遂に逃げ若のアニメキービジュアルが公開!!それと共に主要キャスト全員の声が公開されました。それぞれの第一声を聞いた時の印象。

 

 

北条時行くん…若干女性声に感じますが、ある意味では中性的な時行くんのイメージにピッタリ!!

雫ちゃん…最初声が甘ったるく普段はクーデレな雫ちゃんのイメージにちょっと…と思ったのですが、「兄様」に対するデレデレモードだと解釈すれば問題なし

弧次郎…お、これピッタリのイメージやん!

亜也子…うーん、まだちょっと微妙な所か

風間玄蕃…悠木碧さんの成りきり度が凄まじい!やっぱりこの人は素晴らしい!

吹雪…初めて聞く声なんですが、第一声で「これ吹雪のイメージ!」と拍手!

諏訪頼重さん…中村…やはり中村が一番微妙だよ(汗)シリアスバージョンならまあまだいいけどギャグバージョンは果たして…?

全体的に見ると男性キャラ陣営は概ねイメージにピッタリ(ただし中村は除く)なのに対して、女性キャラはちょっとまだ少し保留したいところです。今後の成長に期待したいところ。ただ、残念だったのは南北朝のラスボス・足利尊氏まだシークレット扱いかよ!くそぅ、12月には公開されると思ったのに。ただ気になるのは尊氏のキービジュアル

 

 

 

分かり易い悪役顔過ぎるだろ!!

これじゃあ単なる悪人のラスボスになってしまうだろう!折角松井センセイがこれだけ「足利尊氏」という色々な意味で描くのが難しい素材をキチンと分析して、ラスボスとしてもそして歴史上の人物描写としても絶妙に描写し、「善も悪も超越したラスボス」として見事な造形キャラなのに、それをぶち壊しにしかねない懸念があります。まあ表情集なので、敢えて「悪い」顔を選択チョイスした可能性も否めないのですが、頼みますよ、本当。南北朝のラスボスは間違いなく一番逃げ若でも重要な要石ですから、これに失敗すると全てが崩壊しかねない。

 

さて今回の本編でいよいよ時行くんと頼重さんの別れの時が迫ります。ここまで逃げ若はこの2人の出会い、そしてどんどんとお互いにお互いを必要とする関係になるまでの成長を丹念に描いてくれました。それだけに、遂にこの時が来たことには読者もまた感情移入して、「お願い!!…」と思ってしまいます。しかし、史実としてこの「別れ」は避けられません。今は時行くん同様、我々もまた絶対に見届けようと思います。

 

〇乱心の若君

自らが犠牲になることで時行くんを逃がそうという頼重さんとそれを許さない時行くんの意見衝突、頼重さんは時行くんを残して去っていきます。それを号泣して乱心状態になりながら、押さえつけるように説得する泰家叔父さん。

時行くん「絶対許さない!自分から無駄死にに行くなんて!頼重を止めろ!共にどこまでも逃げるんだ!!」

普段からはまったく考えられないくらい感情を露にして、涙と絶叫で頼重さんを止めようとする時行くん。ああ、本当にこの子にとっては今や家族同然の間柄。今の時行くんを形成するのに頼重さんは欠かせない存在となっていたのです。それだけにこんな乱心状態になってしまう

 

泰家叔父さん「聞け、時行殿。もう失うものが無い我らと違い、頼重には死なねば守れないものがある」

「聞け」という大文字の額で頭突きして強制的に時行くんの乱心を止めます。敗北した以上は諏訪家はこの反乱の責任を取らねばならない。その為には首謀者の死が必要。そうでないとこの乱への追及はどこまでも続き、より多くの犠牲が出てしまいます。頼重さんは元々そのリスクを覚悟のうえで、そのうえで北条のため、信濃の民のために戦った。それは

大切な誰かを守りたい。そんな人としての道でこれまで歩んできた2人

だからこそ今は「受け入れる」必要がある。普段は軽佻浮薄ですぐロクデモナイ本音が出てしまう泰家叔父さんが非常に真剣な眼差しで説得して、叔父として導こうとしているのです。主君として受けいれること、そしてもう一つ「北条の当主」としてではなく、もう一つの関係である「父と子」の立場で何が出来るかを考えるように諭します。子と親、時行くんはかつて鎌倉で貴種として暮らしていた時には考えられなかった。しかし、その立場を失ったことで得られたものが、親、そして郎党である今の立場であったのです。そして…

