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「bjリーグ」開幕!!

 日本初のプロバスケットボールリーグ「bjリーグ」が11月5日に開幕した。日本にバスケットのプロリーグが根付くかどうかの挑戦が始まった。純粋なプロリーグとしては、「Jリーグ」に二例目となる。果たして二匹目のどじょうは眠っているのだろうか。

 運営形態は世界で最も成功しているアメリカのNFL(アメフト)をお手本にしている。リーグ事業の安定的発展のため、リーグと球団はリーグ規約により経済的な単一事業体(いわゆる「シングル・エンティティ」)を形成し、効率的かつ球団間の戦力バランス、経済バランスを実現する組織・運営ルールを構築する。つまり、リーグが収入を管理し分配するのだ。

 さらに、各チームの総年俸に制限を加えるサラリーキャップ制を導入し、各チームの戦力差が出ないような仕組みとなっている。チームのファンは「ブースター」と呼ばれ、Jリーグのサポーター同様に新たな呼び名の定着を狙う。

 私は11月5日の開幕戦、大阪のなみはやドームで行われた大阪エヴェッサVS大分ヒートデビルズの一戦を観戦した。

 アリーナに入ると、中は照明が抑えられ、ライトの光線が四方八方に伸び、なにやら幻想的な雰囲気をかもし出している。ハイテンポな音楽がかかる会場は、バスケットの試合というよりライブの雰囲気といったほうが適切かもしれない。スポーツエンターテイメントを掲げるだけあって、さすがだ。そうした仕掛けは随所に見られた。

 エヴェッサのダンスチームが試合前、応援の仕方をレクチャーし、観客を乗せる。始めは戸惑いながらも、ダンスチームの掛け声とともに観客も徐々に乗せられる。「エヴェッサ、エヴェッサ」と軽妙なリズムに手をたたく。大阪エヴェッサではメガホンの代わりにハリセンを使い、独自色を持たせている。試合後、「エヴェッサ、エヴェッサ」のリズムが頭から離れなかったことを思えば、応援スタイルは根付いていきそうな気がする。事実、試合が経過していくごとに、応援も熱を帯びてきた。

 試合はバスケット初心者でもルールが分かるよう、ルール説明を交えた試合の実況中継が行われる。ただ、普通と違うのは、完全にホームを意識した実況なのだ。エヴェッサのゴールが決まれば、喜びを表し、相手チームのフリースローには、ブーイングを浴びせるよう観客をたきつける。露骨なまでのホームびいきは、審判にも乗り移っているのか、エヴェッサ寄りの笛が吹かれていた感じがする。

 ブーイングを煽るなんてちょっと考えられないが、斬新でおもしろい。相手チームの選手が悪質なファールをした際に、「追い込みをかけるぞ」なんて物騒な野次も飛び出したが、それはそれでおもしろい。実況がホームチームの観客を煽らなくても、自然とブーイングが出るようになる日も近そうだ。

 

 試合は、接戦を演じ、おおいに盛り上がった。試合終了まで結果がわからない展開には、どんな演出も及ばない。bjリーグが外国人を制限していないので、日本人がほとんどいないコートに少し驚きもしたのが、特別な感じは抱かない。むしろ外国人がチームを牽引しているので、外国人は不可欠な要素だ。

 残念なことは、顧客満足を測る調査が行われていなかったこととグッズ販売の場所がわかりづらかったこと、飲食店に工夫が見られなかったことだ。

 開幕戦で皆が初めて経験する試合、彼らの声を聞くチャンスは今後ないはず。なぜ、調査が行われなかったのか不思議でならない。観客の声には思わぬ金脈が眠っている可能性もある。私は、コート席の近くに陣取っていたが、調査が行われた形跡は全くなかった。せっかくの演出も効果測定できなければ、次回の演出の参考にならない。

 グッズ販売を行っているところを探したが、残念ながら、見つけることができなかった。大々的に誰もがわかるような場所に開設する必要がある。試合を見て、何かグッズを身に付けたいと思っても、販売場所を探す人はあまりいないだろう。明らかな機会損失だ。会場前など、考えられるスペースは多くあった。

