90年代HR/HMとモダンメタルのギターサウンドの差とは? | しわすはやさブログ(DTM,ギター,音楽,作曲)

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近年のモダンメタルに見られる非常にタイトなディストーションサウンドは90年代あたりのHR/HM全盛期のディストーションサウンドとだいぶ違う印象がありますが、モダンメタルサウンドを作るための代表的な機材はほとんど90年代初頭には出揃っているんですよね。何が昔と今で違うのでしょう?

90年代以降基本は同じ機材

ハイゲインアンプ

90年代以降だと2000年以降のモダンメタルもメインでよく使われる機材はあまり変わらないですね。

代表的なアンプはやっぱり次の2つでしょうか。

  • Peavey 5150
  • Mesa/Boogie Dual Rectifier

90年代のHR/HMだと上記に加えてMarshall勢が多いのとSoldano SLO-100なんかも使っているプレイヤーが多い印象です。
逆に現在では5150, Dual rectifier以外にDiezelやENGLなど多いように思います。まぁ全部あげてくと全メーカー列挙になりそうなのであれですが・・・。

オーバードライブ

アンプの前段に置きます。ここはいまも昔もTS系ですね。TS-9、SD-1、OD808あたりが定番ですね。この辺のエフェクターは上記のアンプたちよりも発売が早くて1980年前後に全部リリースされています。

サウンドの違いは使い方にあり!

機材は90年代も2000以降のモダンメタルも同じなのになぜこうも音が違うんでしょう?その答えば当然ながらセッティングに差があります。

歪みはアンプで作る90's

90年代のディストーションサウンドは基本的にはアンプだけで歪ませます。オーバードライブはソロなどでちょっとひずみを増したいときや、Hi-Midを強調したいときにONにします。なのでアンプのゲインは割と上げ目なセッティングの人が多いですね。
ODの設定もつまみの位置はLEVEL, GAIN, TONE 全て50%をベースに微調整という感じでアンプの歪みに少しプッシュという設定が多いです。
※ちょっとネットで拝借したVan Halenの90年代の設定のようです。ゲインは2時くらいの位置で6-7割というところでしょうか。深い歪みだと思います。
 

アンプ+オーバードライブで歪ませる2000以降

モダンメタルでは90年代とは異なり、アンプのゲイン設定はそこまで高くはしません。アンプだけだと歪み切らないかクランチくらいでもいいかもしれません。そしてアンプ前段のオーバードライブは常にONです。またオーバードライブ設定が割とピーキーで ”GAINは基本ゼロ、トーンを半分以上〜全開くらい”そしてレベルをあげてアンプを歪ませる」です。
※Misha Mansoorの動画からちょっと拝借しました。Dual rectifierのGAINは50%くらい、オーバードライブはゲインが0,トーンを60%くらいにしてる感じですね。

サウンドの違い

もっとも違うのはやはり低音弦のサウンドですね。90年代は太くミュートの低音も広がりや余韻の大きいサウンドが特徴的です。対してモダンメタルの低音弦サウンドは攻撃的な高域が特徴的で低音弦ミュートでも低音〜高音がバランスよくでたタイトなサウンドになります。

なぜオーバードライブを常にON?

当然ではありますが、ギターの音って低音の方が音量が大きいです。下の画像はギターのライン録音の波形です。ハムバッカーのリアピックアップで低音のパワーコードを弾いています。ほぼほぼ低音しか出てないですね。

そして歪み(ディストーション)の原理は「大きい音の頭をけずって歪ませる」です。もちろんアンプの設計による部分はありますが、基本的にギターは低音から歪むわけですね。そして高音域がちょうどいい感じの歪み具合にすると低音側の歪み方は相当なレベルになるということです。かなり厚みは増すと思いますが、歪みすぎて少し扱いにくい部分が出てくるかなと思います。

そこでゲイン=0, トーン全開のオーバードライブをかけてみると下図にようになります。Nembrini AudioのOD808ペダルシミュレータを使いました。

かなり高音側が強調されていますが、周波数全体的な波形としてはギターそのままよりもバランスがいいような気がしますね。

またこれはギターに限った話ではないですがタイトな低音=ひずみの少ない低音です。ドラムで高音だけにサチュレーションをかけて低音のアタックは残しつつ、厚みを出すときにやる方法ですね。

まとめ

簡単にまとめると以下みたいな感じかなと思います。

  • 90年代R/HMトーン:漢は黙ってアンプ直&ゲインアップ
  • モダンメタルトーン:クランチアンプにトーン全開の常時オーバードライブONで攻撃的に

使い方でだいぶ音の印象が変わりますが、やはり時代的な流行の音や、時代による録音事情、周りの機材の関係など様々な要因で

90年代→現代のメタルトーンは変化したんだろうと想像しましたが・・・。昔の方がアンプやオーバードライブの設計意図に沿っているような気はしますね。より攻撃的にというトライとアプローチをしてみた結果生まれた最近のメタルトーンなのかな。

とはいえなんというか機材自体の進化は全くしてないというのは、ちょっと残念な気もしますね。まぁ音楽やる人たちはどのジャンルもほとんど懐古主義ですね。クラシック楽器もギターも電子楽器ですら「ヴィンテージ」なんて言ってるくらいですからね。

 

音作りの参考になればと思います。