皆さまご無沙汰しています、ベルーガです。

今日は、翻訳とはちょっと離れた話をしたいと思います。

 

<求められる日本語力>

さて、ベルーガは、今マーケティング部門に所属しています。

そこで、ウェブページや社外向けの講演資料の翻訳をやっているわけですが、(前々からうすうす気づいていたけど)最近、気づいたことがあります。

それは、翻訳って、一般的な英語力と日本語力だけじゃないってことです。

 

これに気づいたのは、ウェブページのトップにたいてい存在するキャッチコピーの翻訳をしたときです。

もちろん、入社以来、ウェブページの翻訳は何度もやっていますし、キャッチコピー部分も翻訳していました。

この部分は、訪問者が最初に目にする部分だから、特に慎重に(わかりやすい日本語に)しないといけないな、という意識はありました。

 

けれど、マーケティング部門だと、単純な翻訳ではなく、翻訳から少し離れても、分かりやすい日本語を求められることが多いんですよね。

さらに、「今後、徐々に、キャッチコピーなんかもベルーガさんに任せていこうと思っている」なんてことを上司に言われて、ハッと気づいたのです。

それって、翻訳というより、うまい日本語を作れるかどうかという技術なんじゃない?

 

<コピーライティングの本を読んでみた>

そんなわけで、こんな本を読んでみました。

 

Amazon.co.jp: コピーライティング技術大全――百年売れ続ける言葉の原則 eBook : 神田 昌典, 衣田 順一: Kindleストア

「コピーライティング技術大全」神田昌典・依田順一

 

<セールスレターを作ってみよう>

そこで、今回は、この本で学んだことを受けて、次のようなセールスレターを作ってみました。なぜ、キャッチコピーじゃないかって? 一言のキャッチコピーを作るのはまだ難しそうだからです。ちなみに、内容は想像です。僕の会社とか、僕がやっている仕事とは一切関係ありません。この本のコラムに、リスト(顧客名簿)は最も大切な資産だ、というような記載があったので、それを参考に作ってみただけです。誰でも、学んだら実践したくなるじゃないですか。翻訳に関係なくてすみません。

 

===【以下、ベルーガが作ってみた架空の会社の広告レター】===

 

<会社にとって大事な資産とは?>

会社は様々な資産を保有していますが、会社にとって大事な資産は何でしょうか?

 

従業員? 

社屋? 

お金?

 

どれも大事ですが、それと比べても一層大事にすべき資産があります。

 

それは、顧客です。

 

いくら優秀な社員がいても、大きな社屋があっても、莫大なお金があっても、

顧客がいなければ、売り上げは立たず、遅かれ早かれ事業は立ち行かなくなるでしょう。

そのため、顧客は最も大切な資産と考えられるわけです。

 

<顧客情報をぞんざいに扱っていませんか?>

顧客を大事にするということの一つに、顧客情報を大切に扱う、ということがあります。

 

ところが近年、顧客情報流出とか顧客情報持ち出し・紛失、のようなニュースをよく耳にしますよね。

そんな企業や組織は、顧客、そしてその根幹である顧客情報を大事に扱っていないのではないかと思われても不思議ではありません。

顧客情報が流出したり、顧客情報を紛失したりしたら謝ればいいや、で済む問題ではありません。

 

<情報セキュリティで守りましょう>

では、どうしたら顧客情報の流出や紛失を防げるのでしょうか?

それは、情報セキュリティを強化する、の一点につきます。

顧客情報を守る、情報セキュリティの強化には、弊社の○○がうってつけです。

 

○○は、次のような3ステップで顧客情報を保護します。

 

1.顧客情報データをすべて暗号化

 データが暗号化されているので、決められたデータ保管先以外では閲覧できません。

 

2.データの移行を禁止

 顧客情報流出・紛失の原因の第一は、従業員が不用意に USB メモリーなどにコピーして持ち出すことです。

 そこで、○○では、データの移行ができないような仕組みを構築します。

 

3.悪意のある振る舞いを検知・阻止

 また、ネットワークを通じて社外からウィルスが侵入して顧客データが盗まれることも考えられます。

 そこで、対策として、顧客データの閲覧や通常のアプリケーションでの使用とは異なる振る舞いがあった場合は

 素早くそれを検知し、顧客データへのアクセスを阻止します。

 

<顧客情報を守るなら、弊社サイトへ今すぐアクセス>

このように、顧客情報を流出・紛失から保護する弊社の○○を試してみませんか?

ご興味を持たれましたら、今すぐご連絡ください。

電話番号:0120-XXX-XXX

申込ページ:https://www.xxxx.com/solution/security

今なら、30 日間無料でお試しいただけます!