 エヴェッサのユニホームを着ているお客さんが増えなければ、会場で一体感を演出できない。ユニホームは観客を結束させる最も効果的なグッズだ。

 さらに、ハリセンで応援するスタイルを定着させたいのなら、開幕戦の席に置いておくべきだった。 「お手元にあるハリセンで何々」といった具合に応援の仕方を、浸透させる上でもキーアイテムになりうるはずだった。こうした大判振る舞いは、後々、ファンの定着といった目に見える果実として還ってくる。応援スタイルは周囲の人が応援している姿を真似ることで広がっていく。その応援してくれるファンを集めることが、先決なはずだ。先行投資を惜しんではならない。

 あと会場にある飲食店だが、何か独自の試みがあっても良かったはずだ。飲食店は運営主体と関係はなく変革するのは難しい。しかし、何かエヴェッサ独特の飲食物の販売をすれば、それが特色となる。やきそば、たこ焼き、フライドポテトといった出店の定番メニューだけでない品揃えに知恵を絞るべきだろう。商標の使用も施設内に限り、無料で認めれば、容器にエヴェッサのロゴを入れることも可能だろう。観客にとってちょっとした記念になるはずだ。

 お客さんが、非日常の空間を満喫し、満足してくれれば、次回も会場に足を運んでくれる。お客さんとのキャッチボールはまだ始まったばかり。ずっとキャッチボールをできる関係を築いていくことが、求められている。

 

 四千円のチケットはバスケットボール未経験者の私にとって、少し割高に感じた。他の人はどうだったのだろう。そんな声を聞くチャンスは会場にしか眠っていない。「bjリーグ」が今後どう変化していくのか、注目していきたい。

アブラモビッチのリスクヘッジ

 プレミアリーグ開幕から11試合、いまだ無敗で、二位以下に勝ち点11の差をつけ、はやくも独走気配を見せる昨季の覇者チェルシー。今年もその強さは、揺るぎなさそうだ。チェルシーがプレミアリーグを引っ張るような存在になったのは、一昨年、アブラモビッチ(38)が約180億円の負債にあえぐチェルシーを買収してからだ。


 豊富な資金力を背景に、積極的に選手を獲得してきた。初年度にマケレレ、ダフを、次年度にはモウリーニョ、ドログバ、ロッベンを、そして今年は、エッシェン、ショーン・ライト・フィリップスなど市場価格を上回る価格を相手クラブにつきつけ、選手を獲得してきた。


 アブラモビッチがチェルシー買収以来使ったお金は約800億円。ただ、彼の財布の紐が締められることはない。約1兆5000億円とも言われる彼の総資産からすれば、800億円は「ちょっとした買い物」に過ぎないのだろう。


 サンデータイムズ(英)の長者番付で国内1位、欧州6位、世界22位に輝くなど、その資産家ぶりは世界中に知られている。9月末には、自身が大株主だったシブネフチ(石油会社)を約1兆4800億円で売却、彼の手元にはさらに多くの資金が入ってきた。


 若くして巨万の富を築くアブラモビッチだが、その源泉はエリツィン前政権が進めた国営企業の民営化によるもの。「エリツィンの金庫番」と呼ばれた彼は、ユーコス(石油会社)のホドロフスキーやロシアのメディア王のグジンスキー、政界の黒幕とも言われたベレゾフスキーらとオルガリヒ(新興財閥)を築いてきた。オルガリヒはエリツィン時代の急激な自由化の間隙をつき、横領同然で国家の資産や資源を私物化したとして、国民からの評判は良くない。


 また、エリツィンからプーチンへと政権が変わってからは、オルガリヒへの対応は非常に厳しいものになった。ユーコスは事実上解体され、ロシア随一の富豪だったホドロコフスキーは逮捕された。クジンスキーやベレゾフスキーは亡命を余儀なくされている。アブラモビッチは今のところ協調姿勢をとっているが、いつプーチンに狙われるとも限らない。それを回避するため、英国に軸足を移し、エリツィン時代に払い下げられた企業の売却をしているとの見方もできる。


