陰組にとってのお酒の席はどれだけ苦痛か?の考察(パソコン読者用)
「五月病」という言葉があります。新年度から1ヶ月が経過した5月という時期に、会社に行きたくなくなる精神病のことです。このブログをご覧の新社会人の中にも、五月病にかかっている人がいるかもしれません。
学生と社会人との1番の違いは、「イヤなことでもやらなければならない」ということでしょう。
学生のあいだは、イヤなことは避けて通れました。イヤな人とは付き合わなければよく、イヤなバイトならすぐにやめることができました。イヤな空間であれば、自分の好きなタイミングで帰ることもできました。
一方、社会人になると、それができません。好き嫌いにかかわらず、仕事としてやらなければならないことがたくさんあります。それが「お金をもらって働く」ということで、そのイヤなことに耐えられなくて、会社をやめる人があとを絶たないのです。
僕も社会人になったとき、学生生活との違いに戸惑いました。何回ため息をついたかわからないほどで、仕事の現場に行くのがイヤで仕方がなかったのです。
なかでも1番大変だったのが、いわゆる「飲み会」です。打ち上げや各種歓迎会など、その場にいることが苦痛で仕方がなかったのです。
なにしろ僕は、カクテルを2杯飲んだら限界の下戸です。お酒を楽しむことができず、人見知りもすごかったことから、自分から誰かに話しかけることができません。端の席で置物のようになっており、それはもう苦痛な時間だったのです。
それでも数をこなしたことで、お酒の席には慣れました。元来、人と話をするのは好きな性格なので、今では自分から積極的に話しかけられるようになりました。
ですが、決して楽しいわけではありません。気心の知れた友達と飲むならまだしも、仕事に関係したお酒は、付き合いで行かざるをえないから行っています。「好きか嫌いか」と言われたら嫌いで、行かなくてもいい飲み会であれば余裕で行かないのです。
もちろん、お酒が大好きだから誘いがあればいつでも行く、という人もいるでしょう。
ですが、今の時代は僕みたいなタイプが多いはず。1人で過ごす時間が好きで、人と交流するのが苦手な人が……。
お酒が飲めない、人見知りする、騒がしいのが苦手。
お酒の席で、この3つに該当する人を「陰組」と呼びます。一方、こういった陰の部分がなく、ノリノリでその場を楽しめる人を「陽組」と呼びます。
今回は、僕をはじめとする「陰組」の人たちが、どれだけ大変な思いでお酒の席を過ごしているかをご紹介したいと思います。
そこで今回は、「陰組にとってのお酒の席はどれだけ苦痛か?」の考察です。
一口にお酒の席といっても、いろいろとあります。仕事の打ち上げ、歓迎会、花見、送別会、懇親会、忘年会……。
どのお酒の席においても、その場にいる人たちは、以下の3つに分類されます。
・楽しんでいる人
・楽しんでいない人
・楽しんでいるフリをしている人
3つ目がポイントで、笑顔こそ浮かべるものの、腹の中では楽しんでいない人がたくさんいます。このタイプも陰組にほかならず、その場の空気を読んで、楽しんでいるフリをしているのです。
僕も盛り上がっているお酒の席で、ウェーブをやったりします。周りがやるからやらざるをえず、時には誰かに、「よっ!日本一!」とか言ったりします。ですが正直、相当無理して、こんなことをしています。本質は陰組なので、やってる自分が恥ずかしくて仕方がないのです。
お酒の席を楽しめる人は、性格の明るい人が多いです。逆に楽しめない人は内向的な人が多く、陰組は、カラオケを歌うのも苦手な人が多いです。目立つことを嫌い、要するに、体育会系のノリが苦手なのです。ガチャガチャとしていない、しっとりとした時間を過ごしたいんですね。
わかりやすい例を挙げると、陰組は、プロ野球で優勝したチームが行う、ビールかけのようなノリが苦手です。もしあの場にいたら、確実に楽しんでいるフリをするでしょう。
「おい、やめろよ!」
「やりやがったな!」
このようなことを言うものの、実は全然楽しんでいません。おもしろくもなんともなく、心の中では「早く終われよ、このノリ……」と思っているのです。
陰組の精神構造は薄暗く、陰組はお酒の席において、以下のようなやり方で時間を潰します。
・意味なく携帯電話をいじくる
・グラスに残った氷をなめる
・お腹がすいているわけでもないのに、テーブルに余っている大根サラダをちびちびと食べる
・空いたグラスを片づけるなどして、時間を稼ぐ
・たいして共感してないのに、誰かの話にひたすらうなづく
・ホッケを箸でもてあそぶ
このようなことをしながら時間を潰し、「早く帰りたい……」という思いに支配されているのです。
また、陰組はお酒の席で、以下のような寂しい思いをします。
・自分が観ていない映画の話を延々とされて、会話の輪に入っていけない
・遠くの席で楽しそうな話をしているけど、その輪の中に入っていく勇気がない
・自分の周りが盛り上がっていないと、自分のせいのように思えてくる
・恋愛経験が少ないので、恋愛の話になると口数が少なくなる
典型的な陰組である僕の後輩のA君なんて、その場の間を持たせるためだけに、タバコを吸い始めました。タバコを吸っていると、はたから見たら寂しそうに見えません。暇と戦う小道具として、タバコを無理に吸っているのです。
ですが、お酒の席が好きな人からしたら、陰組が気に入りません。陰組にも陰組なりの空気があるのに、その空気を読まないで、以下のような発言をしてきます。
①「おい!そこ、盛り上がってるか?」
陰組は、陰組同士で集まる傾向があります。おとなしいものの、陰組同士が集まれば、それなりに楽しい会話になるのです。
ですが陽組の中に、「そこ、盛り上がってるか?」と言って陰組の輪に入ってくる人がいます。陰組からしたら、「大声で話す=楽しい」ということではありません。これはある種のテロで、そいつの高いテンションについていけないのです。
陰組から言わせれば、お酒の席に盛り上げ役などいりません。よく、「宴会部長」と呼ばれる人がいてその場を盛り上げようとするのですが、陰組にとっては、宴会部長なんて迷惑なだけです。口にこそ出さないものの、陰組は全員、「もういいって、こいつ……」と思っています。一気コールとかされたところで、何もうれしくないのです。
②「お前、なんかしゃべれよ!」
陰組から言わせれば、この発言はケンカを売られています。口数の少ない陰組に話を強要してくるのですが、話すことがないから話さないのであって、「だったらお前が俺に話題を振ってこいよ!」という話なのです。
しゃべらなかったところで、誰かに迷惑をかけているわけではありません。なにより、純粋に食事を楽しんでいる人もいれば、ほかの人の話を聞いている聞き役の人もいます。「飲み会=口数が多い場所」とは考えていないので、いい迷惑なんですね。
しかも何が腹立つかって、これを言う人は、ちょっと怒っています。「ふざけんなよ、てめえ!」みたいなニュアンスが含まれており、陰組から言わせれば、それはこっちのセリフなのです。
お酒の席に、ワイワイと騒がなければならないルールなんてありません。口数が少ないのはその人の個性で、しゃべりの強要は一気の強要と同じなのです。
③「酒を飲まないなんて人生の楽しみを半分失ってるよ!」
下戸から言わせれば、飲めないものは飲めません。お酒のよさがまったくわからないので、こんなことを言われても意味がわかりません。髪の毛を半分失ってるような奴が平気な顔でこんなことを言ってくるので、何のこっちゃわからないのです。
人生の楽しみ方なんて、人それぞれです。「お前、生きてて何が楽しいんだよ?」みたいなことを言う奴までおり、こんなことを言われる筋合いはないんですね。
僕はその昔、グラスにビールを残していたら、陽組のオッサンに「乾杯とは、杯を乾かすと書くんだぞ!」と言われたことがあります。「だから何?」という話で、注意される意味がわからないのです。
④「飲めない奴とは腹を割って話せねえよ!」
生粋の飲ん兵衛は、この発言を必ずします。一気こそ強要しないものの、この発言は遠まわしに「飲め!」と言っています。そのプレッシャーに耐えられず、相手が目上の人だと、飲まざるをえないときがあるのです。
そもそも、酒の力を借りないと本音でしゃべれないような奴なんて、どうかと思いますよ。普段から部下と真剣な話ができる方法を模索しなければならず、よく考えたらかっこ悪いんですね、このセリフ。
しかもこのタイプの飲ん兵衛は、酔ってやってしまった醜態の自慢をする傾向があります。
「俺よ、こないだ気づいたら、マンションのゴミ捨て場で寝てたんだよね!」
「俺よ、ここ最近酔っ払いすぎて、ずっと記憶をなくしっぱなしだよ!」
この手の妙な自慢を連発し、ひどい場合、電車で寝てしまって乗り過ごした駅の数を自慢してくる奴がいます。「終点まで行ってもうたわ!」みたいなことを得意げに言ってくるのですが、下戸からしたら、何がすごいのかわかりません。謎の武勇伝なので、聞かされても感想に困るのです。
⑤「お前、そんな顔してて飲めねえのかよ!」
お酒が飲める飲めないに、見た目は関係ありません。なのに目がつり上がってるとか、体がでかいとかいう理由で文句を言ってくる人がいるのです。
そりゃね、ゴルゴ13みたいな奴が飲めないのならわかりますよ。ただ、ヤンキーみたいな顔してるから飲めると判断されても、下戸からしたら意味がわからないのです。
僕も割と筋肉質の体をしています。頻繁に「お前みたいな奴がなんで飲めえんだよ!」と言われ、僕の友達に「鬼塚」という名字の奴がいるのですが、その昔、「お前、そんな人殺してそうな名前しといて飲めねえのかよ!」と言われたのです。
こんなもん、ムチャクチャですよ。本人にはなんの罪もありません。中には半ギレで言ってくる人もいるので、どう返したらいいかわからないのです。
この5つの発言に見られるように、陽組は陰組に対して、上からしゃべりがちです。自分は勝ち組だと思っている節があり、しかも以下のような感情に支配されています。
「俺たちはみんなで楽しく盛り上がってるのに、お前だけ1人で寂しそうにしていて愉快だぜ!」
お酒の席は、社会の縮図です。その人を揶揄する人、寂しそうにしている様を見て心の中で楽しんでいる人、あからさまに無視する人……。陽組の中には人の不幸を楽しんでいる人がいて、「文句を言う」「無視する」という2つの行動で、自分の立場との差を見せつけたがるのです。
もちろん、陰組のほうにも問題はあります。社会通念上、変わらなければならないのは陰組のほうでしょう。こんなか細いメンタルでは、社会人としてやっていけませんから。
ただ、誰も手を差し伸べてあげないという環境が、五月病や早期退社を産む一因になっていると思うのです。お酒の席にかぎっていえば、その場を支配しているのは陽組に間違いありません。陽組のほうが意識して、陰組に手を差し伸べるべきなのです。
たとえば、お酒の席に着いて「全員、生中でいい?」と訊く人がいますが、この言い方をされたら、下戸は断りにくいです。座組みによっては、「すいません、僕、ビールはダメなんですよ」と言い出しにくい空気のときがあり、無理してビールを飲むはめになるのです。
「そんなもん、ビールは飲めませんって言ったらええやんけ!」
こうおっしゃる人がいるかもしれませんが、それができない人が世の中にはたくさんいます。経験を積めば言えるようになれるのですが、社会人なりたての若者だと、周りの顔色をうかがいすぎて言えないんですね。
「飲む人は飲む、食べる人は食べるで各自、好きなようにやってくれ!」
飲み会がこんな空気なら、全員が楽しめます。陽組が意図的にこの空気をつくってくれたら、陰組はその場に打ち解けやすくなるのです。
なにより、普段は陽組の人でも、一緒にいるメンバーによっては陰組になるときがあります。話す人がいなければ、1人でじっとしているしかありません。お酒の席はその場の人間関係がもろに出るので、自分を嫌っている人がその場に何人かいれば、陽組の人でさえ端っこで置物になってしまうのです。
僕は陰組ではあるものの、現在は陽組でもあります。たくさんの修羅場をくぐってきたことで、飲み会には慣れました。経験を積んだことで性格が明るくなり、それほど苦痛ではなくなったのです。
そこで陽組のみなさまに、お願いがあります。もしお酒の席で1人寂しそうにしている人がいたら、どうか次の言葉をかけてあげてください。
「お前、こっちこいや!こっちにきて俺らと話そうや!」
上に立てる人かどうかは結局、これを言えるか言えないかです。この発言1つに、人としての優しさ、懐の深さが見えます。これを言えるのが器の大きい人であり、出世する人なのです。
あなたが課長を目指すのであれば、こんなことを言う必要はありません。ですが社長を目指すのであれば、この手の気遣いは絶対に必要だと思うのです。
陰組は、声をかけてくれた人のことを一生忘れません。事実、僕もお酒の席で自分の輪に誘ってくれた人のことを、一生忘れません。なんとないことなのですが、こういったことがすごく印象に残るのです。
「お前、かっこつけんなよ!」
こういったくだらないことを言ってくる人がいたら、無視してください。そいつは残らない人材です。そいつに嫌われても、将来的にマイナスになることは何1つないですから。
もしくは、自分から陰組のほうに行ってあげるのもいいでしょう。陰組は、最初に座った場所から移動するのが苦手です。誰かにきてもらえたらメチャクチャ助かるのです。
「陰組は経験を積んで社交性を身につける。陽組は陰組に気遣いを見せる」
「便所飯」なんて価値観は、学生時代で終わりにしましょう。最終的に勝つ人は結局、浪花節が言える人なのですから。
陰組にとってのお酒の席はどれだけ苦痛か?の考察(携帯読者用)
「五月病」という言葉があります。新年度から1ヶ月が経過した5月という時期に、会社に行きたくなくなる精神病のことです。このブログをご覧の新社会人の中にも、五月病にかかっている人がいるかもしれません。
学生と社会人との1番の違いは、「イヤなことでもやらなければならない」ということでしょう。
学生のあいだは、イヤなことは避けて通れました。イヤな人とは付き合わなければよく、イヤなバイトならすぐにやめることができました。イヤな空間であれば、自分の好きなタイミングで帰ることもできました。
一方、社会人になると、それができません。好き嫌いにかかわらず、仕事としてやらなければならないことがたくさんあります。それが「お金をもらって働く」ということで、そのイヤなことに耐えられなくて、会社をやめる人があとを絶たないのです。
僕も社会人になったとき、学生生活との違いに戸惑いました。何回ため息をついたかわからないほどで、仕事の現場に行くのがイヤで仕方がなかったのです。
なかでも1番大変だったのが、いわゆる「飲み会」です。打ち上げや各種歓迎会など、その場にいることが苦痛で仕方がなかったのです。
なにしろ僕は、カクテルを2杯飲んだら限界の下戸です。お酒を楽しむことができず、人見知りもすごかったことから、自分から誰かに話しかけることができません。端の席で置物のようになっており、それはもう苦痛な時間だったのです。
それでも数をこなしたことで、お酒の席には慣れました。元来、人と話をするのは好きな性格なので、今では自分から積極的に話しかけられるようになりました。
ですが、決して楽しいわけではありません。気心の知れた友達と飲むならまだしも、仕事に関係したお酒は、付き合いで行かざるをえないから行っています。「好きか嫌いか」と言われたら嫌いで、行かなくてもいい飲み会であれば余裕で行かないのです。
もちろん、お酒が大好きだから誘いがあればいつでも行く、という人もいるでしょう。
ですが、今の時代は僕みたいなタイプが多いはず。1人で過ごす時間が好きで、人と交流するのが苦手な人が……。
お酒が飲めない、人見知りする、騒がしいのが苦手。
お酒の席で、この3つに該当する人を「陰組」と呼びます。一方、こういった陰の部分がなく、ノリノリでその場を楽しめる人を「陽組」と呼びます。
今回は、僕をはじめとする「陰組」の人たちが、どれだけ大変な思いでお酒の席を過ごしているかをご紹介したいと思います。
そこで今回は、「陰組にとってのお酒の席はどれだけ苦痛か?」の考察です。
一口にお酒の席といっても、いろいろとあります。仕事の打ち上げ、歓迎会、花見、送別会、懇親会、忘年会……。
どのお酒の席においても、その場にいる人たちは、以下の3つに分類されます。
・楽しんでいる人
・楽しんでいない人
・楽しんでいるフリをしている人
3つ目がポイントで、笑顔こそ浮かべるものの、腹の中では楽しんでいない人がたくさんいます。このタイプも陰組にほかならず、その場の空気を読んで、楽しんでいるフリをしているのです。
