(臨時営業)「ストロベリー・フィールド」公開、あるいは「Grow Old With Me」再び
2019年9月25日(水) 今回はザ・ビートルズ関連の話題を2つ。 まずはジョン・レノンの傑作のひとつ「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」(https://www.youtube.com/watch?v=HtUH9z_Oey8)のモチーフとなったリヴァプールの旧孤児院「ストロベリー・フィールド」が、このたび救世軍によって新たに観光施設として公開されたという件について(以下はザ・ガーディアンによる記事→https://www.theguardian.com/travel/2019/sep/13/the-beatles-john-lennon-strawberry-field-liverpool-opens-to-public)。 これまで下の写真に写っている門から中へは入れず、この場所を訪れた人たちは旧孤児院の外観しか見ることしか出来なかったのだが(もっとも私が初めてこの地を訪れた1987年当時は門の中にも入れたような記憶があるのだが、当時撮った写真は実家のどこかに埋もれてしまって見つからないため検証のしようがない←上のガーディアンの記事によれば孤児院が最終的に閉鎖されたのは2005年らしいので、やはり当時は中にも入れたのだろう)、今回、この内部が公開されることになり、新たに作られた展示施設やカフェ、庭園なども見て回ることが出来るようになったそうである(展示内容には「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」の作曲秘話やポール・マッカートニーやジョージ・マーティンらのインタビュー映像などの他、救世軍の歴史や活動に関するものも含まれ、入場料収入の一部は若者の雇用支援などの活動にあてられるそうである)。 以下は今回公開された門や内部の様子である。 カフェの様子。 ちなみに入場料は大人12.95ポンド(約1,750円)、小児(5歳未満は無料)や学生、高齢者は8ポンド(約1,050円)となっている。 この施設の詳細やチケットの購入方法は以下のページから参照可能である。 https://www.strawberryfieldliverpool.com/ ストロベリー・フィールドの近くには、ジョン・レノンが伯母のミミと一緒に住んでいた住居「Mendips」があり、現在はナショナル・トラストの所有になっていて一般に公開されている(ただし内部の訪問には事前予約が必要。過去ブログ参照→https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12502039170.html)。 この場所はリヴァプール市内からそこそこ離れており(住所→16 Beaconsfield Road, Woolton, Liverpool L25 6EJ)、市内からはバスやタクシーなどを使って移動する必要があるが、現在はこのストロベリー・フィールドと市内のホテル(Jurys Inn hotel→https://www.jurysinns.com/hotels/liverpool)との間を「ミニ・バス」が運行しているそうである(片道4ポンド、往復7ポンド。事前予約が必要。ホテルからの出発時間は、09:00, 10:00, 11:15, 14:30, 15:30, 16:30。ストロベリー・フィールドからホテルへの最終バスは18:00)。 また上記ウェブサイトには、各種グッズを購入できるショップのページも設けられている(もっとも私には全く食指が動かないものばかりなのだが・・・)。 https://store.strawberryfieldliverpool.com/index.php/merchandise.html このストロベリー・フィールドはGoogle Mapでは、 https://www.google.com/maps/place/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%99%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89/@53.3805719,-2.8841235,17z/data=!4m13!1m7!3m6!1s0x487b1f8c792f9fd5:0x84e67c0a1e3b6c63!2zMTYgQmVhY29uc2ZpZWxkIFJkLCBMaXZlcnBvb2wgTDI1IDZFRSDjgqTjgq7jg6rjgrk!3b1!8m2!3d53.3805719!4d-2.8819348!3m4!1s0x487b1f8c42c1a231:0xe3938bd5bce208f0!8m2!3d53.3803882!4d-2.8835356 ストリートビューでは、https://www.google.com/maps/@53.3804717,-2.8835633,3a,60y,112.39h,85.26t/data=!3m8!1e1!3m6!1sAF1QipM3rWxKeJ5sM5SvXN6PyarUbz8TC69qqg7pbqIe!2e10!3e11!6shttps:%2F%2Flh5.googleusercontent.com%2Fp%2FAF1QipM3rWxKeJ5sM5SvXN6PyarUbz8TC69qqg7pbqIe%3Dw203-h100-k-no-pi2.7886791-ya95.4132-ro-2.3735378-fo100!7i5376!8i2688 このストロベリー・フィールド、個人的に行ってみたいかどうかと言えば、もしまたいつかリヴァプールに行く機会があるなら行ってみたいとは思うものの、この場所だけを目当てに行こうとまでは思わないというのが正直な感想である。このようにザ・ビートルズ関連の「聖地」が保存されること自体は決して悪くないものの、余りに観光地化されてしまうことには違和感を覚えないではない。特に上に掲げた写真などを見てみると、どこか小綺麗すぎて(悪く言えば薄っぺらく思えて)しまって、私が「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」という曲から受けるノスタルジックな印象とは余りにかけ離れてしまっていると言うしかない。 2つ目の話題は、10月に発売されるリンゴ・スターのアルバム「ワッツ・マイ・ネーム」(タイトル曲→https://www.youtube.com/watch?v=81f-3Shj0ng)に、ジョン・レノンが残した「Grow Old With Me」という曲のカヴァーが収録されるというものである。 