 欧米などで宝くじの高額当選者が公表されるのは、当選者に危害が及ぶリスクを少なくしようとする狙いがある。高額当選者がその後、犯罪にあったというニュースは聞かない。それは、当選者を狙えば、すぐに足がつくと犯罪者が考えるからだろう。


 チェルシーを買収し、派手な金遣いで、世間の注目を集めるのは、同じような狙いがあるのかもしれない。

スタジアムによく顔を出すアブラモビッチだが、試合の結果以上に気にしているのは、自身の安全なのかもしれない。自身のリスクヘッジの観点からいえば、チェルシー買収は非常に効果があがっているのではないだろうか。


 


 

プロスポーツチームが上場するメリットはデメリットを上回るのか?

 新たな資金調達、経営の透明性、親会社の倒産リスクから切り離されるの三点が上場のメリットというのは理解できます。特に現時点で経営の透明性は全く確保されていません。推定年俸ははっきり言ってメディアの推量です。実際は多くもらってるそうです。


 デメリットも少々理解できます。プロスポーツチームは公共財の性質を持っています。ただ、公共財というなら、経営の透明性は公共財の視点から担保しないといけません。こういう事態にだけ、「公共性」を叫ぶのはちょっと都合がいいなと感じます。


 上場を阪神の場合というより日本のプロ野球界で考えてみます。日本プロ野球界に競争原理はほとんど働きません。リーグは閉鎖的ですし、楽天のような派手な負け方をしても、下位リーグに落ちる心配はありません。大リーグやアジアのリーグと競合しているという見方もできますが、直接の利害関係は選手のやり取りぐらいです。これは大きいとも捉えられますが。。


 資金調達をしても投資効果はマーケットに拡がりがないから、それ程得られないのではと感じています。スタジアムを改良したり、新設したりするには、当然、観客の増大が見込めないといけません。でないと、ただの金食い虫になってしまします。大阪ドームは破綻してしまいました。


 欧州のサッカーリーグでは、マーケットが大きく、選手獲得競争も多額の資金需要を必要とするので、上場しているクラブも多いのです。ただ、良い選手をとれば良い成績を収められるかといえば、疑問です。人である以上、怪我や不振などのリスクを抱えているからです。

 

 親会社のリスクを切り離せるのでいいと思います。チーム自体が自主独立でやるのは当然ともいえます。そもそも今までおんぶで抱っこの状態にプロ野球界は甘えすぎてきました。だから近鉄が身売り同然の合併を強いられたのです。


 上場に関しては、買収リスクがファンにとって許容できないものだと思います。名前はともかく、運営主体が変わってしまうのは、あまり理解できないでしょう。もちろん近鉄買収のホリエモンのように、救済してくれるなら、ファンはそのオーナーを神とあがめるでしょう。近鉄ファンにとれば、ホリエモンがメシアだったのですから。


 買収する運営主体がビジョンを掲げ、ファンの支持を得れば別ですが、スポーツにおける買収はネガティブに受け取られがちです。好業績の時に買収すれば、金目当てと罵られます。現に村上氏の上場提案に多くの反論が寄せられています。


 日本のような閉鎖的なリーグで上場したところで、大きなリターンは得られないと思います。そのため長期的な株価をどうやって描いているのか疑問です。大リーグに参入するなら別だが、そうなれば、日本は大リーグの下請けになってしまう。


 村上氏はロイヤリティーの見直しや選手へのストックオプションを考えているようだが、どちらもあまり良いとは言えません。ロイヤリティーを見直せば、その価格は、ファンに跳ね返ってきてしまいます。ストックオプションは出来高契約という形ですでに取り入れられています。選手が個人の成績にかかわらず価格変動があるストックオプションに魅力を感じるでしょうか。セリーグ記録を更新し首位打者を獲得しても、チームは五位なんていうヤクルトの石井選手はストックオプションで利益を得られるのだろうか?