僕も盛り上がっているお酒の席で、ウェーブをやったりします。周りがやるからやらざるをえず、時には誰かに、「よっ!日本一!」とか言ったりします。ですが正直、相当無理して、こんなことをしています。本質は陰組なので、やってる自分が恥ずかしくて仕方がないのです。
お酒の席を楽しめる人は、性格の明るい人が多いです。逆に楽しめない人は内向的な人が多く、陰組は、カラオケを歌うのも苦手な人が多いです。目立つことを嫌い、要するに、体育会系のノリが苦手なのです。ガチャガチャとしていない、しっとりとした時間を過ごしたいんですね。
わかりやすい例を挙げると、陰組は、プロ野球で優勝したチームが行う、ビールかけのようなノリが苦手です。もしあの場にいたら、確実に楽しんでいるフリをするでしょう。
「おい、やめろよ!」
「やりやがったな!」
このようなことを言うものの、実は全然楽しんでいません。おもしろくもなんともなく、心の中では「早く終われよ、このノリ……」と思っているのです。
陰組の精神構造は薄暗く、陰組はお酒の席において、以下のようなやり方で時間を潰します。
・意味なく携帯電話をいじくる
・グラスに残った氷をなめる
・お腹がすいているわけでもないのに、テーブルに余っている大根サラダをちびちびと食べる
・空いたグラスを片づけるなどして、時間を稼ぐ
・たいして共感してないのに、誰かの話にひたすらうなづく
・ホッケを箸でもてあそぶ
このようなことをしながら時間を潰し、「早く帰りたい……」という思いに支配されているのです。
また、陰組はお酒の席で、以下のような寂しい思いをします。
・自分が観ていない映画の話を延々とされて、会話の輪に入っていけない
・遠くの席で楽しそうな話をしているけど、その輪の中に入っていく勇気がない
・自分の周りが盛り上がっていないと、自分のせいのように思えてくる
・恋愛経験が少ないので、恋愛の話になると口数が少なくなる
典型的な陰組である僕の後輩のA君なんて、その場の間を持たせるためだけに、タバコを吸い始めました。タバコを吸っていると、はたから見たら寂しそうに見えません。暇と戦う小道具として、タバコを無理に吸っているのです。
ですが、お酒の席が好きな人からしたら、陰組が気に入りません。陰組にも陰組なりの空気があるのに、その空気を読まないで、以下のような発言をしてきます。
①「おい!そこ、盛り上がってるか?」
陰組は、陰組同士で集まる傾向があります。おとなしいものの、陰組同士が集まれば、それなりに楽しい会話になるのです。
ですが陽組の中に、「そこ、盛り上がってるか?」と言って陰組の輪に入ってくる人がいます。陰組からしたら、「大声で話す=楽しい」ということではありません。これはある種のテロで、そいつの高いテンションについていけないのです。
陰組から言わせれば、お酒の席に盛り上げ役などいりません。よく、「宴会部長」と呼ばれる人がいてその場を盛り上げようとするのですが、陰組にとっては、宴会部長なんて迷惑なだけです。口にこそ出さないものの、陰組は全員、「もういいって、こいつ……」と思っています。一気コールとかされたところで、何もうれしくないのです。
②「お前、なんかしゃべれよ!」
陰組から言わせれば、この発言はケンカを売られています。口数の少ない陰組に話を強要してくるのですが、話すことがないから話さないのであって、「だったらお前が俺に話題を振ってこいよ!」という話なのです。
しゃべらなかったところで、誰かに迷惑をかけているわけではありません。なにより、純粋に食事を楽しんでいる人もいれば、ほかの人の話を聞いている聞き役の人もいます。「飲み会=口数が多い場所」とは考えていないので、いい迷惑なんですね。
しかも何が腹立つかって、これを言う人は、ちょっと怒っています。「ふざけんなよ、てめえ!」みたいなニュアンスが含まれており、陰組から言わせれば、それはこっちのセリフなのです。
お酒の席に、ワイワイと騒がなければならないルールなんてありません。口数が少ないのはその人の個性で、しゃべりの強要は一気の強要と同じなのです。
③「酒を飲まないなんて人生の楽しみを半分失ってるよ!」
下戸から言わせれば、飲めないものは飲めません。お酒のよさがまったくわからないので、こんなことを言われても意味がわかりません。髪の毛を半分失ってるような奴が平気な顔でこんなことを言ってくるので、何のこっちゃわからないのです。
人生の楽しみ方なんて、人それぞれです。「お前、生きてて何が楽しいんだよ?」みたいなことを言う奴までおり、こんなことを言われる筋合いはないんですね。
僕はその昔、グラスにビールを残していたら、陽組のオッサンに「乾杯とは、杯を乾かすと書くんだぞ!」と言われたことがあります。「だから何?」という話で、注意される意味がわからないのです。
④「飲めない奴とは腹を割って話せねえよ!」
生粋の飲ん兵衛は、この発言を必ずします。一気こそ強要しないものの、この発言は遠まわしに「飲め!」と言っています。そのプレッシャーに耐えられず、相手が目上の人だと、飲まざるをえないときがあるのです。
そもそも、酒の力を借りないと本音でしゃべれないような奴なんて、どうかと思いますよ。普段から部下と真剣な話ができる方法を模索しなければならず、よく考えたらかっこ悪いんですね、このセリフ。
しかもこのタイプの飲ん兵衛は、酔ってやってしまった醜態の自慢をする傾向があります。
「俺よ、こないだ気づいたら、マンションのゴミ捨て場で寝てたんだよね!」
「俺よ、ここ最近酔っ払いすぎて、ずっと記憶をなくしっぱなしだよ!」
この手の妙な自慢を連発し、ひどい場合、電車で寝てしまって乗り過ごした駅の数を自慢してくる奴がいます。「終点まで行ってもうたわ!」みたいなことを得意げに言ってくるのですが、下戸からしたら、何がすごいのかわかりません。謎の武勇伝なので、聞かされても感想に困るのです。
⑤「お前、そんな顔してて飲めねえのかよ!」
お酒が飲める飲めないに、見た目は関係ありません。なのに目がつり上がってるとか、体がでかいとかいう理由で文句を言ってくる人がいるのです。
そりゃね、ゴルゴ13みたいな奴が飲めないのならわかりますよ。ただ、ヤンキーみたいな顔してるから飲めると判断されても、下戸からしたら意味がわからないのです。
僕も割と筋肉質の体をしています。頻繁に「お前みたいな奴がなんで飲めえんだよ!」と言われ、僕の友達に「鬼塚」という名字の奴がいるのですが、その昔、「お前、そんな人殺してそうな名前しといて飲めねえのかよ!」と言われたのです。
こんなもん、ムチャクチャですよ。本人にはなんの罪もありません。中には半ギレで言ってくる人もいるので、どう返したらいいかわからないのです。
この5つの発言に見られるように、陽組は陰組に対して、上からしゃべりがちです。自分は勝ち組だと思っている節があり、しかも以下のような感情に支配されています。
「俺たちはみんなで楽しく盛り上がってるのに、お前だけ1人で寂しそうにしていて愉快だぜ!」
お酒の席は、社会の縮図です。その人を揶揄する人、寂しそうにしている様を見て心の中で楽しんでいる人、あからさまに無視する人……。陽組の中には人の不幸を楽しんでいる人がいて、「文句を言う」「無視する」という2つの行動で、自分の立場との差を見せつけたがるのです。
もちろん、陰組のほうにも問題はあります。社会通念上、変わらなければならないのは陰組のほうでしょう。こんなか細いメンタルでは、社会人としてやっていけませんから。
ただ、誰も手を差し伸べてあげないという環境が、五月病や早期退社を産む一因になっていると思うのです。お酒の席にかぎっていえば、その場を支配しているのは陽組に間違いありません。陽組のほうが意識して、陰組に手を差し伸べるべきなのです。
たとえば、お酒の席に着いて「全員、生中でいい?」と訊く人がいますが、この言い方をされたら、下戸は断りにくいです。座組みによっては、「すいません、僕、ビールはダメなんですよ」と言い出しにくい空気のときがあり、無理してビールを飲むはめになるのです。
「そんなもん、ビールは飲めませんって言ったらええやんけ!」
こうおっしゃる人がいるかもしれませんが、それができない人が世の中にはたくさんいます。経験を積めば言えるようになれるのですが、社会人なりたての若者だと、周りの顔色をうかがいすぎて言えないんですね。
「飲む人は飲む、食べる人は食べるで各自、好きなようにやってくれ!」
飲み会がこんな空気なら、全員が楽しめます。陽組が意図的にこの空気をつくってくれたら、陰組はその場に打ち解けやすくなるのです。
なにより、普段は陽組の人でも、一緒にいるメンバーによっては陰組になるときがあります。話す人がいなければ、1人でじっとしているしかありません。お酒の席はその場の人間関係がもろに出るので、自分を嫌っている人がその場に何人かいれば、陽組の人でさえ端っこで置物になってしまうのです。
僕は陰組ではあるものの、現在は陽組でもあります。たくさんの修羅場をくぐってきたことで、飲み会には慣れました。経験を積んだことで性格が明るくなり、それほど苦痛ではなくなったのです。
そこで陽組のみなさまに、お願いがあります。もしお酒の席で1人寂しそうにしている人がいたら、どうか次の言葉をかけてあげてください。
「お前、こっちこいや!こっちにきて俺らと話そうや!」
上に立てる人かどうかは結局、これを言えるか言えないかです。この発言1つに、人としての優しさ、懐の深さが見えます。これを言えるのが器の大きい人であり、出世する人なのです。
あなたが課長を目指すのであれば、こんなことを言う必要はありません。ですが社長を目指すのであれば、この手の気遣いは絶対に必要だと思うのです。
陰組は、声をかけてくれた人のことを一生忘れません。事実、僕もお酒の席で自分の輪に誘ってくれた人のことを、一生忘れません。なんとないことなのですが、こういったことがすごく印象に残るのです。
「お前、かっこつけんなよ!」
こういったくだらないことを言ってくる人がいたら、無視してください。そいつは残らない人材です。そいつに嫌われても、将来的にマイナスになることは何1つないですから。
もしくは、自分から陰組のほうに行ってあげるのもいいでしょう。陰組は、最初に座った場所から移動するのが苦手です。誰かにきてもらえたらメチャクチャ助かるのです。
「陰組は経験を積んで社交性を身につける。陽組は陰組に気遣いを見せる」
「便所飯」なんて価値観は、学生時代で終わりにしましょう。最終的に勝つ人は結局、浪花節が言える人なのですから。
心の防空壕をつくるべきではないか?の考察②(パソコン読者用)
最近、頻繁にバスに乗ります。
僕は以前までは、駅まで原付きに乗っていました。原付きが故障したことでバスを利用するようになり、それを機に、バスの魅力にどっぷりとはまっていったのです。
バスの車内に流れる時間は、非常に緩やかです。人は少なく、耳に入ってくる雑音はありません。車内が薄暗いことからも、ここだけが違う時間が流れているような気がするのです。
窓側の席に座って外の景色を眺めると、妙に落ち着きます。出勤前に頭を整理するにはもってこいで、駅についたころには、いつも気持ちがすっきりとしているのです。
帰りのバスでは、その日にあったことを振り返ります。その感覚で自分の街の景色を眺めると、ノスタルジーに浸れます。街全体が自分の背中を押してくれるような気がするのです。
市バスなので、料金はたかだか200円です。ラッシュ時さえ避ければ、いつでも格安で贅沢な時間を過ごすことができるんですね。
現代は、うつ病の患者が600万人いる、と言われる時代です。このバスのような「浸れる時間」が必要で、ストレス続きだと、いつ心が病んでもおかしくありません。
ご紹介したバス以外にも、田舎の森、夕暮れどきのバスのロータリー、真夜中のサービスエリア……。
こういった癒し空間に出向くことを、僕は「空間セラピー」と呼んでいます。
これは言うなれば、「心の防空壕」です。自分に合った癒し空間を見つけ出し、何かイヤなことがあれば、その防空壕に入って自分をリラックスさせるのです。
そこで今回は、「心の防空壕をつくるべきではないか?」の考察②です。
以下に、僕をリラックスさせてくれる防空壕をご紹介します。
①夜のミスタードーナツ
1人でお茶をすると気分が落ち着く、という人は多いでしょう。事実、カフェには1人客が多く、暇を潰している人だけではなく、1人で何か考えごとをしているタイプの人もたくさん見受けられます。
僕もよく、1人でミスタードーナツに行きます。甘いドーナツを食べながらあたたかいコーヒーを飲むと、気持ちがホッとします。まさにホットコーヒーで、店内には童心を思い出させるような、甘い匂いが充満しています。コストパフォーマンスが高いことからも、ミスタードーナツは庶民の楽園、と言えるでしょう。
席は真ん中ではなく、端がベストです。端っこのほうが気持ちが落ち着きますからね。店に入ったら、端の席を見つけてカバンを置いてから注文しに行くといいでしょう。
何かイヤなことがあったときには、閉店間際に行くことをオススメします。
夜の10時をまわったミスドの店内は、閑散としています。ウッディなつくりに闇が生え、窓ガラスに映る自分の顔を見ると、自らを客観的に見ることができます。人の少ないこの時間帯こそが、自分を省みるには最適なのです。
冬場は特に、店の中と外との差が浮き彫りにされます。木枯らしが吹く外とは対照的に、店内には暖房がきいています。あたたかいコーヒーをすすると、「あー、生きててよかった」と、心の底から安堵を噛み締めることができるのです。
1人で行くのは寂しい、と思われる方がいるかもしれません。ですが僕から言わせれば、お茶は1人でするべきです。恥ずかしいことなど何もありません、気持ちをリセットするために、夜のミスタードーナツに行きましょう。
②真夜中のネットカフェ
真夜中のネットカフェは、人が少ないです。シーンとした店内、薄暗い照明、鼻に届く微かなインクの匂い……。この空間そのものがヒーリングスポットで、僕も頻繁に利用しています。
個室に入ってパソコンの前に座ると、気持ちが落ち着きます。「自分の部屋がもらえる」という行為がどこかうれしく、フカフカのイスに背中を預けると、「ハア……」と思わず吐息がもれます。
部屋を出ると、そこにはたくさんの読みものがあります。ですが、マンガや雑誌を読む行為よりも、読みたいものを探しているときのほうが楽しいです。たくさんの中から選ぶ感じがどこかバイキングみたいで、妙にワクワクするんですね。
意味もなく、興味のない雑誌を手にするのも楽しいです。『日経トレンディー』や『男の隠れ家』といったマイナーな雑誌は、こんな機会じゃないと目にすることはありません。ダラダラと意味もなく時間を潰すのが楽しく、ムダを
味わうことこそが、ネットカフェの醍醐味なのです。
週末の夜に飲みすぎて終電を逃したときも、無理してタクシーで帰るのではなく、朝までネットカフェにいたほうがいいです。1人になって1週間を振り返れますからね。ナイトパックにすれば料金も1000円そこそこで済みますし、連休のスタートを切る場所としてはもってこいでしょう。
③早朝の神社
早朝の神社には誰もいません。朝特有の清々しさも相まって、極上の時間を過ごすことができます。
神社は、たくさんの木々に囲まれています。林を通過してくる風は、ろ過されたかのように不純物を含んでいません。純正の空気を吸い込むと、どことなく健康になった気がするのです。
同時に、朝の空気は、神聖な場所の静謐さを浮かび上がらせます。静まり返った神社に足を踏み入れると、不思議と心が静けさを取り戻します。心が座禅を組んでいるかのようで、ここの空気だけは、ほかとは一線を画しているのです。
「病は気から」といいますが、神社の空気を吸い込んでいると、「精神ガン」も治癒します。どんどん吸い込んでどんどん吐き出せば、精神をむしばんでいるガンが浄化されていくような気がするのです。
「俺は神様やけど、なんとかなるんと違うかな、その悩み」
空間全体が、こう語りかけてくるかのようです。神様に直接お祓いをしてもらった、と言えるかもしれません。
僕は不規則な生活をしています。朝の3、4時などザラに起きており、朝の散歩に頻繁に出かけます。散歩のフィニッシュは早朝の神社で、と決めているほどなのです。
④雨の日の車の中
車は、乗り回すだけのものではありません。本来は車内そのものが味わい深いもので、その味わい深さは、雨の日に顕著に現れます。
雨が降ってきたら、道端に車を停車させます。シートを倒して車に降り注ぐ雨の音を聞くと、次第に気持ちが落ち着いてきます。胃にズシーンと来ていたストレスも、雨の音を聞いているうちにやわらいでくるのです。
雨音は、一定のリズムを刻みます。そのリズム感が心地よく、シートに寝転びながら、窓越しに雨で濡れている人を眺めると、優越感に浸れて心が弾んできます。
ザザザザザ!ザザザザザザザ!
