BBIT認定療法士の後藤保彦です。
左右脳の機能的なバランスを調整して統合させることを目的に、BBIT(脳ベース統合セラピー)を提供しています。
今回の記事は、③になります。
最初から見たい方は、先にこちらからどうぞ。
①
②
さて、ご存知ロバート・メリロ博士がTEDトークに招待されて収録したものが公開されています。
続きの翻訳を載せていきます。
(ここから)
4:56
右脳は「愛着(アタッチメント)」に関わる部分です。人間にとって、生き残るための鍵の一つは、まず両親に愛着を形成し、その後、他の人々とつながることです。古代の人間は単独では生存できなかったため、他者との関係を築くことは生死に関わる重要な要素でした。そのため、他者と関係を築こうとする本能的な衝動は、私たち全員の中に備わっています。
しかし、子どもが他の子どもと関わろうとする衝動が弱い場合、それは右脳の発達の遅れが原因であり、それによって社交的なつながりが形成されにくくなっている可能性があります。
また、右脳は「抑制(withdrawal behavior)」の働きを持つ脳のブレーキのような役割を果たします。つまり、危険な行動やリスクのある行動を抑制する機能を担っています。
もしこの抑制が強すぎると、不安や恐怖が過剰になり、極端な不安障害につながる可能性があります。
逆に、抑制が弱すぎると、非常にリスキーな行動を取るようになります。
右脳は「新奇性(ノベルティ)」を好む傾向があります。つまり、ルーチンを嫌い、新しいことを試したり、新しいアイデアを生み出すことを好みます。これが創造的な思考や、芸術、音楽などの才能につながるのです。
しかし、同時に右脳は、同じことを繰り返すのを嫌がるため、強迫的な行動(OCD)、チック、自己刺激行動(スティミング)、多動などの反復行動を抑える役割も果たします。
また、右脳は感情を司る部分でもありますが、特に「ネガティブな感情」や「回避の感情」に関係しています。例えば、不安や恐怖、悲しみといった感情を処理するのが右脳の役割です。これらの感情が過剰になると、不安障害やうつ病につながる可能性があります。
さらに、右脳には「感情的知性(エモーショナル・インテリジェンス)」の側面もあり、これによって私たちは良心や道徳観を持ちます。「何が正しくて何が間違っているのか」を判断する能力や、「恥、罪悪感、良心の呵責」といった感情も、右脳によって生まれます。しかし、この機能が十分に発達していないと、恥や罪悪感を感じず、道徳的な判断が欠如することがあります。こうした特徴が極端に現れると、反社会性人格障害(ソシオパスやサイコパス)につながる可能性もあるのです。
一部の人々は、過剰な恥や罪悪感を感じ、それに圧倒されることがあります。これに悲しみが加わると、それが「大うつ病性障害(MDD)」につながることもあります。
右脳は「リアリティ・テスティング(現実検証)」を行う役割も担っています。つまり、「これは現実か、それとも現実ではないか?」を判断する機能です。この機能が適切に働かないと、現実とのつながりを失い、精神病(サイコシス)、幻覚、妄想、さらには統合失調症といった症状につながる可能性があります。
また、右脳は「暗黙の記憶(インプリシット・メモリー)」を通じて学習します。これは、私たちが意識的に記憶しない学習プロセスのことで、特に生後最初の3年間において、社会的スキルや非言語コミュニケーションの基礎を学ぶ際に重要です。この時期に適切に学習できなかった場合、その人は「自分がそれを学んでいないこと」にさえ気づくことができません。そして、他の人々が自然に学んでいることを理解できないため、対人関係で困難を抱えることになります。
このため、自分と他者の間に理解のギャップが生じ、他の人と上手く関われないことに強い苦痛を感じることがあります。これは自閉症スペクトラムの人々が日常的に抱える感覚でもあり、決して本人のせいではないのです。
右脳は「全体像を捉えるスキル(ビッグピクチャースキル)」を司っています。例えば、読解力や文章の主旨を理解する力が含まれます。一部の子どもは、2歳前にすでに文字を読める「ハイパーレクシア(Hyperlexia)」の能力を持っていますが、これは自閉症スペクトラムでのみ見られる現象です。しかし、彼らが成長すると、読んだ内容を理解できなくなることがあります。なぜなら、右脳が「全体をまとめて把握する能力」を担っているため、それが未発達だと、個々の単語を読めても意味を統合することが難しくなるからです。
また、右脳は「腸の調整機能(ガットレギュレーション)」とも深く関係しています。右脳が正常に機能することで、食べ物の消化・吸収がスムーズに行われます。副交感神経系(パラシンパセティック・ナーバス・システム)が働くことで、私たちはリラックスし、安心感を得て、ぐっすり眠ることができます。
しかし、右脳の発達が遅れると、腸の消化機能にも問題が生じやすくなります。例えば、「リーキーガット(腸管漏出症候群)」が発生し、栄養の吸収がうまくいかなくなったり、慢性的な便秘を引き起こしたりすることがあります。さらに、常に「闘争・逃走モード(ファイト・オア・フライト)」の状態にあるため、リラックスできず、夜に眠ることも困難になります。
加えて、右脳は免疫システムを抑制する役割も持っています。これは、本来害を及ぼさない特定の食品などに対して、免疫システムが過剰反応しないように調整する働きです。この機能がうまく働かないと、食物アレルギーや自己免疫疾患につながる可能性もあります。
(ここまで)
前回分を含め、右脳の役割を一覧表にまとめました。
拡大してご覧ください。
この話の続きを日本語で読みたい方は、
「いいね」
「フォロー」
「コメント」
をよろしくお願いします。
もっと詳しく知りたい方は、最新版(英語)をどうぞ。
Disconnected Kids, Third Edition: The Groundbreaking Brain Balance Program for Children with Autism, ADHD, Dyslexia, and Other Neurological Disorders
Dr. Robert Melillo (著)
日本語で読みたい方は、原著のひとつ前の版になります。
『薬に頼らず家庭で治せる発達障害とのつき合い方』
Dr.ロバート・メリロ (著), 吉澤 公二 (翻訳)
脳バランスを整えたい方は、
510バランスカイロプラクティック自由が丘へどうぞ。
ケースレポートは、こちら。