 

===こんな感じです。いかがだったでしょうか?===

最近、巷では AI が流行っていますよね。

去年の秋ごろに、AI 翻訳はまだまだ、なんて記事を書きました。

ところが、その後、ベルーガも AI を駆使して(?)翻訳に活かしています。

今日は、それについて書いていきたいと思います。

 

<翻訳を仕事にしてるけど、英訳には不安もある>

もう 20 年近く翻訳に携わっているベルーガさん。

転職してから気づいたことですが、思った以上に英日翻訳はできてる(気がする)し、英語も思った以上に上達している(気がする)ので、もう、立派な翻訳者と言ってもいいんじゃないかという高い自己肯定感を持ち始めていました。

 

そんなベルーガに、最近日英翻訳の仕事が舞い込んでいました。

英語力が高くなった(気がする)と言っても、しょせんは非ネイティブ。

仕事で「完璧な」英語なんて書けるのだろうか…。

という不安が沸き上がってきました。

とは言え、「英語はできません」と断るわけにもいかず、不安の気持ちを持ちながら日英翻訳の仕事を開始しました。

 

<AI さんは、強力な翻訳パートナー>

さて、今回の翻訳は、翻訳業者に外注して、そのレビューをする、という流れになっていました。

なぜなら、完成品は PDF 形式にしなければならず、キレイなドキュメントを作る作業も含めての外注利用だからです。

最初のうちは、「まあ、外注先もしっかりしてるし、下手な翻訳をするよりミスがないかどうか確認するくらいでいいだろう」なんて思っていたのですが、そこは、翻訳者の性というか。

出来上がった英文を読むと、時々、何となく、ちょっとした違和感を覚えたりしちゃうんですよね。

 

読んでちょっとした違和感を覚えたりする箇所は、たとえ英語といえども、おそらく修正した方がいい(修正が必要、とはあえて言わないが)。

ところが、修正した英文が文法的に正しいか、より良い翻訳になっているかどうか、イマイチ自信が持てない時がある。

そんな時に良き相談相手となってくれるのが AI だったのです。

 

<AI はこういう風に活用できる>

AI 君に、『「XXX」という日本語を「YYY」という英語に訳したのだけど、文法的に合ってるか、正しく翻訳できているか教えて。』のような質問をするのです。

すると、『この翻訳は、原文の意味を正しくとらえているし、文法的にも間違ってない』だとか、『この翻訳は、だいたい原文の通りだけど、少し修正が必要』とか、『この英語は、ちょっと変だから、次のように直した方がいい』などと答えてくれます。

 

もちろん、AI は完璧じゃないし、著作権に抵触したりしたらいやなので、「この日本語を英語に訳すとどうなる?」のような質問はできません(答えてはくれるけど)。

また、現時点では AI の提案を丸々信用してはいません。

あくまで、英語ができる人間の知り合いに確認のために聞いているような感覚です。

 

でも、そんな風に活用していると、つられてベルーガの英語力も高くなります(そんな気がします)。

今回の仕事がうまくいったら、AI という頼りになれるパートナーを得たことだし、英訳にも自信を持って取り組めるかも…なんて思いました。

<定義の品詞が変だと落ち着かない>

最近、気づいたことがあります。

前々からうすうす感じていたのですが、ある用語の内容を知りたい場合に、英語の Web ページなどで調べていると、いまいちピンとこない。

なぜだろう…?

不慣れな分野だからかな…?

 

と思っていたのですが、どうやら定義の仕方が違うことに気づきました。

日本語では、名詞を定義するときは、「~なもの」、とか「~するもの」のように、名詞で定義されますよね。

それが普通なので、例えば「~する」と定義されていたら何となく違和感を覚えますよね。

ところが、英語では、「~する」のように定義されていることがあるようなのです。

 

例えば、「電話」とは何かを定義するとします。

日本語だったら、「遠くの人と話をするための装置」などと定義されるかと思います。

(ここでは、定義の内容が正確かどうかは問わないでください)

ところが、英語では、次のような感じで定義されていたりするのです。

 

「Telephone enables people to communicate remotely.」

「電話を使えば、遠くの人とコミュニケーションができるようになります。」みたいな感じでしょうか。

 

<わかるけどけむに巻かれたような…>

電話というものを知ってるから、内容的には正しい、とわかりますが。

もしこれが、実際の物ではない単語だったらどうでしょうか?

 

例えば自社の新しいソリューションのネコラジャシの定義だったとします。

「ネコラジャシは、小食な猫でもご飯を残さず食べられるようにするためのソリューションです」

「Nekorajashi makes your small-eating cat to eat up food.(ネコラジャシを使えば、小食の猫がご飯を残さずたべられるようになります)」

 

自社の新ソリューション「ネコラジャシ」の性能、わかりましたか?

英語の定義だと、言ってることは正しいけど、何となく理解不十分というか、腑に落ちない感じしませんか?

 

<では、翻訳は?>

どちらが分かりやすいかは、もしかしたら人によって違うかもしれません。

が、ベルーガ個人としては、名詞の定義は名詞で記載してほしい、と思います。

そこで、上記のような英語(例えば、「Nekorajashi makes your small-eating cat to eat up food.」)が出てきたときは、あえて、「ネコラジャシを使えば、小食の猫がご飯を残さずたべられるようになります」を、「ネコラジャシは、猫がご飯を残さずたべられるようにするものです」などのように、名詞形に訳してみました。

 

まあ、これがうまい訳かどうかは分かりませんけどね。

 

※上記で使ったネコラジャシの例は、ベルーガの創作です。決して、猫に無理やり食事を食べさせるのがいいと思っているわけではありませんので、ご理解ください。

日本人は語の借用が好き?

