(臨時営業)電子書籍半額セールで衝動買い→散財&積ん読本が増える一方の巻
2021年5月8日(土) 今春に入って2度目だが、昨日から韓国全域を黄砂が覆っていて大気汚染は「危険」水準である。昨年は新型コロナウイルスのおかげ(?)で飛行機や自動車の量が減って大気汚染が多少緩和された気がするのだが、未だコロナが収束する気配のない中、大気汚染は元通りになりつつあるようである。 先日採り上げた鳩の産卵&子育てだが(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12672233320.html)、その後も親鳥がたまにエサをあげに巣にやって来て、雛たちは無事スクスクと育ちつつある。余程おなかが空いているからか、それとも親鳥に会えるのが嬉しいからなのか、それまで巣の上でちいさく固まっていた雛たちが元気に動き回るのを見ていると、(前回も書いた通り)最初のうちは気持ち悪いとすら感じられた雛たちがどんどん可愛く思えてくるから不思議なものである。 余り頻繁に近くから観察すると警戒して親鳥が来なくなってしまうおそれがあるため、写真もなかなか撮っていられないのが残念ではあるのだが、今朝になって巣を覗いてみると、2羽の雛のうち1羽がいないことに気づいた。もしかして下に落ちでもしたのではないかと心配になって窓を開けて覗いてみると、巣に残っているもう1羽が大きな人間の姿に驚いてか、パッと巣から飛び立った。いつの間にか(親鳥に教わっていた様子もないのに)、自力で飛べるようになっていたのである。 まだ飛び方はどこかぎこちないし、すぐに別の建物の手すりに止まってしまったのだが、雛たちが親鳥の手を離れて巣立っていく日も近そうである(そもそも現時点では雛たちが再び巣に戻って来るかどうかも定かではない→結局そのまま「外界」に巣立ってしまい、親子ともに戻って来なかった)。 周囲に配慮して日に何度か階下に落ちた糞を掃除する手間はあったものの、この何週間か、この思いがけない親子鳩の出現によって、コロナ禍の日々の無聊を幾分慰められたことは間違いない(その一方、「鳩害」に関してのみならず、他にもちょっとした出来事が重なり、同じ建物の住民たちのことがつくづく嫌になって来た・・・・・・)。* さて、最初に何枚か掲げた画像は、小学館から出ている様々な「電子全集」の広告である。 実は1週間程前からこれらの電子書籍がセールになっていて、以前このブログでも採り上げた「開高健 電子全集」の他、福永武彦や中上健次、色川武大/阿佐田哲也、山口瞳、宮尾登美子、立原正秋、三浦綾子などの電子全集がすべて半額となっている。 さらに「P+D BOOKS」という、従来他の出版社から出ていたものの入手困難になった作品を紙(文庫本)とデジタルで同価格で出版するというシリーズも、あわせて半額セール対象になっている(https://pdbooks.jp/index.html シリーズ開始時の謳い文句は「現在入手困難となっている昭和の文芸名作を、B6版のペーパーバック書籍と電子書籍を同時に同価格で発売・配信する新ブックレーベル「P+D BOOKS」)。 このシリーズに入っている作家・作品の詳細は以下の作家一覧で参照可能だが(https://pdbooks.jp/profile_matsumoto-seicyo.html メイン・ページはなぜか松本清張作品)、もともと絶版や品切れになっている作品を再発掘していることもあり、それぞれの作家の代表作というより、「知る人ぞ知る」ややマニアックな作品が多いという印象である(さほど知名度が高くない作家の場合には、代表作が収録されているケースもあるにはある)。 中でもお得なのが、なぜか元々他の作家に比べて安い価格設定の上記「開高健 電子全集」で(定価1,100円のところ現在は半額セールで550円)、私は既に何冊かを(残念ながら今回よりやや高い)1冊770円の時に買ってしまったのだが、これまで買おうか買うまいか迷っていた巻を今回は迷うことなく追加購入した。 