
商品在庫担保融資

8月12日
今回は前回投稿しました商品在庫担保融資を難しくしているポイントについてご案内させていただきます。商品担保融資は、企業が保有する在庫商品を担保に資金を調達する方法ですが、すべての商品が担保として適しているわけではありません。
担保として評価されにくい商品には、次のような特徴があります。
1. 換金性が低い商品
・市場での需要が少ない商品
需要が少ない商品は、買い手が見つかりにくく、換金性が低いため、担保として評価されにくいです。
例:ニッチな商品、季節性の強い商品
・価格変動が大きい商品
価格変動が大きい商品は、担保価値が大きく変動する可能性があり、金融機関はリスクを懸念します。
例:投機的な商品、流行に左右される商品
・規格化されていない商品
規格化されていない商品は、品質や価値の評価が難しく、担保として評価されにくいです。
例:手作りの商品、一点もの
2. 保存・管理が難しい商品
・保管スペースが大きい商品
保管スペースが大きい商品は、管理コストが高く、金融機関も担保として受け入れにくいです。
・品質劣化しやすい商品
品質劣化しやすい商品は、担保価値が時間とともに低下する可能性があり、金融機関は融資をためらいます。
例:生鮮食品、医薬品
・管理方法が複雑な商品
管理方法が複雑な商品は、金融機関が担保管理しにくく、融資を受けにくいです。
3. その他
・盗難・紛失リスクが高い商品
盗難・紛失リスクが高い商品は、担保価値が失われる可能性があり、金融機関は担保として評価しません。
・担保権設定が難しい商品
担保権設定が難しい商品は、金融機関が担保権を確実に行使できず、融資を受けにくいです。
・法規制により販売が制限されている商品
法規制により販売が制限されている商品は、換金性が低く、担保として評価されにくいです。
例:美術品、骨董品: 価値の評価が難しく、偽物リスクもあるため、担保として評価されにくいです。
・生鮮食品
品質劣化が早く、保管・管理が難しいため、担保として不向きです。
・衣料品
流行に左右されやすく、価格変動が大きいため、担保として評価されにくいです。
・特殊な機械
専門知識が必要で、買い手が見つかりにくいため、担保として評価されにくいです。
ただ、上記に該当する商品でも、保管・管理方法や保険の付保状況によっては、担保として評価される場合があります。
金融機関によって、担保として認められる商品の種類や条件が異なる場合があります。
商品担保融資を検討する際は、時間のゆとりを持てるタイミングで、複数の金融機関に相談し、担保として評価される商品の種類や条件を確認することをおすすめします。
また、担保とする商品の市場動向や価格変動、保管・管理方法について、十分な情報収集を行うことが重要です。
商品担保融資は、企業の資金調達手段として有効ですが、担保として適格な商品であるかどうかを慎重に検討する必要があります。
この部分が不動産担保融資や上場株式担保融資のよりも難しいところがあるとご理解下さい。
売掛債権担保融資が不動産担保融資のように普及しない理由は?

8月11日
商品在庫担保融資よりは普及しているものの、売掛債権担保融資(ABL)がまだまだ不動産担保融資ほど普及しないのには、いくつかの理由が考えられます。そもそも以前は、譲渡登記の付いている売掛債権は担保対象にならないこともあって本当に利便性が高いとは言えませんでしたが、商法の改正もありかなり使い勝手は良くはなっています
1. 担保の性質と評価の難しさ
・価値の変動性
不動産は一般的に価値が安定していると考えられますが、売掛債権は売掛先の信用状況や支払い能力によって価値が大きく変動する可能性があります。
売掛先が倒産した場合、売掛債権は回収不能となり、担保としての価値を失います。
・評価の複雑さ
不動産の評価は比較的確立された方法がありますが、売掛債権の評価は、売掛先の信用力、取引条件、回収期間などを考慮する必要があり、より複雑で専門的な知識が求められます。
・管理コスト
売掛債権は常に変動するため、金融機関は担保として管理するために、定期的に債権残高や回収状況などをモニタリングする必要があります。これには不動産担保に比べて高い管理コストがかかります。
2. 金融機関側のリスク
・信用リスク
売掛先の倒産リスクは金融機関にとって大きなリスクです。
・事務負担
売掛債権の管理や回収業務は、不動産担保に比べて煩雑で事務負担が大きくなります。
・専門知識の必要性
売掛債権の評価や管理には、専門的な知識やノウハウが必要となるため、すべての金融機関が積極的に取り組めるわけではありません。
3. 企業側の要因
・債権譲渡の抵抗感
売掛債権を担保に入れることは、売掛先に対する信用不安の兆候とみなされる可能性があり、企業イメージの低下につながることを懸念する場合があります。
・情報開示の負担
金融機関に対して、売掛先情報や取引状況などの詳細な情報開示が必要となるため、企業にとって負担となることがあります。
・担保提供可能な債権の制約
債権譲渡禁止特約が付いている売掛債権は担保として利用できない場合があります。
このポイントはかなり是正されてきています。
4. 法制度やインフラの未整備
・登記制度
不動産担保には登記制度が確立されていますが、売掛債権担保の登記制度はまだ十分に浸透しているとは言えません。
・標準化の遅れ
売掛債権の評価や管理に関する標準化が進んでいないため、金融機関ごとに手続きや評価基準が異なり、利用しにくい場合があります。
5. 普及の歴史と慣習
・不動産担保の歴史
不動産担保融資は長年の歴史があり、金融機関や企業の間で慣習として根付いています。
・売掛債権担保の歴史
売掛債権担保融資は比較的新しい手法であり、まだ十分に認知・理解されていない面があります。
これらの理由から、売掛債権担保融資は不動産担保融資のように広範には普及していません。
しかし、近年ではABL(アセット・ベースト・レンディング)の一環として、その重要性が見直されつつあり、政府や金融機関による普及促進の動きも見られます。
今後は、担保評価や管理の効率化、法制度の整備、企業側の意識改革などが進むことで、売掛債権担保融資の利用が拡大していく可能性もあります。
売掛債権担保融資の元祖とも言えるノンバンクは今でも、毎月継続的にある程度まとまった額の入金ある売掛債権の売掛先が10社以上あることが、現在でも変わらず利用においてクリアしなければならないことも、中小企業の利用には高い壁となっています。
次回の投稿で私どもからご案内できるノンバンクによってはこの条件をクリアする必要はなく利便性の点では商品在庫担保融資と比較するとはるかに普及してきています。
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