泰家叔父さん「ではさらば!儂は逃げる!」ドドド

弧次郎「良い台詞吐き散らかして逃げやがった!!」

さっき良い台詞いったばかりで、あっさりと普段の泰家叔父さんモードに戻るのでした(笑)しかし弧次郎のツッコミも久しぶりだな(笑)もちろん泰家叔父さんには泰家叔父さんの背負うものがある。思えば泰家叔父さんもまた西園寺卿から託された立場なのです。責任を取る者と生き延びて後事のために戦う者との立場。まさに時行くんと頼重さんと同じですね。常岩と犬甘と信濃からつるむことが多かったメンバーと共に逃げる泰家叔父さん。彼の戦いはまだ続きます…

 ようやく平静状態に戻った時行くんに頼重さんを追い、次にすることを聞く弧次郎。今の時行くんにとっては一番の理解者はやはり彼ですね。

時行くん「…酷い事を言ってしまった。謝りたい。だからまず助けなくては討死されては謝る事すらできなくなる」

「別れ」を受け入れるからこそ、このままでは終われません。何としても本当の意味で「別れ」の儀式を行わねば、一生後悔することになるのです。戦闘は既に始まっていましたが、三浦八郎ら鎌倉党の面々も助力を申し出ます。八郎らにとってもこの戦が終われば時行くんとの関係も清算の時を迎えます。特に八郎には亡き兄時明から託された三浦家の未来のために今後は足利につくというある意味辛い立場であるのです。それでも今時行くんの為に必死に奮闘しようとしています。

雫ちゃん「救出の段取りは私が。吹雪君がいない以上私が軍師です」

もはや逃若党にとって最強の戦力がいなくなってしまった中で、代替の立場に立つ雫ちゃん。確かに雫ちゃんはこれまで逃若党の戦略面でのサポートをしていました。もちろん吹雪がいなくなった穴を完全に埋めるのは不可能とはいえ、今は雫ちゃんの知力が必須です。時行くんにとっては自分のためにこれだけ多くの人が手助けしてくれる。それは頼重さんの庇護とこれまでの時行くんの器量がここまで多くの人間を育んでいました。

 

〇反乱の主体が主人公となる

頼重さんが率いる諏訪の残存軍は鎌倉近郊で足利軍と最後の決戦を挑みます。神力をフルに発揮し、諏訪神党の武士たちを強化することで全軍一丸となって足利に挑み、多くの損害を与えました。しかし、遂にそれも力尽きる時が来ました。完全に消耗しつくし、包囲下に置かれた頼重さんと諏訪軍の将兵たち。

南北朝のラスボス「戦神の名に違わぬ戦いぶり。お見事でした諏訪明神」

最早神力も使い果たし、髪の色が変わり、疲労して果てた頼重さんにこれまでの奮戦ぶりを心からの敬意を込めて賞賛する南北朝のラスボス足利尊氏。色々な意味で人間離れして人外の怪物扱いされる尊氏ですが、こうして敵手に対しても尊敬の心を忘れないのは間違いなく美徳です。更にまだ残っていた兵力が少ないことも見抜き、理由を問い質します。

 

頼重さん「我が軍は無駄死にを禁じるゆえ、大半の兵を信濃へ帰らせました。彼らは穢れなく新しい神と歩む」

元々敗北した時に備えて、孫のクソガ…じゃない頼継に神の立場を譲渡していた頼重さん。たとえ自分が死んでも遺された孫の為には今諏訪のために戦う忠義厚き武士たちを無駄死にさせるわけにはいかなかったのです。涙ながらに去るあの保科党の面々を見ても彼らも辛いし、反対したでしょう。しかし、未来の為に頼重さんから説得されたものと推測できます。そして自らと息子の時継は責任を取り、この戦場で散ると尊氏に告げます。その背後に…

南北朝のラスボス「残念です、諏訪明神。それがしも少しですが、未来が分かる」

これまで誰にも見破られることになかったステルス時継の攻撃すら察知してあっさり返り討ちにしてしまった南北朝のラスボス!生身の人間ながら、人並み外れた神力を持った彼の絶望的なまでの強さを見せつけられます。更に頼重さんに叩きつけるようにある事実を述べます。