 「ファンのために」と言うけれど、上場して利益を確定させるのはファンの財布からでしょ、村上さん!!そんな人に上場されては困ります。上場すれば、こんな人に買収されるリスクも負うのです。私は許容できません。上場するなら、誰もが共感できるようなビジョンを示し、経営手腕にたけた人に運営主体になってもらうべきです。プロスポーツチームの廃止は、一企業以上に大きな影響力があります。近鉄がなぜあんな大ニュースになったのか。それは代替品がなかったからです。プロスポーツチームはオンリーワンの商品なのです。




 


阪神タイガースの上場について!!

 村上ファンドが阪神電鉄の株式を三分の一超を取得し、傘下の阪神タイガースの株式上場の提案をした。上場のメリットとデメリットを考えてみよう。

 上場するメリットとして主に三つ考えられる。一つ目は知名度が上がる。結果、ブランド価値が増大し、いい人材が集まりやすくなる。二つ目は市場からの直接金融が可能になる。大規模な設備投資や他企業の買収など経営においての意思決定を迅速にできるようになる。三つ目はIPO(株式公開)による創業者や既存株主の利益確定が行われる。IPO株は市場の期待を反映して公募価格より高値で取引される傾向がある。IPO株は、「絶対当たる宝くじ」とも呼ばれたりする。

 では、デメリットは何だろうか。主に二つ考えられる。市場原理が働き、資本の論理で物事が決定される。今回のように株を大量に持てば、発言権を得られる。過半数を持てば、経営を支配することも可能になる。二つ目は、バブルや同業種の経営環境により、株価が急激な変動にさらされることがある。

 一般的に株が高ければいいと考えられているが、私は違う。企業の価値に見合った株価が形成されることが望ましい。過大評価も過小評価も、長期的に見た場合、企業のためにならない。過大評価されていれば、適正価格に戻る過程で株主に損害を与える。過小評価されていれば,今回のように敵対買収の餌食になる。阪神電鉄の脇が甘かった感は拭えないが。

 プロスポーツチームが上場する場合はどうか。とくにタイガースの場合を考えたい。知名度は抜群、リクルートもいらない。大規模な設備投資も必要ない。他業種の企業を買収するとは考えづらい。大物選手獲得のための資金調達を市場でする必要もない。そもそも日本プロ野球界の極めて限られた環境の中で行われている。しかも、阪神は今季優勝している。ブランド価値の向上に寄与することぐらいしか思いつかない。

 デメリットは球団が買収される可能性があることだ。阪神の知名度は抜群、それを利用する企業がいたとしても不思議ではない。ブランド価値がどの程度評価されるか分からないが、時価総額もそれほど大きくはならないだろう。新興企業が知名度向上のため、タイガースを買収、目的を達成後に売却という最悪なシナリオもありうる。資本の論理にファンは口をはさめない。

 欧州サッカーリーグではチームの上場は珍しくない。マンチェスター・Uはサッカー界において、高収益を上げる超優良企業として知られている。しかし、そのマン・Uが今夏、買収された。買収したのは、マルコム・ブレイザー(アメフトのオーナー)。しかも、買収手法はマン・Uを担保にしたLBO、ブレイザーは約550億円の借金をして買収を敢行した。ファンはデモ行進などで抗議をしたが、声が届くことはなかった。ブレイザー氏は約76%超の株式を取得後、マン・Uを上場廃止にした。超優良企業のマン・Uに何らかの影響を与えるだろう。

 これまで村上ファンドは時価と簿価の差を狙って株主提案を行ったり、内部留保を目当てに株を取得したりと、手法は主にその時点での価格と価値の差を利用してきた。ファンドの性格上、利益を確定させる必要がある。タイガースを上場させたとしても、経営に関与し、長期間保有することはまずない。

