鉱山は未発見とされていたので、これは朝鮮半島の南部から輸入されたもののはず。
あと、2(発掘状態で保存された甕棺、住居跡など)3(熊野神社)と続く予定。
『経済成長の起源』
マーク.コヤマ、ジャレド・ルービン著、草思社、2023年初版。
How the world became rich. 2022.
冒頭、『ある国を豊かにする万能薬などない事実が明らかになるが…』p16 と言う。
そう! 日本の高度成長期の要因となったものが、21世紀にも通用すると考えることが間違いなのだ。否、逆に足枷にもなっている。例えば終身雇用などがそれに当たると私は考える。
そうではなくて、生涯教育による個人のプロフェッショナルのグレードアップによる転職、それを支えるセフティーネットの完備こそが重要。
公平に見て、極度の貧困は急速に減少して… ここ数十年で一気に弾みがついたという。 ほんの2世紀前まで世界の人口の84%が生活ギリギリで(2016年のドル換算で1ドル以下)生きていた。p20
著者は特に述べていないが、この数十年については中国の功績が大きいと思う。
そして著者は『長い目で見た場合、重要なのはその成長が持続的であるかどうか』だという。p27
だから中世末期の黒死病の後、ヨーロッパの人口が1/3くらい減ったことで一時的(数世代)に経済成長が見られたが、それは本質的でないと言いたいようだ。
これはよく西欧中世史家が唱える説。ま、それでも数世代、1世紀くらい続くのはすごいと思うが?
また、その成長の鍵となるのは時代と国で異なっているとも。イギリスでは石炭だったが、日本は違う。中東では宗教が関係したが中国は違ったとも。p35
また地理的利便性は一般に経済成長にプラスに働きそうだが、アフリカでは奴隷貿易の被害を和らげ、逆に働いたとも。p35
ここでダロン・アセモグルの「運命の逆転」現象が取り上げられる。中世末期、豊富な天然資源に恵まれた国はもっとも搾取されやすい地域だったとも。p36
そう! カリブの豊かな土地は砂糖黍栽培で不毛にされた。これは私の「サルサーカリブ史」時代に学んだこと! 但し、 時代は近世。
この1章に概略的に語られた文章を読んで、この本が例え難しく、苦労しても読む十分な価値を授けてくれるだろうと予想できた。 さて、どうだろう?