反乱の主体が意志弱き傀儡の場合は実質的なその傀儡を担いだ首謀者の名が反乱の名で残る。

かつて奈良時代に起きた「恵美押勝の乱」。これは朝廷において位人臣を極めた権力者であった恵美押勝が、時の最高権威であった孝謙院と対立をするようになった彼はクーデターによって彼女を排しようとして、皇族を担ぎ上げます。内外共に彼が実質的な首謀者であったのが明らかであったので、この乱は彼の名前が取られた。
 ちなみに話題は逸れますが、慶長5年(1600)に行われた天下分け目の関ケ原戦役。これも実は似たような事情で、江戸時代にはある呼称が使われてしました。

「石田しぶのせう(治部少輔)らん(乱)」

これは細川ガラシャに仕えた侍女が遥か後年に遺した回想録に残る表現ですが、「石田治部少輔の乱」という表現が江戸時代における関ケ原戦役における「名」として定着していました。これは戦後の公式発表で

「家康公に歯向かった乱の実質的な首謀者は石田三成であり、その処刑をもってこの戦乱は集結した」

ということで史実のおける西軍の主体は全ては石田三成が動かし、多くの大名もひたすら三成に付和雷同して、そして当然の結果として西軍の敗北は全部石田三成の所為とされたためです。かくして公式発表を多くの人が信じ、それに基づいて「人望の無い石田三成の人物像」が創作され、そのロンダリングが2023年の大河ドラマまで引き継がれてきました。

何度も言いましたが、これは全部事実と反します。

関ケ原戦役における西軍は戦国のエゴイズムの怪物・毛利輝元が総大将であり、石田三成はあくまでも幹部の一人に過ぎません。ところが、戦後処理を速やかに終わらすために徳川と毛利の裏取引によって、最高責任者輝元の免罪とそのスケープゴートとして三成に全責任が押し付けられる形で政治的な解決が図られたことが元凶です。そうすることで、「毛利輝元は単なる傀儡で、石田三成こそ実質的な総大将」という誤った常識が定着してしまったのです。戦乱の早期終結と引き換えに三成は不当な悪評を背負わされ、今もこうして私などは切歯扼腕している最中です。いや、それにしても2023年になっても一向に変わらないのは本当にどうしようもない。私個人としては、関ケ原戦役の呼称を

「毛利輝元の錯乱」

に変わってくれれば、少しはマシになるのではないかと期待していますが…

 閑話休題。尊氏は頼重さんの名が反乱の主体となるであろうと宣告します。

これ本当に南北朝のラスボスが頼重さんのことを慮って悲しんで見せているのだから困る。

それと同時に時行くんを徹底的に「傀儡」として政治的に否定しようという無意識な否定の意志も見せつけます。実際、この会話で時行くんの名を出そうとはしませんでした。あくまでもこの乱の主体は頼重さんであろうと自らに言い聞かせているかのよう。

 

〇時行くんと南北朝のラスボス、再びの対峙

そこに鈴の音が鳴り出し、その場にいる一同は思わず周囲を見渡します。

大楠公「軍で逃げる時は戦いながら逃げるが上策」

ここで再び大楠公・楠木正成の汚い文字と坊門ヘイト塗れの指南書が登場。つうかほとんど落書きだらけじゃないか!時行くん、よく「解読」したよな…そしてその逃げの極意、攻撃と防御を考えの中から一切排除し、逃げに全神経を集中すれば、たとえ神でも捕らえることは不可能。今、時行くんは大楠公直伝の逃げの極意を実践しようとしていました。

鎧を脱ぎ捨て、肌も露になった色気を振りまきながら登場する時行くん

何と歴戦の高師泰の背中に張り付く形で南北朝のラスボスの前に現れます。それは彼を「傀儡」とその存在を否定しようとする尊氏に対する時行くんが自らこそが「主人公」であることを見せつけるかのようにです。

時行くん「この戦の主がこの戦に決まりを与える。時行を殺せば尊氏の勝ち。逃せば全てお前の敗けとする!」

一軍の総大将として完膚なきまでに敗れた少年が再び強大なる南北朝のラスボスに戦いを挑みます。今度はその能力を最大限発揮できる戦いで…一方で尊氏の時行くんを見る目はどこまでもドライ。そこにはかつて少年と交流していた頃の面影はありません。さあ、遂にここからが逃げ上手の若君の本当の戦いです!