 ファンのためというが、ファンが株を持てばどうなるのだろう。結局、数の論理、資本の論理で物事が決まる。ちょっとした株主優待でファンを引きつけるのは、軽い詐欺だ。

 阪神は今でこそ強いが、つい最近まで、万年Bクラスの弱小球団だった。それでもファンは甲子園に足を運んだ。ファンである以上、チケットやグッズを通じて、阪神に多く投資している。上場してリターンを求めるのは、一部のファンだ。利益確定を狙った資本が入れば、株価の変動は大きくなる。最後にババを掴むのはおそらくダメ虎を応援してきた人たち。これがファンのためになるのだろうか。

 ビジョンのない上場は絶対すべきでない。長期的な視点に立てば、スポーツチームの場合、上場は好ましくない。勝利だけで永続的に株価を押し上げられるのなら別だが、そうはならない。スポーツチームは「プレーする組織」と「売る組織」がある。この両輪が相まって初めて株価の価値を押し上げる。

東欧遠征!?

 後半終了間際、中田浩二が中に返したパスが相手に渡り、失点。W杯予選敗退が既に決まっているラトビア相手に一時、2点差をつけながら2-2で引き分けた。日本はJリーグ・オールスターと日程が重なり、日本代表クラスの選手を欠いた布陣で臨まなければならなかった。特にDFは宮本、中沢の両センターバックを欠き、右から駒野、田中、茂庭、中田浩二という新布陣で臨んだ。前線は中田英寿、中村らの欧州組みで占められた。


 はたして東欧遠征は何のために計画されたのだろうか。W杯まで一年を切っている。新戦力探しや欧州組みのコンディションを測るのが最優先課題ではないはずだ。たしかに、駒野は攻守に活躍し、十分レギュラーでもやれそうな実力を見せたし、松井も攻撃のオプションとして機能することが分かった。


 しかし、今、最も必要とされていることは、そんな発見ではないはずだ。肝心なのはコンフェデで見せた組織のさらなる熟成ではないだろうか。日本が抱える課題は決定力不足に世界レベルの攻撃に耐えうるだけの守備力の構築。W杯のグループリーグ突破を見据えれば、越えなければならないハードルだ。


 ラトビアはともかくウクライナは世界レベルの攻撃陣を誇る。ACミランのシェフチェンコとレバークーゼンのボロニンが組む2トップの攻撃を受けることは、日本DF陣にとって貴重な経験となるだろう。彼らの速さ、強さを経験することは、そのまま世界レベルを体感することにつながる。しかも、場所はアウェーでウクライナはフルメンバーを揃えている。


 アウェーでの経験値を重要視するなら、日本も当然、フルメンバーで臨むべきだった。貴重な経験を代表のレギュラークラスが共有できないのは、大きな損失だ。親善試合とはいえセンターバックの宮本、中沢には絶好の機会だっただけに惜しい。


 W杯のグループリーグ突破を口では唱えながら、ジーコに自由なメンバー選びをさせなかった日本サッカー協会には大きな疑問を感じる。JOMOオールスターのスポンサー契約の条項に「ファン投票で選ばれた選手は必ず出場しなければならない」という一文でもあったのだろうか。突然決まった日程とはいえ、一定の配慮は必要だっただろう。

楽天ゴールデンイーグルスの快挙!!

 今シーズンから東北に誕生した楽天ゴールデンイーグルスのシーズンが終了した。黒星は白星の倍以上に膨れ上がり、シーズン100敗にもう少しで手の届きそうな97敗となった。8月30日に最下位が早々と決定し、結果、田尾監督は3年契約の1年目で解任。来季の監督には現シダックスの野村監督が濃厚となっている。三木谷オーナーも「来年の補強費に10億円を用意する」と発言し、来季に向けて抜本的な改革が進められる気配だ。


 一方、経営面に目を移せば、100点満点の内容だ。開幕時にはおよそ15億円の赤字を見込み、3年で黒字化の目標を打ち立てていた。ふたを開けてみれば、初年度黒字化もしくは収支トントンが予想されている。赤字経営が常態化していた業界にとって、初年度赤字はまさに快挙と言っていい。今まで、新規参入した球団のなかで経営面において見事、金字塔を打ち立てたといえる。


