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12月2日

ここに来て政府も日銀も、

中小企業の資金繰りを本格的に心配し始めたように感じられる記事がいくつか掲載されました。

まずは、一番問題の信用保証協会に対する記事です。 


経産相、中小の資金繰りに万全の対応を 信用保証協会に要請

 二階俊博経済産業相は2日の全国の信用保証協会会長との会合で、年末に向けて中小企業の資金需要が高まるのに備え「万全の体制を敷いてほしい」と述べた。中小企業が金融機関から融資を受ける際に信用保証協会に返済を保証してもらえる「緊急保証制度」の利用が急増しており、中小企業に対する円滑な資金供給を求めた。

 会合には全国52の信用保証協会会長に加え、日本政策金融公庫など政府系金融機関の代表者らが参加。経産相は資金の借り手である中小企業の立場にたって対応することも要請。受付時間の延長や迅速な審査などを求めた。

 緊急保証制度は10月31日に開始し、12月2日までの約1カ月で4万件以上の保証を承諾、金額は9977億円にのぼっている。中小企業庁と各地の経産局は保証制度や資金繰りについての電話相談を30日まで受け付ける。

 

特に金融に対する知識も思い入れもない都道府県からの天下りの多い、

信用保証協会の会長たちだから、どの程度大臣の話を真剣に聞いたかどうかは分かりませんが、

少なくとも、中小企業の資金繰り支援の緊急度ぐらいは認識したのではないかと思います。

 

そもそも信用保証協会の官僚的、一元的な判断が問題で、

受付時間の延長や迅速な審査程度の話では、

利用者にとってはとても満足できるものではありませんが、

でも、このような会合が行われないよりは行われた方がマシで、

一応良い方向の話題だと思います。

 

今問題だと書いた信用保証協会の官僚的、一元的な判断とはどんなことか、

少し話をしたいと思います。


現在セーフティーネット融資に対する信用保証協会の姿勢は記事の内容どおり、

確かに積極的だと思いますが、

保証する会社、保証しない会社の判断が実に官僚的かつ一元的なんですね。

 

保証できるかどうかは、過去の信用保証協会との履歴に問題がないかにかかっていて、

例えば、求償債権が残っている会社や返済条件の変更(リスケ)がなされている会社に対しては、

一般融資の保証だけでなく、緊急融資のセーフティーネット融資についても同じ対応をし、

原則保証をすることはありません。

確かに、新たな融資を受けても、正常化とは程遠いほど財務内容に問題がある会社に対して、

保証をしないと言うのなら理解できるのですが、

今回新たに受けるセーフティーネット融資で、

完全に正常化できる先に対しても、同じように保証をNOと言う判断をするところに、

大きな問題点があると思います。

 

多額の債務を信用保証協会に残す会社も、

例えば数十万円の債務が残っている会社やリスケにより小額の猶予を受けている会社も、

その対応はほとんどのケースで同じNOですし、

民事再生をし、立派に更正した会社に対しても、債権放棄した求償債務が残っている限り、

新たな保証はしないと言うように、民事再生法の趣旨と違っているケースもあります。

 

弊社の顧客の中でも、このようなケースはとても多く、

確かにモラルハザードの問題はあるかもしれませんが、

新たな融資で正常化できる会社に対しても、

過去にトラブルやリスケがあるという一点のみを理由に一刀両断でNOと判断するのは、

少し違っているんじゃないかと私は思いますがいかがでしょうか? 

思うように資金調達ができない方へ

また日銀も、企業の資金調達悪化に対する認識を深めているようです。

次の記事をご覧下さい。


①銀行借り入れや社債発行など企業の資金調達環境の悪化を受け、政府や日銀は対応を急ぐ。日銀は2日、臨時の金融政策決定会合を開き、企業の資金繰りを支援する新たな対策を決める。銀行へ資金供給する際、担保として受け取る社債の条件などを緩和。社債も含めた企業向け債権を担保に銀行に有利な条件で資金を貸し出す臨時の制度を設ける方針だ。

 

②日銀は2日、臨時の金融政策決定会合を開き、企業の資金繰りを支援する新しい資金供給策を決めた。資金供給で担保に取る社債の格付けを緩和。併せて銀行が日銀に社債などの企業向け債権を担保として差し出せば、無制限に有利な金利で資金を貸す新制度も導入する。白川方明総裁は記者会見で新制度によって「金融機関に3兆円程度の資金供給が見込める」と述べた。
 日銀が企業の資金繰りを支援する緊急対策をまとめるのは、金融危機が深刻だった1998年以来となる。

 

この記事の中にもあるように、日銀が企業の資金繰りを支援する緊急対策をまとめるのは、

金融危機が深刻だった1998年以来とのこと。

1998年と言うと、まさに失われた10年と言われた日本の経済混乱期の真っ只中で、

日本長期信用銀行(10月)や日本債券信用銀行(12月)が破綻した年です。

 

実は私が資金調達のコンサルをスタートしたのもこの頃で、

思い出せば、確かに企業の金融環境は最悪だったように思います。

仕事をスタートさせたものの、その頃顧客の対象であった中小企業に対しては、

資金を供給する金融機関は非常に少なく、

結局のところ公的資金頼みで、国金からの融資をスムーズにさせるための事業計画作りや、

事業そのものの構築のお手伝いが主な仕事であったように記憶しています。

まあ、その後メガバンクがビジネスローンをスタートさせ、

中小企業に無担保融資をし始めることで、弊社も一気に花開くのですが、

その頃と今は公的資金頼みと言う点では同じですから、

まったく情けない限りで、民間金融機関の努力不足は否定できません。

1998年当時と違って、農林中金のようにサブプライムローンでやばくなっている金融機関もあるし、

地銀でもやばいところがあるのは事実ですが、

1998年当時と現在を比較すれば、銀行の財務内容はまったく違って、

現在の方が良好で貸し出せる余力はあるはずなのに、

100%保証のセーフティーネット融資にのみ一所懸命やる様は、

銀行さん!マジで何をしているんだと思います。

 

取りあえず資金調達できるから良いものの、セーフティーネット融資には大きな問題があります。

実は、セーフティーネット融資=危ない会社、と言う判断がなされるので、

セーフティーネット融資を受けることは、実は自ら危ない会社と宣言しているのと同じですから、

格付の低下や金融履歴も必ず残り、数年後、この悪影響は必ず出ると思われます。

この部分が実は同じ信用保証協会の保証枠拡大でも、

セーフティーネット融資と中小企業新事業活動促進法の承認企業用のチャレンジ融資の大きな違いで、

現在、銀行が100%融資のセーフティーネット融資に傾注して、

チャレンジ融資は時間がかかるなどと怠慢なことを言って誤魔化すのは、

本当は困ったものだと思います。

資金繰りが待ったなしになっている企業以外は、

本当はセーフティーネット融資を受けることは止めた方が良いのにと本音では思いますね。

ただコンサルの立場から言うと、資金繰りに逼迫している会社が多い現状では、

セーフティーネット融資には慎重にとは言いにくい環境であることも事実で、

この辺りは会社の状況を把握して案内しているのが実情です。

本当は、セーフティーネット融資には慎重になって欲しいと思っています。

 

いずれにしても、企業を取り巻く金融環境は最悪な状況になっていることは事実です。

でもこの状況がまだ正しく理解していない方が多いのも確かで、

3日後のような至急の資金調達の相談もまだまだ多く、まずは、金融環境が、

昨年とはまったく違う状況になっていることを正しく認識して欲しいと思います。