上の写真にある「対話集」などは、Amazonの情報によれば紙の本換算で3.000ページ以上に相当するようで(それが550円で買えるコスト・パフォーマンスの高さである)、そもそも今では簡単に手に入らない当時の若手作家同士の貴重な対談などが読めることもあって、大変お得である(開高健がポン友である谷沢永一や向井敏とお勧めの本について歓談している「書斎のポ・ト・フ」などもまるまる収録されている)。 他にも「開高健 電子全集」と比べると約2倍するが(半額セールで各1,070円)、中上健次の電子全集もあれこれ迷った末に何冊か購入した。 代表作の小説などはほぼ文庫本で持っているため、今回は柳町光男監督の映画「火まつり」(傑作だと思うのだが、なぜか未だにDVD化されていない)のシナリオや作者自身によるノベライズ小説、小説「日輪の翼」や同作の映画・ドラマ向けシナリオなどを収めた「戯曲・シナリオ・小説集」と、荒木経惟や篠山紀信の写真を多数収録した小説「物語ソウル」やエッセイ「輪舞する、ソウル」、ザ・ドアーズの曲から題名を取ったエッセイ集「スパニッシュ・キャラバンを捜して」などを収めた「韓国・アジア篇」の2巻を買った(単行本を持っている韓国の小説家・尹興吉との対談集「東洋に位置する」や、詩人・金芝河との対談なども収められている)。 そうでなくとも紙の本でも電子書籍でも「積ん読」本が溜まりに溜まっていることから、これ以上むやみに買うまいと思っていたところ、運悪く目に入ってしまったのが「福永武彦 電子全集」である(詳細は→https://www.shogakukan.co.jp/digital/label/1000082)。 実のところ私はこの作家が昔から苦手で(★)、学生時代にある友人から「草の花」という小説を強く勧められたものの、如何にも「文学青年」がそのまま歳をとったような作家の(そしてかの堀辰雄を彷彿させるような甘ったるい文体の)語り口にすぐさま辟易してしまって以来、未だに読み通すことが出来ていない。《★どうでも良いことだが、この人の息子が作家・翻訳家の池澤夏樹で、その娘の池澤春菜という人も声優やエッセイストとして活躍しているらしい》 それでもその後、故・大林宣彦が映画化した「廃市」(1983年)を面白く見たこともあり、原作小説が収録されている「廃市・飛ぶ男」を始め、「忘却の河」や「海市」などの長編小説、ミステリー好きがこうじて自ら執筆・出版した「加田伶太郎全集」、評論集「ボードレールの世界」やエッセイ集「愛の試み」などの文庫本をしこしこ買い集めて来た(「廃市」の他はいずれも積ん読か途中で投げ出したままである)。 そして韓国に来てからも、上のアルノルト・ベックリンの絵から題名を借りた「死の島」(上・下)の中古本をAmazonで手に入れ、そのうち日本から持って来て読もうと思っていたところだった。 今回この人の電子全集を買おうという気になったのも、実のところ福永武彦という作家の作品を読みたいからではなく、彼が現代語訳した「今昔物語」が読みたいからだった。かなり昔のことだが、今はなき旺文社文庫から出ていた「今昔物語集〈本朝世俗部〉」を何冊か入手してたまにパラパラ拾い読みしていたのだが、韓国に来る時日本の実家に置いて来てしまったため、いつかまた読み直したいと思っていたのである(ただし旺文社文庫の現代語訳は武石彰夫という人の手によるもので、現在は講談社学術文庫で入手可能)。 福永武彦がこの「今昔物語」だけでなく、「古事記」や「日本書紀」(抄訳)などの現代語訳も手掛けていたことは知っていたのだが、今回これらの現代語訳がまとめて電子全集1巻に収録され、あわせて「今昔物語」に取材した小説「風のかたみ」も収められていることを知り、開高健や中上健次の電子全集に比べて少々高いのは気になったものの(半額セールで各1,375円)、個別に電子版で揃えようと思えば「古事記」と「日本書紀」だけで1,700円以上もし(河出文庫版)、そもそも一番読みたい「今昔物語」は電子版で出ておらず、紙の本では新刊で1,500円以上もするため(古書であれば送料込みで500円強で買えるが)、結局これも買ってしまった。 