 

日本人って、借用語(日本語以外の言語からの単語を日本語化したもの)が好きですよね。

はるか昔は中国語から、現代は英語から、もうバンバン借用しちゃって、漢字とカタカナ語を無くしたらこのブログも書けないのではないか、というくらい。

 

さて、そんな借用語たっぷりの日本語への翻訳には落とし穴があります。

いわゆる「和製英語」というやつです。

英単を、英語本来の意味とは違う意味で使うように日本語化されたた英語のことです。

 

その例で思い出したのが「テレビ会議」です。

 

日本語ネイティブだからできる「和製英語」を使っての日本語への翻訳

 

前々回の投稿で、セミナーの形式の「digital」を「オンライン」に訳したことを書きました。

実際の英語でも「online seminar」という言い方はあるかもしれませんが、日本語で「デジタルセミナー」は聞き慣れません。

そんな知識、というか感触がある日本語ネイティブだからこそ、「digital seminar」を「オンラインセミナー」と訳すことができたのです。

 

そんな和製英語を使った翻訳で、一昔前によく使っていたのが、「テレビ会議」という言葉です。

英語は「video conference」という言葉だったかと思います。

でも、日本語で「ビデオ会議」ってあまり言わないよな、と思い、「テレビ会議」と訳していました。

一昔前です。

今だったら、これも「オンライン会議」という言い方のが良いでしょうかね。

Google での検索結果件数を見ると、

「ビデオ会議」が2700万件あまり

「テレビ会議」が6700万件あまり

「オンライン会議」だとなんと1億3900万件。

単に検索結果件数を見ただけですが、今は「オンライン会議」が主流の可能性が高いですね。

 

言葉は変わるもの

 

最近、NHKの朝ドラを見ていて気になることがありました(この記事を書いていた時は、朝ドラは「ブギウギ」でした)。

昭和時代の頃のドラマなのに「感謝しかありません」って。

「○○(感情を表す言葉)しかありません」という表現は、最近(たぶん令和になってから)耳にするようになってきた言葉という印象があります。

「この時代の人は『感謝しかありません』なんていわないだろう」と思わず突っ込んでしまいました。

 

とはいえ、もう中年になったベルーガ。

翻訳で、古臭い言葉を使っている可能性はあります。

令和の翻訳だったら自分は使わなくても「感謝しかありません」みたいな表現をした方がいいこともあるかも。

気を付けないといけませんね。

<紙の辞書っていいね!?>

 

さて、digital seminar を「オンライン」セミナーと訳してみた、という、前回の話の続きです。

「オンライン」という言葉を、久しぶりに引き出した「紙の辞書」で調べてみました。

机の上の本棚にあった「岩波国語辞典 第五版」です。

「情報処理組織で、データの入力用・出力用の装置が(遠隔地にあっても)本体と直結し、本体の制御のもとに働くようにしてあること。」

合ってるし、わかるけど、ちょっと古くさい説明な感じがしました。

そこで、奥付を見てみると、なんと、1994年11月10日発行

試しに「インターネット」を調べてみると…載ってないし。

人々がインターネットをやるようになったのって、だいたい「ウィンドウズ95」が出た1995年からだしね。

(ベルーガの意見です)

この辞書、結構きれいで好きなんだけど、1994年発行できれいってのは、あまり使っていないってこと?

そういえば、最近はオンラインの辞書かグーグル検索ばかり利用しているかも。

 

オンライン(電子)辞書に反対、への対応

 

紙の辞書に慣れ親しんだオジサン世代の人々(まあ、ベルーガももう、オジサン世代という年齢ですけどねぇ)が、オンラインとか電子辞書に反対する理由として、「紙の辞書だと、前後、周囲の言葉にも目が行くから知識が広がるけど、電子だと、その単語にしか目が行かない」ってのがあります。

ベルーガもその理由には、納得。

辞書って、調べるものであると同時に読むものだと思うから。

…と思っていましたが、これって、リスト化すれば解決するんじゃない?

とひらめきました。

エクセルでさっと作ってみましたが、こんなの↓

 

 

こういうのを、オンライン辞書の端に貼っておけば、(ナビゲーションウィンドウを作っておけば)例えば「挨拶」を調べた人が「愛嬌」も見てみたりするかも。

僕が高校生だったら、ちょっとエッチな単語が近くに載っていたら絶対見ちゃう。

まあ、前述の国語辞典には、性的表現が掲載されていないようでしたが。

というわけで、出版業界の皆様、このアイデア使うときは、ベルーガにも一言ください。

なんて、もうすでに使われているかも。

今日はそんなお話。

翻訳とは関係ないですが、辞書を読むのって楽しいですね。