桐野夏生『ナニカアル』新潮社 2010
<林芙美子>この強烈な作家に肉薄した
評伝の形をした小説。
林芙美子自身が秘密裡に書いた小説という体裁で、
昭和17、8年南方の戦地を駆け回り、
愛をかわす、
その修羅場は壮絶、凄まじい・・・
まさに血まみれの戦場となる。
いままさにここに芙美子が息づく。
ここまで人間の臓物すらも抉り出す桐野の作品。
一読してほしい。
装画写真:yosikazu arisaka
装丁:新潮社装幀室
仁左衛門さま、いがみの権太!
通し狂言「義経千本桜」から
木の実・小金吾討死・すし屋
これは2025年10月歌舞伎座で上演され、
古典芸能への招待で放映。
もうなんといってもにざさま、
「木の実」でのこすっからい小悪党、
荷物を取り替え、返すと油断をさせ二十両をゆすりとる。
その<目>の語ること、かたること。
すし屋での権太の忠義が活きる。
妻子を身代わりにさしだし、
その二人を見送る、その万感のおもいが切ない。
米吉のお里のまあ、かわいらしいこと♪
中村歌六の弥左衛門
中村萬壽の弥助
中村芝翫の梶原平三
市川門之助の若葉の内侍
片岡孝太郎の小せん
中村米吉のお里
尾上左近の小金吾 ほか。
◆あらすじ
物語は源平合戦の後日談で、
平維盛が実は生きており、それをかくまう鮨屋弥左衛門、
その息子であるいがみの権太ら、釣瓶鮨屋一家の悲劇が描かれる。
あの伝説の映画「炎上」1958年
原作:三島由紀夫
監督:市川崑
主演:市川雷蔵
『炎上』(えんじょう)は、1958年公開。
三島由紀夫『金閣寺』を市川崑監督が映画化した99分のモノクロ作品。
主演は時代劇のスター・市川雷蔵で初の現代劇主演。
この吃音症の青年・溝口をじつにリアルに演じる、
不安、不遇、劣等感などを余すところなく表現し、
あの<目>がことに印象的。
仲代達也の不埒で傲岸な柏木とのからみ、
中村雁次郎の好色で底知れない人物。
なによりもモノクロームの光と影の映像がこよなくうつくしい。
これは映画館のスクリーンで観たい!
映画では『金閣寺」が「驟閣寺」(しゅうかくじ)となって。
三島はこの映画について「日記 裸体と衣装」でこのように
<黒白の画面の美しさはすばらしく、全体に重厚沈痛の趣きがあり、
しかもふしぎなシュール・レアリステックな美しさを持つてゐる。
放火前に主人公が、すでに人手に渡つた故郷の寺を見に来て、
みしらぬ住職が梵妻に送られて出てくる山門が、
居ながらにして回想の場面に移り、
同じ山門から、突然粛々と葬列があらはれるところは、怖しい白昼夢を見るやうである。
俳優も、雷蔵の主人公といひ、雁治郎の住職といひ、これ以上は望めないほどだ。
試写会のあとの座談会で、市川崑監督と雷蔵君を前に、私は手ばなしで褒めた。
かういふ映画は是非外国へ持つて行くべきである。
センチメンタリズムの少しもないところが、外国人にうけるだらう。>
まだ、間に合います!? 28日、明日まで
もう序曲から、わくわく♪
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2024/2025シーズン
収録日:2025年3月8日(土)
指揮:ガエタノ・デスピノーサ
演出:アレックス・オリエ
美術:アルフォンス・フローレス
衣裳:リュック・カステーイス
照明:マルコ・フィリベック
舞台監督:髙橋尚史
カルメン:サマンサ・ハンキー
ドン・ホセ:アタラ・アヤン
エスカミーリョ:ルーカス・ゴリンスキー
ミカエラ:伊藤 晴
スニガ:田中大揮
モラレス:森口賢二
ダンカイロ:成田博之
レメンダード:糸賀修平
フラスキータ:冨平安希子
メルセデス:十合翔子
合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽:東京交響楽団
1970年11月25日。
三島由紀夫、自刃。
その三島が被写体になった細江英公の『薔薇刑』。
この画像は新輯版『薔薇刑』集英社 1971年刊。
5面に展開するのは横尾忠則の描いた
横たわる三島由紀夫中心に、涅槃図のよう。
圧巻の迫力!
縦横39×53
ページをめくったところに
三島の<双眸が薔薇>といった一葉が
金属板で置かれている。
写真集本体はベルベットの黒。
Ⅰ 海の目 (横尾の挿画3葉)
Ⅱ 目の罪
Ⅲ 罪の夢
Ⅳ 罪の死
Ⅴ 死
の章立て。
数年前、細江の写真展でこの原版の写真を見ましたが、
この本のほうが、写真を大きくあつかっています。
一葉一葉にただよう緊張感は
写真家と被写体とのまさに<決闘>。
ウキペディアでは以下に。
『薔薇刑 新輯版―細江英公写真作品』
(集英社、1971年1月30日) 28,000円
撮影:細江英公。
被寫體:三島由紀夫。
協力モデル:江波杏子、土方巽、元藤燁子、ほか
装幀・装画・レイアウト:横尾忠則。
題簽:三島由紀夫。
A3変型判。104頁。
天鵞絨装、布帙、段ボール外函。
序説:三島由紀夫「細江英公序説」。
付記:三島由紀夫「新輯版 薔薇刑について」。
三島の2つの文章は、
横組みでそれぞれの英訳と交互に掲載。
また、章見出し・目次・収録文章のタイトルに三島自筆文字を使用。
口絵写真1葉(ステンレス板貼付)
「海の目」「目の罪」「罪の夢」「夢の死」「死」の五章からなる。