雨が強くなれば、車が大きな雨粒に叩きつけられます。豪胆に叩きつけられる感じがどこか気持ちを開き直らせ、ワイパーをつければ、雨を切るワイパーの音が心地いいです。車の中にいるだけで、あらゆる行為がプラスとして心に届くのです。
途中から、カーラジオをつけるのもいいでしょう。ステレオで、しっとりとしたバラードを流すのもいいでしょう。いつもとは聞こえ方がまるで違い、耳で聴くというよりも体全体で受け止めているような気がして、ワケもなく気持ちがウキウキしてくるのです。
猛スピードで走り続けても、得られるものは少ないです。車そのものを楽しむ意味でも、雨の日に、こういった粋な過ごし方をしてみるのもいいのではないでしょうか。
⑤ジュンク堂のイス
本に囲まれていると気持ちが落ち着く、という人は多いでしょう。僕も本屋が好きで、仕事の合間に、頻繁に足を運びます。
オススメなのが、ジュンク堂です。
ジュンク堂の店内レイアウトは、商いの色が薄いです。「売りまっせ!」という感じがせず、本を売っているというよりも、本を置いているという感じ。フロア全体がガチャガチャとしていないことから、「みなさん、ご自由に自分
の好きな本を選んでください!」という声が聞こえてくるかのようなのです。
また、座って読めるように、イスを置いてくれています。時間を潰すにはもってこいで、イスに座って膨大な本に囲まれていることを意識すると、気持ちが落ち着いてくるのです。
科学書や建築の本など、人の少ない場所に移動すれば、ますます落ち着きます。読みたい本を手に人の少ないところにあるイスに座れば、その空間を独り占めできます。ほどよいインクの匂いが鼻腔をくすぐり、自分が文学青年になったような錯覚に陥るのです。
やわらかい気持ちでフロアの棚全体を眺めたとき、こんなことを考えます。
「どんな悩みごとでも、この中の本のどこかに答えが隠されている」
精神の欠けたピースをはめてくれるのは、得てして文学であることが多いです。そのピースが目の前のどこかにあるような気がして、本屋という空間だけではなく、本そのものにも愛着が湧いてくるのです。
ジュンク堂は、本ではなく、文学を売っています。お客の心理に立脚した見事な空間なので、気持ちが沈んだときには、ぜひ、足を運んでみてください。
⑥スーパー銭湯の寝湯
お風呂は、鉄板の癒し空間です。特にスーパー銭湯は癒し効果が高く、僕はどんなに忙しくても、週に1度は足を運びます。
行ったらぜひ利用してほしいのが、寝湯です。
文字通り寝転べるお風呂のことで、お風呂といっても、半身浴なのでお湯は少ないです。お湯もぬるく、お湯の少ないタイプの寝湯だと、1時間ぐらいなら平気で浸かっていられるのです。
どこまでも続くかのようなポカポカ感が、体の隅々に、ゆるりと伝わってきます。効果のなくなったホッカイロを部分的に体に張られているようで、「体は死んでるけど魂だけが生きてますよ」みたいな、フワフワとした快感に満たされます。ヤクザですら寝湯の前では赤子同然で、背中に彫られた般若の目がぱっちり二重に見えるほどなのです。
小雨が降ってきたら、たまりません。ほどよくほてる体に冷たい雨が絡み合って、プリンに閉じ込められているような気がします。顔を撫でてくる冷たい雨がどこかやわらかく、自分を省みるには最高の環境なのです。
長時間浸かっても、その脱力感が、むしろ心地いいです。心の垢まで落ちた気がして、どんなイヤなことでも、なんだかうまくいきそうな気がしてくるのです。
僕はスーパー銭湯に行くと、いつも3時間はいます。楽しむのではなく、堪能する。体がだるくなったとしても、風呂上がりのビールがますますおいしくなる、と考えてお湯を楽しみましょう。
⑦家のベランダ
家の中にも、防空壕はあります。オススメなのがベランダで、こんな地味な空間でも、気持ちの持っていき方ひとつで防空壕になります。
朝に行けば、小鳥が鳴いています。薄汚いカラスが鳴いていたとしても、それはそれで非日常です。朝の空気がおいしいことからも、キャンプ用のイスにでも座って朝を味わえば、気持ちが落ち着いてきます。
お昼に行けば、ポカポカとあたたかいです。青い空、子供の嬌声、肌に届くぬくもり、プランターから放たれる植物の香り……。冷たい麦茶でも飲みながら時間を過ごせば、五感すべてがきらめきます。
とりわけ、陽の光を浴びるには、ベランダが1番です。干すのは、布団だけではありません。心を干すためにベランダに出向き、自然の光をダイレクトに浴びて、内部もろとも浄化させましょう。
夜は夜で、しっとりとしています。寝巻きの袖をまくって鉄柵に両手を預ければ、ヒンヤリとした鉄の質感が体を駆け抜けます。心の暗部と闇とがシンクロして、心が静まり返ってくるのが意識できます。
星や月を見ながらお酒を飲めば、気持ちが晴れます。たとえそれが一時のものであっても、前向きな気持ちで布団に入れます。プラス思考は貯金されるので、習慣にして心にプラスを植えつけていけば、この先弱い自分が顔を出したときに、ダメージが緩和されるのです。
部屋に閉じこもって考えごとをするぐらいなら、半分外に出られるベランダに行きましょう。ベランダは、1番身近な小惑星です。目に入る風景がなんとないものだったとしても、「能動的に癒されよう」という気持ちで眺めれば、見え方が格段に違ってきますから。
そして、最後。
この空間は僕が最近見つけた防空壕で、癒されるのはもちろんのこと、人生そのものを見つめ直すことができます。
⑧夜の空港
先日、友達の車でドライブしたとき、ふと、関西空港に寄りました。とりたてて用事はなかったのですが、何気に足を踏み入れた夜の空港が、そのドライブのメインになってしまったのです。
中に入ってロビーのイスに座ると、窓越しに外の景色が見えます。
フライトする真っ白な飛行機、闇を溶かすオレンジ色の照明、遠目に見える灰色の海……。
キレイというよりも「素敵」で、粋、かつ、オシャレに見えます。空間が着飾っているかのようなのです。
そのファッションに溶け込むかのように、空港の中には、白い人、黒い人、黄色い人がいます。たくさんの「色」がオシャレの一部分を担い、空港そのものがアートのようなのです。
同じ喫茶店に入るのでも、街の喫茶店よりも、空港の喫茶店に入るほうが楽しいです。実際にコーヒーを飲んだのですが、雰囲気が味の底上げをして、めちゃくちゃおいしく感じられました。
旅立つもの、帰国するもの。
空港で日々繰り広げられる人の往来は、人生そのものです。
そのことを意識したとき、心が穏やかになってきます。「いろいろあるけど明日もがんばって生きよう!」と、不思議と前向きな気持ちになれるのです。
屋上に出て空港を俯瞰で眺めたとき、僕はこう思いました。
「空港は強い」
誰が相手なのかはわかりませんが、強いんですよ、空港って。「空港ってどんなところ?」と訊かれたら、「強いところ」と答えてしまいそうなほど、プラスの空気に満ちています。マイナスで侵食された心には、なんとも心地いいのです。
これだけのことができて、費用は駐車場代のみ。変な遊園地に行くぐらいなら、夜の空港に行くほうがはるかに楽しく、そして癒されるのです。
小さな空港でも、夜の10時ぐらいまでなら営業しています。月に1度でもいいので、車をお持ちの方は、ぜひ、足を運んでみてください。
以上が、今回の考察です。
「時間を過ごすのではなく、味わう」
この視点を意識すれば、なんとない空間でも意味のあるものになります。意味のある空間で意味のある時間を過ごすことが、意味のある人格形成につながります。それが後の人生で岐路に立たされたときに、「新しい考え方」を産む下地となるのです。
寄り道をするなら、意味のある寄り道にしなければなりません。心の防空壕は、盾でもあり、矛です。この背理を両手に抱えて、明日への活力にしましょう。
こんな時代ですから、殺伐とした日常から避難したい人は多いでしょう。
彼ら彼女らは、カタルシスに飢えています。ある種の「カタルシス難民」で、気持ちをすっきりさせないことには、翌日からの仕事に立ち向かえません。
誰かに悩みを聞いてもらっても、最終的に結論を出すのは自分。「1人会議」をするためにも、何かイヤなことがあれば、心の防空壕に避難して自分を見つめ直しましょう。
心の防空壕をつくるべきではないか?の考察②(携帯読者用)
最近、頻繁にバスに乗ります。
僕は以前までは、駅まで原付きに乗っていました。原付きが故障したことでバスを利用するようになり、それを機に、バスの魅力にどっぷりとはまっていったのです。
バスの車内に流れる時間は、非常に緩やかです。人は少なく、耳に入ってくる雑音はありません。車内が薄暗いことからも、ここだけが違う時間が流れているような気がするのです。
窓側の席に座って外の景色を眺めると、妙に落ち着きます。出勤前に頭を整理するにはもってこいで、駅についたころには、いつも気持ちがすっきりとしているのです。
帰りのバスでは、その日にあったことを振り返ります。その感覚で自分の街の景色を眺めると、ノスタルジーに浸れます。街全体が自分の背中を押してくれるような気がするのです。
市バスなので、料金はたかだか200円です。ラッシュ時さえ避ければ、いつでも格安で贅沢な時間を過ごすことができるんですね。
現代は、うつ病の患者が600万人いる、と言われる時代です。このバスのような「浸れる時間」が必要で、ストレス続きだと、いつ心が病んでもおかしくありません。
ご紹介したバス以外にも、田舎の森、夕暮れどきのバスのロータリー、真夜中のサービスエリア……。
こういった癒し空間に出向くことを、僕は「空間セラピー」と呼んでいます。
これは言うなれば、「心の防空壕」です。自分に合った癒し空間を見つけ出し、何かイヤなことがあれば、その防空壕に入って自分をリラックスさせるのです。
そこで今回は、「心の防空壕をつくるべきではないか?」の考察②です。
以下に、僕をリラックスさせてくれる防空壕をご紹介します。
①夜のミスタードーナツ
1人でお茶をすると気分が落ち着く、という人は多いでしょう。事実、カフェには1人客が多く、暇を潰している人だけではなく、1人で何か考えごとをしているタイプの人もたくさん見受けられます。
僕もよく、1人でミスタードーナツに行きます。甘いドーナツを食べながらあたたかいコーヒーを飲むと、気持ちがホッとします。まさにホットコーヒーで、店内には童心を思い出させるような、甘い匂いが充満しています。コストパフォーマンスが高いことからも、ミスタードーナツは庶民の楽園、と言えるでしょう。
席は真ん中ではなく、端がベストです。端っこのほうが気持ちが落ち着きますからね。店に入ったら、端の席を見つけてカバンを置いてから注文しに行くといいでしょう。
何かイヤなことがあったときには、閉店間際に行くことをオススメします。
夜の10時をまわったミスドの店内は、閑散としています。ウッディなつくりに闇が生え、窓ガラスに映る自分の顔を見ると、自らを客観的に見ることができます。人の少ないこの時間帯こそが、自分を省みるには最適なのです。
冬場は特に、店の中と外との差が浮き彫りにされます。木枯らしが吹く外とは対照的に、店内には暖房がきいています。あたたかいコーヒーをすすると、「あー、生きててよかった」と、心の底から安堵を噛み締めることができるのです。
1人で行くのは寂しい、と思われる方がいるかもしれません。ですが僕から言わせれば、お茶は1人でするべきです。恥ずかしいことなど何もありません、気持ちをリセットするために、夜のミスタードーナツに行きましょう。
②真夜中のネットカフェ
真夜中のネットカフェは、人が少ないです。シーンとした店内、薄暗い照明、鼻に届く微かなインクの匂い……。この空間そのものがヒーリングスポットで、僕も頻繁に利用しています。
個室に入ってパソコンの前に座ると、気持ちが落ち着きます。「自分の部屋がもらえる」という行為がどこかうれしく、フカフカのイスに背中を預けると、「ハア……」と思わず吐息がもれます。
部屋を出ると、そこにはたくさんの読みものがあります。ですが、マンガや雑誌を読む行為よりも、読みたいものを探しているときのほうが楽しいです。たくさんの中から選ぶ感じがどこかバイキングみたいで、妙にワクワクするんですね。
意味もなく、興味のない雑誌を手にするのも楽しいです。『日経トレンディー』や『男の隠れ家』といったマイナーな雑誌は、こんな機会じゃないと目にすることはありません。ダラダラと意味もなく時間を潰すのが楽しく、ムダを味わうことこそが、ネットカフェの醍醐味なのです。
週末の夜に飲みすぎて終電を逃したときも、無理してタクシーで帰るのではなく、朝までネットカフェにいたほうがいいです。1人になって1週間を振り返れますからね。ナイトパックにすれば料金も1000円そこそこで済みますし、連休のスタートを切る場所としてはもってこいでしょう。
③早朝の神社
早朝の神社には誰もいません。朝特有の清々しさも相まって、極上の時間を過ごすことができます。
神社は、たくさんの木々に囲まれています。林を通過してくる風は、ろ過されたかのように不純物を含んでいません。純正の空気を吸い込むと、どことなく健康になった気がするのです。
同時に、朝の空気は、神聖な場所の静謐さを浮かび上がらせます。静まり返った神社に足を踏み入れると、不思議と心が静けさを取り戻します。心が座禅を組んでいるかのようで、ここの空気だけは、ほかとは一線を画しているのです。
「病は気から」といいますが、神社の空気を吸い込んでいると、「精神ガン」も治癒します。どんどん吸い込んでどんどん吐き出せば、精神をむしばんでいるガンが浄化されていくような気がするのです。
「俺は神様やけど、なんとかなるんと違うかな、その悩み」
空間全体が、こう語りかけてくるかのようです。神様に直接お祓いをしてもらった、と言えるかもしれません。
僕は不規則な生活をしています。朝の3、4時などザラに起きており、朝の散歩に頻繁に出かけます。散歩のフィニッシュは早朝の神社で、と決めているほどなのです。
④雨の日の車の中
車は、乗り回すだけのものではありません。本来は車内そのものが味わい深いもので、その味わい深さは、雨の日に顕著に現れます。
雨が降ってきたら、道端に車を停車させます。シートを倒して車に降り注ぐ雨の音を聞くと、次第に気持ちが落ち着いてきます。胃にズシーンと来ていたストレスも、雨の音を聞いているうちにやわらいでくるのです。
雨音は、一定のリズムを刻みます。そのリズム感が心地よく、シートに寝転びながら、窓越しに雨で濡れている人を眺めると、優越感に浸れて心が弾んできます。
ザザザザザ!ザザザザザザザ!
