Sea Breeze Season8 -56ページ目

青春スイッチ



8月31日で今年の海水浴場の営業は終了したが、


この夏の出来事をもう少し書こうと思う。



男が2人かき氷を8個注文した。


オレが、


「2人で8個は持ちきれないだろう?」


と言うと、


「今、応援が来ますから。」


と答えた。


かき氷を待ちながら、


「○○ちゃんはイチゴで、△△ちゃんはメロンでいいよな?」


と2人は話している。


そこに応援の3人目がやって来た。


その間も2人は、


「俺がボケてるんだから、オマエがもっとツッコミを入れて盛り上げなきゃダメなんだよ。」


「え!?ツッコミが甘かった?」


「まだ甘いよ。あとひと押しなんだから。」


などと作戦会議をしている。


オレは2人を見て、


“そういう問題じゃないと思うんだけどなぁ”


と思いつつ、


「ナンパしたの?かき氷8個って何人分?」


と聞くと、


「6人ッス。」


と言った。


「そうなの?」


と3人目のニーチャンに聞くと、


「なんか青春スイッチがONになったらしいです。」


と呆れた口調で言った。


3人目のニーチャンは、この2人のナンパに巻き込まれたようだ。


そして3人はかき氷を持って戻って行った。


行く先を見て見ると、そこにはうちに入っているお客さんがいた。


6人ともソコソコかわいいコたちだ。


その後も、何度か売店に来ては、ジュースや缶チューハイを買って行った。


どれも6人分ずつだから、出費も相当なものだろう。


一度、彼女たちのひとりが売店の前を通りかかったので聞いてみた。


すると、


「あの人たち大しておもしろくないけど、いっぱいご馳走してくれるから、しばらく遊んであげてるの。」


と言った。


どうやらあのニーチャンたちは、青春スイッチがONになったのではなく、もっと強烈な地雷を踏んでしまったようだ。



夏のビーチには、時々こういう地雷が埋まっていることがある。


ウケたと勘違いして地雷を踏まないことだ。


女子会



7月最後の土曜日。


ちょっと大人なお姉さま方が2人。


水着に着替え、その上にTシャツを来て売店にやって来た。


手には新品のウキワを持っている。


「空気入れ借りてもいいですか?」


と言ったので、


「どうぞ。割らないように気をつけてね。」


と言って使い方を教えてあげた。


空気入れは売店の横にあるので、何度もこういう会話が交わされる。


手つきは危なっかしかったが、なんとか空気も入りウキワを持って海に向かって行った。


が、5分後には戻って来て売店にビールを買いにきた。


「もう戻ってきたの?」


聞いたら、


「足首まで入ったら水が冷たかったから。」


との事。


これが朝10時頃のお話。


それから砂浜に面した場所を確保して飲みはじめた。

おつまみを食べながらビールを飲む。


そしてガールズトークで盛り上がる。


食べて、

飲んで、

しゃべって、

笑って、

また飲んで、

疲れるとちょっと寝る。

時々、スマホや携帯をいじる。


この繰り返し。


この時、新品のウキワは一度も海に浮く事もなく、

ただの枕になっていた。




午後になりしばらくして、

売店前の砂浜で、携帯を手にキョロキョロしているお姉さまが一人。


オレは、


「そこは暑いから、こっちの日陰にいればいいよ。」

お姉さまは、


「すいません。」


と売店横の日陰に入ってきた。


「待ち合わせ?」


と聞くと、


「そうなんです。先に来て、どこかの海の家に入っているんですげど…。」


現地集合で場所がわからず、炎天下を歩き回っている人は多い。


声をかけて場所を聞くと、全然方向違いを歩いている人もいる。


彼女はもう一度携帯をかけた。


「やっぱり出ない…。」


と言った。


オレは、


「海の家の名前は聞いてないの?」


「○○って言うところなんですけど…。」


「それ、ここだよ。」


「え!?」


「もしかして、あの2人じゃない?」


と教えると、


向こうも携帯を耳にあててこっちを見ている。


2人の目が合い、お互いを指差しながら、


「あーっ!!」


と叫んだ。


彼女は、


「ありがとう。」


と言い、3人は合流した。

初めは気付かなかったが、このお姉さま、

通り道にあるピザ屋の大きなピザを持っていた。


3人はピザを食べながらビールを飲み、


また賑やかにしゃべり始めた。


3人のしゃべりは、さらにパワーを増していた。


結局、そのまま夕方を迎え、帰る時間になった。


帰りぎわに、


「海に入ったのは足首だけで、あとはず~っと飲んでしゃべってただけだね。」

と言うと、


「これが女子会っていうものよ。」


と言って帰って行った。


ここに話の内容は書けないが、


女子会おそるべし。


外人さん



女の子のグループを外人さん達がナンパしていた。


ナンパされた女の子たちもノリがよく、楽しそうに遊んでいる。


そのうち、近くにいた知らない子供たちも巻き込んで、ビーチボールで遊び始めた。


その後、


海水浴客が帰り始め、ビーチの人が少なくなった頃、


その中の外人さんのひとりが売店にきて、


「ペントカミヲカシテクレマスカ?」


とカタコトの日本語で言った。


「どうぞ。携帯番号教えてもらうの?」


と聞くと、


ニッと笑って走って行った。


そのまま見ていると、


何やら身振り手振りでやりとりをしている様子。


そんなやりとりも終わってさっきの外人さんが、


「コレ、アリガトゴザイマシタ。」


とペンを返しにきた。


「どうだった?教えてくれた?」


と聞くと、


また、ニッと笑って行ってしまった。




午後5時過ぎ。


この日の営業も終わり、海の家を閉めたあと、


オレは帰る前に海岸沿いをMTBで走っていた。


すると、


さっきの外人さん達が、荷物を車に積んでいるところに出くわした。


オレに気付いたあの外人さんが、


オレに向かって、


「アリガトー!!」


と言って手を振った。


その手にはさっきの紙が握られていた。


どうやら携帯番号はGetできたようだ。


オレも彼に手を振って、その場を走り去った。