『プア・ジャパン』
副題:気がつけば「貧困大国」
野口悠紀雄著、朝日新聞出版、朝日新書922、2023年初版。
日米でラーメンの価格差がビッグマックのそれより大きいのは労働コストの比率が高い=労働集約的から。p32 そして、外国人旅行客の急増はプア・ジャパンの象徴だとする。p41
まさにその通りだが、世の中にはコストパフォーマンスが良いラーメンだとか、観光立国だと言って喜んでいる人が多い。
80年代は産業構造と。日本の社会構造はマッチしていたと著者は言う。即ち、創造性や独創性より協調作業を重視する風潮だ。p51
今でも「風を読まない」という言葉は普通、良い意味では使われないし、社員の応募にあたっては協調性が重視される。
研究の分野では、もとより創造性や独創性が一番大事なので。大学院生の応募にあたって某大学のアドミッションポリシーに「豊かな社会性をもつ人物」を掲げることに異を唱えた人がいたが、会議では無視され偏屈者とされた。はい、私のことです。
2000年初頭、著者はスタンフォードの客員教授だったが、その時から変化の兆しが見られたそうだ。その1つに日本人留学生の減少と中国人留学生の増加だそうだ。p52
80年代でも当時、中国人留学生が数の上では1番多く、日本人は2番目だった。だから深夜、大学近くのSafe Wayに行くと日本語があちこちから聞こえていた。ところが今スタンフォードでは、日本人留学生の数はメキシコの下で「その他」に分類されている。
どうしてそのようなことになったのか? 何が問題だったのかについて著者は中国工業化に円安と補助金で対応したことが間違いだとする。p54
全く、同感だ。何時もいうように円建てで利益を計算すれば、実際に売り上げが低下しても逆に利益が上昇しているように感じてしまう。そして挙句の果てに株高で有頂天になる。バカじゃないかと思う。でもこれって今でも起こっていることですよね?!