雨が強くなれば、車が大きな雨粒に叩きつけられます。豪胆に叩きつけられる感じがどこか気持ちを開き直らせ、ワイパーをつければ、雨を切るワイパーの音が心地いいです。車の中にいるだけで、あらゆる行為がプラスとして心に届くのです。
途中から、カーラジオをつけるのもいいでしょう。ステレオで、しっとりとしたバラードを流すのもいいでしょう。いつもとは聞こえ方がまるで違い、耳で聴くというよりも体全体で受け止めているような気がして、ワケもなく気持ちがウキウキしてくるのです。
猛スピードで走り続けても、得られるものは少ないです。車そのものを楽しむ意味でも、雨の日に、こういった粋な過ごし方をしてみるのもいいのではないでしょうか。
⑤ジュンク堂のイス
本に囲まれていると気持ちが落ち着く、という人は多いでしょう。僕も本屋が好きで、仕事の合間に、頻繁に足を運びます。
オススメなのが、ジュンク堂です。
ジュンク堂の店内レイアウトは、商いの色が薄いです。「売りまっせ!」という感じがせず、本を売っているというよりも、本を置いているという感じ。フロア全体がガチャガチャとしていないことから、「みなさん、ご自由に自分の好きな本を選んでください!」という声が聞こえてくるかのようなのです。
また、座って読めるように、イスを置いてくれています。時間を潰すにはもってこいで、イスに座って膨大な本に囲まれていることを意識すると、気持ちが落ち着いてくるのです。
科学書や建築の本など、人の少ない場所に移動すれば、ますます落ち着きます。読みたい本を手に人の少ないところにあるイスに座れば、その空間を独り占めできます。ほどよいインクの匂いが鼻腔をくすぐり、自分が文学青年になったような錯覚に陥るのです。
やわらかい気持ちでフロアの棚全体を眺めたとき、こんなことを考えます。
「どんな悩みごとでも、この中の本のどこかに答えが隠されている」
精神の欠けたピースをはめてくれるのは、得てして文学であることが多いです。そのピースが目の前のどこかにあるような気がして、本屋という空間だけではなく、本そのものにも愛着が湧いてくるのです。
ジュンク堂は、本ではなく、文学を売っています。お客の心理に立脚した見事な空間なので、気持ちが沈んだときには、ぜひ、足を運んでみてください。
⑥スーパー銭湯の寝湯
お風呂は、鉄板の癒し空間です。特にスーパー銭湯は癒し効果が高く、僕はどんなに忙しくても、週に1度は足を運びます。
行ったらぜひ利用してほしいのが、寝湯です。
文字通り寝転べるお風呂のことで、お風呂といっても、半身浴なのでお湯は少ないです。お湯もぬるく、お湯の少ないタイプの寝湯だと、1時間ぐらいなら平気で浸かっていられるのです。
どこまでも続くかのようなポカポカ感が、体の隅々に、ゆるりと伝わってきます。効果のなくなったホッカイロを部分的に体に張られているようで、「体は死んでるけど魂だけが生きてますよ」みたいな、フワフワとした快感に満たされます。ヤクザですら寝湯の前では赤子同然で、背中に彫られた般若の目がぱっちり二重に見えるほどなのです。
小雨が降ってきたら、たまりません。ほどよくほてる体に冷たい雨が絡み合って、プリンに閉じ込められているような気がします。顔を撫でてくる冷たい雨がどこかやわらかく、自分を省みるには最高の環境なのです。
長時間浸かっても、その脱力感が、むしろ心地いいです。心の垢まで落ちた気がして、どんなイヤなことでも、なんだかうまくいきそうな気がしてくるのです。
僕はスーパー銭湯に行くと、いつも3時間はいます。楽しむのではなく、堪能する。体がだるくなったとしても、風呂上がりのビールがますますおいしくなる、と考えてお湯を楽しみましょう。
⑦家のベランダ
家の中にも、防空壕はあります。オススメなのがベランダで、こんな地味な空間でも、気持ちの持っていき方ひとつで防空壕になります。
朝に行けば、小鳥が鳴いています。薄汚いカラスが鳴いていたとしても、それはそれで非日常です。朝の空気がおいしいことからも、キャンプ用のイスにでも座って朝を味わえば、気持ちが落ち着いてきます。
お昼に行けば、ポカポカとあたたかいです。青い空、子供の嬌声、肌に届くぬくもり、プランターから放たれる植物の香り……。冷たい麦茶でも飲みながら時間を過ごせば、五感すべてがきらめきます。
とりわけ、陽の光を浴びるには、ベランダが1番です。干すのは、布団だけではありません。心を干すためにベランダに出向き、自然の光をダイレクトに浴びて、内部もろとも浄化させましょう。
夜は夜で、しっとりとしています。寝巻きの袖をまくって鉄柵に両手を預ければ、ヒンヤリとした鉄の質感が体を駆け抜けます。心の暗部と闇とがシンクロして、心が静まり返ってくるのが意識できます。
星や月を見ながらお酒を飲めば、気持ちが晴れます。たとえそれが一時のものであっても、前向きな気持ちで布団に入れます。プラス思考は貯金されるので、習慣にして心にプラスを植えつけていけば、この先弱い自分が顔を出したときに、ダメージが緩和されるのです。
部屋に閉じこもって考えごとをするぐらいなら、半分外に出られるベランダに行きましょう。ベランダは、1番身近な小惑星です。目に入る風景がなんとないものだったとしても、「能動的に癒されよう」という気持ちで眺めれば、見え方が格段に違ってきますから。
そして、最後。
この空間は僕が最近見つけた防空壕で、癒されるのはもちろんのこと、人生そのものを見つめ直すことができます。
⑧夜の空港
先日、友達の車でドライブしたとき、ふと、関西空港に寄りました。とりたてて用事はなかったのですが、何気に足を踏み入れた夜の空港が、そのドライブのメインになってしまったのです。
中に入ってロビーのイスに座ると、窓越しに外の景色が見えます。
フライトする真っ白な飛行機、闇を溶かすオレンジ色の照明、遠目に見える灰色の海……。
キレイというよりも「素敵」で、粋、かつ、オシャレに見えます。空間が着飾っているかのようなのです。
そのファッションに溶け込むかのように、空港の中には、白い人、黒い人、黄色い人がいます。たくさんの「色」がオシャレの一部分を担い、空港そのものがアートのようなのです。
同じ喫茶店に入るのでも、街の喫茶店よりも、空港の喫茶店に入るほうが楽しいです。実際にコーヒーを飲んだのですが、雰囲気が味の底上げをして、めちゃくちゃおいしく感じられました。
旅立つもの、帰国するもの。
空港で日々繰り広げられる人の往来は、人生そのものです。
そのことを意識したとき、心が穏やかになってきます。「いろいろあるけど明日もがんばって生きよう!」と、不思議と前向きな気持ちになれるのです。
屋上に出て空港を俯瞰で眺めたとき、僕はこう思いました。
「空港は強い」
誰が相手なのかはわかりませんが、強いんですよ、空港って。「空港ってどんなところ?」と訊かれたら、「強いところ」と答えてしまいそうなほど、プラスの空気に満ちています。マイナスで侵食された心には、なんとも心地いいのです。
これだけのことができて、費用は駐車場代のみ。変な遊園地に行くぐらいなら、夜の空港に行くほうがはるかに楽しく、そして癒されるのです。
小さな空港でも、夜の10時ぐらいまでなら営業しています。月に1度でもいいので、車をお持ちの方は、ぜひ、足を運んでみてください。
以上が、今回の考察です。
「時間を過ごすのではなく、味わう」
この視点を意識すれば、なんとない空間でも意味のあるものになります。意味のある空間で意味のある時間を過ごすことが、意味のある人格形成につながります。それが後の人生で岐路に立たされたときに、「新しい考え方」を産む下地となるのです。
寄り道をするなら、意味のある寄り道にしなければなりません。心の防空壕は、盾でもあり、矛です。この背理を両手に抱えて、明日への活力にしましょう。
こんな時代ですから、殺伐とした日常から避難したい人は多いでしょう。
彼ら彼女らは、カタルシスに飢えています。ある種の「カタルシス難民」で、気持ちをすっきりさせないことには、翌日からの仕事に立ち向かえません。
誰かに悩みを聞いてもらっても、最終的に結論を出すのは自分。「1人会議」をするためにも、何かイヤなことがあれば、心の防空壕に避難して自分を見つめ直しましょう。
それ、言ってどうするのか?の考察②(パソコン読者用)
3ヶ月ほど前のことです。
仕事の打ち上げの席で、僕は1人の男性と親しくなりました。
彼は競馬が大好きらしく、僕も競馬が好きです。お酒を飲みながら競馬の話題で盛り上がり、去り際に、彼が僕にこう言いました。
「いつでも暇してるから誘ってね!」
その日から2週間ほどたったある日、僕は彼に電話をしました。
「~さん、今週の日曜日、競馬場に行きませんか?」
「ごめん、今週の日曜日はダメやねん」
仕事が入っているらしく、事情が事情なので仕方がありません。僕はあきらめることにし、1ヶ月ほどしてから、彼に再び連絡を入れました。
「~さん、今週の日曜日、競馬場に行きませんか?」
「ごめん、今週の日曜日も仕事やねん」
「そうですか。じゃあ来月にしましょか?」
「ごめん、来月の土日は全部仕事やねん」
いつ暇やねん、お前!「いつでも暇してるから!」って言うから誘ったったのにいつ暇やねん!
「平日もずっと残業でさ……」
人よりも忙しいやんけ!普通の奴よりもはるかに忙しいやんけ!
「……そうですか。じゃあ、またの機会にしましょうか」
「ごめんな、また誘ってや」
「わかりました」
「いつでも暇してるから!」
シフト出せ、もう!いついけるかシフト出せ!毎月俺の家にFAX送ってこい!
このように、この人は忙しいです。自分から「いつでも暇してるから誘ってね!」と言ったくせに、超過密スケジュールでまったく時間が取れないのです。
もちろん、「いつでも暇してるから誘ってね!」という言葉は、社交辞令です。それはこちらもわかっているのですが、忙しい人がこれを言うのは違う、と思うのです。「また飲みにいこうや!」ぐらいの社交辞令ならすっと流せるものの、「いつでも暇してる」と言われたら、こちらはさすがに忙しいとは思わないんですね。
世の中には、「それ、言ってどうするの?」と思わずにはいられない、謎のフレーズが存在します。諸所の理由で口にする人がいるものの、言われたほうからすれば正直、迷惑なのです。
そこで今回は、「それ、言ってどうするのか?」の考察②です。
以下、誰もが1度は聞いたであろう、「それ言ってどうするのかフレーズ」をご紹介します。
①「今年の夏は何もなかったな……」
これは、典型的な「それ言ってどうするのかフレーズ」です。
なにしろこれ、8月の終わりに毎年聞くんですよ。喫茶店などに複数人が集まると、誰かが必ず口にするのです。
言ってどうすんねん、そんなこと!言ったところで何があんねん!
「俺もや」
「俺も」
「俺なんて墓参りにも行ってないで」
イベントと違うわ、墓参り!「プールにも行ってないで」みたいな言い方で言うなよ!
「それより、香川にうどん食いに行くって約束、どうなったん?」
これもよう聞くぞ、おい!夏の序盤で誰かが口にするけど絶対に果たされへんねん、この約束!「誰が車を出すか」でもめてグダグダなんねん、この計画!
しかも何が意味わからないかって、そこそこあったんですよ、楽しいこと。学生時代の友達と飲みに行ったり、ドライブに行ったりと、普通に楽しいことを経験しています。「旅行」「海」「お祭り」「バーベキュー」の4つを経験していなければこのセリフを言う節があり、「何もなかった」というのは少し違うんですね。
夏場には、謎のフレーズが多いです。ほかにも毎年、「今年の夏は水不足らしいで」と言ってくる奴がいるのです。
誰に聞いてん、そんなこと!毎年これ聞くけど情報源はどこなん!?
「カラカラらしいで」
おおげさやねん!カラカラなわけあるか、お前!ババアのアソコやないねんからな!
「このままいったら、琵琶湖の水がなくなるらしいで」
なくなるか!さすがに国も動くわ、そんな状況やったら!仕事増えすぎて、さすがの枝野も「もうイヤ、この国!そろそろ二郎ラーメンが食いたい!」とか言うわ!
夏の暑さにやられたのか、夏場にはおかしなフレーズがたくさん飛び交います。自分が当事者にならないよう、くれぐれも注意しましょう。
②「てめえ、俺の酒が飲めねえって言うのかよ?」
お酒の席で、空いたグラスにビールを注いでくれる人がいます。
ですが、中にはもう、飲めない人がいます。断ると、「てめえ、俺の酒が飲めねえって言うのかよ?」と、半ギレで妙な質問をしてくるのです。
なんでキレてんねん、お前!もう飲まれへんって言うてるやろ!
しかも、「俺の酒」の意味がわかりません。そいつがその場の支払いの全額を出す、もしくは自分のお金でキープしてるボトルのお酒を注ぐのならわかるものの、割り勘で飲んでるときにすらこんなことを言いやがるのです。
なんでお前の酒やねん、これ!割り勘やねんから俺の酒でもあるやろ!
「なんで俺の酒が飲めねえんだよ?」
だからお前の酒じゃないねん!手で持っただけで自分のもんになるんやったら俺、手当たり次第オッパイ触っていくわ!全パイを「俺のオッパイ」にしていくわ!
それでも勢いに負けて、「すいません、じゃあ入れてください」と言ってしまうことがあります。ですがそう言ったら言ったで、「冗談やがな!」と返してくる奴がいるのです。
なんの冗談やねん、それ!笑うところなんて1つもないわ!
「冗談、冗談!マイケルジョーダン!」
おまわりさん、すごいこと言う奴がいます!野放しにしたら危険なんですぐにワッパかけてください!
お酒の席では、謎のフレーズが頻繁に飛び交います。たとえば、生ビールに口をつけたあとに「ぷは~!」って言う人がいるのですが、これ何なんですかね?この謎の擬音を言ったところで何があるんですかね?
なんやねん、ぷは~って!言ってどうすんねん、そんなこと!
「ぷは~!」
「ぷは~!」
「あ~!ぷは~!」
静かにせいや、お前ら!ていうか、「あ~!」のあとに言う「ぷは~!」はなんやねん!「あ~!」でもう充分やろ!無理矢理言ってるやんけ、もう!
「ぷは~!生き返った!」
ミイラか!白木屋じゃなくて「死露鬼屋」か、ここ!
「ぷは~!この1杯のために生きてるわ、俺!」
何が楽しいねん、お前の人生!奴隷でももうちょっと夢あるぞ!もっと大志を抱けよ、クラーク博士に怒られるぞ!
この手のフレーズは、オッサンに多いです。迷惑極まりないので、身に覚えのある方はご注意ください。
③「SとM、どっち?」
これは、しょっちゅう聞きます。知り合った人に、サドかマゾかを訊いてくるのですが、よく考えてください、これ、完全な下ネタですよ。「夜は攻めたい側ですか、攻められたい側ですか?」と訊いてるのと同じなのに、かわいい顔した女性が平気な顔で訊いてくるのです。
お前、なんで人前で性癖暴露しないとあかんねん!その質問がすでにSやぞ!
また、訊かれたほうも訊かれたほうで、以下のようなワケのわからない答え方をします。
「Sでもあるし、Mでもある」
意味わからん!女王様も対応に困るわ、お前みたいな奴!あいだ取ってやわらかめのムチでしばいてくるわ!
「基本的にMだけど、日によってはS」
どういうことやねん!マクドのポテト頼んでんのか、お前!「ダイエット中やから今日はSサイズにしておこう!」とかそういうことか!?
「隠れMです」
忍者か!隠れる意味がわからん!なんで敵に首絞められながらすいとんの術しないとあかんねん!
「どっちに見える?」
訊いてどうすんねん、そんなこと!何がうれしいねん、そんなこと人に言わして!「いくつに見える?」とかやったらわかるけど、SかMかを人に言わして何がうれしいねん!
コンパに行くと、必ずといっていいほど、この手の話になります。僕も以前コンパに行ったとき、この話になりました。順番にSかMかを答えていくことになり、僕が答える前に1人の女性が、「バスコさんって、病的なドSっぽい
ですね」って言ったんですよ。
どう見えてんねん、俺!マジでどう見えてんの!?手にハガネのムチとか持ってる、俺!?
「いや、こういうタイプがむしろMやねんって!」
それもようわからん!俺の隣の奴、ちょっとこいつらに文句言ったってくれ!?
「ぷは~!」
ビール飲んでた!生き返ってた!
「ぷは~!たまらん!」
お前がMやんけ!ノド刺激されてたまらんとか言う奴、完全にMやんけ!「麦芽流し攻め」やんけ、それ!
僕は下ネタは好きですが、初対面の人に平気でこんなことを訊く風潮に、少し違和感を感じます。中には顔を赤くする人もいるでしょうから、誰にでもガツガツ訊くのはやめるべきでしょう。
④「(指輪をはめた指を見せて)どう?」
指輪を買う際、指輪をはめた指を、彼氏に見せてくる女性がいます。僕も過去、指輪を買ってあげた彼女に「どう?」と訊かれたことがあります。
ですが、服ならまだしも、指輪をはめた指を見せられたところで、似合うもクソもありません。服であれば、顔やスタイルに応じて意見が出せるものの、指なんて全員、同じような指をしています。何がどうなったら似合っていることになるのかがわからないのです。
意味わからん!「どう?」とか訊かれても答えようあるか、そんなもん!
「た~くん、どう?」
答えようないねん、だから!た~くんも困っとるわ!
「超似合う~!」
やかましいわ!どうせお前、彼女をおだてて今晩のベッドインを濃くしたいだけやろ!新しい体位を試したいんやろ!
それでも、た~くんのように女性の気持ちを考えて、何かコメントしなければなりません。僕みたいなことを言う奴は女心がわかっておらず、女性に失礼を与えるわけにはいきません。なんとなくで「似合ってるな!」と口にするのですが、中には指輪だけではなく、店に売ってあるカバンを肩にかけて「どう?」と訊いてくる女性がいるのです。
知らんがな、そんなもん!カバンが似合ってるかどうかなんてわかるわけあるか!
「た~くん、どう?」
わからんねん、だから!なあ、た~くん!?
