その2です。1から読んでくださいね。1は
こちらです。
単なる「流行」にとどまらない、大きな「うねり」をつかむ
個々のキャラクターを、簡単に解説します。まず、赤文字系の王道CanCam。
かつての「エビちゃん、もえちゃん旋風」の頃から比べると勢いが無くなっていますが、
手堅く「愛され」を目指す“いいこぶりっこ”の「可愛いOL」が基本キャラ。
2000年代前半までのOLファッションは、「お仕事用に地味でカチっとした服を着る」
という非かわいい・非おしゃれのイメージでしたが、
「CanCam流可愛いOL」によって、エレ可愛いモテ服を着て、
アフターファイブも充実したライフスタイルを送るキラキラ女子のイメージに変わりました。
一方、同じ可愛い系でも、Rayは、ピンク、フリル、レースが好きな「姫可愛い系」を、
一般社会向けにすっきりさせたようなキャラ。
掲載商品の価格は、CanCamよりもお手頃で、
誰でも赤文字系になれるフレンドリーさがポイントです。
そして、JJとViViは、おしゃれを極め系。
JJは、昔から「生まれ・育ちの良さがベースにあるブランド大好きミーハーお嬢さん」
というのが鉄板キャラでした。
ところが、2000年代に入ると、感度の高いミーハー女子は、
「中高時代は不良という訳ではなかったけど、ギャルファッションは大好きだった」
という層が大半を占め、JJのブランド主義では物足りない人が続出。
そして、おしゃれ系赤文字女子が向かったのはViViでした。
ViViは、「ハーフに憧れるギャル」「109やルミネ」など、
イマドキおしゃれがわかりやすく凝縮された、ギャルエキスの入った赤文字系なのです。
低迷していたJJですが、去年から「おしゃP」をプッシュで、盛り上がっています。
おしゃPとは、「おしゃれプロデューサー」の略。
アパレルのプレス、バイヤー、デザイナーなど、
ファッションの流行をしかける側の女性のことだとか。
「読者モデル」全盛の時期に、セミプロである「おしゃP」をフィーチャーしたことで、
JJらしいワンランク上の価値のアピールがピタっとはまりました。
誰でもモデルを名乗れる読者モデルには、ありがたみは感じられなくなっていた時期でしたから。
とはいえ、おしゃPに興味があるのは、消費者よりも企業の方かもしれません。
ビジネスが組みやすい提案は、市場が活性化します。
「渋原系」で注目を集めた女性誌PopSisterは、
昨年創刊したばかりなのに9月で休刊になってしまいました。
思えば、渋原系というのは、「ターゲット」ではなく、「流行」にすぎず、
大きなうねりになりえなかったからでしょう。
そう、大切なのは、ターゲットという大きなうねりを掴むことなのです。
かつてのJJは、「(自分か彼氏の)学歴や職種や持ってるブランド(資金力)
がある女子がエライ!」でした。現代の厳しい時代を生きる女性ターゲットには、
「おしゃれ力が強い女子がエライ!」というメッセージの方が
しっくりくるようになったということでしょう。
時代の変化によって、女性ターゲットはさまざまなキャラクターに細分化し、
ターゲットをどこに構えるかで、商品やサービスの内容はいかようにも変わってきます。
企業のプロならば、女性のターゲットをこまめに観測していくことを強くお勧めします。
(繊研新聞 10月11日号より)