 赤字回避の原動力はスポンサー料やグッズ売上、チケット販売が伸びたことにある。開幕時に見込んでいたスポンサー料は11.5億円、グッズ売上(ロイヤリティーを含まず)は3.7億円、チケット販売は21億円だった。しかし、スポンサー料が22.5億円(+11億円)、グッズ売上(ロイヤリティー含む)が11億円(+7.3億円)、チケット販売が23億円(+2億円)と大きく伸びた。放映権料は予想より2億円の減収だったが、それを補って余りある増収があった。


 観客動員でも、成功といっていいだろう。一試合平均1万4369人はパリーグで最下位だが、セリーグの横浜と広島は上回っている。8月30日に最下位が決定したにもかかわらず、観客はその後もスタジアムに足を運んだ。1万9944人。この数字はフルキャストスタジアム宮城の今季最多観客数だ。しかも、驚くなかれ、この数字は9月13日の西武戦で達成されたのだ。


 試合に負ければお客が来ない。そのため赤字覚悟の大盤振る舞いで選手補強。野球界に巣食う変な常識を打ち破るには十分なインパクトだろう。当然、楽天には東北初の球団で、一年目という追い風が吹いていたのも事実だろう。しかし、スタジアムに足を運べば、そこは非日常という空間を作った楽天に見習う点は多くある。

 

 リピーター獲得に向けグランド内外で様々なイベントを仕掛けた。足湯を設け、三陸沖のさんまを焼き、「みちのくプロレス」を招いき、観客の関心を誘い、満足度を高める工夫を随所にこらした。清掃や警備、グランドキーパーの一部に加え、ダンスで盛り上げる「東北ゴールデンエンジェル」は全てボランティアだ。七回裏の風船飛ばし後の観客による風船拾いの仕掛けは秀逸だ。「使用済み風船10個で特製ステッカー差し上げます」。今やお客が争って風船を拾う。こうして地域や球場にいる人が参加できるような仕組みも整えた。結果的に経費の削減にもながる。


 たとえ負けてもそこそこの満足感を得て観客は帰路に着く。そんな仕掛けがスポーツビジネスには求められている。ゲームの勝ち負けだけに傾倒したビジネスでは安定化が図れない。安定しなければ、昨年の近鉄のように解体が免れない。ただし、今季の楽天のようなぶっちぎりでの最下位が常態化すれば、お客はついてこない。それを見越し上での10億円補強であり、野村監督招聘なのだろう。さすがは三木谷オーナーである。

 

 楽天が「おらが町の球団」として仙台に根付く活動は、まだ始まったばかりである。ただ、確実に浸透しているのは間違いない。願わくば楽天のノウハウをプロ野球界で共有していくべきだ。それが野球界全体の発展につながる。

KING KAZU!!

 パイオニア精神を持ち、常にチャレンジする姿勢が彼をここまで押し上げたのだろう。プロ20年目、38歳のカズにシドニーFC(オーストラリア)から期限付き移籍のオファーが舞い込んだ。シドニーFCは12月に行われるトヨタカップの出場を決めている。

 

カズは言わずと知れた日本サッカー界のキング。弱冠15歳でサッカー王国ブラジルに単身で留学。当時、日本サッカー界を背負う存在になるとは彼以外予想していなかっただろう。大きな期待を背負って海を渡ったわけではなかった。

 

18歳で伝説のペレがいたサントスFCとプロ契約。その後、数チームを渡り歩き、キンゼデジャウーの一員としてブラジルで最もレベルの高いサンパウロ州リーグで日本人初ゴールを決め、一躍KAZUの名をとどろかせた。ブラジル選手権でも活躍し、その名声を築き上げていった。

 

Jリーグ創世記には、日本のプロリーグのためブラジルから帰国。読売ヴェルディの一員として、Jリーグブームの火付け役となった。1994年にはセリエA初の日本人として、初得点を刻み足跡を残した。怪我などもあり活躍はできなかったが、その後に続く選手の道を作った。クロアチアのザグレブにも所属し、海外に身を置き、自身を高めてきた。サッカーに対するカズの姿勢は、チャレンジの連続である。