「グッジョブ!」
やかましいわ!そもそもグッジョブってなんやねん!そんなこと言うお前が1番問題やわ!
ファッションというのは、身につけるもの全体を考えてコーディネートするのが常です。「その日にどんな服を着るか」で、そのモノが似合うかどうかが如実に変わってきます。帽子や靴ならまだしも、ちょっとした小物で感想を訊くのは、その質問自体がナンセンスでしょう。
⑤「邦楽派?洋楽派?」
これも、年に何回か聞きます。どんな音楽が好きかを、邦楽と洋楽の2択にして質問してくるのです。
訊いてどうすんねん、そんなこと!そんな広い訊き方しといてどう会話が広がんねん!
「う~ん。邦楽が多いけど洋楽も聴く」
「だよね。なんだかんだでジャパニーズポップだよね」
ジャパニーズポップってなんやねん!なんやねん、ジャパニーズポップって!なんでも横文字にしたらイケてると思うな!
しかもこれ、訊かれたほうは必ず、「う~ん」って言います。なぜか「う~ん」と、悩ましげな態度を見せてくるのです。
すっと答えろや、お前も!なんやねんう~んって!
「うどん派?そば派?」
「う~ん。うどんも好きだけど、どちらかと言えばそば」
どっちでもええわ!全然興味ないわ、お前がどっち好きかなんて!
そもそも、派閥に分ける意味がわかりません。「分けたところでどうなん?」という話で、その派閥分けに対して、両方好きな人がほとんどです。どちらか1つを選ぶのが難しい質問なので、訊く意味がわからないんですね。
僕の知り合いに、このタイプの話し方をしてくる女性がいます。何かにつけて派閥を聞きだそうとし、「邦楽派?洋楽派?」「うどん派?そば派?」はもちろん、僕に一度、「回転寿司派?座り寿司派?」って訊いたんですよ。
そんな派閥ないわ!そのときの懐具合によって決まるわ、そんなもん!
「回転?座り?」
ストリップか!回転と座りって、ストリッパーの体の動かし方やんけ!ていうかその前に「座り寿司」ってなんやねん!回転寿司も座るやろ!
「僕は回転寿司派です」
「スシロー派?くら寿司派?」
そこも派閥あんの!?まだ続くの、派閥分け!?
「くら寿司派です」
「くら寿司か。くら寿司で、うどん食べる派?食べない派?」
いつ終わんねん、これ!マジでいつ終わんの、この妙な派閥分け!?このままいったら「レーンは右回り派?左回り派?」とか訊かれそうやんけ!
「食べる派です!」
「食べる派か。七味は入れ……」
入れる派や!七味も入れるし、風俗では指2本入れる派やって何言わすねん、お前!関係あらへんやんけ!
妙な派閥分けは、相手を混乱させるだけです。会話も広がりにくいので、質問する意味がないでしょう。
⑥「少し見ないあいだに、いいお嬢さんになりはって!」
この発言は、ババアが頻繁に言います。その人の小さい頃を知っており、その人と久し振りに会ったときに言うセリフで、みなさまも言われたことがあるでしょう。
ですがこれ、ババアは適当に言ってますよ。適当もいいところで、相手を選ばず、久し振りに会った奴全員に無差別に言ってます。「これさえ言っておけばなんとかなるやろ!」とばかりに、相手の見た目の変化も無視して、「いいお嬢さんになりはって!」「いいお兄さんになりはって!」などと適当に言ってきやがるのです。
ババア、ちょっとは考えてしゃべれよ!中にはあきらかにあかん方向に成長してる奴もおるんやぞ!マイケルジャクソンみたいな奴もおんねん!
「肌もキレイになりはって!」
適当やろ、お前!相手の子供の頃の肌質なんて覚えてるわけないやろ!マイケルジャクソンなみの肌の変化があったらさすがに言うやろうけどよ!
しかも何がおかしいかって、少し見ないあいだに、ババアのほうがだいぶ変わってます。人間の60を過ぎてからの衰えるスピードはすごく、自分のほうが変化がすごいのに、それを差し置いて驚いてきやがるのです。
お前が1番変化しとんねん!バナナみたいな朽ち方しとるわ、お前!
「人って、本当に変わるもんやね!」
お前もや!お前が1番変わっとんねん!縮みすぎて気化寸前やぞ、お前!
7年ほど前の夏のことです。
僕の地元のデパートで、僕が中学生のときに僕の近所に住んでいたババアと、僕は再会しました。そのババアは80歳近くになっており、僕が僕の母親と買物をしていると、ババアのほうが僕らに気づいてやってきたのです。
「少し見ないあいだに、いいお兄さんになりはって!」
ババアはこう言って、僕のホッペタを両手で触ってきました。
僕は恥ずかしいです。それでもせっかく再会したので我慢していたのですが、僕のホッペタを両手でさすり始めるやいなや、めちゃくちゃでかい声で「ヒゲ、固っ!」って言ったんですよ。
何言ってんねん、お前!無断で人の顔に触っといて何を勝手なこと言ってくれとんねん!
「砂鉄とかつけてない?」
つけてるか、そんなもん!なんのメリットあんねん、それ!顔に砂鉄つけるオシャレってなんやねん!
僕らの近くには、たい焼き屋があります。3人で食べることになり、たい焼きに+50円でソフトドリンクがつきます。僕と僕の母親はアイスティーを頼んだのですが、店員にドリンクを訊かれたこのババアが、めちゃくちゃ低い声で「ペプシー」って言ったんですよ。
なんでやねん、お前!なんでババアがコーラやねん!ババアとしての一線を越えんなよ!
「ぷは~!」
また出た、ぷは~!コーラでも言う奴がおった!
「生き返る!」
リアルミイラが言った!めちゃくちゃ説得力あるやんけ!
高齢だけに、ババアは頻繁にワケのわからないことを言います。それがおもしろく、同時にどこか微笑ましいので、みなさまも一度、じっくりと観察してみてください。
そして、最後。これだけは、本当の本当に意味がわかりません。
⑦「それではみなさま、来たる選挙に勝利するため、かけ声のほうをよろしくお願いします!がんばろー!」「がんばろー!」「がんばろー!」「がんばろー!」「がんばろー!」「がんばろー!」
なんやねん、これ!言ってどうすんねん、そんなこと!
「がんばろー!!!」
やかましいわ!家でやれ、そんなこと!
「がんばりましょうね!」
「がんばりましょう!」
「がんばりましょうね!」
「がんばりましょう!」
それしか言えんのか、お前ら!ていうか選挙はがんばらんでええから、当選してから国会でがんばってくれよ!
「俺はまた国会に戻ってくるぞ!!!」
知らんがな、そんなもん!声に出して言うなよ、そんなこと!国民からしたらお前が当選するとか興味ないねん!
選挙の際、政治家が党の集会場に集まります。その場に集まった全員で「がんばろー!」と気勢をあげるのですが、こんなことを叫ぶ意味がわかりません。「知らんがな!」という話で、こんな心の声を叫んだところでどうにもならないんですね。
ですが、本人たちは真剣そのものです。直立不動で腰に手を当て、真剣な顔で拳を突き上げるのですが、いかんせん、年寄りの集まりです。高齢のため体がプルプルと震えている政治家がいて、拳を突き上げるスピードが遅いです。1回分遅れており、3回拳を突き上げるのが常なのに、1周遅れで2回で終えるジジイがいるのです。
引退せいや、お前!いつ死ぬかわからんような奴が立候補すんなよ!
「がんばろう……」
声ちっちゃ!まず生きながらえることにがんばれよ、お前は!
中には気合いが入りすぎて、ハチマキをしている政治家もいます。「必勝」「勝利」などと書かれたハチマキをするのが常なのに、興奮しすぎて冷静さを失っているのでしょう。前回の総選挙のとき、自民党のTという政治家がつけているハチマキに、「闘魂」って書いてあったんですよ。
猪木か、お前!ていうか猪木は落ちたやろ、選挙!めちゃくちゃ縁起悪いやんけ!
選挙に当選したあかつきには、バンザイ三唱をします。ですがこれも、国民からしたら知ったことではありません。どこかのん気な気がして、「こんな奴に国を任せて大丈夫なのか……」と不安になってくるのです。
政治家というのは、「国民の目にどう映るか?」を常に意識しなければなりません。型通りの儀式や言葉はうんざりするだけなので、ご紹介したようなことは、すぐにでもやめるべきでしょう。
以上が、今回の考察です。
「それ言ってどうするのかフレーズ」は、積もり積もると嫌われます。
もちろん、そんなことを気にしていたら、会話などできません。ですが、言わないにこしたことがないことは避けるべきでしょう。
ちなみに余談ですが、③のSとMのくだりであんな言い方をしたものの、僕はドSです。
それ、言ってどうするのか?の考察②(携帯読者用)
3ヶ月ほど前のことです。
仕事の打ち上げの席で、僕は1人の男性と親しくなりました。
彼は競馬が大好きらしく、僕も競馬が好きです。お酒を飲みながら競馬の話題で盛り上がり、去り際に、彼が僕にこう言いました。
「いつでも暇してるから誘ってね!」
その日から2週間ほどたったある日、僕は彼に電話をしました。
「~さん、今週の日曜日、競馬場に行きませんか?」
「ごめん、今週の日曜日はダメやねん」
仕事が入っているらしく、事情が事情なので仕方がありません。僕はあきらめることにし、1ヶ月ほどしてから、彼に再び連絡を入れました。
「~さん、今週の日曜日、競馬場に行きませんか?」
「ごめん、今週の日曜日も仕事やねん」
「そうですか。じゃあ来月にしましょか?」
「ごめん、来月の土日は全部仕事やねん」
いつ暇やねん、お前!「いつでも暇してるから!」って言うから誘ったったのにいつ暇やねん!
「平日もずっと残業でさ……」
人よりも忙しいやんけ!普通の奴よりもはるかに忙しいやんけ!
「……そうですか。じゃあ、またの機会にしましょうか」
「ごめんな、また誘ってや」
「わかりました」
「いつでも暇してるから!」
シフト出せ、もう!いついけるかシフト出せ!毎月俺の家にFAX送ってこい!
このように、この人は忙しいです。自分から「いつでも暇してるから誘ってね!」と言ったくせに、超過密スケジュールでまったく時間が取れないのです。
もちろん、「いつでも暇してるから誘ってね!」という言葉は、社交辞令です。それはこちらもわかっているのですが、忙しい人がこれを言うのは違う、と思うのです。「また飲みにいこうや!」ぐらいの社交辞令ならすっと流せるものの、「いつでも暇してる」と言われたら、こちらはさすがに忙しいとは思わないんですね。
世の中には、「それ、言ってどうするの?」と思わずにはいられない、謎のフレーズが存在します。諸所の理由で口にする人がいるものの、言われたほうからすれば正直、迷惑なのです。
そこで今回は、「それ、言ってどうするのか?」の考察②です。
以下、誰もが1度は聞いたであろう、「それ言ってどうするのかフレーズ」をご紹介します。
①「今年の夏は何もなかったな……」
これは、典型的な「それ言ってどうするのかフレーズ」です。
なにしろこれ、8月の終わりに毎年聞くんですよ。喫茶店などに複数人が集まると、誰かが必ず口にするのです。
言ってどうすんねん、そんなこと!言ったところで何があんねん!
「俺もや」
「俺も」
「俺なんて墓参りにも行ってないで」
イベントと違うわ、墓参り!「プールにも行ってないで」みたいな言い方で言うなよ!
「それより、香川にうどん食いに行くって約束、どうなったん?」
これもよう聞くぞ、おい!夏の序盤で誰かが口にするけど絶対に果たされへんねん、この約束!「誰が車を出すか」でもめてグダグダなんねん、この計画!
しかも何が意味わからないかって、そこそこあったんですよ、楽しいこと。学生時代の友達と飲みに行ったり、ドライブに行ったりと、普通に楽しいことを経験しています。「旅行」「海」「お祭り」「バーベキュー」の4つを経験していなければこのセリフを言う節があり、「何もなかった」というのは少し違うんですね。
夏場には、謎のフレーズが多いです。ほかにも毎年、「今年の夏は水不足らしいで」と言ってくる奴がいるのです。
誰に聞いてん、そんなこと!毎年これ聞くけど情報源はどこなん!?
「カラカラらしいで」
おおげさやねん!カラカラなわけあるか、お前!ババアのアソコやないねんからな!
「このままいったら、琵琶湖の水がなくなるらしいで」
なくなるか!さすがに国も動くわ、そんな状況やったら!仕事増えすぎて、さすがの枝野も「もうイヤ、この国!そろそろ二郎ラーメンが食いたい!」とか言うわ!
夏の暑さにやられたのか、夏場にはおかしなフレーズがたくさん飛び交います。自分が当事者にならないよう、くれぐれも注意しましょう。
②「てめえ、俺の酒が飲めねえって言うのかよ?」
お酒の席で、空いたグラスにビールを注いでくれる人がいます。
ですが、中にはもう、飲めない人がいます。断ると、「てめえ、俺の酒が飲めねえって言うのかよ?」と、半ギレで妙な質問をしてくるのです。
なんでキレてんねん、お前!もう飲まれへんって言うてるやろ!
しかも、「俺の酒」の意味がわかりません。そいつがその場の支払いの全額を出す、もしくは自分のお金でキープしてるボトルのお酒を注ぐのならわかるものの、割り勘で飲んでるときにすらこんなことを言いやがるのです。
なんでお前の酒やねん、これ!割り勘やねんから俺の酒でもあるやろ!
「なんで俺の酒が飲めねえんだよ?」
だからお前の酒じゃないねん!手で持っただけで自分のもんになるんやったら俺、手当たり次第オッパイ触っていくわ!全パイを「俺のオッパイ」にしていくわ!
それでも勢いに負けて、「すいません、じゃあ入れてください」と言ってしまうことがあります。ですがそう言ったら言ったで、「冗談やがな!」と返してくる奴がいるのです。
なんの冗談やねん、それ!笑うところなんて1つもないわ!
「冗談、冗談!マイケルジョーダン!」
おまわりさん、すごいこと言う奴がいます!野放しにしたら危険なんですぐにワッパかけてください!
お酒の席では、謎のフレーズが頻繁に飛び交います。たとえば、生ビールに口をつけたあとに「ぷは~!」って言う人がいるのですが、これ何なんですかね?この謎の擬音を言ったところで何があるんですかね?
なんやねん、ぷは~って!言ってどうすんねん、そんなこと!
「ぷは~!」
「ぷは~!」
「あ~!ぷは~!」
静かにせいや、お前ら!ていうか、「あ~!」のあとに言う「ぷは~!」はなんやねん!「あ~!」でもう充分やろ!無理矢理言ってるやんけ、もう!
「ぷは~!生き返った!」
ミイラか!白木屋じゃなくて「死露鬼屋」か、ここ!
「ぷは~!この1杯のために生きてるわ、俺!」
何が楽しいねん、お前の人生!奴隷でももうちょっと夢あるぞ!もっと大志を抱けよ、クラーク博士に怒られるぞ!
この手のフレーズは、オッサンに多いです。迷惑極まりないので、身に覚えのある方はご注意ください。
③「SとM、どっち?」
これは、しょっちゅう聞きます。知り合った人に、サドかマゾかを訊いてくるのですが、よく考えてください、これ、完全な下ネタですよ。「夜は攻めたい側ですか、攻められたい側ですか?」と訊いてるのと同じなのに、かわいい顔した女性が平気な顔で訊いてくるのです。
お前、なんで人前で性癖暴露しないとあかんねん!その質問がすでにSやぞ!
また、訊かれたほうも訊かれたほうで、以下のようなワケのわからない答え方をします。
「Sでもあるし、Mでもある」
意味わからん!女王様も対応に困るわ、お前みたいな奴!あいだ取ってやわらかめのムチでしばいてくるわ!
「基本的にMだけど、日によってはS」
どういうことやねん!マクドのポテト頼んでんのか、お前!「ダイエット中やから今日はSサイズにしておこう!」とかそういうことか!?
「隠れMです」
忍者か!隠れる意味がわからん!なんで敵に首絞められながらすいとんの術しないとあかんねん!
「どっちに見える?」
訊いてどうすんねん、そんなこと!何がうれしいねん、そんなこと人に言わして!「いくつに見える?」とかやったらわかるけど、SかMかを人に言わして何がうれしいねん!
コンパに行くと、必ずといっていいほど、この手の話になります。僕も以前コンパに行ったとき、この話になりました。順番にSかMかを答えていくことになり、僕が答える前に1人の女性が、「バスコさんって、病的なドSっぽいですね」って言ったんですよ。
どう見えてんねん、俺!マジでどう見えてんの!?手にハガネのムチとか持ってる、俺!?