すると同じ全集の他の巻もついつい気になり始め、まず上記「死の島」が収録されている巻のサンプルを覗いてみた。 すると私が紙の本で持っている「決定版」の他、初出版やこの長編のもととなった短編「カロンの艀」に「創作ノオト」、「死の島」以降に書かれた最晩年の作品、「死の島」をめぐる篠田一士や菅野昭正などとの対談まで収録されているマニアックな編成であることが分かった(この巻に限らず、「福永武彦 電子全集」では代表作のほとんどが最終稿=決定版の他に初出版/初刊版も併録され、両者間の異同一覧までついている←ただし字が小さすぎて私が持っている文庫本くらいの大きさのKindleでは判読するのがかなり困難である)。 紙の本を持っているとは言え、上・下2巻のかさばる単行本で、日本からの飛行機で追加料金なしで持ち込める重量制限を考えると、最終的に他の本や食べ物などを優先させて持ってくるのを諦めてしまう可能性が高い。 つまり結局ずっと積ん読のまま日本の実家で眠り続ける運命にあることがまず確実で、それならいっそ電子版で手に入れて読んだ方が良いかも知れないと思うようになった(もっともこの電子版にしても積ん読のまま終わる可能性がなきにしもあらずなのだが・・・・・・)。 続いて目に止まったのは、福永武彦が中村真一郎や堀田善衛と共に書いた映画「モスラ」(1961年)の原作小説「発光妖精とモスラ」で、というのもしばらく前にこの原作の存在を知ってAmazonなどで調べてみたところ、とうに絶版で入手不可となり中古でも高値がついていたのを覚えていたからである(現在でもAmazonでは送料込みで6,000円超の値段がついている。ただしこの本には原作小説の他、映画のシナリオ第1稿と決定稿、スチール写真が多数収録されている一方、電子全集版は小説のみ収録)。 ただし同じ巻に収録されている他の作品が、日本の実家に置いて来た「廃市」(これまた初刊版を含む)他の短編で、この「発光妖精とモスラ」のためだけに出費するのもどうか迷ったのだが(そもそも私は映画「モスラ」にも怪獣映画にも特別な思い入れがある訳ではない)、「死の島」をめぐる対談の中で篠田一士が「廃市」に収録されている短編「飛ぶ男」を絶賛していたことを思い出し(私も昔読んだはずなのだが全く記憶に残っていなかった・・・・・・)、さらに私の持っていない長編「告別」(電子書籍版で個別に買うと、これだけで1,254円もする)が併録されていることもあり、結局「1-Clickで今すぐ買う」ボタンを押してしまった・・・・・・。 宮尾登美子や阿佐田哲也/色川武大など他の作家の「電子全集」もかなり気になったのだが、このままでは欲しいものが次々出てきてキリがなさそうなため端から見ないことにし、その代わりこれら「電子全集」に比べて廉価な「P+D BOOKS」叢書に目を転じ、どんな作品があるかざっとチェックしてみた。 そしてこちらも相当迷った末、各巻せいぜい300円前後という価格ではあるものの、篠田一士が上記対談で重要性を強調していた「風土」と(これも日本に積ん読のままの)「海市」という福永武彦の代表作の他、様々な作家の作品を20冊以上も買ってしまった(ここではいちいち何を購入したかは書かずにおくことにする)。 幸い(?)この半額セールもあと4~5日で終了してしまうため(その後、本体価格は定価に戻ったものの、同時にその後の購入に利用できるポイントが50%もらえるキャンペーンに移行し、事実上半額セールが引き続き2週間ほど続くことになった)、これ以上「積ん読」本を増やさないよう(何よりも散財しないよう)、手持ちの本や電子書籍を読むことに集中し、このまま無事(?)にセール期間が過ぎ去ることを祈るばかりである(上記の通り半額セールが事実上続いているので、これからも無駄な?買い物をしてしまいそうで困っている)。 それにしても、「小人」の最たるものと言っていい私のような卑小愚劣な人間が、手持ち無沙汰で「閑居」などしているとろくなことをしないという先人の言葉の正しさを、改めて痛感させられたものである。くわばらくわばら。