建設業などの

現場仕事によくある

問題として、

準備や後片付け、

現場までの移動時間は

労働時間に当たるのか?

という問題があります。

 

 

この問題は、

残業代が発生するか

どうかに絡んで、

結構やっかいな問題を

はらんでいます。

 

 

今回は、

この問題を

シリーズで

取り上げています(^ ^)

 

 

<毎日更新463日目>

 

<目次>

1.「労働時間」とは何か?

2.具体的な「指揮命令下に置かれた時間」の判断要素

3.今日のまとめ

 

  1 「労働時間」とは何か? 

 

現場仕事で、

準備や後片付け、

現場までの移動時間

について、

それが「労働時間」に

当たるとなると、

何が問題となるのでしょうか?

 

 

昨日のブログでは、

その辺を解説しました。

 

 

仮に、

現場の仕事が1日7時間、

準備や後片付け、

移動時間が前後合わせて

2時間かかるとします。

 

 

そうすると、

これらの時間が

労働時間に当たるとすると、

1日の労働時間が

9時間となってしまい、

1時間分は時間外労働

となってしまいます。

 

 

すなわち、

1時間分は割増賃金(残業代)

の支払いが必要となります。

 

 

この点、

最高裁判所の判例では、

「労働時間」に該当

するかどうかは、

「労働者が使用者の指揮命令下

に置かれている時間」

を言うとされています。

 

 

ただ、

使用者の指揮命令下に

置かれた時間と言っても、

抽象的でよくわかりません。

 

 

この「指揮命令下の時間」

とは具体的にどんな場面

を言うのでしょうか?

 

 

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  2 具体的な「指揮命令下に置かれた時間」の判断要素

 

この点、

最高裁はさらに、

「指揮命令下に置かれた時間」

かどうかを評価する

具体的な要素を

上げています。

 

 

具体的には、

次の3つの要素

を考慮して判断

されます。

 

 

 

 

 ① 業務遂行に関する義務づけ

 

 

この点,

使用者(会社)から,

明示的な義務づけ

がなされていれば、

それが指揮命令下に

置かれた時間、

すなわち「労働時間」

に当たることは

明らかです。

 

 

具体的には、

個別的に指示や命令,

就業規則等の記載などによって,

事前準備や後片付け等の時間が

明示的に義務づけられている

ようなケースです。

 

 

問題は,

このような明示的な

義務づけがない場合

です。

 

 

この点,

明示的な義務づけが

なかったとしても,

黙示的な義務づけが

あったと評価できる場合には,

やはり業務遂行に関する

義務づけがあると評価されます。

 

 

つまり、

その時間も

使用者の指揮命令下の時間,

すなわち「労働時間」であると

判断されます。

 

 

さらに,

黙示的な義務づけがあるとまでは

評価できないとしても,

業務遂行に関する義務づけが

あるとされる場合があります。

 

 

それは、

その行為(事前準備や後片付けなど)

を行わないことによる不利益や

業務上の不都合等の諸般の状況からして,

労働者がその行為等を

行わざるを得なくされているような場合

です。

 

 

上記の例の場合は、

現場での建設業務という性質からして,

事前準備や後片付け

(ないしはそのための移動時間)

について,

少なくとも黙示的な義務づけが

あったと言える事案でしょう。

 

 

仮にそれがなかったとしても,

事前に会社に行ってトラックに

道具や資材を積み込んで現場に

運転していくという行為を

やらなければ,

現場の仕事に支障が出ることは

明らかですので,

労働者はそうした行為を

行わざるを得ないものと

評価されるでしょう。

 

 

 

 

 ② 場所的な拘束性

 

 

労働者が,

使用者からの指示を受け,

ある一定の場所において

業務に従事していたかどうかも,

重要な判断要素となります。

 

 

たとえば,

作業服に着替える時間ですが,

仮に自宅で作業服を着て現場に

直行することが許されていた,

というような場合。

 

 

この場合は

作業服を着ることについての

場所的拘束性はなく,

その時間は労働時間とは

言えないことになります。

 

 

また,

現場まで行く移動時間については,

現場直行が許されているのであれば,

それは通常の通勤時間

(自宅から会社まで行く時間)

と変わりませんので,

基本的にはこの時間も

労働時間には当たりません。

 

 

ただし,

その移動時間の長さ等によっては

労働時間に該当する可能性もあります。

 

 

上記の例の場合、

トラックに道具や資材を積んで

現場に行く必要があるという場合,

通常はそうした事前準備の作業は

会社で行わなければなりません。

 

 

ですから、

その場合は場所的拘束性があるとして,

その時間は使用者からの指揮命令下の時間

であると評価されやすいことになります

(会社から現場までの移動時間も同様)。

 

 

 ③ その行為自体の業務性

 

 

さらに,

その問題となっている

行為自体の業務性も,

重要な判断要素となります。

 

 

この点,

上記の例では,

現場で仕事をするための事前準備や,

事後の後片付けなどは,

やはり業務性の高い行為

であると評価され,

同じく使用者の指揮命令下に

置かれた時間と評価されやすい

ことになります。

 

 

しかし,

たとえば,

後片付けが終わった後に,

社長から「一杯やろう」と

誘われて飲みに行った場合,

お酒を飲んでいる時間は通常は

業務性のある行為とはされませんので,

その時間は「労働時間」には当たらない

ということになります。

 

 

以上の要素から判断すると,

上記の事例では,

事前準備や事後の片付け,

また会社から現場間の往復の

移動時間などは,

「労働時間」に当たると

評価される可能性が

高いと思われます。

 

 

  3 今日のまとめ

 

そこで、

今日のポイントは,

 

現場仕事の場合は、事前準備や事後の後始末の時間などは要注意!

 

ということです。

 

 

これは、

現場仕事である建設業などで

多くの中小企業が抱えている

問題であると言えます。

 

 

ただ、

この問題を曖昧なままにしておくと,

将来社員から

未払い残業代の請求をされる

というリスクがあります。

 

 

ですから,

上記の例のように,

事前準備や事後の片付けなどが

不可欠なものであるならば,

それらの時間もきちんと

労働時間に組み入れて,

就業規則等を整備し直して,

明確にしておくことが重要

であると思われます。

 

 

 

 

 

 

 

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【最新の動画】

今回は、建設業などで多い、水増し請求やキックバックというテーマでお話しています。 

 

こうした行為は、詐欺罪という犯罪になる可能性がありますし、様々なリスクがありますので注意が必要です。

 

 

【活動ダイジェスト】

昨日も事務所に出勤して、午前中は事務所の所内会議、午後はオンラインで打ち合わせ、夜は顧問先で法律相談でした。

 

 

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