「いや、こういうタイプがむしろMやねんって!」
それもようわからん!俺の隣の奴、ちょっとこいつらに文句言ったってくれ!?
「ぷは~!」
ビール飲んでた!生き返ってた!
「ぷは~!たまらん!」
お前がMやんけ!ノド刺激されてたまらんとか言う奴、完全にMやんけ!「麦芽流し攻め」やんけ、それ!
僕は下ネタは好きですが、初対面の人に平気でこんなことを訊く風潮に、少し違和感を感じます。中には顔を赤くする人もいるでしょうから、誰にでもガツガツ訊くのはやめるべきでしょう。
④「(指輪をはめた指を見せて)どう?」
指輪を買う際、指輪をはめた指を、彼氏に見せてくる女性がいます。僕も過去、指輪を買ってあげた彼女に「どう?」と訊かれたことがあります。
ですが、服ならまだしも、指輪をはめた指を見せられたところで、似合うもクソもありません。服であれば、顔やスタイルに応じて意見が出せるものの、指なんて全員、同じような指をしています。何がどうなったら似合っていることになるのかがわからないのです。
意味わからん!「どう?」とか訊かれても答えようあるか、そんなもん!
「た~くん、どう?」
答えようないねん、だから!た~くんも困っとるわ!
「超似合う~!」
やかましいわ!どうせお前、彼女をおだてて今晩のベッドインを濃くしたいだけやろ!新しい体位を試したいんやろ!
それでも、た~くんのように女性の気持ちを考えて、何かコメントしなければなりません。僕みたいなことを言う奴は女心がわかっておらず、女性に失礼を与えるわけにはいきません。なんとなくで「似合ってるな!」と口にするのですが、中には指輪だけではなく、店に売ってあるカバンを肩にかけて「どう?」と訊いてくる女性がいるのです。
知らんがな、そんなもん!カバンが似合ってるかどうかなんてわかるわけあるか!
「た~くん、どう?」
わからんねん、だから!なあ、た~くん!?
「グッジョブ!」
やかましいわ!そもそもグッジョブってなんやねん!そんなこと言うお前が1番問題やわ!
ファッションというのは、身につけるもの全体を考えてコーディネートするのが常です。「その日にどんな服を着るか」で、そのモノが似合うかどうかが如実に変わってきます。帽子や靴ならまだしも、ちょっとした小物で感想を訊くのは、その質問自体がナンセンスでしょう。
⑤「邦楽派?洋楽派?」
これも、年に何回か聞きます。どんな音楽が好きかを、邦楽と洋楽の2択にして質問してくるのです。
訊いてどうすんねん、そんなこと!そんな広い訊き方しといてどう会話が広がんねん!
「う~ん。邦楽が多いけど洋楽も聴く」
「だよね。なんだかんだでジャパニーズポップだよね」
ジャパニーズポップってなんやねん!なんやねん、ジャパニーズポップって!なんでも横文字にしたらイケてると思うな!
しかもこれ、訊かれたほうは必ず、「う~ん」って言います。なぜか「う~ん」と、悩ましげな態度を見せてくるのです。
すっと答えろや、お前も!なんやねんう~んって!
「うどん派?そば派?」
「う~ん。うどんも好きだけど、どちらかと言えばそば」
どっちでもええわ!全然興味ないわ、お前がどっち好きかなんて!
そもそも、派閥に分ける意味がわかりません。「分けたところでどうなん?」という話で、その派閥分けに対して、両方好きな人がほとんどです。どちらか1つを選ぶのが難しい質問なので、訊く意味がわからないんですね。
僕の知り合いに、このタイプの話し方をしてくる女性がいます。何かにつけて派閥を聞きだそうとし、「邦楽派?洋楽派?」「うどん派?そば派?」はもちろん、僕に一度、「回転寿司派?座り寿司派?」って訊いたんですよ。
そんな派閥ないわ!そのときの懐具合によって決まるわ、そんなもん!
「回転?座り?」
ストリップか!回転と座りって、ストリッパーの体の動かし方やんけ!ていうかその前に「座り寿司」ってなんやねん!回転寿司も座るやろ!
「僕は回転寿司派です」
「スシロー派?くら寿司派?」
そこも派閥あんの!?まだ続くの、派閥分け!?
「くら寿司派です」
「くら寿司か。くら寿司で、うどん食べる派?食べない派?」
いつ終わんねん、これ!マジでいつ終わんの、この妙な派閥分け!?このままいったら「レーンは右回り派?左回り派?」とか訊かれそうやんけ!
「食べる派です!」
「食べる派か。七味は入れ……」
入れる派や!七味も入れるし、風俗では指2本入れる派やって何言わすねん、お前!関係あらへんやんけ!
妙な派閥分けは、相手を混乱させるだけです。会話も広がりにくいので、質問する意味がないでしょう。
⑥「少し見ないあいだに、いいお嬢さんになりはって!」
この発言は、ババアが頻繁に言います。その人の小さい頃を知っており、その人と久し振りに会ったときに言うセリフで、みなさまも言われたことがあるでしょう。
ですがこれ、ババアは適当に言ってますよ。適当もいいところで、相手を選ばず、久し振りに会った奴全員に無差別に言ってます。「これさえ言っておけばなんとかなるやろ!」とばかりに、相手の見た目の変化も無視して、「いいお嬢さんになりはって!」「いいお兄さんになりはって!」などと適当に言ってきやがるのです。
ババア、ちょっとは考えてしゃべれよ!中にはあきらかにあかん方向に成長してる奴もおるんやぞ!マイケルジャクソンみたいな奴もおんねん!
「肌もキレイになりはって!」
適当やろ、お前!相手の子供の頃の肌質なんて覚えてるわけないやろ!マイケルジャクソンなみの肌の変化があったらさすがに言うやろうけどよ!
しかも何がおかしいかって、少し見ないあいだに、ババアのほうがだいぶ変わってます。人間の60を過ぎてからの衰えるスピードはすごく、自分のほうが変化がすごいのに、それを差し置いて驚いてきやがるのです。
お前が1番変化しとんねん!バナナみたいな朽ち方しとるわ、お前!
「人って、本当に変わるもんやね!」
お前もや!お前が1番変わっとんねん!縮みすぎて気化寸前やぞ、お前!
7年ほど前の夏のことです。
僕の地元のデパートで、僕が中学生のときに僕の近所に住んでいたババアと、僕は再会しました。そのババアは80歳近くになっており、僕が僕の母親と買物をしていると、ババアのほうが僕らに気づいてやってきたのです。
「少し見ないあいだに、いいお兄さんになりはって!」
ババアはこう言って、僕のホッペタを両手で触ってきました。
僕は恥ずかしいです。それでもせっかく再会したので我慢していたのですが、僕のホッペタを両手でさすり始めるやいなや、めちゃくちゃでかい声で「ヒゲ、固っ!」って言ったんですよ。
何言ってんねん、お前!無断で人の顔に触っといて何を勝手なこと言ってくれとんねん!
「砂鉄とかつけてない?」
つけてるか、そんなもん!なんのメリットあんねん、それ!顔に砂鉄つけるオシャレってなんやねん!
僕らの近くには、たい焼き屋があります。3人で食べることになり、たい焼きに+50円でソフトドリンクがつきます。僕と僕の母親はアイスティーを頼んだのですが、店員にドリンクを訊かれたこのババアが、めちゃくちゃ低い声で「ペプシー」って言ったんですよ。
なんでやねん、お前!なんでババアがコーラやねん!ババアとしての一線を越えんなよ!
「ぷは~!」
また出た、ぷは~!コーラでも言う奴がおった!
「生き返る!」
リアルミイラが言った!めちゃくちゃ説得力あるやんけ!
高齢だけに、ババアは頻繁にワケのわからないことを言います。それがおもしろく、同時にどこか微笑ましいので、みなさまも一度、じっくりと観察してみてください。
そして、最後。これだけは、本当の本当に意味がわかりません。
⑦「それではみなさま、来たる選挙に勝利するため、かけ声のほうをよろしくお願いします!がんばろー!」「がんばろー!」「がんばろー!」「がんばろー!」「がんばろー!」「がんばろー!」
なんやねん、これ!言ってどうすんねん、そんなこと!
「がんばろー!!!」
やかましいわ!家でやれ、そんなこと!
「がんばりましょうね!」
「がんばりましょう!」
「がんばりましょうね!」
「がんばりましょう!」
それしか言えんのか、お前ら!ていうか選挙はがんばらんでええから、当選してから国会でがんばってくれよ!
「俺はまた国会に戻ってくるぞ!!!」
知らんがな、そんなもん!声に出して言うなよ、そんなこと!国民からしたらお前が当選するとか興味ないねん!
選挙の際、政治家が党の集会場に集まります。その場に集まった全員で「がんばろー!」と気勢をあげるのですが、こんなことを叫ぶ意味がわかりません。「知らんがな!」という話で、こんな心の声を叫んだところでどうにもならないんですね。
ですが、本人たちは真剣そのものです。直立不動で腰に手を当て、真剣な顔で拳を突き上げるのですが、いかんせん、年寄りの集まりです。高齢のため体がプルプルと震えている政治家がいて、拳を突き上げるスピードが遅いです。1回分遅れており、3回拳を突き上げるのが常なのに、1周遅れで2回で終えるジジイがいるのです。
引退せいや、お前!いつ死ぬかわからんような奴が立候補すんなよ!
「がんばろう……」
声ちっちゃ!まず生きながらえることにがんばれよ、お前は!
中には気合いが入りすぎて、ハチマキをしている政治家もいます。「必勝」「勝利」などと書かれたハチマキをするのが常なのに、興奮しすぎて冷静さを失っているのでしょう。前回の総選挙のとき、自民党のTという政治家がつけているハチマキに、「闘魂」って書いてあったんですよ。
猪木か、お前!ていうか猪木は落ちたやろ、選挙!めちゃくちゃ縁起悪いやんけ!
選挙に当選したあかつきには、バンザイ三唱をします。ですがこれも、国民からしたら知ったことではありません。どこかのん気な気がして、「こんな奴に国を任せて大丈夫なのか……」と不安になってくるのです。
政治家というのは、「国民の目にどう映るか?」を常に意識しなければなりません。型通りの儀式や言葉はうんざりするだけなので、ご紹介したようなことは、すぐにでもやめるべきでしょう。
以上が、今回の考察です。
「それ言ってどうするのかフレーズ」は、積もり積もると嫌われます。
もちろん、そんなことを気にしていたら、会話などできません。ですが、言わないにこしたことがないことは避けるべきでしょう。
ちなみに余談ですが、③のSとMのくだりであんな言い方をしたものの、僕はドSです。
本の紹介(パソコン読者用)
こんにちわ。バスコです。
今日はみなさまにご紹介したい、1冊の本があります。
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
僕の仕事の後輩が出版した小説で、これは彼のデビュー作になります。
僕も読みましたが、軽快なタッチで書かれており、小説独特の「重さ」はありません。楽しい感じでサクサク読めますし、読後感もいいです。実際のお笑い芸人をモデルにして書かれてあるので、興味のある方はぜひ、読んでみてください。
放送作家でありながら小説を出す人間を、僕は尊敬します。クリエーターは1つの業務に固執せず、どんどんと活動の領域を広げるべきだと考えます。このブログの読者の中にクリエーターの方がいらしたら、違うことにもチャレンジするべきだとご提案させていただくと同時に、作者である浜口倫太郎への応援メッセージとさせていただきます。
バスコ
本の紹介(携帯読者用)
こんにちわ。バスコです。
今日はみなさまにご紹介したい、1冊の本があります。
- ¥1,680
- Amazon.co.jp
僕の仕事の後輩が出版した小説で、これは彼のデビュー作になります。
僕も読みましたが、軽快なタッチで書かれており、小説独特の「重さ」はありません。楽しい感じでサクサク読めますし、読後感もいいです。実際のお笑い芸人をモデルにして書かれてあるので、興味のある方はぜひ、読んでみてください。
放送作家でありながら小説を出す人間を、僕は尊敬します。クリエーターは1つの業務に固執せず、どんどんと活動の領域を広げるべきだと考えます。このブログの読者の中にクリエーターの方がいらしたら、違うことにもチャレンジするべきだとご提案させていただくと同時に、作者である浜口倫太郎への応援メッセージとさせていただきます。
バスコ
これは何なのか?の考察⑥(パソコン読者用)
先日のことです。
僕は仕事で必要な資料を探すために、古本屋をハシゴしていました。
いつもなら、図書館で探します。ですが図書館では見つからず、本屋さんにも僕が探しているような本は置いてありません。緊急に必要だったことから、ブックオフを中心に回ることにしたのです。
仕事場近くの商店街に入ったところ、ふと、一件の古本屋が目に止まりました。
個人経営の小さなお店で、店構えはボロボロ。中に入ると、たくさんの古本がホコリにまみれて雑多に並べられています。それでもマニアックな本がたくさん置いてあることから、僕は本来の目的も忘れて興味本位に本を物色することにしたのですが、なんとなしに手に取って開いた本にカマキリ挟まってたんですよ。
カッチコチのカマキリの死体が挟まってるんですよ!「私は10年以上ここに挟まってます!」と言わんばかりのカマキリが戦艦大和の本に挟まってたんですよ!
ふざけんなよ、お前!買い取るときにチェックせいや!どんなしおりやねん、これ!
「兄ちゃん、戦艦大和、好きなん?」
それどころじゃないわ!好きとかそれ以前の問題やわ、この本!大和の戦没者も浮かばれんわ!
よく見ると、カマキリの鎌の先が本の上側から軽く出ています。「俺はここにいるから誰か出してくれ!」と言わんばかりで、カマキリなりのSOSに見えて仕方がないのです。
僕は、世の中の「これ、何なん?」と思わずにはいられない人・物・事を、「ナンナン」と単位化しています。この「ふざけた本を売ってる古本屋」はナンナンにほかならず、「何なん?」としか言いようがないのです。
そこで今回は、「これは何なのか?」の考察⑥です。
以下、僕が考えるナンナンをご紹介します。
①おばあちゃんの家に飾ってある、歴代のおじいちゃんの写真 1ナンナン
おばあちゃんの家に行くと、額縁に入れられた、おじいちゃんの写真があります。応接間などに飾ってあるのですが、なぜこんなものを飾るのかわからないのです。
その写真は、歴代にまでさかのぼっています。前のおじいちゃん、その前のおじいちゃん、そのもう1つ前のおじいちゃんと、歴代のジジイがズラリと並んでいるのです。
知らんがな、そんなもん!3代前のジジイなんて正直他人やわ!
「これが前のおじいちゃんで、その隣がその前のおじいちゃんで……」
どうでもええわ、歴代のジジイの説明なんて!で、ジジイの顔がのきなみ暗い!どのジジイもびっくりするぐらい笑顔ないねん!
それでも、2代前のおじいちゃんぐらいまでなら、まだわかります。ですが、3代前、4代前と止まりません。この勢いだと、アダムの写真があっても驚けないのです。
おばあちゃんと一緒に応接間に行くと、おばあちゃんが写真を指差しながら、そのおじいちゃんの説明をしてきます。そのおじいちゃんにまつわる小話を披露し、その多くが「このおじいちゃんは戦争に行ったときに……」みたいな、戦争の話です。僕も過去に、おばあちゃんから前の前のおじいちゃんの小話を聞かされたのですが、「このおじいちゃんは戦争に行ったとき、屈強な中国人を仕留めた」って言ったんですよ。
なんの武勇伝やねん、それ!ていうか「仕留めた」ってなんやねん!イノシシか!
「サーベルで刺したらコロっと死によったらしいわ」
怖すぎるわ!で、なんで戦地にサーベルなんて持ち込んでんねん、そのジジイも!和物の刀剣使えや、日の丸背負ってるんやったら!
多すぎる先祖の写真は、ナンナンです。応接間の雰囲気が暗くなることからも、やめたほうがいいでしょう。
②オバハンのエレベーターガール 2ナンナン
デパートにいる、いわゆるエレベーターガール。品のあるキレイな人が多いことから、思わず見とれてしまう男性の方も多いでしょう。
ですが、中にはオバハンがいます。関西のデパートに多く、40どころか50をすぎているオバハンが普通に勤務しているのです。
引退せいや、お前!会社がOKでも自主的に引退せいや!
「下がりますけど大丈夫でしょうか?」
オッパイがか!?そろそろオッパイが垂れ下がってくんのか!?
「上がりますけど大丈夫でしょうか?」
生理がか!?生理が上がんのか!?大丈夫かどうか訊かれても知らんわ、そんなもん!