 

日本代表では、ドーハでアメリカW杯の道を閉ざされ、出場を決めたフランスでは最終選考で漏れるという悲哀を味わった。長年エースとして活躍してきたが、世界最高の舞台には遠かった。ただ、背番号11をつけ得点を重ねてきた背中には多くのファンが夢を乗せ、子供たちが憧れを抱いてきた。彼の背中を見てきた世代が今活躍をしている。

 

いまなおカズの人気が衰えないのは、サッカーにかける真摯な姿勢と辿ってきた歴史、そしてちょっとした影の部分にリスペクトを感じているからだろう。カズが移籍した横浜FCは毎試合、5割ほど観客動員が増えている。アイドルの追っかけのような一時的なものではなく、骨太のファンがスタジアムに足を運んでいるのだろう。カズが京都パープルサンガに移籍してきた初めの試合に、東京などからバスが5台来ていたのを覚えている。

 

横浜FCにとってカズは大切な財産だ。しかし、カズには移籍して欲しい。いやカズだからこそ。カズ自身も「挑戦したい」と話している。トヨタカップで初めてピッチに立つ日本人としての雄姿を見たい。背番号11をつけ、躍動する姿は大きな舞台でこそより輝く。カズのチャレンジが続くことを期待したい。

移籍市場で動けたベンゲル監督。

 【BBC SPORTS】より抜粋。

 Wenger監督は移籍市場での選手獲得費用を約束されていたと、クラブの年次報告で発表された。クラブの昨年の税引き前利益は£10.6m(約21億円)から£19.3m(約38億円)に増え、負債はエミレーツスタジアムの建設で£153.3m(約306億円)に膨らんだ。
 Keith Edelman常務取締役は、「財政状況は非常に健全だ、我々には利用可能な十分な資産がある。Wenger監督は常にいい補強をし、成功してきた」と語った。
 アーセナルはエミレーツスタジアムに£94m(約188億円)以上費やしてきた。その結果、負債が膨らんだ。しかし、これはクラブの準備資金が£17.6m(約36億円)から£63.1m(約126億円)へと大幅に増えたため相殺できている。今期は放送事業の落ち込みを他の事業でカバーし、£115.1m(約230億円)の売上高があった。

 Arsenalは来年、Ashburton Groveの6万人収容の新しいスタジアムに移動することが決まっている。「ファンは負債の大きさに危険を感じる必要はない。負債は主に新しいスタジアム関連のもの、経営は正常になされているとファンが理解してくれるよう望んでいる。スタジアムは給料や移籍金といったチームに投資するための新たな資金をクラブへもたらすだろう」とEdelmanは語った。
 Edelmanは「Wenger監督が無駄なお金を使わないことに対し大きな信頼を寄せている」と付け加え、「彼はお金があるから選手を買うといった無能な監督ではない、彼は常に正しい時に正しい選手を買う。そのため選手獲得の判断は彼に任せている」と語った。

誤審!!

 非常に残念なことになった。3日に行われたサッカーワールドカップアジア予選プレーオフ第一戦、ウズベキスタン対バーレーン(タシケント)が日本人主審の誤審が元で再試合になることが決まった。

 

問題の場面は前半。ウズベキスタンがPKを決めたが、同国のほかの選手が先にペナルティーエリア内に入る反則を犯し、得点が認められなかった。本来はやり直しになるはずだが、吉田寿光主審はバーレーンにFKを与えた。

 

試合結果はウズベキスタンが1-0で勝ったが、同国は「3-0の認定がちにすべき」とFIFAに抗議。FIFAで緊急会議が開かれ、誤審を認める異例の決定を下し、再試合となった。

 

