続いて、今年度の最優秀賞である、松岡コンクリート株式会社「地球温暖化防止の一助となる、
ヒートアイランド対策商品 『ロードクーラー』」のビジネスプラン発表がありました。
大学発の技術を商用化しました。
内容は、ビルの壁面・屋上やコンクリートなどに塗る塗料で、塗料自体が太陽光の熱を反射し
射熱する機能を持っているものに、さらに届いた太陽光そのものを宇宙に返す特殊なビーズを
入れるもので、太陽光の熱自体を吸収することなく、色にもよりますが白色では25度に
保つことができる、などの、素晴らしい環境技術です。
屋上緑化では、水などの物体を屋根に載せる重量の増加と、全てのビルが屋上緑化した場合、
水蒸気が街に溢れてかえって湿気が増加し、蒸し暑くなるなどの影響がある中、この塗料散布
方法では、低コストで建物自体や、アスファルトへの反射を防ぐという機能になります。
全国の高速道路がこれで塗られたら、ヒートアイランドも減るかもしれません。首都高など。
マーケットは世界にも広がり、大きな改善技術です。イノベーションに近い技術でもあります。
大手企業では、射熱塗料などは沢山ありますし、断熱工法などもありますが、これほどの
効果のあるものは、そう簡単にはありません。
ヒートアイランドもそうですが、ビルなどは空調コストが大幅に削減できる技術なのです。
コストは
塗料 1缶 24,000円
ビーズ 1缶 18,000円
で比較的割安です。また、換算して1平方メートル当たり820円というコストとなります。
こんなに優れたものですが、私が投資家だったら投資するか、と言いますと、条件付きと
なります。
なぜか?
重要な課題があると思います。
それは、「経営感覚」
プレゼンの中で、この企業はクチコミで商売を広げていこうと考えています。
認定工事制度、特約店制度など設けていこうという形で品質にもこだわる点は、とても
素晴らしいです。
一方、プレゼンの中で強調されていたのですが、「1万円のものを仕入れてさらに1万円上乗せ
してすることはしない。我々は10円だけのせて、1万10円で販売する」
と、おっしゃらていました。
日本の大量生産販売の考えに支配された低コスト販売思想と、マーケティング政策が一致していません。
特約店など仕入れる方はたしかに安ければいいかもしれません。またビルなどのコストは低コスト
志向の状態では、なかなかコストアップができません。それも良くわかります。
しかしながら、この企業の施策では、代替技術が出た時や、本来かけるべきマーケティングに
充当する金額を蓄積するだけの資本政策ができません。
これでは、経営環境が変わった時に、対応することができない、自分で自分を苦しめるビジネス展開を
自ら招く恐れがあることを指します。
例えば、コンクリートや道路などの塗料は、少し割安に。
ビルや建物などは、少し付加価値をつけて高めの設定に(空調コストなどが安く分を想定して)などの
商品・価格戦略だってできるのではないでしょうか。
あるいは「適正な利益」というのは、何も1万円も上乗せという事ではなくて、「十分に資本蓄積が
できて、次の拡大ができる程度」で良いと感じます。良い技術を安く広げたいという、会社の理念
・経営観を感じましたが、10円しか乗せないなど、自ら自社の経営を苦しめるのは、経営の
継続性という観点で先の見通しが悪くなります。
他の事業が儲かっているのであれば良いですが、その事業からの利益を当事業に割り当てる
経営スタイルをとるのであれば、「クチコミ」ではなくマーケティングで知名度を上げていくことが
可能ではないか、と思います。
そして、この企業への今後を考える上で、投資を条件付で考える理由は、「この技術・製品一本に
絞った経営展開」が感じられるからです。
適正な利益の獲得、資本の蓄積がなければ、次の投資・研究開発の機会に移ることができない
のではないか。
つまり、
次の製品、次の次の製品まで考えて開発していこうという戦略をを感じることができません。
私は、企業の将来を考えた時、そういう発想でシナリオプランニングして、市場変化に合わせた形で
価格を決めるような柔軟な取り組みを、経営者に行ってもらいたいと思います。
場合によっては、資本の参入でこの企業の経営陣を代えて、より強いビジネスモデルをできる経営陣に
入れ替えられてしまう恐れがあるのではないか、と残念ながら感じてしまいました。
(M&Aで買収、など)
価値創造は得意かもしれないが、価値獲得が難しい、そんなビジネスプラン発表が多いのに
とても残念な感じがしています。
そうでないと、企業の成長を加速しなければいけない時期に加速できない。
認定工事制度を強化することで、偽装工事のデタラメを直そうという姿勢にも、非常に重要で素晴らしい
理念をもっているのですが、当然ながらコスト負担が必要となります。
そして、BtoBの性格が強い業界・商品で、実際に売って施工する業者も、ディベロッパーや会社などに
採用いただくまでに、コストモデルや試算など、当然提案する側にも手間隙がかかりますので、彼らに
とっても旨みのとれる(適当な利益を得ることのできる)モデルにしないと、プッシュする機会を失って
しまいます。
発表が途中まで素晴らしいと感じていました。
まだ、発表の一部の側面しか理解できていないかもしれず、一方的な見解ではありますが、
せっかくの素晴らしい技術を販売するのに、「適正な利益を得る」という事のできない
何かの価値観・ロジックが日本の社会の中にまだ残っていると感じました。
これらをなんとか、技術経営や価値観変化・意思決定のプロセスなどで変えることをやって
いきたいです。
経営陣の方々に気づいていただきたいです。
※国内や、海外からも引き合いが多いそうですので、強気のコスト政策で済むのかもしれません。
VEでコストダウンが繰り返される日本の市場では、価格が厳しいと相手にされる事が少なくなり
価格を低めに設定したのかもしれません。
最後に、このNOBUNAGA21の表彰した賞金額なのですが、「100万円」です。
十六銀行、野村證券、監査法人トーマツの入った取り組みで、この金額では、加速するにも
加速できる十分な金額、夢のある金額ではありません。
他のところで運営コストが高いのかわかりませんが、運営コストなどは少なくするようにして、
せめて1000万円レベルの賞金にして、受賞した時の喜びを厚くすることができれば、受賞した企業も
強気なマーケティングに取り組むきっかけや投資ができるのではないかなぁ、と感じました。
発表式も、高い会場でやらずに、安い会場でも良いような、、、。
日本の未来のために・・・・。
※先日のブログで同様のことを書いています。
http://ameblo.jp/baptism/entry-10165837445.html
追伸) 自宅に帰り、会社のホームページを確認しました。
売上げも順調に伸びており(昨年38億円)、社是を見て経営者の方針が「なるほど」と
思いました。 会社のバックグラウンドや価値観をプレゼンでお聞きしていなかったので、
聞いておりましたら、先の内容となる感想にはならなかったかと思います。(反省)
社 是
当社は、品質管理を徹底し、より低廉にして且つ、均一な製品を作り上げ、どこにもない商品をいち早く提供し、成熟した街作りに貢献する。