それでも、「若いころはキレイだった系」のオバハンなら、わかります。20代のころからエレベーターガールで、ベテランエレベーターガールとして勤務し続けているタイプならわかるのですが、そのタイプではない小太りの、普通にグズグズのオバハンが何匹か紛れ込んでいるのです。
家いとけや、お前!おかき食いながらレディース4でも見とけや!
僕がこないだ見たオバハンなんて、あきらかに50歳を越えています。ジーコみたいな顔したシャクレのオバハンで、客のオバハンよりも見た目が汚いのです。
お前、客には勝てよ、見た目!選ばれし職業やのに客に見た目負けてどないすんねん!
「上へ参ります!」
アゴがもう上に行ってるから!シャクレのお前はアゴがすでに上に参ってるから!
この種の話は、エレベーターガールだけではありません。バスガイドやキャビンアテンダントなど、一線を越えたオバハンは、ナンナンとしか言いようがないでしょう。
③カキフライ定食をやっているのに頼まない奴 3ナンナン
冬場の定食屋で発売される、カキフライ定食。期間限定での発売で、タルタルソースをたっぷりつけながら食べます。
カキフライのおいしさを、今さら説明する必要はないでしょう。ランチ時にオフィス街で食べられるカキフライ定食は、「ビルの谷間に咲いた一輪の薔薇」と表現され、一説には、戦前の日本にカキフライ定食が存在していたら真珠湾攻撃は起こっていなかった、とも言われています。それほどの美味で、カキフライを嫌いな人などいないでしょう。
ですが、そんなカキフライ定食を頼まない奴がいます。定食屋の壁に「期間限定!カキフライ定食!」と貼り紙がしてあるにもかかわらず、平気な顔でほかの定食を頼みやがるのです。
ふざけんなよ、お前!お前それは少年ジャンプでドラゴンボール飛ばすようなもんやぞ!
「お前、なんでカキフライ定食を頼まへんの?」
「いや、今日はカキフライって感じじゃないねん」
それでも食え!食ったら口に薔薇が咲くから!カキフライは366日ウェルカムじゃ、メモっとけ!
それでも、チキン南蛮定食や唐揚げ定食を頼むのであれば、まだわかります。この2つはレベルが高いのでまだ納得なのですが、中には以下のように、カキフライを差し置いて、ありえない定食を頼む奴がいるのです。
「すいません、野菜炒め定食ください!」
家で食えや、野菜炒めなんて!なんで海よりも畑やねん!農民になんか借りあんのか、お前!
「すいません、ゴーヤチャンプルー定食ください!」
ウチナーンチュか!内地で琉球のもんに手出すなよ!安室でも定食屋きたら内地の定食食ってるぞ!
「すいません、アジのフライ定食ください!」
舌あんのか、お前!同じフライやのにアジのほうを選ぶ理由がまったくわからん!それこそアジがわかってないぞって、やかましいわ、コラ!ダジャレ言うてもうたやんけ!
はっきり言いますけど、もし、定食屋でカキフライ定食を拒否する男がいたら、それは嫁の出産の立ち会いを拒否する男だ、と考えて間違いないです。その男性と結婚を考えている女性がいたら、そいつは冷たい男なのでやめたほうがいいでしょう。
④パンのゲロを吐く奴 4ナンナン
諸所の理由で、嘔吐してしまうことがあります。お酒の飲みすぎ、病気、つわり……。今まで1度も吐いたことのない人など、この世に存在しないでしょう。
事情が事情なので、吐くのは仕方がありません。ですが、吐いていいゲロと、吐いたらダメなゲロがあります。すべての理屈を越えてもう、「ふざけんなよ、てめえ!」と怒りを覚えずにはいられないゲロが1つだけ存在しているのです。
それがタイトルにもある、パンのゲロです。
パンゲロほど強烈な物体は、この世の中に存在しません。ビジュアル、臭い、粘り……。僕は昔から「この世の中で1番最低なのはパンゲロや」と言い続けており、牛乳と一緒に吐かれた日には、裁判沙汰になってもおかしくありません。それほどの物体なのに、5年に1回ぐらいの割合で誰かが吐いてきやがるのです。
ふざけんなよ、てめえ!もう江戸っ子口調でキレるわ俺、パンゲロとか吐いてんじゃねえよ!
「ごめん……」
ごめんやあるか、お前!俺が総理大臣やったら刑法改正するぞ!「パンゲロ嘔吐罪」として放火と同じぐらいの罰を課すぞ!
先日、仕事の打ち上げ終わりに、仲間6人でマクドナルドにいたときのことです。
僕と同期の奴が「小腹が空いた」と言って、フィッシュバーガーとイチゴシェイクを口にし始めました。僕らにはお酒が入っています。そいつもお酒を飲んでおり、途中で気持ち悪くなったのか、テーブルの中央におもいっきりパンゲロ吐きやがったんですよ!
勘弁してくれよ、おい!シャレならんわ、こんなピンクのイカツイゲロ!
現場は騒然です。周囲の客もドン引きで、僕の隣には「大仏」という異名を持つ、死ぬほど無口な後輩が座っています。先ほどの打ち上げでもほとんどしゃべらなかったような奴なのに、その先輩にパンゲロを吐かれた瞬間、「オラー!」って言ったんですよ。
めっちゃキレてるやんけ、こいつ!初めて見た、こいつがこんな声出すところ!
「トイレで吐けや、コラ!」
ため口でキレてるやんけ!グレムリンなみにキャラが豹変してるやんけ!パンゲロ、怖っ!
はっきり言いますけど、あのキリストでも、弟子にパンゲロ吐かれたらキレますよ。「ユダよりもシャレならんわ、こいつ!」みたいなことを言いますよ。それほどえげつない物体で、パンゲロは、愛すらも駆逐するのです。
⑤歯医者で痛がりすぎてる奴 5ナンナン
歯医者が嫌いな人は多いでしょう。僕も大嫌いで、歯を削られるのがたまらなく痛いのです。
中には、尋常じゃないレベルで痛がる人がいます。子供ならまだしも、いい歳した大人がものすごい取り乱し方をするので、はたから見ると滑稽で仕方がないのです。
僕が大学生のときのことです。
その年の夏、僕は歯が急に痛くなったため、近所の歯医者に行きました。
助手の女性に誘導されて、診療のイスに座りました。首の下に小さなエプロンをつけられ、先生が僕のところに来ました。
「隣の患者さんが終わったら、すぐにバスコさんの治療を始めますので!この紙コップでうがいをしておいてください!」
僕は先生の指示に従ってうがいをし、イスに寝転びながら先生の到着を待つことにしました。
僕の2メートル隣には、50歳ぐらいのオッサンがいます。僕はなんとなしにこのオッサンの治療を眺めていたのですが、歯に機械を当てられるやいなや、このオッサンが異常なまでに取り乱し始めたのです。
「あー!あー!」
オッサンは、ものすごい雄たけびを上げています。イスの手すりをギュッとつかみ、口からダラダラとヨダレを垂らしています。口内に溜まった唾液を、先生がバキュームで「コロコロコロ!」と吸い取るのを邪魔するかのごとく、イスから体がずれ落ちてきています。ムンクの叫びみたいな顔であーあー叫びまくっているのです。
静かにせいや、お前!電気あんまくらってるみたいなリアクションやんけ!
「あー!あー!」
「コロコロコロ!」
「あー!あー!」
「コロコロコロ!」
なんのセッションやねん、これ!わめいてる患者を尻目に冷静に唾液吸い取ってる医者がおもろすぎるわ!
「あー!あー!あー!!!」
ええ加減にせいよ、お前!で、足、ピーンとしすぎ!あん馬の体操選手みたいやんけ!スリッパも脱げとるしよ!
先生は「もうすぐ終わるんでがんばってください!」と、オッサンに言って聞かせています。ですが、途中からオッサンが顔を動かし始めたため、機械を当てられません。助手を呼んでオッサンの顔を手で固定させたのですがオッサンのあーあーは止まらず、めちゃくちゃかわいい声で「あー!もう、やめて!」って言ったんですよ。
やめてやあるか、お前!お前が自主的に来たんやろが!
「お願いだからやめて!」
お願いだから帰って!医者も違う意味で手の施しようがないから帰ってくれ!
このあと、僕は自分の治療どころじゃなかったですよ。このオッサンがおもしろすぎて何度も思い出し笑いをしてしまい、先生もこのオッサンのことを引きずっているのか、ずっと半笑いでしたから。
⑥休日にシャンソンを聴く奴 6ナンナン
「シャンソン」という音楽があります。フランスのきどった音楽で、みなさまも名前ぐらいは聞いたことがあると思います。
ですが、僕みたいな庶民には、まったく理解できない代物です。正直、「なんでそんなん聴くの?」って思うんですよ。
もちろん、趣味なんて人の自由ですよ。暴論は承知の上ですよ。
ただ、シャンソンだけは違うやろ、って思うんですよ。僕みたいな小汚い奴には、休日にシャンソン聴いてるような奴が理解できないのです。
お前、何がどうなったらそんなもんにはまんねん!はまりようあるか、シャンソンなんて!
「エンリコ・マシアスのシャンソン聴いた?」
誰やねん、そいつ!もう名前が無理やわ、正直!休日に競馬場おるような俺にはエンリコ・マシアスとか無理やわ!
それでも、聴くのはよしとしましょう。聴くに飽き足らず、シャンソンを習い始める奴がいるのです。
なんで習うかな、シャンソンとか!休日はもっと泥臭い遊びしようや!
「シャルル・アズナヴールのライブがあるんだけど行かない?」
行くか、そんなもん!アナル・アブノーマルやったら行ってもええけど!
何を隠そう、65歳になる僕の母親が最近、シャンソンに手を出し始めました。気になった僕は近所の公民館で行われる演奏会を観に行ったところ、近所のオバハン連中とチームになり、小奇麗なドレスを着て舞台の上で歌い始めたのです。
勘弁してくれよ、おい!アラシックスがシャンソンに手出すなよ!
「♪夜明けの パリに晴れた空を ル~ル~!」
やかましいわ!で、うちの母親、軽く脇毛見えてんねんけど気のせいかな!?振り上げた極太の二の腕の下が真っ黒やねんけど気のせいかな!?
「よかったらあんた、おひねり投げてや!」
塩投げるわ、俺!もう成仏の対象やわ、脇毛見せながら踊る奴なんて!
「続きまして、恋のマカレナ」
恋のマカレナ……。どっかで聞いたことあるタイトルやな……。
「♪ダレアトゥクエルポアレマカレナ!ケトゥクエルポエスグリマカレナ!」
あのマカレナやった!オバハンが体揺らしながら踊り始めた!
「♪ダレアトゥクエルポアレマカレナ!」
客席に降りてきた!オバハンが脇毛見せながら俺の前で腰降り始めやがった!
「♪エー!マカレナ!」
死ね!切腹しろ、お前ら!人の心に傷をつけた罪を命をもって償え!
はっきり言いますけど、シャンソンに手出すオバハンなんて、射殺対象ですよ。僕の母親に至っては、シャンソンを始めたことで若返り、日ごろからテンションが高いです。「なんかフレンチが食べたいわ~!」と言い出すなど、気持ち悪くて仕方がないのです。
そして、最後。
これは、ナンナンどころの話ではありません。ナンナンなんて言い方では済まされず、「マジデドウイウコトヤネン」に認定したいと思います。
⑦卒業アルバムの「10年後の自分」の欄 1マジデドウイウコトヤネン
卒業アルバムにはよく、「10年後の自分」と題したページがあります。卒業する生徒が「プロ野球選手」や「お嫁さん」といった将来の夢を書き込むページで、みなさまもご記憶のことだと思います。
僕の小学校の卒業アルバムにも、このページがありました。久し振りに見たところ、僕はなぜか「パイロット」と書いており、中には、とんでもない夢を書いている生徒もいます。なにしろ僕の隣のクラスに、「博徒」って書いてる
奴がいるのです。
博徒て、おい!濃すぎるやろ、その夢!
「博徒 南條勝美」
名前も濃いな!名前がすでに博徒の名前やんけ!もうその獰猛な名前だけで将来有望やわ!
とはいえ、「博徒」なんて、まだましです。中には、目を疑うような夢を書き込んでいる生徒がいるのです。
『飼育係』
夢ちっちゃ!動物が好きかどうか知らんけど「獣医」とかほかなんかあるやろ!
『インディアンスの2番』
ヤンキースの4番にせいや!なんで2番を希望すんねん!あえて送りバントしたがる意味がわからん!
『社長さん』
フィリピーナか!「社長」でええやんけ!シャチョウサンって、金に群がるフィリピーナの常套句やんけ!親が病気とウソついてドンペリ開けてもらうタイプのフィリピーナやんけ!
中でも、6年3組はすごいです。個性的な生徒が多いことで有名だったクラスで、以下にご紹介するような、信じがたい夢の数々が並んでいました。
『看守』
病んでんのか、お前!なんでその歳で看守目指すねん!もうちょっと日なたで働こうや!
『百姓』
今なれるわ!10年後じゃなくても今すぐになれるわ、百姓なんて!長靴さえ履けたら誰でもなれるから今すぐに水田に行け!
『クリーニング屋』
あんちゃんか!ひとつ屋根の下のあんちゃんか!
『スワヒリ語の通訳』
需要ないわ!スワヒリ語使う奴なんてあんまり来日せえへんわ!
『光GENJIの赤坂君のお嫁さん』
捕まったぞ、あいつ!いずれ捕まるからやめとけ、あいつの嫁だけは!
『大工』
『大工』
『大工』
『大工』
何があってん、このクラス!なんでこんなにも大工志望が多いねん!大工以外はおらんのか!?
『建築職人』
大工やんけ!建築職人も大工やろ!
『宇宙飛行士か屋台のおでん屋』
落差、おい!お前それ1番の勝ち組と1番の負け組やんけ!夢の破れ方がすごい!
『神』
酒鬼薔薇聖斗か!神になりたい子供って完全に酒鬼薔薇聖斗やんけ!あいつの手記にそんなん書いてたぞ!
子供というのは、現実を知りません。怖いものなしに平気でこんなことを書くので、おかしくて仕方がないのです。
以上が、今回の考察です。
ちなみに、⑥でご紹介した、シャンソンを始めた僕の母親。
僕の母親は、日を追うごとに、どんどん色気づいています。シャンソンによって青春時代を取り戻したのか、先週ぐらいから、オレンジ色のスカートを履き始めたのです……。
これは何なのか?の考察⑥(携帯読者用)
先日のことです。
僕は仕事で必要な資料を探すために、古本屋をハシゴしていました。
いつもなら、図書館で探します。ですが図書館では見つからず、本屋さんにも僕が探しているような本は置いてありません。緊急に必要だったことから、ブックオフを中心に回ることにしたのです。
仕事場近くの商店街に入ったところ、ふと、一件の古本屋が目に止まりました。
個人経営の小さなお店で、店構えはボロボロ。中に入ると、たくさんの古本がホコリにまみれて雑多に並べられています。それでもマニアックな本がたくさん置いてあることから、僕は本来の目的も忘れて興味本位に本を物色することにしたのですが、なんとなしに手に取って開いた本にカマキリ挟まってたんですよ。
カッチコチのカマキリの死体が挟まってるんですよ!「私は10年以上ここに挟まってます!」と言わんばかりのカマキリが戦艦大和の本に挟まってたんですよ!
ふざけんなよ、お前!買い取るときにチェックせいや!どんなしおりやねん、これ!
「兄ちゃん、戦艦大和、好きなん?」
それどころじゃないわ!好きとかそれ以前の問題やわ、この本!大和の戦没者も浮かばれんわ!
よく見ると、カマキリの鎌の先が本の上側から軽く出ています。「俺はここにいるから誰か出してくれ!」と言わんばかりで、カマキリなりのSOSに見えて仕方がないのです。
僕は、世の中の「これ、何なん?」と思わずにはいられない人・物・事を、「ナンナン」と単位化しています。この「ふざけた本を売ってる古本屋」はナンナンにほかならず、「何なん?」としか言いようがないのです。
そこで今回は、「これは何なのか?」の考察⑥です。
以下、僕が考えるナンナンをご紹介します。
①おばあちゃんの家に飾ってある、歴代のおじいちゃんの写真 1ナンナン
おばあちゃんの家に行くと、額縁に入れられた、おじいちゃんの写真があります。応接間などに飾ってあるのですが、なぜこんなものを飾るのかわからないのです。
その写真は、歴代にまでさかのぼっています。前のおじいちゃん、その前のおじいちゃん、そのもう1つ前のおじいちゃんと、歴代のジジイがズラリと並んでいるのです。
知らんがな、そんなもん!3代前のジジイなんて正直他人やわ!