おそらく前代未聞の事件。サッカーに誤審は付き物。野球と比べれば、サッカーの審判がいかに大変かがわかる。野球において、判定は常にボールとベースの周辺で下される。審判は誰よりも見やすい場所で判定を下すことができる。しかし、サッカーの場合は違う。判定が下されるべき事件は、ボール周辺で起こるとは限らない。あの広いピッチの中で、審判に全ての判定を下せというのは無謀だろう。なんせ立ち止まって、プレーを見るのが許されない。審判は常に動きの中で判定を下していかなければならない。見えないところでシャツを引っ張ったり、引っ掛けたりといった光景は日常茶飯事だ。

 

ただ、今回の誤審はそれと一線を画す必要がある。FIFAは誤審を技術的なミスと位置づけ、再試合の決定を下した。サッカーのルールはたったの17条で構成されている。吉田主審は日本で4人しかいないスペシャルレフリーの一人。吉田主審は「勘違いがあった」と言っているようだが、勘違いでは済まされない。審判の判定で物議をかもした2002年のW杯以後、審判の意思疎通を円滑にするため、審判団は同じ国で構成されるようになっている。今回の副審二人も日本人、間違いを指摘できる立場にあった。

 

川渕キャプテンや高田静夫・日本サッカー協会審判委員長は特別な処分を検討していないみたいだが、審判団に対して、何らかの処分を下す必要があるだろう。でなければプレーオフを戦ったウズベキスタンとバーレーンに失礼だ。もっとも処分をしたからといって、時計の針が戻るわけではないが・・
 

新たな日程で行われるプレーオフで禍根を残すことがないよう祈りたい。



移籍マーケット!!

 欧州CLの常連のなかで、最も低調なパフォーマンスを演じたのはアーセナルだろう。8月31日に移籍市場がクローズになったが、ほとんど果実を見出せるものではなかった。

 

アーセナルに激震が走ったのは7月。MFビエラのユベントスへの移籍が発表されたのだ。ここ数年、ビエラの移籍騒動は夏の風物詩となっていたが、最後はアーセナル残留へと落ち着いていた。昨年のレアルへの移籍騒動は、最後まではっきりせず、アーセナルファンとして移籍も覚悟したが結局は残留に落ち着いた。今回は寝耳に水の話。いきなり主力でありキャプテンでもあるチームの大黒柱を失ったところからスタートした。あまり出場機会のなかったMFエドゥはバレンシアへ移籍し、アーセナルは補強の必要性に迫られた。

 

しかし、移籍マーケットで獲得した主力級の選手はシュトットガルトのMFフレブのみ。移籍マーケットの最後になってサンダーランドからGKプームを獲得するも、名の知れた選手ではなく、年も33歳と若くない。一方でDFのホイト(20)をサンダーランドへ、FWベントリー(21)をブラックバーンへ一年間のローンに出した。

 

この移籍市場でアーセナル入りの噂がささやかれた選手は皆といっていいほど別のチームへ移籍していった。FWロビーニョ、MFパプディスタはレアルマドリーへ、MFジェナスはトッテナムへ、GKセバスティアン・ビエラはビジャレアルへといった具合に。なかでもパプディスタを逃したのは大きい。セビージャでトップ下を務め得点を量産していたが、元はボランチの選手。アーセナル入りしていれば、ビエラの穴を埋めるだけの能力は持ち合わせていたはずだ。ジェナスも移籍金が高いといって獲得を見合わせたみたいだが、トッテナムへの移籍金は約15億円と払えない額ではなかった。

 

見事なほど選手にふられ続けたアーセナル。選手層はお世辞にも厚いとは言えず、主力に怪我が発生すれば、たちまち非常事態に陥ることが予想される。最も急務と思われたDFの補強はなく、現有戦力で戦うことを余儀なくされている。若手選手の台頭は著しいが、それでプレミア、CL、FAの三つのコンペティションを勝ち抜けるほど甘くはないだろう。ベンゲル監督の選手を見る目は世界屈指といっていい。それに期待するよりほかないが、厳しそうな気のする今シーズンである。私の予感が大きく外れることを祈って、9月からのアーセナルを応援したい。