ダンサーと写真家の決闘! 田中泯『海やまのあひだ』 写真・岡本正人 工作舎 2007 | 「月球儀」&「芭蕉座」  俳句を書くメゾソプラノ山本 掌のブログ

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第四句集『月球儀』
「月球儀」俳句を支柱とした山本 掌の個人誌。

「芭蕉座」は芭蕉「おくのほそ道」を舞台作品とする
うた・語り・作曲・ピアノのユニット。
    



俳句を金子兜太に師事。「海程」同人・現代俳句協会会員。

 

 

 

 

 

田中泯『海やまのあひだ』工作舎 2007

 

写真:岡本正人

 

 

私は地を這う前衛である。言語ある肉である。
肉体の機能に言語は共棲する。
肉体と肉体の間に舞が成立し、
思考の努力の結果が舞を立ち上がらせる。 -----田中泯

暗箱の闇に対峙する田中泯の身体は光を乱反射させて、
こちらの目撃を混乱させる。
視覚の限界を乗り越え、知覚の拡大がうながされる。
なにやら「原初的な感じ」がむき出しにされているのだ。 -----岡田正人

 

 

ダンサー・田中 泯と写真家・岡田正人の一期一会。

 

息詰まるほどの緊張感は<決闘>というのがふさわしい。

 

そんな写真たち。

 

「夢の島」で裸体で踊る泯、

 

ゴミと対峙するその身体。

 

山に挑み、

 

野にうずくまり、

 

泥が顔をおおう。

 

乾きひび割れてくる泥は樹の皮とまがうほど。

 

圧倒的な熱量で迫ってくる

 

写真集『海とやまのあひだ』

 

 

 

【目次より】
写真+手帳 ゴミたちが地球になろうとしている。私は地を這う前衛である
「森の舞台・山の舞台」桃花村の四季を舞う 身体・闇・暗箱 雨・陰影・アーバス…
年譜 踊りは私の日常です 田中泯1966‐2007
暗い箱の中の光子のダンス
天使のヴァニシング・ポイント
分際の写真
岡田くんとの「事件」の日々

 

 

 

◆田中 泯(たなか・みん) (出版の2007年までのプロフィール)


ダンサー、俳優。1945年、東京生まれ。73年、独自の舞踊を求め、たった1人の活動に入る。
90年、フランス政府より芸術文化騎士章。西独・ミュンヘン演劇祭最優秀パフォーマンス賞など
数々の賞を受賞。97年、山梨県敷島町(現在の甲斐市上芦沢)にて舞踊資源研究所/本村設立。
2000年、「桃花村舞踊団」および農事組合法人桃花村を結成。
02年、山田洋次監督作品「たそがれ清兵衛」に出演し、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞。
現在、全国各地で「場踊り」展開中。

 



◆岡田正人(おかだ・まさと)


写真家。1949年、神戸市生まれ。75年、舞踊家田中泯に出会う。
76年、オブジェマガジン「遊」編集部(工作舎)に参加。同時に田中泯を撮り始める。
田中泯ハイパーダンス1824時間(全国150か所以上の野外、自然、都市のあらゆる場所で
踊りを試みる)などに参加、夢の島や福井東尋坊での撮影の苛酷さは、いまでも語り継がれているほど。
工作舎の専属カメラマンとして観光情報誌「JAPANNOW」で全国を取材するほか、
建築写真、広告写真なども手掛け、全方向での撮影をこなす。2006年春、他界。