「これが前のおじいちゃんで、その隣がその前のおじいちゃんで……」
どうでもええわ、歴代のジジイの説明なんて!で、ジジイの顔がのきなみ暗い!どのジジイもびっくりするぐらい笑顔ないねん!
それでも、2代前のおじいちゃんぐらいまでなら、まだわかります。ですが、3代前、4代前と止まりません。この勢いだと、アダムの写真があっても驚けないのです。
おばあちゃんと一緒に応接間に行くと、おばあちゃんが写真を指差しながら、そのおじいちゃんの説明をしてきます。そのおじいちゃんにまつわる小話を披露し、その多くが「このおじいちゃんは戦争に行ったときに……」みたいな、戦争の話です。僕も過去に、おばあちゃんから前の前のおじいちゃんの小話を聞かされたのですが、「このおじいちゃんは戦争に行ったとき、屈強な中国人を仕留めた」って言ったんですよ。
なんの武勇伝やねん、それ!ていうか「仕留めた」ってなんやねん!イノシシか!
「サーベルで刺したらコロっと死によったらしいわ」
怖すぎるわ!で、なんで戦地にサーベルなんて持ち込んでんねん、そのジジイも!和物の刀剣使えや、日の丸背負ってるんやったら!
多すぎる先祖の写真は、ナンナンです。応接間の雰囲気が暗くなることからも、やめたほうがいいでしょう。
②オバハンのエレベーターガール 2ナンナン
デパートにいる、いわゆるエレベーターガール。品のあるキレイな人が多いことから、思わず見とれてしまう男性の方も多いでしょう。
ですが、中にはオバハンがいます。関西のデパートに多く、40どころか50をすぎているオバハンが普通に勤務しているのです。
引退せいや、お前!会社がOKでも自主的に引退せいや!
「下がりますけど大丈夫でしょうか?」
オッパイがか!?そろそろオッパイが垂れ下がってくんのか!?
「上がりますけど大丈夫でしょうか?」
生理がか!?生理が上がんのか!?大丈夫かどうか訊かれても知らんわ、そんなもん!
それでも、「若いころはキレイだった系」のオバハンなら、わかります。20代のころからエレベーターガールで、ベテランエレベーターガールとして勤務し続けているタイプならわかるのですが、そのタイプではない小太りの、普通にグズグズのオバハンが何匹か紛れ込んでいるのです。
家いとけや、お前!おかき食いながらレディース4でも見とけや!
僕がこないだ見たオバハンなんて、あきらかに50歳を越えています。ジーコみたいな顔したシャクレのオバハンで、客のオバハンよりも見た目が汚いのです。
お前、客には勝てよ、見た目!選ばれし職業やのに客に見た目負けてどないすんねん!
「上へ参ります!」
アゴがもう上に行ってるから!シャクレのお前はアゴがすでに上に参ってるから!
この種の話は、エレベーターガールだけではありません。バスガイドやキャビンアテンダントなど、一線を越えたオバハンは、ナンナンとしか言いようがないでしょう。
③カキフライ定食をやっているのに頼まない奴 3ナンナン
冬場の定食屋で発売される、カキフライ定食。期間限定での発売で、タルタルソースをたっぷりつけながら食べます。
カキフライのおいしさを、今さら説明する必要はないでしょう。ランチ時にオフィス街で食べられるカキフライ定食は、「ビルの谷間に咲いた一輪の薔薇」と表現され、一説には、戦前の日本にカキフライ定食が存在していたら真珠湾攻撃は起こっていなかった、とも言われています。それほどの美味で、カキフライを嫌いな人などいないでしょう。
ですが、そんなカキフライ定食を頼まない奴がいます。定食屋の壁に「期間限定!カキフライ定食!」と貼り紙がしてあるにもかかわらず、平気な顔でほかの定食を頼みやがるのです。
ふざけんなよ、お前!お前それは少年ジャンプでドラゴンボール飛ばすようなもんやぞ!
「お前、なんでカキフライ定食を頼まへんの?」
「いや、今日はカキフライって感じじゃないねん」
それでも食え!食ったら口に薔薇が咲くから!カキフライは366日ウェルカムじゃ、メモっとけ!
それでも、チキン南蛮定食や唐揚げ定食を頼むのであれば、まだわかります。この2つはレベルが高いのでまだ納得なのですが、中には以下のように、カキフライを差し置いて、ありえない定食を頼む奴がいるのです。
「すいません、野菜炒め定食ください!」
家で食えや、野菜炒めなんて!なんで海よりも畑やねん!農民になんか借りあんのか、お前!
「すいません、ゴーヤチャンプルー定食ください!」
ウチナーンチュか!内地で琉球のもんに手出すなよ!安室でも定食屋きたら内地の定食食ってるぞ!
「すいません、アジのフライ定食ください!」
舌あんのか、お前!同じフライやのにアジのほうを選ぶ理由がまったくわからん!それこそアジがわかってないぞって、やかましいわ、コラ!ダジャレ言うてもうたやんけ!
はっきり言いますけど、もし、定食屋でカキフライ定食を拒否する男がいたら、それは嫁の出産の立ち会いを拒否する男だ、と考えて間違いないです。その男性と結婚を考えている女性がいたら、そいつは冷たい男なのでやめたほうがいいでしょう。
④パンのゲロを吐く奴 4ナンナン
諸所の理由で、嘔吐してしまうことがあります。お酒の飲みすぎ、病気、つわり……。今まで1度も吐いたことのない人など、この世に存在しないでしょう。
事情が事情なので、吐くのは仕方がありません。ですが、吐いていいゲロと、吐いたらダメなゲロがあります。すべての理屈を越えてもう、「ふざけんなよ、てめえ!」と怒りを覚えずにはいられないゲロが1つだけ存在しているのです。
それがタイトルにもある、パンのゲロです。
パンゲロほど強烈な物体は、この世の中に存在しません。ビジュアル、臭い、粘り……。僕は昔から「この世の中で1番最低なのはパンゲロや」と言い続けており、牛乳と一緒に吐かれた日には、裁判沙汰になってもおかしくありません。それほどの物体なのに、5年に1回ぐらいの割合で誰かが吐いてきやがるのです。
ふざけんなよ、てめえ!もう江戸っ子口調でキレるわ俺、パンゲロとか吐いてんじゃねえよ!
「ごめん……」
ごめんやあるか、お前!俺が総理大臣やったら刑法改正するぞ!「パンゲロ嘔吐罪」として放火と同じぐらいの罰を課すぞ!
先日、仕事の打ち上げ終わりに、仲間6人でマクドナルドにいたときのことです。
僕と同期の奴が「小腹が空いた」と言って、フィッシュバーガーとイチゴシェイクを口にし始めました。僕らにはお酒が入っています。そいつもお酒を飲んでおり、途中で気持ち悪くなったのか、テーブルの中央におもいっきりパンゲロ吐きやがったんですよ!
勘弁してくれよ、おい!シャレならんわ、こんなピンクのイカツイゲロ!
現場は騒然です。周囲の客もドン引きで、僕の隣には「大仏」という異名を持つ、死ぬほど無口な後輩が座っています。先ほどの打ち上げでもほとんどしゃべらなかったような奴なのに、その先輩にパンゲロを吐かれた瞬間、「オラー!」って言ったんですよ。
めっちゃキレてるやんけ、こいつ!初めて見た、こいつがこんな声出すところ!
「トイレで吐けや、コラ!」
ため口でキレてるやんけ!グレムリンなみにキャラが豹変してるやんけ!パンゲロ、怖っ!
はっきり言いますけど、あのキリストでも、弟子にパンゲロ吐かれたらキレますよ。「ユダよりもシャレならんわ、こいつ!」みたいなことを言いますよ。それほどえげつない物体で、パンゲロは、愛すらも駆逐するのです。
⑤歯医者で痛がりすぎてる奴 5ナンナン
歯医者が嫌いな人は多いでしょう。僕も大嫌いで、歯を削られるのがたまらなく痛いのです。
中には、尋常じゃないレベルで痛がる人がいます。子供ならまだしも、いい歳した大人がものすごい取り乱し方をするので、はたから見ると滑稽で仕方がないのです。
僕が大学生のときのことです。
その年の夏、僕は歯が急に痛くなったため、近所の歯医者に行きました。
助手の女性に誘導されて、診療のイスに座りました。首の下に小さなエプロンをつけられ、先生が僕のところに来ました。
「隣の患者さんが終わったら、すぐにバスコさんの治療を始めますので!この紙コップでうがいをしておいてください!」
僕は先生の指示に従ってうがいをし、イスに寝転びながら先生の到着を待つことにしました。
僕の2メートル隣には、50歳ぐらいのオッサンがいます。僕はなんとなしにこのオッサンの治療を眺めていたのですが、歯に機械を当てられるやいなや、このオッサンが異常なまでに取り乱し始めたのです。
「あー!あー!」
オッサンは、ものすごい雄たけびを上げています。イスの手すりをギュッとつかみ、口からダラダラとヨダレを垂らしています。口内に溜まった唾液を、先生がバキュームで「コロコロコロ!」と吸い取るのを邪魔するかのごとく、イスから体がずれ落ちてきています。ムンクの叫びみたいな顔であーあー叫びまくっているのです。
静かにせいや、お前!電気あんまくらってるみたいなリアクションやんけ!
「あー!あー!」
「コロコロコロ!」
「あー!あー!」
「コロコロコロ!」
なんのセッションやねん、これ!わめいてる患者を尻目に冷静に唾液吸い取ってる医者がおもろすぎるわ!
「あー!あー!あー!!!」
ええ加減にせいよ、お前!で、足、ピーンとしすぎ!あん馬の体操選手みたいやんけ!スリッパも脱げとるしよ!
先生は「もうすぐ終わるんでがんばってください!」と、オッサンに言って聞かせています。ですが、途中からオッサンが顔を動かし始めたため、機械を当てられません。助手を呼んでオッサンの顔を手で固定させたのですがオッサンのあーあーは止まらず、めちゃくちゃかわいい声で「あー!もう、やめて!」って言ったんですよ。
やめてやあるか、お前!お前が自主的に来たんやろが!
「お願いだからやめて!」
お願いだから帰って!医者も違う意味で手の施しようがないから帰ってくれ!
このあと、僕は自分の治療どころじゃなかったですよ。このオッサンがおもしろすぎて何度も思い出し笑いをしてしまい、先生もこのオッサンのことを引きずっているのか、ずっと半笑いでしたから。
⑥休日にシャンソンを聴く奴 6ナンナン
「シャンソン」という音楽があります。フランスのきどった音楽で、みなさまも名前ぐらいは聞いたことがあると思います。
ですが、僕みたいな庶民には、まったく理解できない代物です。正直、「なんでそんなん聴くの?」って思うんですよ。
もちろん、趣味なんて人の自由ですよ。暴論は承知の上ですよ。
ただ、シャンソンだけは違うやろ、って思うんですよ。僕みたいな小汚い奴には、休日にシャンソン聴いてるような奴が理解できないのです。
お前、何がどうなったらそんなもんにはまんねん!はまりようあるか、シャンソンなんて!
「エンリコ・マシアスのシャンソン聴いた?」
誰やねん、そいつ!もう名前が無理やわ、正直!休日に競馬場おるような俺にはエンリコ・マシアスとか無理やわ!
それでも、聴くのはよしとしましょう。聴くに飽き足らず、シャンソンを習い始める奴がいるのです。
なんで習うかな、シャンソンとか!休日はもっと泥臭い遊びしようや!
「シャルル・アズナヴールのライブがあるんだけど行かない?」
行くか、そんなもん!アナル・アブノーマルやったら行ってもええけど!
何を隠そう、65歳になる僕の母親が最近、シャンソンに手を出し始めました。気になった僕は近所の公民館で行われる演奏会を観に行ったところ、近所のオバハン連中とチームになり、小奇麗なドレスを着て舞台の上で歌い始めたのです。
勘弁してくれよ、おい!アラシックスがシャンソンに手出すなよ!
「♪夜明けの パリに晴れた空を ル~ル~!」
やかましいわ!で、うちの母親、軽く脇毛見えてんねんけど気のせいかな!?振り上げた極太の二の腕の下が真っ黒やねんけど気のせいかな!?
「よかったらあんた、おひねり投げてや!」
塩投げるわ、俺!もう成仏の対象やわ、脇毛見せながら踊る奴なんて!
「続きまして、恋のマカレナ」
恋のマカレナ……。どっかで聞いたことあるタイトルやな……。
「♪ダレアトゥクエルポアレマカレナ!ケトゥクエルポエスグリマカレナ!」
あのマカレナやった!オバハンが体揺らしながら踊り始めた!
「♪ダレアトゥクエルポアレマカレナ!」
客席に降りてきた!オバハンが脇毛見せながら俺の前で腰降り始めやがった!
「♪エー!マカレナ!」
死ね!切腹しろ、お前ら!人の心に傷をつけた罪を命をもって償え!
はっきり言いますけど、シャンソンに手出すオバハンなんて、射殺対象ですよ。僕の母親に至っては、シャンソンを始めたことで若返り、日ごろからテンションが高いです。「なんかフレンチが食べたいわ~!」と言い出すなど、気持ち悪くて仕方がないのです。
そして、最後。
これは、ナンナンどころの話ではありません。ナンナンなんて言い方では済まされず、「マジデドウイウコトヤネン」に認定したいと思います。
⑦卒業アルバムの「10年後の自分」の欄 1マジデドウイウコトヤネン
卒業アルバムにはよく、「10年後の自分」と題したページがあります。卒業する生徒が「プロ野球選手」や「お嫁さん」といった将来の夢を書き込むページで、みなさまもご記憶のことだと思います。
僕の小学校の卒業アルバムにも、このページがありました。久し振りに見たところ、僕はなぜか「パイロット」と書いており、中には、とんでもない夢を書いている生徒もいます。なにしろ僕の隣のクラスに、「博徒」って書いてる奴がいるのです。
博徒て、おい!濃すぎるやろ、その夢!
「博徒 南條勝美」
名前も濃いな!名前がすでに博徒の名前やんけ!もうその獰猛な名前だけで将来有望やわ!
とはいえ、「博徒」なんて、まだましです。中には、目を疑うような夢を書き込んでいる生徒がいるのです。
『飼育係』
夢ちっちゃ!動物が好きかどうか知らんけど「獣医」とかほかなんかあるやろ!
『インディアンスの2番』
ヤンキースの4番にせいや!なんで2番を希望すんねん!あえて送りバントしたがる意味がわからん!
『社長さん』
フィリピーナか!「社長」でええやんけ!シャチョウサンって、金に群がるフィリピーナの常套句やんけ!親が病気とウソついてドンペリ開けてもらうタイプのフィリピーナやんけ!
中でも、6年3組はすごいです。個性的な生徒が多いことで有名だったクラスで、以下にご紹介するような、信じがたい夢の数々が並んでいました。
『看守』
病んでんのか、お前!なんでその歳で看守目指すねん!もうちょっと日なたで働こうや!
『百姓』
今なれるわ!10年後じゃなくても今すぐになれるわ、百姓なんて!長靴さえ履けたら誰でもなれるから今すぐに水田に行け!
『クリーニング屋』
あんちゃんか!ひとつ屋根の下のあんちゃんか!
『スワヒリ語の通訳』
需要ないわ!スワヒリ語使う奴なんてあんまり来日せえへんわ!
『光GENJIの赤坂君のお嫁さん』
捕まったぞ、あいつ!いずれ捕まるからやめとけ、あいつの嫁だけは!
『大工』
『大工』
『大工』
『大工』
何があってん、このクラス!なんでこんなにも大工志望が多いねん!大工以外はおらんのか!?
『建築職人』
大工やんけ!建築職人も大工やろ!
『宇宙飛行士か屋台のおでん屋』
落差、おい!お前それ1番の勝ち組と1番の負け組やんけ!夢の破れ方がすごい!
『神』
酒鬼薔薇聖斗か!神になりたい子供って完全に酒鬼薔薇聖斗やんけ!あいつの手記にそんなん書いてたぞ!
子供というのは、現実を知りません。怖いものなしに平気でこんなことを書くので、おかしくて仕方がないのです。
以上が、今回の考察です。
ちなみに、⑥でご紹介した、シャンソンを始めた僕の母親。
僕の母親は、日を追うごとに、どんどん色気づいています。シャンソンによって青春時代を取り戻したのか、先週ぐらいから、オレンジ色のスカートを履き始めたのです……。