この曲はもともとジョン・レノンの死後、1984年に発表された「Milk And Honey」というアルバムに収録されており(ジョン・レノンによるオリジナルは→https://www.youtube.com/watch?v=BzsoxBjjU0gただしこれは私が初めて聴いた時のヴァージョンとはアレンジがかなり異なっている)、1990年代後半に「ザ・ビートルズ・アンソロジー」という一大プロジェクトが企画された際、「Free as a Bird」(https://www.youtube.com/watch?v=ODIvONHPqpk)や「Real Love」(https://www.youtube.com/watch?v=ax7krBKzmVI)などと共に、ジョン・レノン自身が歌った音源に、当時まだ健在だったジョージ・ハリスンを含めたザ・ビートルズの3人の元メンバーが歌や演奏を追加して「新曲」として発表することを検討したようだが、原曲の音質が良くないことなどから見送りになったようである。 今回はヴォーカルとドラムをリンゴ・スターが、ベースとバック・ヴォーカルをポール・マッカートニーが担当するようで、作詞・作曲がジョン・レノン、そして今回のヴァージョンにはジョージ・ハリスンの「Here Comes the Sun」(https://www.youtube.com/watch?v=xUNqsfFUwhY)の一節も追加されることになり、ザ・ビートルズの元メンバー4人「全員」が「参加」する作品になるとのことである。 これまた正直なところ、個人的にはとりたてて興味がある話題とは言えないのだが(例外はあるものの、私はソロになってからの各メンバーの音楽活動には、グループとしての「ザ・ビートルズ」に対する程の関心を抱いてはいないのである)、ちょうど同じ時期にニュースなどで採り上げられていたため、一応言及しておくことにした(今のところ上の新アルバムを買う予定もない)。(追記)その後Youtubeでこの曲が公開された。その出来は……やはりお世辞にも「良い」とは言えない代物だった。→https://www.youtube.com/watch?v=DqJJ9UFkVP0============================================================================ この間に読んだ本は、・フョードル・ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」(中山省三郎訳、Kindle版) 大西巨人の「神聖喜劇」と並行して読んでいたため、思いのほか時間がかかってしまったが、おそらく大学生の時に初めて読んで以来、約30年ぶりの再読のはずである。 今回、上記の古い翻訳(日本語としておかしな点や十分訳しきれていない部分がある上、Kindle版にはかなり誤植もあった)を選んだことが果たして良かったのかどうか正直微妙ではあるのだが、疑問を覚えた箇所が出て来た際には、インターネットで公開されているHenri Mongaultによる仏語訳や、手持ちの亀山郁夫訳(光文社文庫版)を随時参照することにした(もっともこの訳にもかなりの問題があるらしいのだが・・・)。 こなれているとは言い難い翻訳のせいか、あるいは歳をとって私の感性が鈍ったからなのか、これまで自分が読んだ文学作品の中で、十指どころか最高峰に位置すると考え続けてきたこの作品に、今回それほどまでの感銘を覚えなかったことを告白しなければならない(それでもこれが極めて豊饒な世界観や内容を持つ、すぐれて複雑で、何よりも「面白い」作品であることには少しの疑いも持たなかった)。 改めて驚いたのは、今作に登場する主要人物たちが極めて「若い」ことである。特に題名にもなっている「兄弟」たちは揃ってまだ20代であり(中でも3男のアリョーシャは20代になったばかりである)、誰かがどこかでドストエフスキーの文学が良くも悪くも「若者の文学」であると書いていたことを図らずも思い出すことになった。 むろんそれはこの作品の内容が幼かったり浅かったりすることを意味する訳では全くないのだが(何よりもこの作品を書いている時、当のドストエフスキーは60歳手前だった)、しかし彼ら若者や少年たちが主要な登場人物であることで、自分自身が20代(あるいは10代後半)だった頃に読むのと、50を過ぎた今になって読むのとでは、自ずと作品に対する見方に変化が生じずにはいられないようである。 今ここでこの大作についての感想なり批評なりを書くことは私の能力を超えるのでやめておくことにするが、改めてドストエフスキーの後期5大長編を振り返ってみると、今の私にはこの「カラマーゾフの兄弟」よりも「悪霊」や「白痴」といった作品の方がより身近で切実なものに思えるかも知れないという気がしている(そして、これまた久しく読み返していない「罪と罰」が、今読み返してみたらあるいはこれまでとは全く異なった相貌を示してくれるかも知れないと密かに期待しているところでもある)。 ドストエフスキーの長編作品としては、ディケンズの「骨董屋」に影響を受けたと言われる「虐げられた人々」を未読なので(本当は「骨董屋」を読んでから取り掛かる予定でいたのだが、何度挑戦しても「骨董屋」を読み通すことが出来ず、「虐げられた人々」にまで辿り着けなかったのである。「荒涼館」や「デイヴィッド・コパフィールド」などの例外はあるものの、私にとってディケンズという作家は基本的に極めて読みづらく「面白くない」作家なのである)、次はこの作品を読んでみたいと思っている(そして「長編」ではないが、その後でやはり未読の「永遠の夫」や「賭博者」を読むつもりでいる)。(後日追記) この小説を読みながら、幼くして貧困や病気、そして最後には死に見舞われることになる幼き登場人物や、この少年をめぐっての他の登場人物たちの発言に、私は6月に死んだ愛犬の記憶を重ねながら読みもした(そもそもこの作品を再読しようと思った最大のきっかけは、他ならぬこの愛犬の死だった)。もちろんこの少年が一匹の犬を虐待して(恐らくは)死に至らしめる挿話には心を痛めたし、子供や動物といった無垢なる存在が苦しみを味わわねばならないこの世の不条理をめぐっては、神(あるいは絶対者)なる存在への疑問や憤りを覚えもした。 数十年前に初めてこの小説を読んだ時、最後に少年たちがアリョーシャに対して「カラマーゾフ万歳!」と叫ぶ姿に、若き私はこの(見方によっては)陰惨な小説に一片の希望を見出したような気がするのだが、50過ぎのくたびれ、ひねくれた中年親爺となった今、その同じ台詞をある種の諦観や苦々しさを覚えながら読むことしか出来なかった。嗚呼…。